僕は上手にしゃべれない (teens’ best selections 43)

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 62
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591153239

感想・レビュー・書評

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  • 以前、色々な本を時間を区切って試し読みする、ということを国語の授業でやったのだが、この本は小説部門で生徒の票数が1番多かったのだ。

    いつも誰かが借りているので、なかなか読む機会を得られなかったのだが、コロナでまだ図書館の昼開館がなくなったのを機に借りて読んだ。

    主人公の柏崎悠太は小さい頃から吃音の悩みを抱えている。
    新学期の自己紹介では、「お腹が痛くなった」と言って逃げ出したことが何度もあるし、毎日、今日は授業で当たらないように、と祈っている。

    中学進学を機に、そんな自分を変えたいと、チラシの文言を読んで放送部に入部し、今まで経験したことなかった友だちや先輩との関係を築きはじめる。
    しかし、どんなに頑張っても言葉はつっかえてしまう。
    自分の辛く苦しい思いは、普通に喋れる人に理解できるはずがない、と全てを投げだそうとする悠太だったが、姉や部活の仲間の心に触れ、もう一度頑張る気持ちを取り戻す…。

    著者の椎野さん自身の体験をもとに書かれた小説。
    当事者だからこその、心情の吐露が痛いほどに伝わる。

    中学生がこの本を選ぶ、ということがとても新鮮だった。
    ダイバーシティやジェンダーという言葉の意味を知らなくても、このような本に共感する素直な中学生の姿に心を動かされた。2022.2.13

  • この本の読書感想文が、書かれていたのを見て読んでみた。
    主人公の男の子の会話がそのまま文章になっていて、それが悩める子どもの叫びに聞こえる。
    中学生時代に、感想を書きたくなるような本に出会えるのって貴重な体験だと思う。

  • 友だちにおすすめされました。自分は放送委員会だったので親近感が...とても感動できます。

  • 中学校入学後の自己紹介も仮病で逃げるほど吃音で悩む悠太は、その帰りに部活紹介のチラシを受け取る。その中の放送部のチラシが気になり、翌日見学に行くが、きちんと喋れないことが恥ずかしく、逃げ出してしまう。そんな悠太に部長の立花孝四郎と隣席の美人女子古部は、温かく接し、彼は吃音を克服する努力を始める。

    吃音に悩む思春期男子の葛藤を、自ら吃音を持つ著者が温かく描く。

    英語教師が授業中生徒を当てない(特に中学校1年でありえないでしょ)とか、演劇コンクールで主役を務めた姉が、その芝居の脚本に意義があるからと言って本番でそれを無視した演技をするとか、それが元で演劇部でいじめられたけれども教師からも1年間無視されながらも部活にただ通い続けたとか、美人クラスメートが吃音の彼を友達にしたいがために他の友だちを排除しようと思っていたとか、現実的に考えにくい点は多々見受けられる。
    また、周囲の人物が優しすぎることと、その外側の生徒たちが意地悪過ぎることが、不自然に感じられる。

    それでも、悩みを持った人の心理描写には納得させられる。

    読み物として、というよりも、悩みを持つ少年の気持ちを理解するためにおススメしたい。

    中学生向きとなっているが、内容は平易。高学年からイケます。

  • 主人公は吃音というハンデを持つ中学生の男の子、柏崎悠太。
    悠太が初めて自分は他の人とは違う、と感じたのは小学校一年生の時、学芸祭の演目でたった一言のセリフが言えなくて、その出来事はずっと彼にとって辛い思い出として残ってしまっている。
    中学入学を機に、頑張ろうと自分を奮いたたせる悠太は、自己紹介で言うことを何度も何度も心の中で反芻し臨もうとした。…が、やはり言えず仮病を使って逃げてしまう。
    やっぱりダメだった…そう落ち込む悠太に、己と向き合うための新たな一歩を踏み出す転機が訪れる。
    そう、これは吃音を抱える悠太の成長物語である。

    悠太は一言で言うと、とても優しい良い子だ。
    けれど、吃音を抱える彼にとって、学校は常に戦場である。言葉を発すれば奇異の目を向けられ、嘲笑われ、ファーストフード店での注文すらままならない。
    自分のできることなんて限られている。自分は常に周りに迷惑をかける存在だから何もしない…できない。やりたいことはたくさんあったけど、自分の吃音のことを考えていろいろなことを我慢してきた。
    唯一の趣味は読書。だけど、これも周りに迷惑をかけることなくできるから寄りどころとしているのであって、本当はいろいろなことがしたい。
    吃音に無理解な周りの反応にも、傷つきながら我慢をしてきた。大きなハンデを抱えながら、障害者でもない。しかも確固たる治療法もない。将来にだって、不安しかない。
    何も悪いことはしていないのに、なんで自分だけ…そんなふうに苦悩を抱え込み、心を閉ざしてしまうこともある。
    しかしふと周りを見渡してみれば…

    吃音ゆえの苦労も苦悩も、とてもわかりやすく表現されていて、グッと胸に迫ってくる。
    とても読みやすく面白い物語でありながら、吃音について、吃音を抱えるということについて、考えさせてくれる素晴らしい作品だ。一気読みしてしまった。
    なぜこんなにも心を打つ物語が、リアルな吃音を抱える人の気持ちが書けるのか…と作者あとがきを読んでみたら、作者自身が吃音を抱えて悠太のような苦しみを経験してきていたのだ。
    作者あとがきの言葉にも、とても心がこもっていた。あたたかかった。
    吃音について多くの人に知ってもらいたい。
    そんな作者の思いに、思わず頷いた。
    とても心に響きました。読めてよかったです。
    300ページほどあるが、漢字にもルビがたくさんふってあり、するっと読めるのでおすすめです。

  • 小学生の息子に買った本。
    私も一気読み。
    人見知りで人と話すのが苦手な息子へと思って購入したが、そういうことではなく吃音の主人公のお話だった。
    吃音について知らないことをたくさん学んだ。
    感動して泣きました。

  • 吃音症という言葉を始めて知りました。
    「自分もみんなと同じように普通に喋って、普通の生活がしたい、でも普通に喋れない」バカにしてきたり、笑われることもあったけど友達、先輩、先生、家族たくさんの人が支えてくれ、助けてくれた。そこから苦しいのは自分だけじゃないと知った。とても感動的で、勇気が出る作品でした。

  • 吃音で上手く喋れない中学生のお話です。話すたびにからかわれたり、笑われたりされて、話すことから逃げてしまう悠太。みんな優しくしてくれるが、吃音でない人には、この苦しみは分からないと言ってしまう悠太。確かに分からないかもしれないが、自分自身のことをよく理解してくれていた家族。そこからだんだんみんな苦しみを味わっていたんだと知る悠太。とにかく感動。
    私は吃音のことをよく知らなかったが苦しみは想像できた。でも、この想像以上に苦しんでいるんだろうなと思った。一人でも多くの人がハンデを背負っている人のことを知る努力や、苦しみを想像することをしてほしいと思った。そして、ハンデを背負っている人が努力をして辛い思いばかりする世界でなくなるといいなと思った。勇気が出るお話。

  • 小学生が読書感想文で読んで、内容が気になったからそのまま読むことに。
    中学生の男子が主人公で吃音。吃音の辛さがよく伝わってきて、こちらも少し苦しくなってくる。

    話の進みもシンプルで、小学高学年から中学生くらいの方が読書感想文に読むにはピッタリかと。

  • 吃音の中学生の話
    感受性の豊かな年頃に苦しい気持ちをたくさん抱える主人公にせつなくなる
    最後は号泣しながら読み進んだ
    感動でした

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