うちの子は字が書けない (発達性読み書き障害の息子がいます)

  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591155325

作品紹介・あらすじ

WEB連載で話題沸騰!
40人学級に3人いるのに「誰も気づけない障害」を実体験をもとに描く、
漫画家・千葉リョウコの傑作コミックエッセイ


小学2年生になってもなかなか字が書けるようにならなかった息子・フユ。
ノート1ページの漢字練習に1時間かかる、
黒板の字を写しきる前に消されてしまう……
他のことは問題なくできるのに、なぜ?
と原因を探ってみても、なかなか理由はわからなかった。
フユ小学5年生の夏休み。教育委員会主催の講演会で知った、
「発達性読み書き障害(発達性ディスレクシア)」。

知的発達に問題がなくとも読み書きだけが困難な状況
書いて覚えられない
形がわからないこともあるが記憶ができないこともある
読みは文脈で読めるけど書くほうでは間違える

それはフユの状況にぴったりとあてはまっており、
専門機関の検査を受けてやっと、フユが発達性ディスレクシアとわかった。

障害は、病気ではないので「治る」ことはない。
でも仕組みや特性をよく知って、適切なトレーニングをすれば、今よりも字が書けるようになる。
今、障害に気づけたことに、とても意義がある。
母子二人三脚で、またにぎやかな家族みんなの支えを受けて、
フユの奮闘の日々が始まった。

学校で必要なサポートを受けることは「特別扱い」?
猛勉強して臨んだ高校受験
赤点による進級の危機
将来の仕事はどう選ぶ?
――様々な困難を乗り越え、成長してゆく親子の姿に胸が熱くなる!

30P以上の描きおろし漫画、監修の宇野彰先生(筑波大教授、LD・Dyslexiaセンター理事長)との対談を加え書籍化。



千葉リョウコ
漫画家。千葉県在住。家族は夫と高校生の長男、中学生の長女、小学生の次男とトイプードルの5人+1匹。
長男が小学6年生のとき、「発達性読み書き障害」と判定され、以来、ともにトレーニングや受験に取り組んできた。2017年現在も二人三脚で奮闘中。
エッセイは本作が初となる。

監修:宇野彰
筑波大学教授、NPO法人「LD・Dyslexiaセンター」理事長。
著書に『ことばとこころの発達と障害』(永井書店)、
『小学生の読み書きスクリーニング検査―発達性読み書き障害(発達性dyslexia)検出のために』(インテルナ出版)などがある。

感想・レビュー・書評

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  • 発達性読み書き障害は、周囲に気づかれにくく、誤解されやすい障害。

    作者の息子、フユくんは、今まで練習してこなかったからか、小学生になっても文字が書けるようにならなかった。周囲の子どもたちにからかわれ、親に怒られる毎日。どれだけ辛かっただろうと思う。
    ようやくひらがなを覚えたときにも、漢字は少しも覚えられていなかった。作者も気になり始め、カウンセリングに相談しにいくも知りたいことはわからない。

    その後、フユくんは、読み書き性発達障害だとわかった。作者は今までフユくんに辛く当たったことがあったことを思い出し、夫と話し合う。

    フユくんはその後、漢字を覚えるコツを考え、高校受験に臨む。自分が行きたい学校。難易度は高いけれど、行きたいからと頑張ってきた勉強。みごと、合格した。

    読み書き性発達障害を持った子は、案外周りに多い。私の学年にもいるかもしれない。そして、わたしの何気ない言葉に、密かに傷ついた子もいるかもしれない。強く実感した一冊。

  • 読みながら、泣きそうになってしまいました。周りは読み書きが普通に出来るのに出来ないもどかしさ、周りからの目、色々なものを感じながら成長しているんだなと感じました。発達性読み書き障害(発達性ディスレクシア)という言葉も私は、本当に偶然に知りました。こういう発達障害もあるんだなーと軽く考えたいましたが、この本を読んでから考えがガラリと変わりました。親の視点やその子自身の視点、本当に分かりやすくて引き込まれます。「自分の当たり前が他の人にとっての当たり前にはならない」が、本当に身に染みるようでした。
    著者の息子さんに合うトレーニング法があって、良かった。成長することに周りの事も気になってくるし、凄くたくさん悩んだと思います。千葉さんの言葉で、『障害者差別解消法という素晴しい法律ができたよね…けど今はまだそれを運用する体制が整ってないと実感している。学校や自治体によって対応が全く違うしね…。サポートが必要なのに「お願いしてやってもらう」ことの後ろめたさで声を上げられない人がいったい、どれくらいいるのか考えると胸が痛くなる。だからこそお母さんはやっぱり法律を頼りにしたい。(中略)法律っていうから身構えちゃうだけで、苦手なことを補ってもらう。自分もまた他の人の苦手なことを補う。そうやって助け合うって考えたら良いんじゃない?』というのがありました。長くてすいませんw本当にそうだなと思います。助けが必要な人が必要な時に周りを気にして受けられないなら、あっても意味を成しません。共感できる考えだと感じました。合間に筑波大学教授の宇野彰先生の対談みたいなものも入っています。より発達性ディスレクシアの事が身近に分かると思います。
    親のせいでもなく、その子自身のせいでもない。40人の学級に3人はいる確率の知られてないハンディーキャップです。もっとこの本が知られて、この発達障害が認知されるものになって欲しいなって願っています。

  • ディスレクシアという障害が存在する。

  • 子どもの成長に沿って描かれているのでわかりやすく、保護者の立場からの疑問や学びなので、より身近に感じられる内容でした。

    診断の後の「じゃあ、どうすればいいの?」という疑問に対して、「自分たちはこんなふうにやってきました」というご経験が、整理された形で示されていてとても読みやすかったです。

    子どもの力をのばしていく「専門機関」、もっと増えていってほしいと心から思いました。

  •  字を読むこと書くことが「あたりまえ」と思っていたが、そうか、そのことが難しい障害があり、かつ、それが40人に1人くらいという頻度であることに驚いた。

     読めるのに書けないというのが難しい。
     明確に苦手なことであるならば、それを補って助け合う社会だといいなぁと感じた次第。

     そして、障害だからできないということに気づいたときに、ほっとしたという当人の気持ちを考えると、発達性読み書き障害の認知度の向上だけではなくて、苦手なこと、出来ないことをできないといえる社会、それが許す社会にしていきたいと思う。

  • 発達性読み書き障害(発達性ディスレクシア)
    この本によると、40人学級で3人ほどの割合で存在するくらい数が多い障害らしいが、自分は全く知らなかった。
    いつ、どんな時にみたのか忘れたが昔Twitterで多分、発達性読み書き障害の方のツイートだったと思うが、「自分にとって文字を書くことはピカチュウを描くようなものだ」(大意)というツイートを見た気がする。ピカチュウは知っているし、思い浮かべることができるが、意外と細かい部分は描けない。同じように漢字も細かい部分が書けない。というニュアンスのツイートだった気がする。
    この本を読みながらそのツイートを思い出して、考えたのだが、やはり文字というものはたまたま多数派が使用しているだけの「絵」にすぎないような気がする。
    そのように考えると、本当は文字が書けない人なんてまさにピカチュウが描けないことくらいどうでもいいことなのかもしれない。
    しかし、文字を書けることがマジョリティな社会を生きるためには、やはり書けない側と書ける側の双方の努力が必要になると思う。
    この本は書けない側にとって救いになり、書ける側にとっても歩み寄る努力の助けになると思った。

  • 好きな落語家の柳家花緑さんが、ディスレクシアであることを話されていた。覚えてなんぼの落語家さんが、と驚いた。

    マンガ家の作者がディスレクシアの息子さんとの生活を描いたコミックエッセイ。わかりやすく丁寧で優しさに満ちたディスレクシア入門本。
    ディスレクシアとはどういう状態か?どうやって対処するのか?普通に学校に通えるのか?

  • 分かりやすい内容。理解しやすい。

  • マンガなので、とっつきやすいし読みやすい。当事者家族としてディスレクシアという特性が、どのように発見され本人、家族が受け入れてきたか。周囲へどのように働きかけてきたかが具体的に書かれているので、参考になる。同じ特性をもつ子どもがいる家庭には、心強い本だと思う。

  • 意外と身近に疑われる人はいるけど、どうしたらいいのかなって悩んでしまう。
    障害が知られていないから、支援方法も広がらないのかな。
    困っている人はたくさんいるよね、きっと。
    こういう媒体がたくさんできて、周知されるといい。

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