本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
本 ・本 (327ページ) / ISBN・EAN: 9784591156865
感想・レビュー・書評
-
シリーズ第3弾
どんどん 面白くなってくる。
「紫陽花のひとつひとつの花びらがもう会えないと言っているよう」
「ここにいるどの人にもその人の暮らしがあり、たくさんの過去といまを抱かえて生きている。少しずついろいろなものを失っていくけれど、世界は続いていく。だから、できることをしなくてはいけない。ひとつひとつ、自分の仕事を。」
これまではこれからの物語の展開があまり見えてこなかったけれど、この巻は次への展開が待ち遠しく感じさせるものになっていました。
八木重吉さんの詩集が欲しくなりました。
さて、第4弾が楽しみです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「あれ?活版印刷のお話だったっけ?」と一瞬忘れるほど、各々の話がとってもよい。
シリーズが進んでも、自然な形で前シリーズの人達と繋がりつつ、未来に展開していく。
ほろ苦くて、でも温かく人間味の溢れるお話。
涙がじんわり浮かぶ。
そして併走するように活版印刷が時々出てきて、最後綺麗にお話をまとめる。お見事!!
またしばらく経ってから再読したい!と思うシリーズに出会えました。 -
読み終わってしまうのが勿体なくて楽しみに残しておいたシリーズ第3弾と第4弾だったが、番外編として第5弾と第6弾が刊行されたので急遽読むことに。
「カムパネルラ、僕たちいっしょに行こうねえ。」と活版印刷で作られた栞も取り出してきて読書開始。
このシリーズは心地よく安心して読める。今回もとても良かった。
いろんな人の想いを丁寧な作業で形にしていく弓子さん。
今回は弓子さん本人の母への想いも形になった。
感動が醒めないうちに、完結編である第4弾も引き続き読むことにします。 -
登場人物が増えて、段々と覚えていられるか不安になりながら読み終えました。
このシリーズの良いところは人のあまり綺麗ではない部分も見せていて、活版印刷に関わる事で自分の本当の気持ちを見つめ直し負の部分の気持ちを昇華していくそんなお話なので読み終えるとほっとします。
この先のシリーズも楽しく読めそうです。 -
-
おはようございます。
シリーズが進むにつれ、面白くなっていきますよね。
思いを形にする仕事。
本当に素敵ですよね。
番外編の...おはようございます。
シリーズが進むにつれ、面白くなっていきますよね。
思いを形にする仕事。
本当に素敵ですよね。
番外編の第5弾、第6弾も是非。2020/03/10 -
dolphin43さん、おはようございます。
このシリーズは読み進める度に、深く濃くなっていきますね。
ますます面白くて止まりません。
弓...dolphin43さん、おはようございます。
このシリーズは読み進める度に、深く濃くなっていきますね。
ますます面白くて止まりません。
弓子さんをこれからも応援しなくちゃ(*^^*)
第5、第6弾の番外編もとても楽しみです(^-^)
コメントをありがとうございました!2020/03/10
-
-
シリーズも3作目となった
静かで穏やかな雰囲気が大好きだが、初めからどこか淋しい悲しげな空気を感じていた。弓子さんが三歳の頃に母を亡くし、父や祖父母も亡くなって身寄りがないということからくる淋しさであろうか
顔も覚えていない母カナコの大学時代の親友が現れ、弓子に母の青春時代を語る
母が作った短歌を辿りながら母の故郷盛岡も訪ね、生きていく意味や三日月堂を続けていく意義を見出していく
「死」を覚悟した母カナコの短歌や詩人八木重吉の詩を読みながら、幼い子を遺して死んでいく親の胸を掻きむしられるような深い悲しみや怒りを感じ、生きる意味を考えさせられた
夏が来るまぼろしみたいななにもかも
生きてることも生きてたことも
やわらかな弓子を抱いていたいよ
ずっと星になっても闇になっても
ねえ弓子泣いちゃダメだよいまここに
あるものみんななくならないよ
踊 八木重吉
冬になって
こんな静かな日はめったにない
桃子をつれて出たらば
櫟林のはずれで
子供はひとりでに踊りはじめた
両手をくくれた顎のあたりでまわしながら
毛糸の深紅の頭巾をかぶって首をかしげ
しきりにひょこんひょこんやっている
ふくらんで着こんだ着物に染めてある
鳳凰の赤い模様があかるい
きつく死をみつめた私のこころは
桃子がおどるのを見てうれしかった
工場の片隅に眠っていた平台を動かす決意を固めた弓子さん
シリーズ最後の4巻に、すばらしいラストが待っている予感!
ここで知った八木重吉の詩も改めてじっくり読んでみたい
-
一番大切なものはお金じゃない。
もちろんお金は大切だけれど、充実感や満足感、達成感、心の豊かさ、人としての魅力って、お金とはまた別のなにかにあるんだなぁっていうのをじんわりと心の中に感じることができた。
もしも、今、自分が別のことをして生きるとしたら…どんなことができるだろうか。
作中に出てきた「心打たれる」というひと言に胸いっぱいになる。
読み終えると共に、涙が溢れ出して止まらない。
私も、生きているうちに、こんな風に心が動くものごとと歩みを共にしたい。
生活のためとか、仕事だからとか、そういうのではなく、自分の心の奥底から喜びが湧き上がってきて時間も忘れるくらいに夢中になれるなにかと共に過ごしたい。
なんだか分からないけれど、涙と一緒に、そんな風に心の中から声が溢れ出てきた。 -
シリーズもの。
誰かを嫉妬したり、大事な人との思い出を再度紡ぎ直したり…
活版を通して、今回も温かい気持ちになりました。 -
シリーズ3作目。このシリーズは本当に、前勤めていた印刷会社の人たちにお勧めしたい本だなぁ。今印刷業界は、斜陽産業とか結局は捨てられてしまう物を作っているとか酷い言われようだけど、この本を読むと「思いを文字にして世に出す」ことの特別さが自然と感じられてスッとする。
今回は「カナコの歌」「川の合流する場所で」が好きだった。弓子さんの母親についても本作で知ることができた。何だか弓子さんと一緒に働いている気分になってきたな。自分も活版印刷で何か作ってみたくなった。今年の年賀状は活版印刷で作ろうかな。 -
シリーズ第三弾。
今回も各話、ええ話でじんわりと心に染み入ってきます。
第二話「カナコの歌」の扉が、活版で印刷された短歌の写真なのですが、その味わい深さにやっぱり“紙に印刷”っていいよねー・・と、このペーパーレスといわれているご時世に逆行の思いを抱いた次第です。
その短歌がこちら(作中に出てきます)
<あの夏は愛するものもまだなくてひこうき雲に憧れていた>
BGMにユーミンの「ひこうき雲」を流すと、歌詞の“あの子の命はひこうき雲・・・”と、第二話の話の内容とリンクしてジワるを通り越して泣けてきます。
人の想いの温かさや切なさ。それを表現する言葉(ことの葉)の美しさを活字を通して実感できるって素敵だなぁ、としみじみ。
そして話は、三日月堂に置かれているものの、動かすことができなかった“平台”と呼ばれる機械が、盛岡の老舗印刷会社の方の協力を得て、いよいよ動くかも・・という展開になってきています。
三日月堂の今後の経営がどういう方向にいくのか、次巻が楽しみです。 -
シリーズ3作目。今回もどの話も、とても良かった。
特に「カナコの歌」は、泣ける。弓子さんの亡くなった母の友人たちの話。
どっちの立場もわかる気がして、せつない。
「庭のアルバム」は、楓さんが作った萩のカードの実物が見てみたい。
活版印刷で、カラー刷りができるなんて、知らなかった。きっとすごくきれいなんだろうなぁ。
「川の合流する場所で」は、弓子さんの今後に影響を及ぼす出会い⁈あり。このあとどんな展開になっていくのか、気になります。 -
活版印刷三日月堂シリーズ第3弾。
チケットと昆布巻き
カナコの歌
庭のアルバム
川の合流する場所で
弓子さんの気持ちの揺らぎが切ない。
でも…
前を向いて行こう!という、勇気をもらえる一冊。
良いシリーズです。 -
主人公がますます前へと進んでいた一冊だった。本作では人々の姿に泣かされた。「庭のアルバム」では故人の祖父の不器用な優しさとこれまた不器用で頑固者の祖母に、「川の合流する場所で」は不思議なめぐり合わせで弓子の背中を押す社長と、盛岡の地で叫ぶ弓子の姿に。2,3と一気に読んでよかった。またこの作者は情景描写が巧みだなぁとあらためて感じた。活字に囲まれた三日月堂の事務所の中、川越や盛岡の風景が目に浮かぶよう。そして活版印刷で作られた作品も目に浮かぶよう。また今回は一話ごとの扉の写真がとても印象的でよかった。いい本の作り方だなぁ。本作品自体が活版印刷でないのは残念だが(難しいよね)。
-
三日月堂で働く人が増えそうな予感✨
小さな印刷物がメインの印刷屋から、次のステップへ。本が印刷できる平台が動く日もすぐそこ。
①人生に焦り、人と比べて落ち込むなんて、若い時期は日常茶飯事。本当にやりたい事は見つけれますか。
②弓子さんのお母さんが生前作った短歌を印刷する。バンドを組んでたメンバーとの確執や、仲直り、成長。
③不登校の高校生の子が、活版印刷に興味を覚え、バイトに入る。自分に自信を持って生きるのは難しい。でも、まずは、目の前の興味ある事を追い求めよう。人生の成功はひとつじゃない。
④活版印刷のイベントで、同じ平台を持つ盛岡の印刷会社の方と知り合い、平台の練習をさせてもらったり、修理してもらえる事になったり。
未来への一歩が開けた話。 -
シリーズ3作目。
前作のラストで作成した大作「ウエスタン」がお披露目となり、たまたま街ブラの雑誌編集者が取材したことにより、自分の仕事が他の同級生に比べ、レベルが低いと感じていた彼が活版印刷と出会うことで、自分の仕事の価値を見直す「チケットと昆布巻き」。その雑誌をたまたま手に取った弓子の母の同級生の三日月堂への再訪から始まる、弓子の母の遺した短歌を綴ったカードを作ることになる「カナコの歌」そのカードを受け取った弓子の母の同級生の娘が目にすることで、夏休みのワークショップを受けることになる「庭のアルバム」
その「庭のアルバム」で作成したポストカードを展示会で出店したことにより、出会う盛岡の大きな印刷会社の人々。
弓子が一人一人に対して誠実に対応しているように見えるが、実はその誠実さの恩返しとして、様々なアイデアを得て、弓子が成長する過程が描かれる。
動かせなかった大きな印刷機を動かせる機会も訪れ、今後、弓子の三日月堂がどう成長していくのか?
そして、これまでにかかわった人物たちの成長の様子も多分描かれると思うと、今後も楽しみな作品。
人間、完璧じゃなくても、やれることをやっていれば、いつか報われる日が来る。苦しい日々ばかりではない。
そんなことを教えてくれる作品。
今、こんな世の中だからこそ、物語だとは分かっていても、救いを求めずにいられない。
「カナコの歌」「庭のアルバム」は心に残る。 -
これは圧巻、のシリーズ第三弾。
自分と大学の同期たちとの格差に悶々とする「チケットと昆布巻き」、弓子の母の友人がでてくる「カナコの歌」、学校にうまく馴染めない高校生が植物の写生画を通して人と向き合う「庭のアルバム」、最後に大きく物語が動きそうな「川の合流する場所で」。
面白かったです。
前巻までのテイストは引き継ぎつつ、うまく乗せた感じで。
どれも胸にくるお話でしたが、身につまされたのは「カナコの歌」かな。
大学の時、自分がこんな風になるなんて、思ってもいなかったなぁ、としみじみとおもいました。
結婚して子供を持つ人、そして独身のまま変わらないようで変わってしまう家族を抱える人。
すごく沁みました。 -
活版印刷所を一人で営む弓子。今回は死と生きていく人のお話でした。すっごく、今の自分にしっくりきた。印刷業界の人だけではなく、いろいろな仕事をしていく上で、生きていく上で、私ももう人生の半分を過ぎて、死に向かっている。でも、だれでも死なない人なんていないから、死に向かっているというのは若くても変わらない。そんな中、何を残していくか、何も残さなくても何していくか、は自分が決めていくんだなあと思いました。活版印刷なんて旧文化のものだろ、所詮ファッションみたいなことを思われる「チケットと昆布巻き」。その後の三作は弓子さんの若くして亡くなったお母さんと、弓子さんが生きていく上での「活版印刷」で何をしていきたいのか、という話でした。おすすめです。
私は、どんな立場のひとでも、幸せだけでぼんやりすごしているとは思っていなくて、幸せなロマンス小説の主人公でも、なんかあるだろうなあといつも思っています。
著者プロフィール
ほしおさなえの作品





