活版印刷三日月堂 雲の日記帳 (ポプラ文庫 ほ 4-4)

  • ポプラ社
4.31
  • (170)
  • (148)
  • (43)
  • (6)
  • (0)
本棚登録 : 1336
感想 : 127
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591159996

作品紹介・あらすじ

小さな活版印刷所「三日月堂」。店主の弓子が活字を拾い刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった言葉。仕事を続ける中で、弓子が見つけた「自分の想い」と、「三日月堂の夢」とは――。感動の涙が止まらない、大人気シリーズ完結編!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • シリーズ第四弾。

    今回も4作の連作。
    これまでは主人公の弓子さんの周りの人が中心となっていましたが、少しずつ中心となる三日月堂に向かってきた感じ。

    「自分の身体も財産も借りものでしょ?大切な人も、大事にしていたものも、最後はすべて世界に返さなくちゃならない。・・・でも、その人の思い、記憶、夢だけはその人とともに消える。その人だけのものなんです。形のない夢だけがその人の持ち物なんですよ。だから、大事にしなくちゃいけない。」

    「慣れたことだけをしてたらダメなんだ。」

    「仕事こそ。人の生きる道ですよ。」

    「宛先のない魂のかけら。強い思いや欲望のかけら。それが本という形になり、世界に飛んでいく。たんぽぽの綿毛のように。」

    どんどん展開が進んできました。
    さてどこまでいくのか?

    続けてこのシリーズを読むつもりです。

    • やまさん
      各位

      昨年ブクロクに登録した本の中からベスト7を選びました。
      なお、平成31(2019)年3月27日に読み終わった本からブクロクで管...
      各位

      昨年ブクロクに登録した本の中からベスト7を選びました。
      なお、平成31(2019)年3月27日に読み終わった本からブクロクで管理するようにしています。
      ① なんとなく・青空 / 工藤直子 / 詩 / 本 /読了日: 2019-12-11
      ② 螢草 / 葉室麟 / 本 / 読了日: 2019-12-16
      ③ あなたのためなら 藍千堂菓子噺 / 田牧大和 / 本 /読了日: 2019-04-10
      ④ 甘いもんでもおひとつ 藍千堂菓子噺 / 田牧大和 / 本 / 読了日: 2019-05-04
      ⑤ あきない世傳 金と銀(七) 碧流篇 / 田郁 / 本 /読了日: 2019-09-14
      ⑥ てらこや青義堂 師匠、走る / 今村翔吾 / 本 / 読了日: 2019-08-27
      ⑦ ひかる風: 日本橋牡丹堂 菓子ばなし(四)  / 中島久枝 / 本 / 読了日: 2019-07-23
      ※もしよろしければ、皆様の昨年感想を書かれたものの中からベストの順位を教えて頂けたら嬉しいです。

      やま
      2020/02/07
    • いるかさん
      やまさん ありがとうございます。

      1 そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ
      2 愛なき世界 三浦しをん
      3 遠雷 恩田陸
      4 明...
      やまさん ありがとうございます。

      1 そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ
      2 愛なき世界 三浦しをん
      3 遠雷 恩田陸
      4 明日の子供たち 有川浩
      5 どんまい 重松清

      という感じです。
      これからもよろしくお願いいたします。
      2020/02/07
    • やまさん
      dolphin43さん
      こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ
      愛なき世界 三浦しをん
      ...
      dolphin43さん
      こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ
      愛なき世界 三浦しをん
      遠雷 恩田陸
      明日の子供たち 有川浩
      どんまい 重松清
      書店で字の大きさを確認してみます。
      読める字の大きさであれば、図書館に予約します。
      有難う御座います。
      やま
      2020/02/08
  • いよいよ完結編。
    昨年行ってきた奈良のキトラ古墳の天文図なんかが出てきて歴史を感じたり、
    木や雲の話題が散りばめられていて、いせひでこさんの絵本の世界ともリンクしてしまいました。

    この物語は、登場人物が心の中で思っている言葉に共感を覚えます。例えば、
    「ふだんは語らないけど、みんないろんな経験があって、なにかを感じたり、思ったりしながら生きているんだな、って」
    「言葉はいつも人と人との間にあって、所有することはできない。自分が発するどんな言葉も、もともとは外からやってきたものだ。本が好きな人はそのことを知っている。」

    すべてが「こうなればいいな」という結末になって、ほっとした気分で読み終えることができました。
    川越にも行ってみたくなっちゃいますね。

    -- ご参考 --
    以下のサイトで、三日月堂のジオラマや小説の中で作られた作品が見られます。
    ネタバレになりますので、本編(完結編)を読み終わってから余韻に浸ってください。

    印刷博物館×活版印刷三日月堂 コラボ企画展
    https://hoshiosanae.jimdo.com/%E5%8D%B0%E5%88%B7%E5%8D%9A%E7%89%A9%E9%A4%A8-%E4%B8%89%E6%97%A5%E6%9C%88%E5%A0%82%E4%BC%81%E7%94%BB%E5%B1%95/

  • 弓子一人で始めた三日月堂も、今では大勢の人が集まる賑やかな場となった。
    機械を動かす音に混じって聴こえる楽しそうな話し声や笑い声。
    活版印刷に導かれた人が、また新たな人と繋がり輪を作り、素敵な縁を結んでいく。
    活版印刷によって大切な思いが形となり、周囲の人にも伝わる幸せの連鎖に感動した。

    静かなようで意外と頑固。
    いつも相手のことを思い、寄り添い続ける。
    そんな弓子と、弓子に魅了された三日月堂の仲間達のこれからに思いを馳せて。
    三日月堂の新たな展開にも期待して。

    これが取り敢えずの完結編。
    けれど、これでさよならなんてあり得ない。
    第5、第6弾で三日月堂の仲間達と再会する日を心待ちにしたい。

  • とうとう終わってしまった
    たった一人で始めた活版印刷三日月堂、今では、人が集い、話し声や笑い声やいろいろな機械の音で活気に満ちている

    弓子さんの人に寄り添い、その思いを何とか形にしようとする真摯な人柄 と活版印刷の魅力が人を惹きつけるのだろう

    私がこの本を気に入ったのは、次のような理由から

    1 本が好き、活字が好きなものにとっては、言葉が形あるものになっていく過程は何より楽しい
    言葉にまつわる名言もたくさん!

    2 4巻に渡って、活版印刷で作られた多数の作品はとても魅力的で、制作過程の描写が詳細で、楽しめる
    どれも手に取って見てみたいし、欲しくなった

    3 一度訪れたことのある川越が舞台だったので、光景が浮かんできた


    山村 暮鳥
    おうい雲よ
    いういうと
    馬鹿にのんきさうぢやないか
    どこまでゆくんだ
    ずつと磐城平の方までゆくんか

    なぜかこの詩が気に入ってしまった
    水上さんのように、ぼっーと窓から刻々と変わる雲の形を眺めていたいなと思った

  • シリーズ最終章。
    やっと主人公、弓子の物語になった感じ。
    「雲の日記帳」は、辛い話だが、私には、シリーズの中では一番感動的だった。
    それまで、弓子が周りに影響を与えることが多かったが、今度は、水上に心動かされる。
     怖いけれど、一歩踏み出す。そして、人も夢も動き出す。
    321ページ
    “前略…みんな、いつか死ぬ。人間はそれを知ったうえで生きている。ほんとうに賢かったら、生きるのをやめてしまうでしょう”

    ここ、ぐっときたなぁ…。

    番外編も気になります。

  • シリーズ4作目。「シリーズ完結編」と書いてあるけれど、調べるとその後も6巻まで出ている模様。5は番外編で過去の話、6は少し未来の話だとか。
    4では三日月堂が少し成長して大きくなっていく経過が書かれている。最初は弓子さん一人でやっていたのが、いつの間にか悠生や楓がいなくてはならない存在になっていて、更に協力者も増えて賑やかになっていく。
    今回も日頃抱えている生きることや仕事に対する迷いや躊躇いを言葉にしてくれて、さらに思い切って踏み出してと後押ししてくれるような言葉がたくさんあった。あたたかくて安心できるシリーズ。
    ほしおさなえさんの著作はこのシリーズしか読んだことが無いので、他のものも是非読んでみたい。

    ●印象的な言葉
    「落ちた時に自分のせいだと思ってたらキリがないよ。自分じゃなくて相手が悪いって思った方がいいよ。そうしないと負けるよ。」
    「言葉にも根っこがあるのかもしれない。目に見える葉や幹の下に根っこが伸びて土の中に広がって。地面の中で他の根っこと出会ったり、絡まり合ったりしてるのかも。」
    「言葉はいつも人と人の間にあって所有することはできない。自分が発するどの言葉も元々は外からやってきたものだ。」
    「人ははっきり説明できるような役割なんてなくても生きていていいんだよ。その人がいることで助かっている人は必ずいるんだ。」
    「自分の身体も財産も借り物。大切な人も物も最後は全て世界に返さないといけない。仕事・業績・人のためにしたこと、生きるためにしたことは何もかも世界のものでその人の死後もこの世に残る。本人は持っていけない。でも、その人の思い・記憶・夢だけはその人と共に消える。その人だけのもの。形のない夢だけがその人の持ち物。」
    「夢っていうのはそもそも自分勝手なもの。世のためになるかもわからないし、人に迷惑もかける。それでも引かずに求め続けた人だけが叶えることができる。」

  • シリーズ第4弾。完結編というけれど、まだまだ未来に続いていきそうなかんじ。
    人と人とがどんどんつながっていくのも素敵だし、弓子さんだからこそ、こんなに温かい人々が集まってくるのだろう。
    最後は少し駆け足で進んでしまうかんじもあったが、やはりシリーズを通して、温かい空気感はそのまま。
    「街の木の地図」と「雲日記」は実物が欲しい!
    活版印刷って、こんなにも人を惹きつける力があるんですね。
    私もワークショップに参加してみたいなぁ。

    それにしても、あと2冊番外編があるようですが、これで完結はさみしいなぁ。まだまだ三日月堂を見ていたい気分です。

  • シリーズ第四弾。

    活版印刷所「三日月堂」をめぐるシリーズも、この巻で本編完結との事で、一巻からの登場人物達が次々と登場するのも感慨深いですね。
    登場当初は、運送会社でバイトをしていた弓子さんもすっかり三日月堂店主として板についてきた感じです。何より三日月堂という印刷所が、訪れる人達に気づきや癒しを与える場所になっていますよね。
    この巻のハイライトは水上さんの本づくりの場面かと思うのですが、今まで三日月堂に関わってきた人達に加えて、水上さんの旧友の方々が一丸となって“活版印刷で本を作る”という、とんでもなく手間がかかることに取り組む様子に胸が熱くなりました。(でも楽しそう!)
    このシリーズに出てくる人達は、皆真面目で良い人ばかり。誰より、弓子さんが自分より人の事を優先しがちな人でしたが、そんな弓子さんと同じ夢を持つ悠生さんが一緒になってくれて何よりです。
    このシリーズには素敵な台詞が沢山ありましたが、本書の中にあった、“人は、はっきり説明できるような役割なんてなくても、生きていいんだよ・・”という台詞が個人的にいいなぁと思いました。
    本編は完結ですが、番外編が出ているようなので、そちらも勿論読ませて頂く所存です。

  • 死に向かうとき、死を味わっているんしゃないか、、、
    夢だけがその人の持ち物なんじゃないか、、、

  • シリーズ完結編。
    川越の小さな運送屋さんのハルさんの思い付きから始まった、活版印刷三日月堂の復活。
    人と人との縁がどんどん繋がり、前作では弓子さんが動かせなくて困っていた大型の印刷機を動かす目途も立ち、完結編となる今作ではとうとう本を一から作成することに挑戦する。
    悩みながらも、たくさんの人々に支えられて、どんどん立派になっていく弓子さんと三日月堂は、川越に行ったら、本当にありそうで、架空の話とは思えないくらい、私にとって身近な作品となった。
    依頼人の希望には笑顔で答えつつも、「本当に自分に出来るのかしら…」と常に迷う弓子さんの姿は、自分自身の迷いも重なり、つい応援してしまうし、上手く行った時には一緒に安堵し、涙する。
    帯にあるような「号泣」ではないけど、優しい涙が頬を伝う作品であることには間違いない。
    本編は今作で完結のようだが、過去と未来をそれぞれ描いた番外編が2冊あるので、そちらも楽しみ。

    • kurapapaさん
      面白そうですね。シリーズ全部読んだことないので、本棚に登録しました!
      面白そうですね。シリーズ全部読んだことないので、本棚に登録しました!
      2020/05/20
    • バス好きな読書虫さん
      是非読んでみて下さい!面白いと言うより、心が疲れた時に読むのがおすすめです。
      是非読んでみて下さい!面白いと言うより、心が疲れた時に読むのがおすすめです。
      2020/05/20
全127件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『三ノ池植物園標本室(上・下)』など。

「2021年 『東京のぼる坂くだる坂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ほしおさなえの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
上橋 菜穂子
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×