スイート・ホーム

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 1343
レビュー : 153
  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591156681

作品紹介・あらすじ

幸せのレシピ。
隠し味は、誰かを大切に想う気持ち――。
うつくしい高台の街にある小さな洋菓子店で繰り広げられる、
愛に満ちた家族の物語。

香田陽皆(こうだ・ひな)は、雑貨店に勤める引っ込み思案な二十八歳。
地元で愛される小さな洋菓子店「スイート・ホーム」を営む、腕利きだけれど不器用なパティシエの父、
明るい「看板娘」の母、華やかで積極的な性格の妹との四人暮らしだ。
ある男性に恋心を抱いている陽皆だが、なかなか想いを告げられず……。(「スイート・ホーム」)
料理研究家の未来と年下のスイーツ男子・辰野との切ない恋の行方(「あしたのレシピ」)、
香田一家といっしょに暮らしはじめた〝いっこおばちゃん〟が見舞われた思いがけない出来事(「希望のギフト」)など、
稀代のストーリーテラーが紡ぎあげる心温まる連作短編集。


どんなに疲れて帰ってきても、仕事でうまくいかないことがあっても、
ここまで来れば、もう大丈夫。駅からバスに乗って、ふたつ目のバス停で
下りて、色づき始めた街路樹を眺めながら、甘い香りのする場所へと向かう。
そこでは、おいしいスイーツと、なごやかなパティシエ一家が、
私の到着を待っていてくれる。(本文より)
さりげない日常の中に潜む幸せを掬い上げた、心温まる連作短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 宝塚にある、小さな小さな洋菓子店「スイート・ホーム」の家族や(父、母、姉の陽皆、妹の晴日)、周りの人々をめぐる物語の連作短篇集。

    毎年、10月になると庭のキンモクセイの香りに包まれて、家族全員で記念撮影をします。
    最初は、四人だった家族がだんだん増えてゆき、周囲の人にも幸せが訪れる、とっても甘くてとっても優しいストーリーです。

    「お母さんはこんなふうに思うんやけど、どうやろ。家は人が住んで、家庭になる。「ハウス」は人が人と暮らして、時を経て「ホーム」になる。ほんでね。わが家は特別。なんていうても、ただのホームやないから。「スイート・ホーム」やもん」

    第1回目の「スイート・ホーム」は長女の陽皆の恋を巡るお話です。
    「あしたのレシピ」
    「希望のギフト」と続きます。
    そして最終回の「めぐりゆく季節」は登場人物、総出演でとても賑やかです。

    スイーツや心のこもった料理は人を幸せにする魔法の食べ物ですね。私も、近所のケーキ屋さんにスイーツを買いに行きたくなりました。

  • あ~面白かった。凄く幸せな気持ちになれるし、こういう平和なお話は安心する。
    ミステリーもいいけど、こういうお話はたまに読んでおきたい。

    「スイート・ホーム」というケーキ屋さんが舞台。
    お父さんのパティシエ、お母さん、娘2人。みんないい人。
    登場するご近所さんや、娘の結婚相手さえも素敵過ぎる。

    正直出来すぎ君的な感じもするけど、そんな事は気にしない。
    久しぶりにケーキが食べたくなったかな~

  • こんなケーキ屋さん…家のそばに欲しい!!!!
    そして宝塚に住みたいと思った。
    マハさんと言えばアート小説のイメージが凄く強いけど、実はこう言う何気ない日常を書き出す小説もめちゃくちゃいい。
    何があるってわけではないけど、日常の実はこれが幸せなんだよ。こう言うことがあるから人って幸せを感じて生きていけるんだよと言う事をそっと見せてくれる小説。
    そう言う小説って出会いたくても出会えないからとっても貴重だと思う。

  • 原田マハさんは大好きな作家さんのひとり。

    『楽園のカンバス』や『たゆたえども沈まず』のような、本の重さよりも、本の中身の方がずっしり重く感じる本。
    かと思えば、『ランウェイ・ビート』のような、ラブコメ。
    どちらも大好き。

    今回読んだ『スイート・ホーム」は暖かくて、甘酸っぱくて。
    このテイストも大好き!

    『楽園のカンバス』『たゆたえども沈まず』はちゃんと読書スタイルで、じっくり読みたい本。
    『スイート・ホーム』は入れたてのコーヒーを傍らに置いて、ソファーで読みたい本。

    読み終えたときには、『楽園のカンバス』等は、美味しいフルコースをいただいて、「もうこれ以上は無理なのでデザートは遠慮します」というような感じ。
    『スイート・ホーム』はカフェのテラス席でデザートをいただいて、「う~~ん、ケーキをもう一ついただこうかな~」というような感じ。


    タイトルの「スイート・ホーム」は宝塚にある小さな洋菓子店。
    香田パティシエ(父)、看板娘の明子さん(母)、長女の陽皆さん、次女の晴日さん。
    秋になるとキンモクセイが香るこのお店は、地元の人々の憩いの場でもある。
    「スイート・ホーム」の家族とご近所さんが作るどこか懐かしさを感じるような甘酸っぱいケーキ。
    そんな連作短編集。

    ふと、有川浩さんの『阪急電車』は阪急今津線が舞台だったなぁ、と思ったり。
    『スイート・ホーム』もそうだけど、関西弁で書かれた小説は、とても懐かしく、心に入り込む。
    あぁ、やっぱり私のホーム・グラウンドは関西なんやわ~
    いつでもどこでも関西弁があふれてる、そんな暮らしが懐かしいなぁ~

    『スイート・ホーム』の最後の一遍は「いちばんめの季節」
    浪人生の由芽ちゃんの合格祝いに香田パティシエが作ったケーキは「プリマヴェーラ」(春の女神)。
    由芽ちゃんのお母さんからのメール。

    由芽、もうすぐ着くかな?
    なんだか、待ちきれなくて。
    香田パティシエが、由芽のために作ってくれたケーキ。「プリマヴェーラ」(春の女神)の写真、送ります。

    この本の最後のページに書かれていた「プリマヴェーラ」
    一昨年亡くした親友が好きだった言葉。
    メールアドレスにも使ってて…
    この本のラストで、親友に会えた…
    最後のページを何度も何度も読み返して…
    しばらく本が閉じられなかった。

    忘れられない一冊に…

  • 50過ぎのおっさんの感想ではないかもしれませんが、結構こういう何でもない幸せ系の話に弱くなりました。しかもマハさんの文章で語られると涙腺が緩みます。こういう話の場合、登場人物の誰かに感情移入しますが、少し前までは男性の婚約者がそれに該当しましたが、今は完全にお父さんのパティシエに感情移入しました。このような娘に育ってほしいものです。アートものには及びませんが箸休めにはちょうどよい本です。

  • 「 幸せ 」の形って、人によって様々だろうけれど、これは
    まさにドンピシャの幸せの形なんだろう

    紅葉が始まった街路樹の小径を抜けて、いくつかの角を曲がると、どこからともなく甘い香りが漂ってくる
    秋の花、キンモクセイの香り。それから、バニラとバターのいいにおい
    赤い屋根、クリーム色の壁の家、チョコレート色のドア
    一瞬でも早く到着したい 「スィート・ホーム 」

    そこに暮らす穏やかな香田家一家とそこに集まる明るくて楽しい
    地域の人々
    キンモクセイの木の下で撮る家族写真、はじめは4人だったのが5人、6人・・・と次第に増えていくとともに笑顔も増える・・

    心をざわつかせることもなく、スルッーと読めてしまったが、
    私の求めている本とは、違うかな

    関西人として、関西弁での会話は心地よかったけど

  • 「スイート・ホーム」は、関西のとある街にある小さな洋菓子店。
    宝塚のホテルでパティシエを務めたことのある香田シェフとその家族、お店を訪れるお客さんたちの物語。
    とびきりおいしいケーキを作るシェフは、接客もとびきり丁寧で、趣味のカメラで年に一回、家の前の大きな金木犀が花をいっぱいにつける頃、家族全員で記念撮影をする。
    家族がどんどん増えてきて、収まりきれなくなってきた。
    それも幸せ。
    初出は関西の不動産会社のホームページだったらしい。
    そこに載せるにはこれ以上ないほどのお話だ。
    絵にかいたような幸せだけれど、ぜんぜん嫌味じゃない。
    町も季節も美しく、もちろん家の様子も丁寧に描かれる。
    『スイート・ホーム』は洋菓子屋さんの屋号だけれど、幸せな家庭の意味も表わす。
    ――家は人が住んで家庭になる。
    「ハウス」は、人が人と暮らして、時を経て「ホーム」になる――

    『スイート・ホーム』
    『あしたのレシピ』
    『希望のギフト』
    『めぐりゆく季節』秋の桜/ふたりの聖夜/冬のひだまり/幸福の木/いちばんめの季節

  • 幸せな涙が溢れる素敵な作品でした。
    短編連作ってスピンオフ的なストーリーが混じっていることが多くて読んでいて楽しいのですが本作はまさにそれで、とても心温まるストーリーが綴られていて、読んでいてとても楽しかったです。
    とある街の小さな洋菓子店「スイート・ホーム」を中心にした人々のお話し。みんなが愛を求めていて、与え合っていて、こんな街に住めたらいいなと思いました。
    人生の節目や旅立ちなど春にぴったりの作品です。いっぱい感動の涙を流せてスッキリしました!

  • スイート・ホームという洋菓子店を中心に心温まる短編集。娘の結婚のお話、おばちゃんのお話、近所の人々のお話、どれもじんわりきました。が、場所は宝塚、某不動産のページで連載されてたということで、綺麗にまとめすぎかなという感。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    幸せのレシピ。隠し味は、誰かを大切に想う気持ち―。うつくしい高台の街にある小さな洋菓子店で繰り広げられる、愛に満ちた家族の物語。さりげない日常の中に潜む幸せを掬い上げた、心温まる連作短篇集。

    もうね、甘い甘い甘いです。これほど甘いお話初めてですよ。清浄で現実ではありえない位の大甘です。綺麗な町、綺麗な心優しい家族、皆が皆を思いやり悪意が存在しない世界。これほど善意に満ち溢れた世界を構築出来るのがすごい。僕が地縛霊なら完全に浄化されてしまうことでしょう。ぎゃあ!
    男衆も皆心清く誠実で、女性への敬意を忘れずさわやかで優しい。自分がこの世界に放り込まれたらと思うと怖い。回りと比較して自分の汚さに泣いてしまうかもしれません。

    でもこういう本って必要ですよ。小汚い薄汚い世界ばかり見ていると心が荒んできますからね。実際こういう風に清く正しく美しく、諍いも無く愛に溢れて生きている人たちいるのかなあ。もし居たらちょっと怖い位に清澄です。
    原田マハさん今回は自分が持っている糖度を全開放したんだろうと思います。この思いきりは評価したいです。

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著者プロフィール

原田マハ(はらだ まは)
1962年東京都生まれ。小6から高校卒業まで岡山で育つ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部美術史学専修卒業。馬里邑美術館、伊藤忠商事株式会社、森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館での勤務を経て、2002年よりフリーのキュレーターとなる。2005年小説化デビュー作の『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞。2012年『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞、『キネマの神様』で第8回酒飲み書店員大賞をそれぞれ受賞。2013年には『ジヴェルニーの食卓』で第149回直木賞候補、2016年『暗幕のゲルニカ』で第155回直木賞候補となる。2017年『リーチ先生』で第36回新田次郎文学賞受賞。2019年『美しき愚かものたちのタブロー』で第161回直木賞候補に。

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