かがみの孤城

著者 :
  • ポプラ社
4.36
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本棚登録 : 8592
レビュー : 1098
  • Amazon.co.jp ・本 (554ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591153321

作品紹介・あらすじ

2018年本屋大賞受賞作!そして2019年6月19日発売の『ウルトラジャンプ』7月号から、武富智さん作画でコミック連載スタート!

不登校の少女が鏡の向こうの世界で出会ったのは――生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。

あなたを、助けたい。

学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。

感想・レビュー・書評

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  • すごく、すごく良かった。
    今まで読んだ辻村深月さんの作品の中で、一番好きです。

    こころ、アキ、フウカ、リオン、ウレシノ、マサムネ、スバル、
    そしてオオカミさま…
    みんな、みんな愛おしくてたまらない。

    この物語の主人公たちは中学生。
    教室という小さな箱の中…
    ひとりひとりはそうでもない。
    ところが、グループになると言葉が通じない。
    でも、たとえ大人になっても、いつの時代に生きていたとしてもそれは同じ。
    どこに行っても、いいことばかりが待っているわけではない。

    だけど今、自分が置かれているその場所だけが居場所ではなく、
    それも長い人生の中の、たった一年なんだということ…
    過ぎてしまえばわかることも、この時にはまだわからない。

    闘わなくてもいいんだよ。それは逃げではないんだから。
    そしてそれが容易くないことも、彼らはすでにわかっている。
    ”たかが学校”
    そう思うことで、それを心のよりどころにして頑張っていけるのかもしれない。

    もう十分頑張っている人に、軽々しく頑張ってと言ってはいけないらしい。
    でもね、やっぱり言いたい。
    自分をわかってくれるひとは、必ずどこかにいる。
    言葉の通じるひとはいる。
    だから頑張れ!
    記憶は消えても、それぞれの場所で、みんな頑張っているよ。
    きっとまた会えるよ!


    最後に明らかになる、かがみの部屋の謎…
    エラそうなオオカミさまが、どこかさみしそうで、ずっと気になっていた。
    ひとりぼっちになってしまうのかな?
    オオカミさまの正体が、そうだったらいいなと思っていた。
    願い、かなったね…良かった。本当に。

    読み終えた今、
    鏡の向こうから、ひょっこり顔を出している表紙のオオカミさまが、
    私にはにっこり笑っているように見える。

    • ありんこゆういちさん
      初めまして、うさこさんのレビューでこの本読みたいと思いました。読んでみたら大きな感動を得ることが出来ました。まだ子供だった頃どうしても人と馴...
      初めまして、うさこさんのレビューでこの本読みたいと思いました。読んでみたら大きな感動を得ることが出来ました。まだ子供だった頃どうしても人と馴染めなかった自分を抱きしめてやりたいような気持になりました。ありがとうございました。
      2018/04/15
    • ひとしさん
      こんばんは!杜のうさこさん!
      本当にいつも感心してしまうレビュー。そして好みがかなり近くて、これからも近くにいたいと思うのでフォローさせて...
      こんばんは!杜のうさこさん!
      本当にいつも感心してしまうレビュー。そして好みがかなり近くて、これからも近くにいたいと思うのでフォローさせてください!
      2018/06/06
    • 杜のうさこさん
      ひとしさん、こんばんは~♪

      フォロー、ありがとうございました!
      私の感情の抑えがきかないレビュー(笑)に、温かいお言葉をありがとうご...
      ひとしさん、こんばんは~♪

      フォロー、ありがとうございました!
      私の感情の抑えがきかないレビュー(笑)に、温かいお言葉をありがとうございます!
      木に登ってしまいます(#^^#)

      私も先日、初めましての時に本棚を拝見した時に、好みが似ていて嬉しくなりました♪

      これからもよろしくお願いいたします!
      2018/06/08
  • ある事が原因で学校に行けなくなったこころ。それは行かないのではなく、行けないのだ。母親とは気まずくなり、人目が気になり外にも出られなくなる。こころの居場所はどんどんなくなっていった。
    そんなある日部屋の鏡が光り、こころは中に吸い込まれていく。鏡の中には城があり、オオカミさまがこころを迎えてくれた。そこには、こころの他に6人の中学生がいた。共通点はみんな学校に行けていない事とそれと…。

    それぞれ色々な事情があって辛い思いをしている子供たちがいる。「あなたを、助けたい」帯の言葉が胸に響く。

    どうして鏡のお城ができたのかがわかった時涙が出た。全てが綺麗に繋がり読み終わった時には色んな想いが込み上げてきて胸がいっぱいに。
    あの子たちはこれからを空想する。もちろん幸せな未来を空想をする。

    悩んでいる人たちにも読んでもらいたい。我が子にはたくさんの選択肢があるということを伝えてほしい。自分が今どうしたいのか、それを聞いてあげる事が何より大事。選ぶ事は逃げではない。

    こころのウジウジが私に似ていてわかる、わかる〜と何度も思った。親の立場としてはお母さんの気持ちもよくわかって苦しい時もあった。

  • 中学生のこころは、ある出来事を機に学校に行けなくなり、
    いつも家で過ごしている。
    ある日一人で家にいると、部屋の鏡が突然輝き始め、
    潜りぬけてみると、そこはお城の中だった。
    集められたのはこころを含め、似た境遇にいるらしき中学生が七人。
    ジャージ姿のイケメンのリオン。
    ポニーテールのしっかり者のアキ。
    眼鏡をかけた声優声のフウカ。
    ゲーム大好きで、生意気そうなマサムネ。
    ロンみたいなそばかすの、物静かなスバル。
    小太りで気弱そうなウレシノ。
    9時から17時まで滞在が許されるその城で彼らにはひとつの課題が出される。
    猶予は一年。
    戸惑いながらも七人は、少しずつ心を通い合わせていくのだか…。

    最初、中学生になったばかりのこころが学校に行けなくなる…。
    部屋の鏡が光って異世界への出入りが自由になる…ファンタジーかぁ…。
    ちょっびり、切なくなりながらもがっかりしたヾ(;´Д`●)ノぁゎゎ
    虐められた事も不登校になった事もない私ですが、でも揺れ動くこころの
    硝子の様な心がとても繊細に描かれていて凄く共感した。
    そして周りの大人の気持ちも凄く理解できたし、どうなって行くんだろうって
    グイグイ引き込まれていった。
    舞台設定が学校だけど、ファンタジー要素があるからといって子供向けじゃない。
    帯の一気読み必至!通りに本当に一気読みしてしまいました。
    読んだ本の内容をすぐ忘れてしまう私が決して忘れてしまわない。
    辻村さんの事、大・大好きになった「冷たい校舎の時は止まる」を何度も思い出した。
    あの頃の繊細で、揺れ動く気持ち・葛藤・悩み・些細な事で傷ついたり消え去りたくなったり…。
    色んな感情を思い出したし、今も硝子のハートだなぁって痛感させられた(*T^T)
    辻村さん自身が繊細な心を持っていて、
    今も忘れていないんだなぁって感じさせられた。
    少しずつ少しずつ明らかになっていく皆の姿。
    皆、辛かったんだなぁって切なかったし、最後にすべてが明らかになった時、
    本当に驚いた(゚Д゚;) 涙が零れました。

    本当に素晴らしい作品でした。
    今、現在も学校に行けない…社会で居場所を見つけられなくて苦しんでいる多くの人に、
    いや、苦しんでいない人子供にも大人にも読んで頂きたいです。
    「たかが学校」・「たかが職場」ですね(*´ー`*)♡

  • カバーのイラストが苦手で、思い切って剥がしてみたらシックな深い赤色の表紙が現れたので、そのまま一気に読了。なかなか楽しい読書時間だった。
    主人公は中学一年の「安西こころ」という少女。
    ある出来事から学校に行けなくなり家で過ごすことに。
    物語は、この少女の眼を通して語られる。

    鏡を潜り抜けたところにある「孤城」。
    自分がそこに招かれた理由は何か。
    似た境遇にいるらしき中学生7人の関連性は?
    そしてみんなを招き入れた「オオカミ様」とは誰なのか?その目的は?
    全員にくだされた課題の意味は?それは誰がどのように果たすのか?
    ファンタジーとミステリーの要素も含めつつ、話は展開していく。
    読み手の想像の域を抜け出ない部分はかなりあるが、それでも終盤の展開は予想を上回るものがあり、自分のことで一杯だった子たちが互いを「助けたい」そして「助け合いたい」と希求する場面では胸が熱くなった。
    誰かを手助けすることで自分も救われる。そこにめぐり会わせの不思議さがある。

    思春期独特の、あまりに低い感情のハードル。
    自分だけは高い棚に上がっているのだが周囲も皆同様なので、批判したところで同じ穴のムジナ。
    それは違うよと、時間を戻すことが出来るなら教えてあげたい過去というものを、多くの人に思い起こさせることだろう。
    この話が支持されるのはそこかもしれない。
    優しい言葉をかけてくれる人が「分かってくれる人」と言えるのかどうか。
    分かってくれない人は、価値がないのか。ではあなたはその人を分かろうと努力したのか。
    あなたは誰の何を分かっているのか。

    あくまでも少女の眼を通して語られる話なので、大人は最初から敵対する関係として登場する。
    特に教師の描写は酷い。こちらの望み通りの言動をとらないというだけで裁かれている。
    話の設定上やむを得ないとはいえ、非常に読みにくい部分だった。
    でも、中学生たちの今後は「誰かを救う側」になりそうな予感なのでそこがせめてもの救いか。

    自分の気持ちを、感情に溺れず自分の言葉で話せるように、子どもを育てることが大事。
    それには大人が誠実で辛抱強くないとね。
    そんなことを学習した一冊。大人でも時には難しいのだけどね。

  • 評判通り感動して泣けた。
    特に後半は一気読み。
    大人の誰もがかつて通ってきただろう切なくも厳しい道に、自分の過去と自分の娘の現実を照らし合わせて胸が痛くなる。

    中学生にとって大きな存在の「学校」に各々の理由で行けなくなってしまった7人。
    大切な居場所をなくした7人が出会った、鏡をくぐり抜けた先にあるお伽噺に出てくるような不思議な孤城で、願いの叶う部屋の鍵を探すことになる。
    「いじめ」とか「喧嘩」とか簡単な言葉で決めつけられない「何か」に怯える子供達は、自分のことを肯定し認めて貰える安心感を孤城の中でゆっくり育んでいく。

    「頑張ってるの分かってる」
    「もう闘わなくてもいいよ」
    そう優しく言って励まし、子供達が安心して選べる選択肢を沢山用意してあげることが私にもできるだろうか。
    大丈夫だから安心して大人になって、と辻村さんから温かいエールを貰えた。

  • "嫌なことは嫌っていうんだよ。
    それが言えないときは、みんながびっくりするくらい大きな声で泣くんだよ "
    私の子たちは、まだ幼い頃にそんなふうに教えられて、幸運だったかもしれない。

    ”思春期のこどもは、親の言うことや、ましてや教師のいうことなどきかない。 友達が強く影響を与える" 
    これは保護者として聞かされた言葉。
    本人たちはそんなことをわかりはしまいが、子供が苦しいときは親も苦しい。そんな時に何度もかみしめた。

    かがみの狐城
    主人公の こころ は、中学に進学してすぐに、 クラスメイトから激しいいじめと脅迫行為を受け、学校に行かれなくなってしまう。
    親しくなりかけた子も味方してくれず、何が起こったのか理解してもらえないのではないか....という躊躇いが大きく、親にも言えない。
    そんなとき、部屋の姿見が虹色に輝く。。。

    ミステリー&ファンタジー仕立ての いじめをテーマにした話か?と思ったが、それだけではない。
    行きたくないわけじゃないのに学校に行けなくなる子たち。
    それぞれの事情は異なるが、 ふしぎな城に招かれた7人は、願いを叶える鍵があること、1人しかそれを使えないこと、願いが叶えられた時点で全ての記憶はなくなること、叶えられなければ記憶は残ることを言い渡される。

    思いがけず人生につまづいてしまった その事情の解決が主題ではなく、本人たちがジタバタして出口を探していく、そういう話なのだ。
    自分の不快のでどころが ハッキリしない ハッキリさせたくない 10代のもやもやした時期。
    そこを通り抜ける、周りにはみえない時間が 描かれている。

    他人に対して恐怖感をもつ こころ が、次第に城の仲間と連帯感を持っていく。友達に なる。
    嫌だと意思表示することも、本当のことを話して助けを求めることも大事な力。
    じわじわとそういう力をつけていく。
    ”こころ”の成長。

    軽やかで読みやすくふんわりした感触を残しながら同時に濃い充実感も備える。
    教育学を学び、SFが好きな辻村さんらしい作品。

    2018年本屋大賞受賞作
    久しぶりに ブッチぎりトップだった。

  • この本に出会えてよかったと、本当に思いました。
    序盤で、「これは、いじめの話なのか」と
    思って読んでいた自分を殴りたいです。
    これは、「生きる」ための物語でした。
    後半の流れは読んでいてとても鳥肌がたちました。
    "オオカミ様"のこともそうだし、城のメンバーのことも
    知れば知るほど好きになりました。
    生きてれば、きっとなにかに出会えるし
    なにかを見つけることが出来るんだ。
    誰かに誇るような
    何か特別な「才能」がなくてもいい、
    誰かに急かされて
    「生きること」を焦る必要なんてない、
    だってこれは、「君」の人生なんだから_
    そう思えるような素敵なおはなしでした。
    私は辻村さんのオーダーメイド殺人クラブも読んだことがあるのですが、いじめの描写が上手いというか
    そういう心象とか心の情景とか感情とかがとても
    リアリティがあって辻村さんは、もしかしたらそういう
    体験をしたことがあるのかなと思います。
    単なる私の勝手な想像なのですが…
    学生の方にぜひとも読んでいただきたいお話です!



  • 子どもからの過渡期を迷いながら悩みながら一歩づつ進んでゆく子ども達の1年に、ところどころで眼鏡が曇って読めなくなってしまって大変でした。

    安西こころちゃんという中1の平凡なひとりの普通の女の子が、真田美織ととりまきという中1なのに陰湿な圧力を平気でできる非凡な輩に不幸にも出会ってしまい、1学期の早々から不登校になり自宅からでられなくなってしまいます。

    ある日、お部屋の鏡が光って、それがお城へと続く扉に変わります。そこで出会った6人とこころは、オオカミ様に出会って、ルールに従いながら、お城のなかにあるという願いを叶えるカギを探すことになります。

    アキ、スバル、ウレシノ、マサムネ、リオン、フウカ、彼らもまた、自分でつくりあげたのではないそれぞれの環境のなかで、中学生の今を一生懸命生きています。

    オオカミさまがいう「会えないわけでもない。たすけあえないわけでもない。ただすべてそこに気付けばの話だ」っていう言葉が、読み終えた今もずっとこころに残っています。
    おなじ学校に行きたかったこの8人の繋がりと思い出は、私のこころにもずっと消えずに残ります。

    それから、パラレルワールドの話がでたときに、凍りのくじらを思い出しました。ドラえもんは、パラレルワールドの話だったなぁって。いつものび太君は、あったらよかったのにと自分のいるところから反対側の「パラレルワールド」を羨ましがるけど、ドラえもんの力を借りていざ行ってみると今の良さがわかったりその理由に気付くことも多かったことを思い出しました。ただ、そうだったなぁって思い出しただけで、この作品とは繋がらないのですが。
    柔らかなみずみずしい宝物と呼べる感性を持っていながら経験が浅いゆえに避けにくい、そんな危険から逃げる方法を示唆しているこの本を、この世代の子どもたちだけじゃなくて、大人世代の私も、成長途上の子どもたちを苦しめる側にならないためにも読んでおいてよかったなぁって思います。

    • fukayanegiさん
      7人のところを8人と表現するところがいたく感動いたしました。
      7人のところを8人と表現するところがいたく感動いたしました。
      2019/08/23
    • よえりんさん
      ネタバレ的にはアウトかもと悩んだのですが数えずにはいられませんでした。共感してくださって感謝です(๑˃̵ᴗ˂̵)
      ネタバレ的にはアウトかもと悩んだのですが数えずにはいられませんでした。共感してくださって感謝です(๑˃̵ᴗ˂̵)
      2019/08/26
  • くぅ~~また心を持っていかれてしまったよ。
    辻村さんの文才には参ってしまう。
    最後の最後まで話がどう流れていくのかわからなかった。

    でも年代がきっと違うなっていうのは感じたけど。
    狼面の少女もそういう事かって思ったらウルっときました。

    大人もそうだけど、中高生に読んでもらいたい。

  • 鏡の中の城に集められた7人の子供たち。鍵を見つければ願い事が叶うが、見つけられなければ、期間いっぱいまで、その城にいられる。それぞれの背景を持ちながら、子供たちは、互いの関係を深めていくが。
    テンポよく読み進められ、特に後半は続きが気になり、どんどん読み進められた。
    互いの背景があるからか、付かず離れずのような関係が、少しずつ深い関係に変わっていく。気付いた時に必要とした関係であったことがわかるのがよく、それを読んでいる方も納得できるように感じた。
    助け合える友達のいること、闘わなくてもよいこと、主人公のこころの感じたことは、そのまま同じ様に苦しんでいる子にとって、助けになることでもあると思った。
    個人としては、親として子供から見た親の様子の描写が身につまされた。子供たちの思いや、置かれた状況をわかることの大切さ、そしてそこからの行動。考えさせられました。

  • これは又いじめ克服のパターンの小説かな?と思いながら読み始めたら、見事にやられてしまいました!長編なのに一気に読み進めてしまい見事一本取られました。いやあこんな展開が待っているとは!大変面白うございました。オススメです。

  • 表紙の綺麗さに釣られて図書館で予約してやっと借りれて、夢中になって読んでしまった。
    何らかの理由で学校へ通えない7人の中学生が、ある日鏡の中の異世界へと入り込んでゲームに参加させられる。
    このどこかにある鍵を見つければ願いが叶う
    それぞれ戸惑いながらもそこでの人間関係を育み成長していく。

    集められた中学生はだいたいが学校で嫌な目にあっていかなかったりしてるんだけど、リオンって男の子だけが別格な感じだった。最後まで読み終わって「ああそうだったのか」と納得。

    一人が鍵を見つけ願いを叶えると、全員が記憶を失い素の現実へ戻される。そんなこと言われたら自分は何を願うか考えてしまいました。わたしが中学生の頃だったら「学校へいかなくても許される世界にしてください」とかかなぁとか思ってました(笑)

    そんなこと思いながら登場人物の願い事についえ考えてみます。
    ウレシノという男の子は恋愛至上主義で、7人の中の女子「アキ」「こころ」「フウカ」へ次々と恋をしてしまいます。物語の前半ウレシノがアキのことを好きになった時に「アキと付き合う」ことを願いにしようとし、こころはそんな願いに対して「相手の気持ちはどうなるんだろう」もいうようなことを思っていました。

    しかし、そんなこころの願いは
    自分のことをいじめた女の子がいなくなればいい
    ということ。
    もしその願いが叶ってもいなくなった女の子の気持ちを無視していることになります。

    これに気づいて、
    他人に対して思っている悪い評価って、実は自分にも当てはまってしまうことがあるんじゃないかなぁっと思ってしまいました。自分にもある部分なのに他人の中にその悪い部分を見つけてしまったらつついてしまう。それが結局はいじめに発展してしまうこともあるんじゃないかと思います。

    小説の中のいじめの様子を見ていて、なんか大人になって会社でもこういうことあるよなぁと思ってしまいました(笑)
    「あいつはあんなんだから部下に嫌われるんだ」とか、
    「そんなんだから上手くやれない」とかよく聞くし、
    でもそれを言っている人間が完璧かといわれたらそうじゃない。他人の悪いところをつついているだけで、自分は悪くないむしろ被害者だという顔で言葉を吐く。
    登場人物の真田さんという女の子がいい例だった。

    そんなことを思い出しながら読んでいたせいか、
    毎日決まった時間に鏡の中に入り、
    わたしたちは助け合えるんじゃないか
    と歩み寄る彼女たちを見てほっこりしました。
    辻村深月さんの描く物語の中にすっかり浸っていたので
    「どうかこの7人が不幸から解放されて幸せになれますように」と願ってしまいました。

    最初から謎が多い世界ですが、
    小説を読み解くのが苦手なわたしでも
    しっかり種明かしをしてくれるので読みやすかったです。
    狼のお面の少女、
    一人だけハワイに住むリオン、
    かがみの孤城の秘密
    それが明かされる中で涙が止まらなかったです。
    とても暖かいお話でした(/ _ ; )

  • 鏡をのぞき込む狼の面をつけた女の子と
    それを反対側から見つめる中学生の少女・・・
    そんな表紙を見ただけで、
    『なんだ女子向きのファンタジーか』と決めつけてしまうのはもったいない!

    学校が嫌で、そんな自分はもっと嫌で
    自分の本当の味方なんてこの世には誰もいないと思い込んでいた中学生の頃の自分を
    少しでも覚えているならば、ぜひこの本を読んで欲しいと思う。

    学校に行けなくなってしまった中一の少女が
    鏡の向こう側の世界に入り込む。
    学校だけがすべてではない、同じクラスの子だけが友達じゃない、
    本当に辛いなら逃げたっていい。
    大人になれば当たり前だと思えることを
    少女はひとつひとつ傷つきながら覚え
    どんどん強くなっていく。

    読み終わって今、自分にも遠い昔
    鏡の向こう側の記憶があったのかもしれないなと思えている。
    覚えていないだけで、気づかなかっただけで
    どこかで自分をわかってくれていた人たちがいたような温かい気持ちを感じているのだ。

  •  光り出す自室の鏡、手を伸ばせば彼らの集う「孤城」へ行ける――。不登校の中学1年生・安西こころは、鏡の中の城へ同じように集められた同世代の中学生たちと出会う。城にいるのは自分を含めた7人の「不登校」の男女、そして彼らをいざなった「オオカミさま」と呼ばれる少女。
    「お前たちには今日から3月まで、この城の中で〝願いの部屋″に入る鍵探しをしてもらう。」
     城にいられるのは9時から17時まで。願いを叶えられるのは一人だけ。
     居場所を持たない中学生たちは鍵探しを始めた。しかしそれぞれの事情を抱える7人はけん制し合い、すれ違い、ぶつかり合う。そしていつしか「鏡の孤城」が彼らの居場所となった時、終わりが訪れ、彼らの心の傷と共に全ての謎が明かされる…。
     直木賞受賞作家・辻村深月による、2004年出版のデビュー作『冷たい校舎の時は止まる』への原点回帰を思わせる珠玉の密室青春ミステリー。

     間違いなく2017年最高の一冊。550ページは中だるみなく、飽きることなく、最後まで読むことをやめられない。この世界観から、登場人物たちから、目が離せなくなってしまった。
     辻村さんは思春期特有の不安や脆さを描くのが本当にうまい。自分でもわけがわからず負の感情を膨張させ、未来に爪の先ほどの希望も見いだせず、「助け欲しい」という言葉すら吞み込んで蹲る自分が心の片隅にいる…。『冷たい校舎』の時もそうだったが、読んでいる時のイメージは「斜陽」だ。山の端や都会のビルの陰、または水平線に沈もうとする夕陽。空がトーンを落とす一方で茜色は強さを増していく。そのコントラストは見る者の心に如何ともし難い切なさを思い起こさせ、胸をギュッと締め付ける。掻き立てられるような形容しがたい哀切の一方で、そんな世界に溶けゆく自分に酔う。そんな思春期独特の雰囲気を、辻村さんは本当に丁寧に描き切る。
     最近は女性心理や家族をテーマに書いていた印象だったが、本作は『冷たい校舎』を思わせる青春ミステリーである。そのことが本当に嬉しい。登場人物のキャラ立ちが本当に巧みで、いつまでもこの世界に浸っていたいと思わせる筆力は健在だった。むしろ『冷たい校舎』は冬と雪と校舎の世界観を描き出すことに力を注ぎ多少難しい表現が見られることもあったが(そこも好きだったが…)、本作は全体的に柔らかい描写が多い印象で小中学生でもすんなりと読めるようになっている。そこにも辻村さんの作家として歩んできた道が見えるような気がしてファンとしては思わず綻んでしまう。
     辻村さんの描く世界を「斜陽」と前述したが、落ちる夕陽と思春期にはひとつだけ違いがある。それは、夕暮れを見る者はその時が必ず終わることを知っているが、思春期を過ごす本人はその哀切や絶望が永遠のものだと思っているということだ。思春期の哀切が刹那的であることを知っているのは、思春期を過ごしてきた全ての大人たちである。今の苦しみを永遠の苦しみのように感じて学校へ行けないすべての子どもたちへ、本作は強いメッセージを送る。

    「大丈夫。大丈夫だから、大人になって。」

     夕陽は必ず沈む。そして朝は必ずやってくる。悲しい茜色に染まった思春期を今過ごしている全ての子どもたちに、そしてコントラストの弱まった現実に疲れ茜色の美しさを思い出したい全ての大人たちに、本書を強く薦めたい。
     私達は皆、かがみの孤城で過ごした過去が本当はあるのかもしれない。ただ、忘れてしまっているだけで――。私やあなたを支えてくれているあの人は、あの時の仲間の一人なのかもしれない。

  • ファンタジーは苦手だったが引き込まれた。単なる空想の世界ではなく中盤までに張った伏線を終盤にかけてしっかり回収していくのが見事。クライマックスの驚きもあり最後までワクワクさせられた。

  • 本当に素敵な作品でした。
    辻村さんの描く学生ものは
    本当に大好きだ。

    前半からあっとゆーまに引き込まれて
    読むのがもったいないけど
    読みたくてたまらなかった。

    ファンタジーなのに現実感がある。
    傷ついている戦い続けている
    子たちの話なのに読後が
    みんなの幸せしか想像つかない。
    装丁もめちゃくちゃかわいい。
    おおかみさまのイラストもかわいい。

    前半中の前半から
    これは文庫も絶対買おうって
    思えました。
    解説を誰が描くのかも
    楽しみだな。

    2017.5.27 読了

  • 06/06/2109
    作り込みがすごい。
    正直、想像通りといえばその通りだけど
    それを上回るだけの構成/設定/ストーリー
    純粋に感動できてかつ面白いと思える。
    1日で読了。

  • 私にとっては、「冷たい校舎の時は止まる」「名前探しの放課後」に続き3作目の辻村作品でした。

    最初に読んだ「冷たい~」の衝撃が大きかったせいで、どれもホラー感が強いのかしらと、読もう読もうと思いつつ手を出せずにおりましたが、中学生の姪が「面白かった」と言っていたので読むことに。。

    7人の登場人物とそれぞれのストーリー。
    一人ひとりが中学に通えない理由を抱え、ある日光る鏡に吸い込まれ、お城のような建物に導かれる。
    そこには狼の仮面をつけた少女がおり、城の中に隠されている願いが叶う鍵を探せという。
    タイムリミットは3月30日。
    7人は少しずつ心を通わせながら、それぞれの抱える問題と対峙していく。

    中学生って、本当に複雑な時期だなぁと自分の中学時代を思いだしました。
    いじめというものがない環境でごくごく普通に過ごした私でさえ、中学生の頃は成長する自分と戦いながら、面倒くさい仲間の輪みたいなのを重んじなければいけない憂鬱な時代だった気がします。
    高校生になると、もっと個人で伸び伸びできるようになって、あの3年間はなんだったのだろうと不思議に思うくらいぱっと人生が開けてくるのだけれど。

    中学時代を生きている子供たちが、この7人のように、本当の意味で助けてくれる友達や大人を見つけることができますように。

  • 純粋にすごく面白かった。
    やたらとリアリティがあるのに、心がしんどくならない塩梅の美しい心理描写に震えた。普通だったら途中でしんどくなりそうな話なのに不思議とストンと落ちてくる。
    物語としては結末や展開は予想できたのだけれど、やっぱり圧倒的な描写で手に汗握った。
    過去作から見ても辻村先生は思春期の複雑な心を描くのが上手だと思っていたけれど、今回は本当に圧巻だった。誰しもが1度は感じたことがあるであろう感情を明確に言語化し、昇華させる。しかもこれがこの人数分。
    それぞれのキャラの性格も素晴らしい。



    相変わらず終わり際にそれは恋愛フラグなんですか?どうなんですか!?の想像の余地がすごい。これのおかげですごく救われる。
    「オーダーメイド殺人クラブ」彷彿とさせる感じ。

  • この本はきっかけになった。

    これまでは漫画ばかり読み、小説などの活字本を避けてきた。
    そんな僕に「面白いから読んでみな」と、友人に勧められたのが始まりだった。

    最初はそんなに乗り気じゃなかったが、まあ折角借りたのだから、と読み始めてみたらこれがまた面白い。
    登場人物が魅力的で、頭の中でイメージが躍る。
    ストーリーは飽きが来ず、ページをめくる手が止まらなかった。

    きっと、リアルとファンタジーのバランスが良かったのだと思う。
    まあこれは好みによるかも知れないが・・・
    リアルな部分があるから共感が生まれ、ファンタジー要素があるからわくわく感が出る。そのバランスが僕にとって丁度良かった。

    また、心理描写が繊細で驚いた。
    辻村先生のほかの作品を読んだことが無いので(というより活字本を読むのが10年ぶりくらいなので)偉そうなことは言えないが、人物の心理描写がとてもキレイだと感じた。心が泣いたり、怒ったり、笑ったりと、感情がひしひしと伝わる文体だった。


    気づいたら1日で読み終わっていた。
    とても心に残る一冊だった。

    これを機に、読書を始めてみようと思う。

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著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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