ライオンのおやつ

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 1492
レビュー : 75
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591160022

作品紹介・あらすじ

人生の最後に食べたいおやつは何ですか――
若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを決め、穏やかな景色のなか、本当にしたかったことを考える。
ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫はなかなか選べずにいた。
――食べて、生きて、この世から旅立つ。
すべての人にいつか訪れることをあたたかく描き出す、今が愛おしくなる物語。

感想・レビュー・書評

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  • 瀬戸内海に浮かぶ小島。四方を美しく穏やかな海に囲まれ、レモン畑や葡萄畑が沢山ある。空気はどこまでも澄んでおり、太陽の陽が優しい。ライオンの家と言う名のホスピス。主人公の若い女性は末期癌。全て後始末してやって来た、小川糸さんの繊細で優しい文章。まるでこの穏やかな瀬戸内海の小島にいるかのようで心地よい。後半は迂闊にもカフェでボロボロ泣いてしまった。しかし読後の胸に去来するのは切なさや悲しみと言うよりむしろ「受け止めた」と言う穏やかな気持ち。誰にでも等しく訪れる死。願わくば自分も静かに受け止めて旅立って行きたい。

  • 自分の最期の迎え方について思いを巡らさずにはいられない。
    人生100年時代と言われる昨今、だからと言って皆がそうなるとは限らない。
    突然医師から余命宣告をされ、慌てて自分に残された僅かな時間の過ごし方について決断しなくてはならないこともあり得るのだから。

    余命宣告をされた33歳の雫は最期の時を過ごすため、瀬戸内の島のホスピス「ライオンの家」を訪れる。
    糸さん、ずるいなー。
    これ読んだら泣くに決まっているじゃないか。
    雫の最期の迎え方が羨ましいに決まっているじゃないか。
    嫌な人が一人も出て来ないし、全員が見事な位に優しい。
    温かく心地好いエピソードのオンパレード。
    糸さんの"罠"にまんまと嵌められた私は、予想通り何度も泣いた。
    けれどそれは辛く悲しい涙ではない。
    喜びいっぱいの、清々しい涙だ。

    「ライオンの家」で毎週日曜日に開かれるお茶会では、ゲストの思い出のおやつを再現してもらい皆で食べる。
    人生最後に食べたいおやつ。
    それは美味しいお菓子を食べるだけでなく、ゲスト一人一人の思い出を皆で共有する楽しさ・切なさも含まれる。

    「思いっきり不幸を吸い込んで、吐く息を感謝に変えれば、あなたの人生はやがて光り輝くことでしょう」
    「私の目標は、じゃあね、と手を振りながら明るく死ぬことだ。朗らかに元気よく、笑顔でこの世界から旅立つことだ。そのための準備を、今、ライオンの家でしている」

    私も雫のように、笑顔で最期を迎えたい。
    どこかに「ライオンの家」みたいなホスピスないかな。

  • 定期的には読み返したくなる一冊。
    「いつかは死ぬ」ってことが自分の中で怖いものではなく、大切なものになった気がする。
    こんな素敵なところを終の住処にできるように、今をしっかりと生きていこうと思う。

  • いつか人は死ぬ。
    その日まで生きていかなければならない。

    余命宣告をされた雫。
    不安や恐怖、病気になったことへの悔しさ。
    瀬戸内にあるマドンナの家。
    様々な気持ちを抱えながらも、マドンナさんやスタッフ、ボランティアさんたちに助けられ、そんな気持ちをふっきり、自由に平穏に生活を送ろうとする。

    『死』はやはり怖い。
    でも、こんな素敵な場所で死ねるなら、死ぬことへの恐怖が薄れるような気がする。
    死の直前は…どうなんだろう。書かれていたことを確認したくなった。

    余命宣告されていても、生きている限り、人は変わることができる。自由に生きることができる。
    丁寧に糸を紡ぐように、残された時間を生きていく物語。

    おやつもおかゆもどれもおいしそう。
    死ぬまでに食べたいおやつはなんですか?
    食べたかのような描写に、実は食べていなかった…など、朦朧としはじめている様子などが文章の展開からもひしひしと伝わってきた。

  • おやつは人生のご褒美

  • ある意味重ーい主題のわりに、読後感がさわやかでよい。
    二粒ほど涙しました。

    小川糸さんの作品は、なんだか少女趣味っていうか、現実にあり得ないというか。。私はそういうのが、嫌いではないのだが。きれいすぎるというか、毒毛がないというか。そういうの、嫌いじゃないですよ、私は。でもね、今まで読んだ中で、そういった部分が、ちょっとしらける作品もあった中で、この作品は、完成度高い気がします。後半の、周りの人物が語るところは、いらない気もしましたけれど。

  • 読み始めて2ページめで知った主人公の状況にまずは絶句。これは辛く悲しい物語じゃないか、そんな心の準備してないぞ、やばいやばい、と思いつつ読む。
    身近な人を見送った経験のある人にとって、これは読むのが辛い物語ではあるけれど、読み終わった後、きっと「読んでよかった」と思えるはず。
    私も読みながら、見送った人たちとのあれこれを思い出し、涙が止まらなかったけれど、今、ものすごくさわやかな気分だ。
    後悔はある。もし、ライオンの家のようなところがあったなら、そこで最期の日々を送ってもらえたなら、と…
    でも、誰にでもやってくる最期の日々はそれぞれが自分で作るものであり、他の誰かに用意してもらうものではないのだ。まだまだ先だと思っているけれど、自分にとってのその日が来る前に、ちゃんと準備しておきたい、とそう思った。
    マドンナや六花に見守られた雫の最期の時間を、私も、私の大事な人も過ごせますように、と。

    あぁ、そうだ。私なら、どんなおやつをリクエストするかな。どんなエピソードを書くかな。
    いま、とても優しい気持ちでそれを考えている。

  • 図書館で借りたもの。
    若くして余命を告げられた雫は、残りの日々を瀬戸内の島のホスピスで過ごすことを決めた。穏やかな景色の中、本当にしたかったことを考える雫。ホスピスでは毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間」があって…。

    かつて国産レモンが多く栽培されていたことから、地元の人からは「レモン島」と呼ばれる瀬戸内の島。
    さわやかな空気を想像して自分も思わず深呼吸してしまった。

    百獣の王・ライオンのように、敵に襲われる心配をせず、安心して、食べたり寝たりすればいい。
    それが「ライオンの家」の由来。
    マドンナや狩野姉妹、ボランティアの人の温かさに包まれて最期の時を過ごすのは幸せだな。

    癌になるのはもちろん嫌だし、そんな病気なくなってほしいけど、、唯一いいことは死へ向き合う準備ができることなのかも。
    自分も家族も。

    後半は涙止まらず。
    毎日元気に過ごせることって当たり前じゃないんだと改めて思わせてくれた。

  • テレビで特集されていたので購入。
    読んでいて最初に思ったことは、余程多くの取材を行なったのかなと印象でした。その人だけにしかわからない心境が丁寧で多く語られていて、第三者から見ると、複雑であることを知りました。

    全体的にポワッとした暖かい雰囲気が漂っている一方で、主人公の死に対する恐怖感・受け取り方は、キリッと締まっていて、胸を締め付ける思いがありました。読むのがちょっと辛かったです。
    ただ、おやつを含め食べ物の描写は、美味しそうに書かれていて、お腹が空いた状態で読んでいたので、何度も唾を飲み込んでいました。何か食べたくなってしまいます。
    主に主人公の視点で物語は進むのですが、最後の方は、3人の視点で終わりを迎えます。それが誰なのかは、一部ネタバレもありますので、省略しときます。

    結末はだいたい予想はつくのですが、終盤は涙を誘いました。死に関することは間接的な表現が多かったのですが、字面だけでも辛かったです。でも変に暗い感じではなく、優しい光が差したような表現ばかりで、前向きに捉えることができました。それだけ小川さんの表現力は素晴らしかったです。

    最近では、自殺する人が報道で多く見受けられます。病気で亡くなる人など様々な死に方があります。「生きること」とは?、「死ぬこと」とは?など本を通して、深く考えさせられました。
    必ず、死は訪れるものですが、改めて過去の自分を振り返ってみたり、この先の決心や覚悟などをちょっと考えてみようかなと思わせてくれた作品でした。

    多分、本屋大賞の候補作に挙がるのではと思うくらい、辛いけれども人に薦めたくなる作品でした。

  • 公共交通機関で読んじゃいけないシリーズ!
    泣けたー。
    嗚咽に近いものがあった。

    本の内容知らず、タイトルだけでなんだか気になって読みました。
    まさか、終末医療の話だとは思わなかった。

    感動の最中に、バスで隣に座ったおばさんに話しかけられて‥
    本の世界から引き摺り出された‥

    しーちゃんがまだ小さくて、お父さんと一緒に暮らしてた頃を想像しても泣けて‥
    お父さんの幸せを願い一緒に暮らすのをやめたり
    強い子過ぎる‥

    話しを思い出すだけで泣ける

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著者プロフィール

小川 糸(おがわ いと)
1973年生まれ、山形県出身の小説家であり、作詞家・翻訳家でもある。作詞家の際の名義は、春嵐(しゅんらん)を使用。
2007年に初の絵本を上梓し、さらに翌2008年に小説『食堂かたつむり』を発表。同作は第1回ポプラ社小説大賞に応募し、最終選考にも残らなかった作品だったが、目に留めた編集者によって刊行され、ベストセラーとなり映画化された。同作は、2011年7月、イタリアの文学賞である、バンカレッラ賞料理部門賞も受賞している。
2017年、『ツバキ文具店』が「本屋大賞2017」で第4位にノミネート。ドラマ化もされた。続編『キラキラ共和国』も発行、代表的シリーズかつヒット作となっている。
その他代表作として、テレビドラマ化された『つるかめ助産院~南の島から~』。

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