i(アイ)

著者 :
  • ポプラ社
3.64
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本棚登録 : 3272
レビュー : 369
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591153093

感想・レビュー・書評

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  • 今生きていると言うことを実感させてくれる本。
    家族、両親への感謝を絶やさないようにしようと誓った。

  • 2019/04/10
    子どもの頃、遠い世界のことを想像して、日本で生まれたことに心底ホッとした。
    想像するということを、大人になっていつしか忘れてしまった。

    命を与えられたということ。
    私は生かされているということ。
    そんなことを改めて思った。

  • なかなか感情移入はできませんでしたが、こんな考え方もあるんだと思う事が多くありました。

    アイの繊細さに儚さも感じていましたが、最後はとても力強く、アイの存在がはっきりしていたように思います_φ(・_・

    ★3.4 2019/4/1

  • This book is written by Kanako Nishi, one of popular Japanese writers. The cover of this book was also done by herself. The story describes how Ai, the main character, grew up through various experiences, such as friendship, marriage. Ai is originally from Syria and became an adopted child for Daniel, American father, and Ayako, Japanese mother. She lives in comfort with the nice parents, though sometimes feels uncomfortable because she wonders what her roots are. She also feels a sense of guilt - “why I was chosen as an adopted child? Maybe another child might have been chosen instead of me”. Sensitive Ai continues to struggle in her thoughts, though she has the best friend called Mina, her nice and bright classmate. Ai is happy when she is with Mina. When the March 11 earthquake hit the nation, something changed her. She decides to take action. At a demonstration to protest nuclear power, Ai meets a photographer named Yu. They hit it off and later get married. The story goes on and Ai finds something important in the end. I enjoyed reading this story.
    (じんじんさん)

  • 「この世界にアイは存在しません」
    みんな自分とはなんなのか、自問すると思う。死者の人数を記録する主人公、アイ。他者を通して初めて、自分という人間がわかってくる気がする。

  • 2019.03.シリアで生まれたアイは,幼い頃にアメリカに住むダニエルと綾子の元に養子として迎えられた.日本の中学校に進み,ミナと出逢い親友となる.アイは,自分が裕福な家庭で育っているなかで,世の中には,多くの人が不幸な経験をして,なぜ自分でないのだろうかと心を痛めていた.ミナは,自分がレズビアンであることに気付きロサンゼルスでミラという女性と暮らすようになる.アイは,デモ参加に熱中して,ユウと出逢い結婚する.アイは,自分と血の繋がりがある子供がどうして欲しくなって不妊外来に通い体外受精で妊娠するも流産してしまう.一方,ミナが一度だけ男性と関係を持ち妊娠しているとアイは,聞かされる.アイは,それを聞き苦しむが,ロサンゼルスに行き,ミナと会いわだかまりが溶ける.なんだか,今一つでした.

  • アメリカ人のダニエルと日本人の綾子に引き取られた、シリア生まれのアイ。裕福な家庭にいることに引け目を持ち、常にグッドガールでいることを意識する彼女だったが、高校最初の数学の授業の中で「この世界にアイは存在しません」という言葉を聞き衝撃を受ける。アイはアイデンティティーを思うとき、常にこの言葉を思い出し苦しんでいた。

  • 自分は、あらゆる死から免れて生かされている。
    自分が、その死から免れたから、他の人達が死んでいく。
    自分がこの世に存在しているのは、あらゆる他人の死の上にある。
    ある面では、それが正しいのかもしれない。
    でも、正しくないのかもしれない。
    答えは、あるのだろうか。
    自分がここに存在している。
    あるいは、それが答えなのかもしれない。

  • ずるいことをして自分だけ幸せに生きている。
    そう思う人は少なくはないのかもしれない。
    けど、苦しいけどそれを見ながら自分のいる場所を確認しつつ懸命に生き続けていくことが、大切なのではないかと思う。
    しかし、幼少期から余りにフラットな教育すぎて物語の中に入ると彼女はもっと守られるべき存在で、一番近い他者からもiで居ていい事を告げられる機会があれば良かったのにと思う。

  • 「ワイルド曽田アイ」すごい名前だけれどけして女子プロレスラーのリングネームではなく、アメリカ人の父と日本人の母の養子として育ったシリア生まれの主人公の本名。裕福な家で理解ある立派な両親に愛されて育ったアイはしかし常に自分の幸運に劣等感を抱いており、血の繋がりによるファミリーツリーを持たない自分の存在に不安を感じている。

    アイの中で何度も象徴的に繰り返される、高校入学時にたまたま数学教師の言った「この世界にアイは存在しません」という言葉。この数学教師の言うアイは虚数「i」のことで、imaginary number の意味らしい。数学はちんぷんかんぷんな私だけれど、イマジナリーフレンド(imaginary friend)が実在しない空想の友達という意味であることと照らし合わせるとわりとすんなり理解できた。

    シリアという国については、いろいろなんか揉めてて大変そうだなあという印象はあるけれど、具体的な成り立ちについてはあまり知らず、アイの肌が白いというのも最初は意外なくらいだった。そういえば今ちょうど『千夜一夜』を読んでいるけれど、白人、黒人、褐色、さまざまな肌の色の人物が入り混じっていたっけ。アラブ系=褐色の肌というわけではないのだな。

    繊細で誰より臆病なアイは、高校で親友となるミナと出逢うも、大学では世界中の不幸な人々への罪悪感を覚えつつ過食して太るという矛盾に苦しみ、やがて東日本大震災を経て、原発反対運動参加で知り合った佐伯裕=ユウという40代カメラマンと結婚する。ユウとアイってわけですね。自分と血のつながった子供を切望するアイは妊活を始めるが・・・。

    養子という環境ゆえ、常に「ここにいてもいいですか」的不安を抱えるアイが同時に、世界中の恵まれない人々・悲劇の渦中にいる人々に感じる「自分だけが安全な場所にいる」ことへの申し訳なさ、引け目、罪悪感などは、理解できなくはない。海外ではセレブほど慈善活動に熱心なイメージだし、アイの両親も、つまりそういう人たちだ。ちょっとケンのある言い方になるかもしれないけれど「意識高い系」というやつ。

    最終的にアイが自分を肯定できるのは良かったし、彼女が裕福なのは彼女のせいでなく、それを申し訳なく思うのはアイが繊細なゆえの苦悩だったのだろうけど、正直庶民からみたら「贅沢な悩み」みたいな部分もある。もちろん庶民の私でも国内で大きな災害があれば多少の募金とかできることはするけれど、どんなに些細でも自分自身の悩みのほうが結局大きい。学校でいじめられているとか、職場をリストラされたとか、親の介護の心配だとか、子供がグレたとか、ストレートに貧乏だとか、みんな目の前の自分の問題の解決のほうが正直先決なわけで、どこか遠い国で飢えている子供たちのことをそれより優先することはできない。

    全く関係ない話だけれど、初期の頃のイエローモンキーが好きだったのですが、人気が出てからどうしても「JAM」という曲が好きになれずファンをやめたことがありました。「外国で飛行機が堕ちました/ニュースキャスターは嬉しそうに/乗客に日本人はいませんでした/いませんでした/いませんでした/僕は何を思えばいいんだろう/僕は何を言えばいいんだろう」この部分を褒める人が多かったように覚えてるけど私はこの部分が受け入れがたかった。もちろん、日本人以外の乗客には無事ではなかった人が大勢いたかもしれないわけで、その人々に想いを馳せる「想像力」は大切だと思う。けれど、たとえば肉親がその飛行機に乗っていて安否を案じている人に「乗客に日本人はいませんでした」というニュースを喜ぶなということもできないんじゃないか。いいこと言ってる風で片手落ちだし、そういうグローバルな視点をもてる自分に酔ってる、上から目線に思えて。

    本作にはちょっと、そのとき感じた苦味みたいなものが自分の中に残ってしまった。自分のことと、政治や世界のこと、どのくらいのバランスで悩むのがいいんだろうねえ。もちろんまわりまわって自分にも影響が出ることだから世界のことも考えなくちゃいけないのだろうけど、とりあえず私は自分の視力低下と四十肩のほうが深刻なんだわ・・・とか、そう思っちゃう自分にもっと引け目を感じたほうがいいものか、考えさせられてしまいました。

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著者プロフィール

西加奈子(にし かなこ)
1977年、イランのテヘラン生まれ。エジプトのカイロ、大阪府堺市で育つ。関西大学法学部卒業。雑誌「ぴあ」のライターを経て、2004年『あおい』でデビュー。
2007年『通天閣』で織田作之助賞大賞、2011年咲くやこの花賞、2013年『ふくわらい』で第1回河合隼雄物語賞、2015年『サラバ!』で第152回直木三十五賞を受賞。
その他代表作として、宮崎あおい・向井理出演で映画化された絵本『きいろいゾウ』、同じく映画化された『円卓』、20万部を超えるベストセラー『さくら』、本屋大賞ノミネート作『i』など。2020年初夏、『さくら』が映画化決定。プロレス好きとして知られる。お気に入りの本は『アントニオ猪木詩集』。

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