i(アイ)

著者 :
  • ポプラ社
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レビュー : 364
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591153093

感想・レビュー・書評

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  • 何か賞を獲らなかっただろうか?~アイはシリア生まれでニューヨークに住むダニエル・ワイルドと綾子の養子としてアメリカ国籍を持って育ち、日本に移住した。両親は何事も秘密にしない。日本の私立中学では個性を持つことを強要されず居心地が良いが、自分が存在して良いのかは考え続ける。自分は何故、選ばれたのか。選ばれなかったら、どうしているのか。進学校として知られる大学付属の高校に入り、最初の授業で数学の教師は「アイは存在しない」と虚数の説明をし、その言葉が耳に残る。入学早々近づいてきたのはレズビアンのセクシャリティを持つ権田ミナだった。互いを評価しない二人は親友となった。数学に興味を持ったアイは成績をどんどん上げて学年トップとなり、国立大学の数学科に入学するが、一番の注目を集めたのはウッドベースでプロ・ジャズプレイヤーになるという内海義也だった。気になるアイにとっては初恋だったかもしれない。受験勉強を進める中で菓子を食べ過ぎて太ったアイだったが、数学科では気にとめる人間もいない。黒い服ばかりを着てノートには世界各地で起きた事故や事件、災害での死者数を書き綴る。父が仕事をリタイアし、シリアの悲惨な状況を気にする余り、NGOに加わり本部のあるニューヨークに移っても世界に没頭できる数学に浸り、当然のように院に進む。一人で暮らす日本で地震が起こり、汚染されている怖れのある食品を口に出来ず痩せていって街で声を掛けられたのは原発反対のデモへの参加だった。何となく参加している内にカメラを向けてきたのは、中年に差し掛かるカメラマンの佐伯祐だった。肌を合わせて結婚を意識し、自分が存在しても良い証しとして子どもを持つことを希望し、結婚・休学を選んだが妊娠はせず、PCOS・多嚢胞性卵巣症候群という診断を受け、人工授精で妊娠したが間もなく小さな命は心拍を止め、掻爬手術を受けざるを得なかった。ニューヨークからロサンジェルスへ帰ってきたミナは妊娠しミラという恋人と別れたが、内海と再会して避妊せずに性交して妊娠したが、堕胎すると言う。アイは流産したことを言い出せず、ミナの中絶は許せない。両親が日本に来てアイのルーツのあるシリアの情勢をダニエルとユウは議論し、綾子もシリアや実の両親の事を知りたくないかと聞いてくる。ミナに遭いたくて飛行機に乗ってるとシリア難民の男の子が密航船の沈没で死んだニュースに接し、再会したミナと抱き合って泣く。遠く繋がっている未明の海で花束を捧げ、出産を決意したミナが見守る中、裸で波で揉まれるアイは存在することを強く意識する~まぁね…設定は面白いのだけど、テーマが絞り込まれていない気がするなぁ。ま、存在して良いのだという結論で良かったけど、困難に直面している子供たちを養子として育てるアメリカ人セレブの事は変だなぁと確かに思う。子どもに気を遣い、一人前の人間として扱う態度も不自然。容姿が異なる人に対する日本人的な気遣いも理解できるし恥ずかしいし。不妊に悩むカップルがいる一方で、妊娠を避ける人間も沢山いる理不尽。LGBT・セクシャリティ…。どれも現代的な話題ではあったが…どうもモヤモヤが残る

  • アメリカ人の父、日本人の母、シリア生まれの養子のアイ。虚数のiとともに「この世界にアイは存在しません」という言葉がイヤというほど出てくる。自分の存在を肯定できない自分。世界で多くの人が亡くなっていて、そして今、生きている自分と何が違うのかがわからない。存在価値を見出すために自問自答していく。
    ここまで深い自己否定に共感できずに、もやもやとしてしまった。

  • 2017年17冊目。

    はじめて西さんの本を手に取った。

    能天気な自分とはかけ離れた、繊細で聡明な主人公の物語だったためか、あまり響くものはなかった。
    また、主人公をとりまく人物たち(両親や親友、夫)が皆一様に出来すぎていてイマイチ人間味にかけているように感じ、誰にも感情移入できず。

    恵まれていることを、そうでない人と比較して罪悪感を得ること自体が、勝手に比較された方からしたら怖ろしく傲慢かつ失礼だと思うのだが、作中でも語られているように、辛い状況にある人々を思い胸を痛めて涙を流すこと、真剣に考えることは失礼だとは思わない。なんと優しく、あたたかく、聡明だろうとさえ思う。

  • 「この世界に、アイは、」

    アイのような気持ちで日々を過ごすってどんな感じなんだろう。

    自分の悩みがちっぽけに思えてくる。
    同時に世の中に関する知識のなさに愕然とする。

  • 「サラバ!」に続き、読んだら止まらなくなる一冊。

    自分の存在意義を世の問題と重ね合わせながら生きるってしんどいけど、マイノリティに生まれてしまうと考えがちなのかなって思う。

    それでも、そういう人たちが真の自分を確立して、自分を受け入れられた時、誰よりも輝ける人生を創れるのかなぁと思いました。

  • 初西さん。

    アイは1988年シリア生まれ。アメリカ人の父と日本人の母を持ち、彼らの養子だ。高校の数学の授業で耳にした「この世界にアイは存在しません。」という言葉と、親友・権田美菜との関係、「アイとは何か」を問いかける彼女の人生。
    アイは世界で起きた災害・事件などで死んでしまった人の数をノートに書き留めている。「なぜ自分ではなかったのか」「彼らと自分は何が違っていたのか」
    レズビアンだと告白したミナは外国へ渡り、パートナーと暮らしている。
    アイは初めて付き合った年上の男性と結婚。不妊治療を受け、妊娠したが流産。そのタイミングでミナの妊娠が発覚した。中絶しようとする彼女にアイは怒りをぶつける。

    「この世界にアイは、」
    問いかける。

    不妊治療・中絶の描写が・・・・痛い痛い痛い。
    実際どちらか(あるいは両方)受けている人にはつらいかもしれません。

    「僕はここにいてもいいんだ!」と叫ぶシ●ジの姿が浮かんでしまう。

  • 西加奈子には何度も打ちのめされてきた。何度も何度も心を打ちぬかれ、叩きのめされ、そしてしなやかで強い心を育てられてきた。だからもうちょっとやそっとじゃ打ちのめされない自信はあった。あるつもりだった。なのに、そんな自信はあっけなく崩れ去った。
    いままでも「この本で救われる人がいるだろう」と思うような小説はたくさんあったけど、この「i」は「いるだろう」や「いればいいのに」ではなく、まちがいなく「救われる人がいる」そう確信する。
    アイが自分自身の存在に、その養子になった境遇に、そして育った環境に、ずっと抱いていた違和感。自分が今、享受している幸せは、だれかほかの人から奪い取ったものなのではないかという思い、自分が本来受けるべき不幸から逃れてしまっているんじゃないか、という不安。
    幼いころからそんな中で生きて来たアイの、その絶望の中の幸福が胸に刺さる。敏感で繊細で、そしてあまりにもまっすぐなそのこころが壊れてしまわないか、心配で不安で仕方がなかった。
    そんな中での二つの出会い。ミナとユウ。2人がアイにもたらしたものは「自分の存在に対する絶対的な祝福を受け入れること」。自分が自分であること、今ここに生きていることの意味、そして
    それを幸せだと素直に感じる素晴らしさ。
    ラスト、海でアイは再び生まれた。新しい自分(I)が愛するすべてへの祝福とともに。
    この圧倒的な力で迫って来る壮大なラストに、私もまた新しく生まれ変わった気がする。
    「この世界にはIもアイも愛もある」

  • 似たような境遇があって、共感しすぎちゃった所があったかもしれないけど、救われた気もする。
    .
    生き方って、感情って、物事の捉え方って様々。自分を肯定することも必要なんだろなと。読んでよかった。

  • 色々な問題と向き合う本でした。

    生と死と。
    誕生と出会いと
    沢山の奇跡から成り立つ人生を
    大切に生きようと思えた本でした。

    子ども達に読ませたい本

  • 主人公の傲慢さを理解できない。なんとなくするする読み進められたけど、なかなか面白くならない。サラバ!の方が100倍面白い。

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著者プロフィール

西加奈子(にし かなこ)
1977年、イランのテヘラン生まれ。エジプトのカイロ、大阪府堺市で育つ。関西大学法学部卒業。雑誌「ぴあ」のライターを経て、2004年『あおい』でデビュー。
2007年『通天閣』で織田作之助賞大賞、2011年咲くやこの花賞、2013年『ふくわらい』で第1回河合隼雄物語賞、2015年『サラバ!』で第152回直木三十五賞を受賞。
その他代表作として、宮崎あおい・向井理出演で映画化された絵本『きいろいゾウ』、同じく映画化された『円卓』、20万部を超えるベストセラー『さくら』、本屋大賞ノミネート作『i』など。2020年初夏、『さくら』が映画化決定。プロレス好きとして知られる。お気に入りの本は『アントニオ猪木詩集』。

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