- Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591154182
感想・レビュー・書評
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100年、の一冊。
想像以上に良かった。
江の島の食堂を舞台に4世代の女性達の時が、100年の時が紡がれていく物語。
どの時代の女性達も家族を、大切な人を通じて自分を見つめていく、命の繋がりを感じる、それが時に静かに時に強く伝わってくるのが良かった。
中でも荒々しい溶子の存在が良いスパイス。
抱えていた苦しみを吐き出し、心通じる瞬間は涙なしでは読めない。
そしてこのラストの紡ぎ方。
壮大な時、命の輝き、導きを感じた。
人は助け助けられ、時を繋いでいくんだね。
猫達がこの時をずっと見守っていたかのような温もりも感じる物語。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
江の島で食堂を営む母娘四代の物語。
曾祖母の交わした約束を引き継いで伝えていくこと、いろんなご縁を蔑ろにしないことが、いつか巡って自分や誰かの励ましになると思うと、ぐっとくるものがあった。
濃密な人付き合いには腰が引けてしまうけど、人との関わりで生きているのだと改めて感じる。
漠然と、なんか大丈夫だ、と晴れやかな気持ちになれた。 -
タイトルから、ゆるいほんわかしたお話かと思っていたら全然違ってた。
江の島で何代も続くねこもりさんをしている女性たちのお話。
人に良くしてもらった恩を返す、その恩をまた次の世代に返す、他者を思いやる気持ち、皆がそうであってほしいと思った。
猫との関係も良かった。できれば野良猫がいない世の中になれば言うことはないのだけれど。 -
江の島に住みながら、猫のお世話と食堂を営む女性の話です。一世代に限らず、何世代にも続き、時間経過は100年ほどの壮大なスケールになっています。人との絆が次の世代にも受け継がれていく様にはとても感動します。恩を忘れない義理堅さを教えられた気持ちになりました。
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装丁の店を確かめに江の島に行きたくなった。近くにいるのに行くことはほとんどない。たまには行ってみようかな。すみゑから麻布へと脈々と続くねこもりという血。ねこもりという役目はないけど、オイラも親父とお袋からこれでもかっていうほど良くも悪くも血を引き継いでいる。若いときはあんなふうになりたくないと思っていたけど、今となってはしっかり似ていると思うし、昔ほどの嫌悪感はない。なんでだろう?溶子が庄二郎を許し認めるのはちょっとわかるような気がする。「半分亭は猫とお客さんに助けられてつづいてきた店だ」を世代を越えて守る佐宗一家のひとりであることを誇らしく思えるようになったからこそだと思う。今日は母の日。お袋に電話をして、人一倍元気な身体に産んでくれたことを感謝した。喧嘩もするけど家族っていいよね、ってあらためて感じさせてくれる温かい物語だった。
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ちょっとしたグルメ小説なのかなと思って読み始めました。ところが出だしからなかなかハードな展開。そして話は約100年前に遡り…。江の島にある半分亭という食堂を代々営む女性達のお話です。
江の島には何度か行った事があるので、風景を思い出しながら読みました。半分亭はここら辺にあるのかな?と想像しながら。
強くて優しい話にとても感動しました。 -
江ノ島の近くに引っ越してきてから読んだので情景が浮かんで読むのが楽しかった!
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2018.2.3 読了
江の島の 民宿と食堂「半分亭」が舞台。
半分亭の 女子は「ねこもりさん」という
江の島の野良猫の世話をするという仕事?役がある。
大正の すみゑさん(曾祖母)、
筆(祖母)、溶子(母)、麻布の100年の物語。
短編集なんだけど、微妙にリンク。
溶子さんの話は 泣けた。。。
ラストもじんわりしました。