i(アイ)

著者 :
  • ポプラ社
3.64
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本棚登録 : 3272
レビュー : 369
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591153093

感想・レビュー・書評

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  • i。
    ほんっとにおもしろかった。アイのまっすぐさが切ない。死人の数をノートに書く。周りの人がみんな素敵。とくにアイのお母さん、綾子さんが素敵だと思った。

  • 色々な問題と向き合う本でした。

    生と死と。
    誕生と出会いと
    沢山の奇跡から成り立つ人生を
    大切に生きようと思えた本でした。

    子ども達に読ませたい本

  • ひとりの少女が自分のアイデンティティと向き合い、傷つき、それでも生きる力強さ。私の心に直撃しました。

  • 世界中で戦乱に巻き込まれる匿名の人たち、私がその人の立場にいなかったとどうして考えられるだろうか。出自から「恵まれている」ことに苦しめられ、「選ばれた」ことに苛まれた少女の話。リフレインされる言葉の意味、読む人によって異なるだろうな。限りない奇跡の上に生きていることに気づけて、自分で生きていることを許してあげられるのは、愛する人からの愛なんだろうけど、それよりもまず自分自身への愛が大切。大きな自然の中で小さな自分が生きている、そのことに気づけて良かった。世界で起こっている痛ましい事件は、あなたのせいではない。苦しみすぎないでほしい…

  • 読むのは2回目。
    テーマは“生きている”
    友情って美しい。
    一貫してもやがかかったような幻想的な小説。
    きれいな心をもった登場人物のきれいな言葉に、心が洗われる。
    ミナの手紙がぐっとくる。
    「私がアイに対して謝ることは何もない。」

  • すごかった。この人の書く話はどうしてこんなに引き込まれるんだろう。一緒に苦しくなって嬉しくなって泣いた。
    自分が世界に存在する意味。ミナの言葉に、ユウの言葉に、そしてアイの言葉に心を揺さぶられた。
    大事な言葉がいっぱい詰まってた。力をもらえる小説。

  • この主人公が美しいのは不幸な出来事に触れた時に、死者や弱者の立場に積極的に立ったりせずに、想像した悲しみを自分の存在の問題として置き換えられるところだ。すぐに弱者側に憑依して発言をするような現代に対して、想像力の本質を問うている。

  • 「自分」って何なんだろう?わかっているようでわからない。
    ユウがいるからアイがある。わかる。
    でもその前にアイは存在してる。

    自分の存在を素直に肯定できない気持ちは、わかる。それなのに、自分は確かに存在してしまっていることはもどかしい。
    どんな自分でも自分。今ある自分は、どんなことが過去にあったとしても自分。

    誰かに受け入れられることで見つかる自分、わかる自分。
    自分自身で受け入れる自分。
    どちらも何か転機のような瞬間があって、ふっと心が軽くなることってある。
    どちらも必要。

  • 読み終えた直後だからか、うまく言葉を紡げない
    気持ちだけが昂っている、そんな感覚だ

    サラバ!を思い出した人も多いのではないだろうか
    ある一人の人間の「生」を描いた物語
    西さんの、人間の成長、特にこころの成長の描き方はほんとうに素晴らしい
    的確に捉え、掴み、ぐんぐん引き込まれていく

    大量に付けられた付箋が、この物語がどれほどわたしの胸を打ったのかを、教えてくれる

    この人にはわかってもらえない、と、歳を重ねるごとに思うことが増えた
    生きていく中で、変わらないと思っていた人が変わってしまったり、もしくは自分自身の変化に戸惑ったり、見ないようにしてしまったり、逆に変化を受け入れたからこそ変わってしまった自分を誰かに卑下されるのが怖くなったり
    変化は怖い、でも。

    みんな意外と普通の家で育ったんだな、と思った時に感じる軽い失望、この人はとても苦労して生きてきたんだな、と思った時に感じる、いつくしみ
    それらはとても醜い感情
    みんなそれぞれ、苦しい思いをして、生きている、のに。
    早くに友人を亡くした時に思った「どうしてわたしじゃなかったんだろう」
    離婚を選択した母に思う「わたしは産まれてこない方がよかったんじゃないだろうか」
    育ててくれたばあちゃんに思う「感謝すべき」
    人から見たら恵まれた環境にいる自分
    では、この満たされない想いはなんなのだ
    正論で包まれたわたしの日常は、負の感情を押し込めた
    西加奈子は、いつもそんなわたしの心を、解き放ってくれる

    「こんなことを思ってはいけない」そんな風に思うわたしを「そう思ってもいいんだよ」と、そっと、だけど強く、訴えかけてくれる
    アイの想いと、ミナの言葉が、わたしのこころを抉るように、ぐわんぐわん、ごうんごうんと、唸りながら、わたしの中に、入ってくる

  • 主人公のアイのように考え込んでしまったことがあったので、引き込まれて一気に読み切ってしまいました。

    世界にはたくさんの、取り返しのつかない悲劇が起きている。それは遠いどこかであったり、時には数キロも離れていないところで。
    なのに自分は生きている。なんの苦しみを感じることなく。彼らの苦しみや悲しみのほんの一欠片を担うこともなく。
    何かすべきではないか。しかし何もできない。それどころか目の前の楽しみに手を伸ばしてしまう。
    そのことに罪悪感を感じてしまう。

    東日本大震災の折には、「不謹慎」という言葉で電気を使いすぎるのも、宴会をすることすら憚れる時期がありましたね。あるいは今だって、西日本では苦しい思いをしている人がいるのに、自分たちは……と思ってしまう。

    それはどこかで、自分に対する価値や存在の意味に否定的な部分があるからかもしれません。なにもできない自分はこうして生きている…という感覚。

    だからアイのように、両親からの愛情ではなく、恋人からの肯定や、子どもを産むことによって得られる自分が今まで生きてきたことに対する肯定感を、人は渇望してしまうのでしょう。結局、人は一人で生きていけないようにできている。

    自身がここに居ていい、自尊心などとはすこし違う根源的な自己肯定感というのは、案外難しい(のは自分が日本人だからでしょうか?)。むしろ聡明であればあるほど、様々なことに気が付いてしまうからそういう人はなおさら。

著者プロフィール

西加奈子(にし かなこ)
1977年、イランのテヘラン生まれ。エジプトのカイロ、大阪府堺市で育つ。関西大学法学部卒業。雑誌「ぴあ」のライターを経て、2004年『あおい』でデビュー。
2007年『通天閣』で織田作之助賞大賞、2011年咲くやこの花賞、2013年『ふくわらい』で第1回河合隼雄物語賞、2015年『サラバ!』で第152回直木三十五賞を受賞。
その他代表作として、宮崎あおい・向井理出演で映画化された絵本『きいろいゾウ』、同じく映画化された『円卓』、20万部を超えるベストセラー『さくら』、本屋大賞ノミネート作『i』など。2020年初夏、『さくら』が映画化決定。プロレス好きとして知られる。お気に入りの本は『アントニオ猪木詩集』。

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