i(アイ)

著者 :
  • ポプラ社
3.64
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本棚登録 : 3268
レビュー : 369
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591153093

感想・レビュー・書評

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  • 血のつながりってすごいんやなぁ!
    でもそれ以外のつながりも絶対にある

  • 「この世界にアイは存在しません。」
    考えすぎるアイに少しだけ感情移入したけど、私はここまで真面目ではないな。虚数のi、アイ、愛。読了感が好き。世界中の人に自分だけの"ミナ"がいれば幸せだと思う。人間はどこまでも利己的であり、それでいいのだと、著者からのメッセージをもらったような気がする。

  • 境遇とか持って生まれた性格とかいろいろあるのはわかるけど、さすがに甘ったれすぎじゃないか?アイちゃん。
    もちろん生い立ちやミナとの間の出来事は筆舌に尽くしがたい想いがあることはわかるし、アイちゃんがいかに物事について深く考え抜いているかそれもよくわかる。
    そして、最後、すごく健やかな結論にたどり着いたこともわかる。
    でもさ、一度も自分の足でたってないよね。
    恵まれている自分へのうしろめたさはわかるし、すごくチャレンジングな環境なのはわかるけど、そればっかり言い訳にして、結局なにひとつ自分の力で成し遂げていないようにしか思えないな。
    最後、いい感じで終わってるけど、カリフォルニアまでの航空券は一体誰のお財布から払ったのかしら。
    家族だしお互いがよければそれでいいと思うけど、そこへの感謝もまったくなく、アイは存在していいって言われても、白けちゃうよね。
    ちょっと友達にはなれないタイプだなあ、ネガティブすぎるし、最後のほう、ちょっと悲劇のヒロインに酔ってるだけと思えてきてしまった。
    養子とか難民にいろいろあるんだなってことは理解できてよかったけど、アイちゃんのネガティブパワーがすごすぎてちょっと受け入れられなかった。
    でも、ひとりの女性の生い立ちを入り口に世界のことを深く語れる西加奈子さんはさすが!

  • 自分の居場所を作るために色んな自分を演じる。
    そして自分自身が曖昧になる。
    だから自分がなりたい自分になる。

    作中で主人公のアイに親友のミナが綴ったメール。
    この言葉が印象的。

    この時自分だったらどんな言葉をかけるだろう。と思う場面がたくさんあり、読みながら自問自答する作品だった。
    ドラマチックで一気読みする作品が好きだけど、たまにはこういう作品もいい。

  • なかなか感情移入はできませんでしたが、こんな考え方もあるんだと思う事が多くありました。

    アイの繊細さに儚さも感じていましたが、最後はとても力強く、アイの存在がはっきりしていたように思います_φ(・_・

    ★3.4 2019/4/1

  • 「この世界にアイは存在しません」
    みんな自分とはなんなのか、自問すると思う。死者の人数を記録する主人公、アイ。他者を通して初めて、自分という人間がわかってくる気がする。

  • アメリカ人のダニエルと日本人の綾子に引き取られた、シリア生まれのアイ。裕福な家庭にいることに引け目を持ち、常にグッドガールでいることを意識する彼女だったが、高校最初の数学の授業の中で「この世界にアイは存在しません」という言葉を聞き衝撃を受ける。アイはアイデンティティーを思うとき、常にこの言葉を思い出し苦しんでいた。

  • 「ワイルド曽田アイ」すごい名前だけれどけして女子プロレスラーのリングネームではなく、アメリカ人の父と日本人の母の養子として育ったシリア生まれの主人公の本名。裕福な家で理解ある立派な両親に愛されて育ったアイはしかし常に自分の幸運に劣等感を抱いており、血の繋がりによるファミリーツリーを持たない自分の存在に不安を感じている。

    アイの中で何度も象徴的に繰り返される、高校入学時にたまたま数学教師の言った「この世界にアイは存在しません」という言葉。この数学教師の言うアイは虚数「i」のことで、imaginary number の意味らしい。数学はちんぷんかんぷんな私だけれど、イマジナリーフレンド(imaginary friend)が実在しない空想の友達という意味であることと照らし合わせるとわりとすんなり理解できた。

    シリアという国については、いろいろなんか揉めてて大変そうだなあという印象はあるけれど、具体的な成り立ちについてはあまり知らず、アイの肌が白いというのも最初は意外なくらいだった。そういえば今ちょうど『千夜一夜』を読んでいるけれど、白人、黒人、褐色、さまざまな肌の色の人物が入り混じっていたっけ。アラブ系=褐色の肌というわけではないのだな。

    繊細で誰より臆病なアイは、高校で親友となるミナと出逢うも、大学では世界中の不幸な人々への罪悪感を覚えつつ過食して太るという矛盾に苦しみ、やがて東日本大震災を経て、原発反対運動参加で知り合った佐伯裕=ユウという40代カメラマンと結婚する。ユウとアイってわけですね。自分と血のつながった子供を切望するアイは妊活を始めるが・・・。

    養子という環境ゆえ、常に「ここにいてもいいですか」的不安を抱えるアイが同時に、世界中の恵まれない人々・悲劇の渦中にいる人々に感じる「自分だけが安全な場所にいる」ことへの申し訳なさ、引け目、罪悪感などは、理解できなくはない。海外ではセレブほど慈善活動に熱心なイメージだし、アイの両親も、つまりそういう人たちだ。ちょっとケンのある言い方になるかもしれないけれど「意識高い系」というやつ。

    最終的にアイが自分を肯定できるのは良かったし、彼女が裕福なのは彼女のせいでなく、それを申し訳なく思うのはアイが繊細なゆえの苦悩だったのだろうけど、正直庶民からみたら「贅沢な悩み」みたいな部分もある。もちろん庶民の私でも国内で大きな災害があれば多少の募金とかできることはするけれど、どんなに些細でも自分自身の悩みのほうが結局大きい。学校でいじめられているとか、職場をリストラされたとか、親の介護の心配だとか、子供がグレたとか、ストレートに貧乏だとか、みんな目の前の自分の問題の解決のほうが正直先決なわけで、どこか遠い国で飢えている子供たちのことをそれより優先することはできない。

    全く関係ない話だけれど、初期の頃のイエローモンキーが好きだったのですが、人気が出てからどうしても「JAM」という曲が好きになれずファンをやめたことがありました。「外国で飛行機が堕ちました/ニュースキャスターは嬉しそうに/乗客に日本人はいませんでした/いませんでした/いませんでした/僕は何を思えばいいんだろう/僕は何を言えばいいんだろう」この部分を褒める人が多かったように覚えてるけど私はこの部分が受け入れがたかった。もちろん、日本人以外の乗客には無事ではなかった人が大勢いたかもしれないわけで、その人々に想いを馳せる「想像力」は大切だと思う。けれど、たとえば肉親がその飛行機に乗っていて安否を案じている人に「乗客に日本人はいませんでした」というニュースを喜ぶなということもできないんじゃないか。いいこと言ってる風で片手落ちだし、そういうグローバルな視点をもてる自分に酔ってる、上から目線に思えて。

    本作にはちょっと、そのとき感じた苦味みたいなものが自分の中に残ってしまった。自分のことと、政治や世界のこと、どのくらいのバランスで悩むのがいいんだろうねえ。もちろんまわりまわって自分にも影響が出ることだから世界のことも考えなくちゃいけないのだろうけど、とりあえず私は自分の視力低下と四十肩のほうが深刻なんだわ・・・とか、そう思っちゃう自分にもっと引け目を感じたほうがいいものか、考えさせられてしまいました。

  • 起承転結の転結の部分が最後の5%の部分で起こる。
    主人公アイのリアルな設定と人物描写に読んでて、始終苦しかった。
    苦しいところが多い割に救われる部分が多くない物語だったけど、設定がすごいし話の展開も想像を超えてて、西加奈子はその点が本当に飽きないなって思うし、小説書くための人間の深みをすでに持っている人だなと感じた。

  • 西加奈子さんは、すごい。途中からそれしか思わなくなった。

    読み手によっては、さまざまな感想を持つだろう。
    きっと批判も多く寄せられるだろうし、感情移入ができないという声も多いだろう。
    だからこそ、この本を書こうと思ったその決意、覚悟がすごい。
    普通だったら、怖くて書けない。でも彼女は、書いた。

    西加奈子さんは、すごい。
    おこがましくも、自分と似た感性を持ち、似たことに関心を持っていると感じる。
    でも私には、こんなことを書く勇気などない(そもそも才能がない)

    芸能人に憧れを抱いたことなどない私は、しかし、生まれて初めて誰かになりたいと思った。それが西加奈子だった。

著者プロフィール

西加奈子(にし かなこ)
1977年、イランのテヘラン生まれ。エジプトのカイロ、大阪府堺市で育つ。関西大学法学部卒業。雑誌「ぴあ」のライターを経て、2004年『あおい』でデビュー。
2007年『通天閣』で織田作之助賞大賞、2011年咲くやこの花賞、2013年『ふくわらい』で第1回河合隼雄物語賞、2015年『サラバ!』で第152回直木三十五賞を受賞。
その他代表作として、宮崎あおい・向井理出演で映画化された絵本『きいろいゾウ』、同じく映画化された『円卓』、20万部を超えるベストセラー『さくら』、本屋大賞ノミネート作『i』など。2020年初夏、『さくら』が映画化決定。プロレス好きとして知られる。お気に入りの本は『アントニオ猪木詩集』。

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