十歳までに読んだ本

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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591155110

作品紹介・あらすじ

子どもの頃、どんな本を読みましたか? 心を揺さぶられた物語、勇気をもらった言葉、憧れの主人公――小川糸、森見登美彦、宮下奈都、辻村深月、吉岡里帆をはじめ、作家、女優、映画監督ら70名が、「根っこ」となった大切な一冊について綴るエッセイ集。あの頃のドキドキやワクワクがよみがえり、大人になった心に響く一冊です。

[執筆者一覧]
西加奈子/佐藤ジュンコ/松村栄子/原宏一/川内有緒/冲方丁/安田菜津紀/飛鳥井千砂/益田ミリ/草野たき/吉岡里帆/畠中恵/平松洋子/木内昇/ミムラ/穂高明/千松信也/長島有里枝/小川糸/穂村弘/山崎ナオコーラ/近藤聡乃/中村航/町山智浩/棚橋弘至/最相葉月/森見登美彦/名取佐和子/文月悠光/原田マハ/稲垣えみ子/海堂尊/安東みきえ/中島たい子/平山夢明/前田司郎/犬童一心/内澤旬子/三田村信行/栗田有起/矢萩多聞/寺地はるな/あさのますみ/初野晴/東山彰良/万城目学/柚木麻子/近藤史恵/小路幸也/石川直樹/伊藤たかみ/宮下奈都/永井するみ/小川一水/大崎梢/杏/藤岡陽子/小手鞠るい/絲山秋子/魚住直子/小瀬木麻美/五十嵐貴久/辻村深月/小松エメル/藤谷治/誉田哲也/市川紗椰/枡野浩一/加藤千恵/アーサー・ビナード

感想・レビュー・書評

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  • 作家、女優、映画監督ら70名が「根っこ」となった大切な本について綴る『十歳までに読んだ本』|ピックアップ|トピックス|ポプラ社
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    十歳までに読んだ本| 一般書| エッセイ| 本を探す|ポプラ社
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  • 世の中には、読んだ本と、名前は背表紙で
    知っているが読まなかった本というのがある。

    私自身は、3歳からひとりで本を読んでいた。
    黙読も音読も。すらりと。
    読んでと頼んでも、読んではくれない。
    自分で読めるのだからと。

    でも、与えられていた絵本も、
    いとこのお下がりの
    児童文学全集の幼年版も、質の良い
    今も読みつがれている本を与えられていた。

    いつも本は楽しかった。無論。

    5歳くらいで確か、区立図書館に初めて行った。
    ものすごく早熟で背伸びもしていた私は、母が
    少し早い段階の本を勧めるまま、本が大好きな
    子供になっていった。

    ところで、この本は、おとなになった
    著名な人たちが、良いカッコをしないで
    子供の時の本音で、好きだった本を語っている
    ところが、普通の読書案内の本とは一味違う。

    大人の都合じゃなく、『子供から見て』
    面白い、そして評価も高い本が、たくさん
    紹介されている。

    学級文庫や図書館の児童室で見た覚えのある
    題名がたくさんある。装丁は覚えているけど
    私が読んでいないものが、たくさんあった。

    そして、知った。
    子供同士が友情をむすぶ、児童文学らしいものは
    私、あまり読んでない。

    子供の本というよりは、世界的な名作の
    幼年版…つまり大人の本のジュニア版が
    圧倒的に多く与えられてきた。

    自分でも、そのようなものを読むのを
    無意識に避けていた気がする。

    名探偵カッレくん
    飛ぶ教室
    さむがりやのサンタ
    モモ
    11ぴきのねこ
    デブの国ノッポの国
    いやいやえん
    ドリトル先生シリーズ

    …読んでいない。

    読んだ本?
    あるある。収録されてた。
    全然ないなんていびつなことはない。

    いや、それがどうしたではあるが。

    私は、幼稚園も保育園も行っていない。
    その年令には病院にいた。

    ぽんといきなり小学校になって
    子供がたくさんいる環境になった。

    大人みたいな子だと、私の家族さえも
    揶揄したが、いずれ子どもの世界に交わると
    思って、読書をさせてこなかったのだと
    気がついた。

    そういう風合いの本はあまり面白くないよと
    言われて、私自身も読まなくなったまま
    おとなになった。

    幸いだったのは、それでも、母は母なりに
    きちんと選んで名作を紹介してくれていたこと。

    彼女はきっと、病院と自宅を行ったり来たり
    の私に、早くおとなになってほしかったのだろう。
    まして、彼女は子供、苦手だったのかもしれない。

    いや、それよりも…。
    現実的でないファンタジックな世界や
    こどもの、まだ未来に、なんとか何かが待ってる
    感覚は、当時の彼女には、そんなに現実は
    甘くない…感じで、子供に与えるにも
    彼女自身が、目もくれなかったのかもしれない。

    司書になる勉強の一分野に
    児童サービスというのがある。
    読んで字のごとく。

    児童書とYAの提供を学ぶ。

    その授業、私、実は大好きだった。

    仕事で子どもたちの本を扱う時は
    私の癖を排除して、相手の子どもたちに
    いかに面白いと思ってもらえる本が出せるか。

    腕の見せ所だった。

    手を出していなかった本も、仕事だからと
    読んでみたりして。

    自分の好きだったものも、そうでないのも
    たくさん紹介をしてきた。

    きたけれど…この本たちは読んでいない。

    だいたい児童文学の日本語って、磨き抜かれてて
    平易なので、大人が読んでも綺麗だが…。

    この本達、私がいま、挑戦してもいいだろうか。

    遡って、最初の読書であった絵本達を読み
    好きだった児童書を楽しみ…
    そして。

    名前しか知らなかった、自分とは縁がなかった
    本たちも、ページを捲ってみていいだろうか。

    十分に良い読書体験を積ませてもらい、自分でも
    いっぱしのブックジャンキーに育った、おとなの
    私だけど…

    自分の中で、すっぽり抜け落ちてる本のひと群れが
    あることが、まるで子供のときの私まで、なにか
    通りそびれてきた、素敵な道が残っているようで。

    柄にも無いけれど、寂しくなったのだ。

    のどが渇いた時に、冷たい水を
    ごくごく飲むように、子供の頃に
    出会わなかった本を読んだら、

    今の私はもっと、なんにも考えないで
    幸せになる気がする、のだ。

    不幸や寂しさを埋めるんじゃない。

    な~んも考えず、ああ面白い!

    って読めたら。いい。

    そうして、今の私に、もう一回ひと廻りして
    戻ってきたら…すごくいい、なにかが
    気に入りのかばんに、入っていて。

    この先の私、という旅も、きっともっと楽しい。
    そんな気がする。

    この世界はいいものだ。

    問題は…勇気を出して読むのが
    もう大人なのにと、なんだか恥ずかしい…
    それだけ。

    本は、必要な時に出会う。
    待っててくれる。再会も、はじめましてもある。

    だからきっと…読んで良いはず。
    わかっているのに。

    誰か背中を押してほしいと、心から思う。

    そして…こうなってやっとこ。

    図書館で私に、本を探したいと声をかけて
    くださった皆様の…ちょっと照れた…
    心もとないお気持ちが、じんわり分かるのだ。

    • nejidonさん
      瑠璃花さん、こんにちは。
      コメント欄では「はじめまして」。
      とても素敵なレビューですね。
      列挙された児童書は私も一冊も読んでいませんが...
      瑠璃花さん、こんにちは。
      コメント欄では「はじめまして」。
      とても素敵なレビューですね。
      列挙された児童書は私も一冊も読んでいませんが、それを恥じてもいません。
      タイミングが合わなかっただけ、そう思っています。
      でも大人になった今読めば、更に味わい深いだろうと、勝手に決めつけてもおります。
      ということで、私が瑠璃花さんの背中を軽ーく押してみますね。
      私もゆっくりゆっくり読んでみようかと。。
      あ、まずはこの本からですね。
      ではでは、失礼いたしました。
      2018/04/29
    • 瑠璃花@紫苑さん
      > nejidon様
      いつもありがとう存じます。
      素敵な本棚を、いつも楽しみに拝見して
      おります。

      私のレビュー、楽しんでくださ...
      > nejidon様
      いつもありがとう存じます。
      素敵な本棚を、いつも楽しみに拝見して
      おります。

      私のレビュー、楽しんでくださって
      とても嬉しいです。素直に書いたら
      思いの外長くなって…。

      そうですね。
      恥ずかしがらないで、いつものように
      図書館に行って、この本で気になった
      作品を借りてみるの、楽しそうです。
      お天気もいいですし、連休の間に
      まず一冊。

      そして、面白かったらここに書いて。
      案外ぱっとしなくても、それも素直に。

      大人だろうが子供だろうが、面白い本は
      面白いのですもの。

      会わない本があっても、他の誰かには
      大傑作!ってこともありますし。
      再読したら夢中!ってこともある。

      本には、出会い時って、きっとある。
      優しいいってらっしゃいを。
      ありがとうございます。

      今読んでる本が今日終わるので
      そしたら借りに行ってきましょう。

      これからもどうぞよろしくお願い致します。
      2018/04/29
  • 「本は大事ですね。本の中にしかなかったものが今では僕の中にある。(前田司郎)」

    みんなの子どもの頃の話を
    聞けてたのしい。
    読みたい本がまた増えた。

    みんな少なからず今の職業に影響を与えてるのがすごい!

  • 70名もの著名人(作家、女優、プロレスラーなど)が、小さい頃に触れた本の世界を見開き2頁で紹介している。どの文章も惹きつけるものがあり、読みたい絵本、児童文学、どんどん増えてしまう。
    なかでも吉岡里帆の「ラヴ・ユー・フォーエバー」にはグッとくるものがあった。

    自分なら何を紹介するだろうか…
    小さい頃、図書館の本を端から端まで読んだり、本屋に通った日々を思い出した。

  • 「音楽のプロになるには、どんなことが必要だと思う?」
     かつて音楽の道を歩もうとしていた過去のある私に、夫が尋ねた。続けること、練習を苦と思わないこと、それ以外に特別な才能は要らないんじゃないかな、と私は答えた。

     この本で本を紹介している人たちは、本に携わることを子どもの頃から続けている。周りの大人がいくら止めても、級友が校庭を駆けずり回っている間も。それが、大人になっていろんな物語を創る材になっているのだから、続けることはやはり正義である。

     私が10歳までに読んだ本を考えてみる。「カラスのパン屋さん」のパンめっちゃ美味しそうでワクワクしたなあ。「こまったさん・わかったさんシリーズ」は図書館で借りてはレシピを書き写してたっけ(食いしん坊やったんかな?)。アンデルセン童話の中ではなぜか「幸福な王子」を一番覚えている(改めてストーリーを見ると、“自己犠牲”を描いた作品だったらしい!)。
     こうして考えてみると、あの頃の読書体験は宝物だなあ。身体ごと持っていかれるような、瑞々しい体験。二度とないと思うと少し寂しい。

  • 棚橋さんの文章にウルッと。
    全部読みたいけど、特にはモモちゃんと小公女かな?

  • だいすきな作家さんや女優さんがたくさん出ていてすごく楽しかった!知ってる絵本や小説は読み返したくなったし、タイトルを聞いたことあるけどまだ読んだことがいき絵本は読んでみたくなった!当たり前だけどみなさん文章が上手なので紹介文読むとわくわくしました!この機会にいろいろ読みたい!

  • (2017/8/23読了)
    誰かのオススメの本的な本は、すごく気になって読んでみるけども、やっぱり自分で読んだ方が良いやと思うことが多かったんだけど、この本は、自分の小さい頃を思い出したりして、なかなか楽しく読めた。オススメの本じゃなかったからかな。
    好きな作家さん、初めましての作家さん、女優さん、何者か全く知らない人(巻末に紹介文有り)、総勢70名。
    同じ年代の方もいて、私にとっての思い出の本も有り。
    10歳の頃かはわからないけど、私の思い出の本は、絵本の小公女、おどろおどろしい絵だったラプンツェル、ディズニーのアリス、物語では、美女と野獣。
    ラプンツェルを除いて、まだ手元に残ってる。これからも大切にしようと思った。

    (内容)
    子どものころ、どんな本を読みましたか?心を揺さぶられた物語、勇気をもらった言葉、憧れの主人公―作家、女優、映画監督ら70名が、今も心に残っている本について綴ります。

    (目次・執筆者)
    1.絵本
    西加奈子/佐藤ジュンコ/松村栄子/原宏一/川内有緒/冲方丁/安田菜津紀/飛鳥井千砂/益田ミリ/草野たき/吉岡里帆/
    2.日本の物語
    畠中恵/平松洋子/木内昇/ミムラ/穂高明/千松信也/長島有里枝/小川糸/穂村弘/山崎ナオコーラ/近藤聡乃/中村航/町山智浩/棚橋弘至/最相葉月/森見登美彦/名取佐和子/文月悠光/原田マハ/
    3.エッセイ・ノンフィクション・マンガ
    稲垣えみ子/海堂尊/安東みきえ/中島たい子/平山夢明/前田司郎/犬童一心/内澤旬子/
    4.世界の物語
    三田村信行/栗田有起/矢萩多聞/寺地はるな/あさのますみ/初野晴/東山彰良/万城目学/柚木麻子/近藤史恵/小路幸也/石川直樹/伊藤たかみ/宮下奈都/永井するみ/小川一水/大崎梢/杏/藤岡陽子/小手鞠るい/絲山秋子/魚住直子/小瀬木麻美/五十嵐貴久/辻村深月/小松エメル/
    5.小説・詩
    藤谷治/誉田哲也/市川紗椰/枡野浩一/加藤千恵/アーサー・ビナード

  • 選者がバラエティに富んでるな…
    吉岡里帆、やはり馬鹿じゃないなこの文章力は……
    あと御母堂が病弱だったんだな…

  • わたしの10歳までに読んだ本は「霧のむこうのふしぎな町」だな。

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

西加奈子の作品

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