スイート・ホーム

著者 :
  • ポプラ社
3.52
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本棚登録 : 1034
レビュー : 93
  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591156681

作品紹介・あらすじ

幸せのレシピ。
隠し味は、誰かを大切に想う気持ち――。
うつくしい高台の街にある小さな洋菓子店で繰り広げられる、
愛に満ちた家族の物語。

香田陽皆(こうだ・ひな)は、雑貨店に勤める引っ込み思案な二十八歳。
地元で愛される小さな洋菓子店「スイート・ホーム」を営む、腕利きだけれど不器用なパティシエの父、
明るい「看板娘」の母、華やかで積極的な性格の妹との四人暮らしだ。
ある男性に恋心を抱いている陽皆だが、なかなか想いを告げられず……。(「スイート・ホーム」)
料理研究家の未来と年下のスイーツ男子・辰野との切ない恋の行方(「あしたのレシピ」)、
香田一家といっしょに暮らしはじめた〝いっこおばちゃん〟が見舞われた思いがけない出来事(「希望のギフト」)など、
稀代のストーリーテラーが紡ぎあげる心温まる連作短編集。


どんなに疲れて帰ってきても、仕事でうまくいかないことがあっても、
ここまで来れば、もう大丈夫。駅からバスに乗って、ふたつ目のバス停で
下りて、色づき始めた街路樹を眺めながら、甘い香りのする場所へと向かう。
そこでは、おいしいスイーツと、なごやかなパティシエ一家が、
私の到着を待っていてくれる。(本文より)
さりげない日常の中に潜む幸せを掬い上げた、心温まる連作短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • こんなケーキ屋さん…家のそばに欲しい!!!!
    そして宝塚に住みたいと思った。
    マハさんと言えばアート小説のイメージが凄く強いけど、実はこう言う何気ない日常を書き出す小説もめちゃくちゃいい。
    何があるってわけではないけど、日常の実はこれが幸せなんだよ。こう言うことがあるから人って幸せを感じて生きていけるんだよと言う事をそっと見せてくれる小説。
    そう言う小説って出会いたくても出会えないからとっても貴重だと思う。

  • 原田マハさんは大好きな作家さんのひとり。

    『楽園のカンバス』や『たゆたえども沈まず』のような、本の重さよりも、本の中身の方がずっしり重く感じる本。
    かと思えば、『ランウェイ・ビート』のような、ラブコメ。
    どちらも大好き。

    今回読んだ『スイート・ホーム」は暖かくて、甘酸っぱくて。
    このテイストも大好き!

    『楽園のカンバス』『たゆたえども沈まず』はちゃんと読書スタイルで、じっくり読みたい本。
    『スイート・ホーム』は入れたてのコーヒーを傍らに置いて、ソファーで読みたい本。

    読み終えたときには、『楽園のカンバス』等は、美味しいフルコースをいただいて、「もうこれ以上は無理なのでデザートは遠慮します」というような感じ。
    『スイート・ホーム』はカフェのテラス席でデザートをいただいて、「う~~ん、ケーキをもう一ついただこうかな~」というような感じ。


    タイトルの「スイート・ホーム」は宝塚にある小さな洋菓子店。
    香田パティシエ(父)、看板娘の明子さん(母)、長女の陽皆さん、次女の晴日さん。
    秋になるとキンモクセイが香るこのお店は、地元の人々の憩いの場でもある。
    「スイート・ホーム」の家族とご近所さんが作るどこか懐かしさを感じるような甘酸っぱいケーキ。
    そんな連作短編集。

    ふと、有川浩さんの『阪急電車』は阪急今津線が舞台だったなぁ、と思ったり。
    『スイート・ホーム』もそうだけど、関西弁で書かれた小説は、とても懐かしく、心に入り込む。
    あぁ、やっぱり私のホーム・グラウンドは関西なんやわ~
    いつでもどこでも関西弁があふれてる、そんな暮らしが懐かしいなぁ~

    『スイート・ホーム』の最後の一遍は「いちばんめの季節」
    浪人生の由芽ちゃんの合格祝いに香田パティシエが作ったケーキは「プリマヴェーラ」(春の女神)。
    由芽ちゃんのお母さんからのメール。

    由芽、もうすぐ着くかな?
    なんだか、待ちきれなくて。
    香田パティシエが、由芽のために作ってくれたケーキ。「プリマヴェーラ」(春の女神)の写真、送ります。

    この本の最後のページに書かれていた「プリマヴェーラ」
    一昨年亡くした親友が好きだった言葉。
    メールアドレスにも使ってて…
    この本のラストで、親友に会えた…
    最後のページを何度も何度も読み返して…
    しばらく本が閉じられなかった。

    忘れられない一冊に…

  • あ~面白かった。凄く幸せな気持ちになれるし、こういう平和なお話は安心する。
    ミステリーもいいけど、こういうお話はたまに読んでおきたい。

    「スイート・ホーム」というケーキ屋さんが舞台。
    お父さんのパティシエ、お母さん、娘2人。みんないい人。
    登場するご近所さんや、娘の結婚相手さえも素敵過ぎる。

    正直出来すぎ君的な感じもするけど、そんな事は気にしない。
    久しぶりにケーキが食べたくなったかな~

  • 50過ぎのおっさんの感想ではないかもしれませんが、結構こういう何でもない幸せ系の話に弱くなりました。しかもマハさんの文章で語られると涙腺が緩みます。こういう話の場合、登場人物の誰かに感情移入しますが、少し前までは男性の婚約者がそれに該当しましたが、今は完全にお父さんのパティシエに感情移入しました。このような娘に育ってほしいものです。アートものには及びませんが箸休めにはちょうどよい本です。

  • 幸せな涙が溢れる素敵な作品でした。
    短編連作ってスピンオフ的なストーリーが混じっていることが多くて読んでいて楽しいのですが本作はまさにそれで、とても心温まるストーリーが綴られていて、読んでいてとても楽しかったです。
    とある街の小さな洋菓子店「スイート・ホーム」を中心にした人々のお話し。みんなが愛を求めていて、与え合っていて、こんな街に住めたらいいなと思いました。
    人生の節目や旅立ちなど春にぴったりの作品です。いっぱい感動の涙を流せてスッキリしました!

  • スイート・ホームという洋菓子店を中心に心温まる短編集。娘の結婚のお話、おばちゃんのお話、近所の人々のお話、どれもじんわりきました。が、場所は宝塚、某不動産のページで連載されてたということで、綺麗にまとめすぎかなという感。

  • 阪急沿線の宝塚が舞台の本作。
    有川浩の「阪急電車」を思い出す。
    良い作品だったし、こんな街に住めたらいいなぁとかあたたかい気持ちになれたけど、ちょっと全体的にうまくいき過ぎ感が否めないかなぁ。
    そーゆーのをコンセプトにして書いてるから、お伽話感覚でいいのだろうけど、ちょっと鼻白む。

  • 3.5
    東京からの帰り道、大阪・吹田を過ぎ、夜の中国自動車道をさらに西へ走らせ中国池田を過ぎると、やがて右前方に宝塚の山手が見えてくる。
    山の斜面一杯に連なる光の隊列は、まるで宇宙船か、はたまた宇宙基地の様に見えて、毎回高揚感を覚える風景だった。
    宇宙船から見る僕らは、宝石箱の様だったんだ・・・。
    あの、すみれケ丘の上に聳える高層マンションからの景色・・凄いんやろうね。


    宝塚の山の手住宅街。
    溢れる光、澄んだ空気、移りゆく季節の香りをからだいっぱいに感じ取れる街で、バニラとバターの甘い香り・・そして金木犀の馥郁たる香りのハーモニーを奏でるスイーツ店、スイートホーム」を舞台にした短編集。

    ◯スイートホーム
    梅田の雑貨店に勤める長女・陽皆は女性へのプレゼントを買いに来る爽やかな青年・昇に恋心を抱き、告白の決意を固めるが・・
    ◯明日のレシピ
    スイートホームの常連客で料理学校の講師を勤める未来は、ウェブデザイナーで、熱烈なスイーツファンの年下男子・辰野に好意を抱く。サイトの製作をキッカケにグッと距離が縮まる二人。辰野の告白は・・
    ◯希望のギフト
    夫に先立たれた母方の叔母・郁子が、香田家のたっての希望で同居する事に。陽皆夫婦には長女さくらが誕生、次女・晴日にも漸く恋人・真からプロポーズが・・
    ◯めぐりゆく季節
    スイートホーム5つの short short story

  • 阪急の沿線、街角にある小さなパティスリー『スイート・ホーム』を舞台にした物語だ。

    この店の二人の娘や常連客など、さまざまな人たちの恋模様や家族との絆をやさしくあたたかく描いている。

    悪意がまったくなく悪人の登場しない物語は鬱屈も歪みもなく、ひねくれた自分にはどこか絵空事めいて見える。

  • スイート・ホームという洋菓子店さんを核とした、温かな町の、ちょっとした幸せを探す連作短編集。最後はショートショート連作。
    有川浩さんの阪急電車といい、この本といい、阪急やるな。
    こんな素敵な人々が集う町に住みたいと思わせる話ばかりです。
    お手軽ですが、軽すぎずに、十二分に幸せな気分に浸れます。
    表紙のアンディ・ウォーホルの絵も最高。

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著者プロフィール

原田 マハ(はらだ まは)
1962年東京都生まれ。小6から高校卒業まで岡山で育つ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部美術史学専修卒業。
馬里邑美術館、伊藤忠商事株式会社、森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館での勤務を経て、2002年よりフリーのキュレーターとなる。
2005年小説化デビュー作の『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞。2012年『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞、『キネマの神様』で第8回酒飲み書店員大賞をそれぞれ受賞。2013年には『ジヴェルニーの食卓』で第149回直木賞候補、2016年『暗幕のゲルニカ』で第155回直木賞候補となる。2017年『リーチ先生』で第36回新田次郎文学賞受賞となり話題になった。

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