活版印刷三日月堂 雲の日記帳 (ポプラ文庫)

  • ポプラ社 (2018年8月3日発売)
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本 ・本 (335ページ) / ISBN・EAN: 9784591159996

作品紹介・あらすじ

小さな活版印刷所「三日月堂」。店主の弓子が活字を拾い刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった言葉。仕事を続ける中で、弓子が見つけた「自分の想い」と、「三日月堂の夢」とは――。感動の涙が止まらない、大人気シリーズ完結編!

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第四弾。

    今回も4作の連作。
    これまでは主人公の弓子さんの周りの人が中心となっていましたが、少しずつ中心となる三日月堂に向かってきた感じ。

    「自分の身体も財産も借りものでしょ?大切な人も、大事にしていたものも、最後はすべて世界に返さなくちゃならない。・・・でも、その人の思い、記憶、夢だけはその人とともに消える。その人だけのものなんです。形のない夢だけがその人の持ち物なんですよ。だから、大事にしなくちゃいけない。」

    「慣れたことだけをしてたらダメなんだ。」

    「仕事こそ。人の生きる道ですよ。」

    「宛先のない魂のかけら。強い思いや欲望のかけら。それが本という形になり、世界に飛んでいく。たんぽぽの綿毛のように。」

    どんどん展開が進んできました。
    さてどこまでいくのか?

    続けてこのシリーズを読むつもりです。

    • やまさん
      各位

      昨年ブクロクに登録した本の中からベスト7を選びました。
      なお、平成31(2019)年3月27日に読み終わった本からブクロクで管...
      各位

      昨年ブクロクに登録した本の中からベスト7を選びました。
      なお、平成31(2019)年3月27日に読み終わった本からブクロクで管理するようにしています。
      ① なんとなく・青空 / 工藤直子 / 詩 / 本 /読了日: 2019-12-11
      ② 螢草 / 葉室麟 / 本 / 読了日: 2019-12-16
      ③ あなたのためなら 藍千堂菓子噺 / 田牧大和 / 本 /読了日: 2019-04-10
      ④ 甘いもんでもおひとつ 藍千堂菓子噺 / 田牧大和 / 本 / 読了日: 2019-05-04
      ⑤ あきない世傳 金と銀(七) 碧流篇 / 田郁 / 本 /読了日: 2019-09-14
      ⑥ てらこや青義堂 師匠、走る / 今村翔吾 / 本 / 読了日: 2019-08-27
      ⑦ ひかる風: 日本橋牡丹堂 菓子ばなし(四)  / 中島久枝 / 本 / 読了日: 2019-07-23
      ※もしよろしければ、皆様の昨年感想を書かれたものの中からベストの順位を教えて頂けたら嬉しいです。

      やま
      2020/02/07
    • いるかさん
      やまさん ありがとうございます。

      1 そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ
      2 愛なき世界 三浦しをん
      3 遠雷 恩田陸
      4 明...
      やまさん ありがとうございます。

      1 そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ
      2 愛なき世界 三浦しをん
      3 遠雷 恩田陸
      4 明日の子供たち 有川浩
      5 どんまい 重松清

      という感じです。
      これからもよろしくお願いいたします。
      2020/02/07
    • やまさん
      dolphin43さん
      こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ
      愛なき世界 三浦しをん
      ...
      dolphin43さん
      こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ
      愛なき世界 三浦しをん
      遠雷 恩田陸
      明日の子供たち 有川浩
      どんまい 重松清
      書店で字の大きさを確認してみます。
      読める字の大きさであれば、図書館に予約します。
      有難う御座います。
      やま
      2020/02/08
  • 良かったです。
    人の思いがぎゅっと詰まったお話に惹かれます。

    お話も良かったですが、活版印刷のコラボ企画の案内が本に挟まっていました。
    この頃にこの本と出会えていたら参加したかったのにと残念に思いましたが、印刷博物館は今も活版印刷のイベントが行われているようなのでこれには是非参加してみたいです。

    • Manideさん
      いいですよね、このシリーズ。

      私も何度も活版印刷に参加しようと思ってきましたが、印刷博物館、いいですね。
      今は予約枠なかったですが、私も今...
      いいですよね、このシリーズ。

      私も何度も活版印刷に参加しようと思ってきましたが、印刷博物館、いいですね。
      今は予約枠なかったですが、私も今年こそ、やってみようと思いました(^^)
      2025/03/30
  • 街の木の地図の中で、目に見えない心の中の大切な部分に惹かれるものを感じた。
    そういうことに私の心って動くんだなぁと、本を読んで再認識できる。
    街の木の地図にある「木が地面の下の水を吸いあげるように、人々の心を吸いあげているように感じた。」街の住人の話。こういう表現、魅力的だ。
    ブクログのおかげで読書習慣が定着したわけだが、読書によって得られる豊かさのひとつに、自分自身が気づいていない心の中にある、自分の心が喜ぶ分野が分かるっていうものもある気がする。
    今の自分にはまだ分からないけれど、そういう喜びを感じられるなにかを取り入れて生活していけると人生そのものがもっと彩り豊かなものになっていくだろうなぁという気がする。
    私にとってそれがなんなのか…小さな扉を開き始めたような地点に今いる気がする。

  • いよいよ完結編。
    昨年行ってきた奈良のキトラ古墳の天文図なんかが出てきて歴史を感じたり、
    木や雲の話題が散りばめられていて、いせひでこさんの絵本の世界ともリンクしてしまいました。

    この物語は、登場人物が心の中で思っている言葉に共感を覚えます。例えば、
    「ふだんは語らないけど、みんないろんな経験があって、なにかを感じたり、思ったりしながら生きているんだな、って」
    「言葉はいつも人と人との間にあって、所有することはできない。自分が発するどんな言葉も、もともとは外からやってきたものだ。本が好きな人はそのことを知っている。」

    すべてが「こうなればいいな」という結末になって、ほっとした気分で読み終えることができました。
    川越にも行ってみたくなっちゃいますね。

    -- ご参考 --
    以下のサイトで、三日月堂のジオラマや小説の中で作られた作品が見られます。
    ネタバレになりますので、本編(完結編)を読み終わってから余韻に浸ってください。

    印刷博物館×活版印刷三日月堂 コラボ企画展
    https://hoshiosanae.jimdo.com/%E5%8D%B0%E5%88%B7%E5%8D%9A%E7%89%A9%E9%A4%A8-%E4%B8%89%E6%97%A5%E6%9C%88%E5%A0%82%E4%BC%81%E7%94%BB%E5%B1%95/

  • 弓子一人で始めた三日月堂も、今では大勢の人が集まる賑やかな場となった。
    機械を動かす音に混じって聴こえる楽しそうな話し声や笑い声。
    活版印刷に導かれた人が、また新たな人と繋がり輪を作り、素敵な縁を結んでいく。
    活版印刷によって大切な思いが形となり、周囲の人にも伝わる幸せの連鎖に感動した。

    静かなようで意外と頑固。
    いつも相手のことを思い、寄り添い続ける。
    そんな弓子と、弓子に魅了された三日月堂の仲間達のこれからに思いを馳せて。
    三日月堂の新たな展開にも期待して。

    これが取り敢えずの完結編。
    けれど、これでさよならなんてあり得ない。
    第5、第6弾で三日月堂の仲間達と再会する日を心待ちにしたい。

  • とうとう終わってしまった
    たった一人で始めた活版印刷三日月堂、今では、人が集い、話し声や笑い声やいろいろな機械の音で活気に満ちている

    弓子さんの人に寄り添い、その思いを何とか形にしようとする真摯な人柄 と活版印刷の魅力が人を惹きつけるのだろう

    私がこの本を気に入ったのは、次のような理由から

    1 本が好き、活字が好きなものにとっては、言葉が形あるものになっていく過程は何より楽しい
    言葉にまつわる名言もたくさん!

    2 4巻に渡って、活版印刷で作られた多数の作品はとても魅力的で、制作過程の描写が詳細で、楽しめる
    どれも手に取って見てみたいし、欲しくなった

    3 一度訪れたことのある川越が舞台だったので、光景が浮かんできた


    山村 暮鳥
    おうい雲よ
    いういうと
    馬鹿にのんきさうぢやないか
    どこまでゆくんだ
    ずつと磐城平の方までゆくんか

    なぜかこの詩が気に入ってしまった
    水上さんのように、ぼっーと窓から刻々と変わる雲の形を眺めていたいなと思った

  • シリーズもの。

    各々の思いが伝わって良かったです。
    やりたいことが一人だと無理と思っても、一緒にやる人がいれば、いつか叶えられるかもしれません。希望をもつことも大事だなと思いました。

  • シリーズ最終章。
    やっと主人公、弓子の物語になった感じ。
    「雲の日記帳」は、辛い話だが、私には、シリーズの中では一番感動的だった。
    それまで、弓子が周りに影響を与えることが多かったが、今度は、水上に心動かされる。
     怖いけれど、一歩踏み出す。そして、人も夢も動き出す。
    321ページ
    “前略…みんな、いつか死ぬ。人間はそれを知ったうえで生きている。ほんとうに賢かったら、生きるのをやめてしまうでしょう”

    ここ、ぐっときたなぁ…。

    番外編も気になります。

  • シリーズ4作目。「シリーズ完結編」と書いてあるけれど、調べるとその後も6巻まで出ている模様。5は番外編で過去の話、6は少し未来の話だとか。
    4では三日月堂が少し成長して大きくなっていく経過が書かれている。最初は弓子さん一人でやっていたのが、いつの間にか悠生や楓がいなくてはならない存在になっていて、更に協力者も増えて賑やかになっていく。
    今回も日頃抱えている生きることや仕事に対する迷いや躊躇いを言葉にしてくれて、さらに思い切って踏み出してと後押ししてくれるような言葉がたくさんあった。あたたかくて安心できるシリーズ。
    ほしおさなえさんの著作はこのシリーズしか読んだことが無いので、他のものも是非読んでみたい。

    ●印象的な言葉
    「落ちた時に自分のせいだと思ってたらキリがないよ。自分じゃなくて相手が悪いって思った方がいいよ。そうしないと負けるよ。」
    「言葉にも根っこがあるのかもしれない。目に見える葉や幹の下に根っこが伸びて土の中に広がって。地面の中で他の根っこと出会ったり、絡まり合ったりしてるのかも。」
    「言葉はいつも人と人の間にあって所有することはできない。自分が発するどの言葉も元々は外からやってきたものだ。」
    「人ははっきり説明できるような役割なんてなくても生きていていいんだよ。その人がいることで助かっている人は必ずいるんだ。」
    「自分の身体も財産も借り物。大切な人も物も最後は全て世界に返さないといけない。仕事・業績・人のためにしたこと、生きるためにしたことは何もかも世界のものでその人の死後もこの世に残る。本人は持っていけない。でも、その人の思い・記憶・夢だけはその人と共に消える。その人だけのもの。形のない夢だけがその人の持ち物。」
    「夢っていうのはそもそも自分勝手なもの。世のためになるかもわからないし、人に迷惑もかける。それでも引かずに求め続けた人だけが叶えることができる。」

  • シリーズ第4弾。完結編というけれど、まだまだ未来に続いていきそうなかんじ。
    人と人とがどんどんつながっていくのも素敵だし、弓子さんだからこそ、こんなに温かい人々が集まってくるのだろう。
    最後は少し駆け足で進んでしまうかんじもあったが、やはりシリーズを通して、温かい空気感はそのまま。
    「街の木の地図」と「雲日記」は実物が欲しい!
    活版印刷って、こんなにも人を惹きつける力があるんですね。
    私もワークショップに参加してみたいなぁ。

    それにしても、あと2冊番外編があるようですが、これで完結はさみしいなぁ。まだまだ三日月堂を見ていたい気分です。

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著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『三ノ池植物園標本室(上・下)』など。

「2021年 『東京のぼる坂くだる坂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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