江の島ねこもり食堂 (ポプラ文庫 な 15-1)

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591160015

作品紹介・あらすじ

ある食堂にもたらされた、百年目の奇跡。江の島で食堂を継ぐ女たちが懸命に生きたそれぞれの人生を描く感動作。

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書籍の内容
江の島に「ねこもりさん」と呼ばれる女たちがいた。それは島の猫の世話をするという、とある食堂の隠れた仕事。
1912年のすみゑ、1967年の筆、1988年の溶子、そして2017年の麻布。一家の女たちが、ねこもりとして生きたそれぞれの人生は、新しい命を結び、未来を繋いでいく。あなたの血にもきっと流れている、百年の物語。

目には見えなくても、そうとは知らなくとも、私たちの中には確実に、母から、祖母から、脈々と引き継いだものが存在するのだ。それが今の自分を作っていると思うと、なんだか自分自身が愛おしくなってくる。――大矢博子(書評家)

感想・レビュー・書評

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  • まずは構成がすばらしい。。

    ストーリーも心が温かくなるものばかり。
    皆におすすめできる一冊です。

  • まず、目次を見ると
    2002年  麻布
    1915年  すみゑ
    …となっています。

    気をつけなくちゃ。
    流行りなのかなぁ、この時間の流れが変化する形式。
    何にも考えずに読み始めると(走り出したら止まらないので)、時代がよく分からなくなってしまう。
    最後に綺麗にまとめられても、自分は何だか騙されたような小さな違和感が残ることがあるのだ。

    でもこの作品では、初めに分かりやすく目次で表示されているので、駆け足ではなく、お散歩ペースで立ち止まって確認しながら読めた。

    江の島でねこもりをする女性のお話。
    何世代も描いていて、読みやすく入り込んで楽しめました。

  • 猫を飼い始めたので、猫に関連した物語を読みたくなってたまたま図書館で見つけた本。
    江の島を舞台に、家族何代にもわたる温かい繋がりを描いたストーリーだった。
    年代が行ったり来たりするから、あの人がこうなったのかとかあの人の過去はこうだったのかとか、読みながら判明するのが面白い。

    頼りなく思えたり、ギクシャクしているように見える親子関係でも、親はいつだって子を思っているということ。この安心感があるから、人生において新たな一歩が踏み出せたりするのだろうと思った。
    江ノ島に久しぶりに行きたくなった。

  • 個人的に「ポプラ文庫」と聞くと優しくて心温まる作品のイメージ。
    それに江の島舞台、島の食堂、“ねこもり”と呼ばれる猫をお世話する役割ときたら、読まずにはいられない!

    代々「ねこもり」のお役目を担う島の食堂「半分亭」の女たち。
    それぞれの時代を生きるねこもり( すみゑ、筆、容子、麻布)の人生に感情移入し、繋がれていく想いにじーんとした。
    その土地ならではの役割とか風習はあると思うけど、“ねこもり”みたいなのがあったらいいなぁって想像してしまった。

    作品のなかでは、庄二郎と筆が特に好きでした。
    不器用なところ、優しいところ、筆の真っ直ぐな思いは清々しくて温かい。二人のもどかしい感じも微笑ましい。
    ねこもりと半分亭の軌跡を辿るような1冊。
    ラストはじーんとしました。

  • 美味しい小説かと思いきや、どっちかというと、とある一族の女性譚?でしょうか。
    時代は大正の頃から、平成まで四人の女性が主人公。みんな江ノ島の食堂、半分亭の娘で「ねこもり」という仕事を担ってます。
    各々の時代の女性にまつわる差別や役割なんかの、しんどくなる内容が盛り込まれていて、全体的にとてもシリアス。
    特に一章目の、吉原遊郭の女郎さんがお客さんと来ていて、別の男子学生と心中事件が起きた事とか。
    なんとなく吉原話は江戸時代がメインと思い込んでいるので、本当に昭和の初めまではあった場所なのだと、人買いが行われてたのだと再認識したり。子守は女児の仕事、30過ぎたら行き遅れ、結婚は地元の男と等など、身近な観光地の江ノ島を舞台にして、結構生々しい大正〜昭和の固定概念ががっつり書き込まれてる。
    タイトルと表紙見ると、猫と江ノ島と海の幸の、ほのぼの小説だと思ったのに( ̄▽ ̄)
    しかしながら、全体を通して、とても面白い内容でした。舞台は江ノ島から動かないのに、100年の間に四人の女性視点で書く事で、各章ごとに新鮮味があります。
    一章目の主人公のすみゑが受け取った髪飾りが100年経って繋がったのには感動したし、全体的に序章の伏線もばっちり回収されていたし。
    冒頭でいきなりお客さんの借金肩代わりして夜逃げするとか、なんの話が始まるのかと思ったけど、それも全部繋がってました。
    ほのぼのとはしませんでしたが、四人の女性の人生を早送りに見てるかのようなテンポの良い進み方がとても面白くて、ページをめくる手が止まらない、読み応えのある一冊です。



  • 題名から想像もできないほどずっしりくる話だった。
    最初は「夜逃げ」から始まるのでどういう展開になるのかと・・・。

    百年続く食堂「半分亭」そこで生まれた女性は代々「ねこもり」を継ぐ使命がある
    ねこもりとは江ノ島に住む野良猫のお世話係、娘も母も叔母も曾祖母も

    ある理由で夜逃げをした半分亭の人々二度と戻ることはないと思っていた江ノ島
    娘が赤ん坊を連れて15年ぶりに江ノ島へ
    看板は「半分亭」だが経営者が変更、食事も今時の物へ

    そのオーナーの母と娘の曾祖母とはあるもので繋がっていた

    女性たちの生きざまを描いた読み応えある小説でした

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  • いきなり夜逃げの話から始まりますが、ヘビーなお話ではありません。各話ごとに描かれる時代が異なりますが、それぞれにつながっていく感じが気持ちいい。
    主人公達は代々江ノ島の猫の世話をするねこもりの役を負っています。猫はたくさん登場します。全体として猫に見守られているお話です。

  • 女子高生のモノローグから始まるファンタジー系かと思ったが、読み進めると時代背景他、意外と深かった。

  • 命のバトンと、不思議なご縁で繋ぐ、優しくてステキなお話でした。

    目下命のバトンを繋ぐ目処も立たず、望んでもない自分にはちょっと痛いお話でした。そういう人を別に責めるような雰囲気は一切無いんですが。

  •  すみゑ、筆、溶子、麻布。江の島で民宿<半分亭>を営む佐宗家の4世代100年の物語。
     江の島、食堂、ねこ……このキーワードで思い浮かぶのは『江の島ワイキキ食堂』のオードリー。『ねこもり食堂』には、トラというボス猫が登場。

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著者プロフィール

名取 佐和子(なとり・さわこ):兵庫県生まれ、明治大学卒業。ゲーム会社勤務の後に独立し、2010年『交番の夜』で小説家デビュー。著書に『ペンギン鉄道 なくしもの係』(第5回エキナカ書店大賞受賞)シリーズ、『金曜日の本屋さん』シリーズ、『シェアハウスかざみどり』『江の島ねこもり食堂』『逃がし屋トナカイ』『寄席わらしの晩ごはん』『七里ヶ浜の姉妹』『ひねもすなむなむ』『図書室のはこぶね』(京都府私立学校図書館協議会司書部会「中高生におすすめする司書のイチオシ本2022年度版」第6位、「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2022」第8位、うつのみや大賞2023第4位)ほか多数。

「2023年 『文庫旅館で待つ本は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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