ライオンのおやつ

著者 :
  • ポプラ社
4.27
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本棚登録 : 7759
レビュー : 584
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591160022

作品紹介・あらすじ

人生の最後に食べたいおやつは何ですか――
若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを決め、穏やかな景色のなか、本当にしたかったことを考える。
ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫はなかなか選べずにいた。
――食べて、生きて、この世から旅立つ。
すべての人にいつか訪れることをあたたかく描き出す、今が愛おしくなる物語。

感想・レビュー・書評

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  • 小川糸さんのミトンを読んで、とても面白かったので、続いて「ライオンのおやつ」を読みました。

    瀬戸内に浮かぶレモン島にあるホスピス「ライオンの家」が舞台。
    33歳にしてホスピスに入る運命の雫さん。
    そこは死までを暮らすとても素晴らしい場所でした。

    「明日が来ることが当たり前に信じられることは、本当はとても幸せなことなんだなぁ と。そのことを知らずに生きていられる人たちは、なんて恵まれているのだろう。」

    「生まれることと亡くなることは、ある意味で背中合わせですからね。」
    「こちらからは出口でも、向こうから見れば入り口になります。きっと、生も死も、大きな意味では同じなのでしょう。私たちは、ぐるぐると姿を変えて、ただ回っているだけですから。そこには、始まりも終わりも、基本的にはないものだと思っています。」

    「思いっきり不幸を吸い込んで、吐く息を感謝に変えれば、あなたの人生はやがて光輝くでしょう。」

    「怖れることは、何もありません。とにかく笑顔でいることが一番です、雫さん。辛いときこそ、空を見上げて思いっきり笑うんです。そうすれば、あなたよりももっと辛い思いをしている人たちの希望になれますから。」

    「死を受け入れるということは、生きたい、もっともっと長生きしたいという気持ちも正直に認めることなんだ。」

    「コンビニで売られているバナナだって、すべては地球からの贈り物で、かつては地面につながる場所にいたのだ。お日様の光をたっぷりと浴び、お母さんが生まれたばかりの赤ちゃんを大事に抱っこしてお乳をあげるみたいに、このバナナも、お母さんバナナからたくさんの栄養をもらって、大事に大事に育まれたんだってことに、ようやく気づいた。」


    いろいろなことが書かれているけれど、話の流れの中で、とてもわかりやすい。

    小川さんの本をもっと読んでみたくなりました。
    おすすめの一冊です。

  • 自分の最期の迎え方について思いを巡らさずにはいられない。
    人生100年時代と言われる昨今、だからと言って皆がそうなるとは限らない。
    突然医師から余命宣告をされ、慌てて自分に残された僅かな時間の過ごし方について決断しなくてはならないこともあり得るのだから。

    余命宣告をされた33歳の雫は最期の時を過ごすため、瀬戸内の島のホスピス「ライオンの家」を訪れる。
    糸さん、ずるいなー。
    これ読んだら泣くに決まっているじゃないか。
    雫の最期の迎え方が羨ましいに決まっているじゃないか。
    嫌な人が一人も出て来ないし、全員が見事な位に優しい。
    温かく心地好いエピソードのオンパレード。
    糸さんの"罠"にまんまと嵌められた私は、予想通り何度も泣いた。
    けれどそれは辛く悲しい涙ではない。
    喜びいっぱいの、清々しい涙だ。

    「ライオンの家」で毎週日曜日に開かれるお茶会では、ゲストの思い出のおやつを再現してもらい皆で食べる。
    人生最後に食べたいおやつ。
    それは美味しいお菓子を食べるだけでなく、ゲスト一人一人の思い出を皆で共有する楽しさ・切なさも含まれる。

    「思いっきり不幸を吸い込んで、吐く息を感謝に変えれば、あなたの人生はやがて光り輝くことでしょう」
    「私の目標は、じゃあね、と手を振りながら明るく死ぬことだ。朗らかに元気よく、笑顔でこの世界から旅立つことだ。そのための準備を、今、ライオンの家でしている」

    私も雫のように、笑顔で最期を迎えたい。
    どこかに「ライオンの家」みたいなホスピスないかな。

  • 2020年本屋大賞ノミネート作は、これでようやく全ての本を読み終えた。
    この本はもっと早くに読みたかったけど、図書館の予約がなかなか回って来なかった。

    読み終わって、こんなに待たずに買っちゃえばよかったな、と思った。
    手元に置いておいて何度も読み返したくなるような小説だ。

    がんで余命少ない雫のホスピスでの日々を描いた小説。

    百獣の王であるライオンは、敵に襲われる心配がない。ゲストには、そんなライオンのように安心して食べたり寝たりする生活を送ってほしい。ホスピスはそんな思いから「ライオンの家」と名付けられている。

    ライオンの家は、瀬戸内の島の穏やかな気候の中、美味しいものを食べて、しっかり生きて旅立つ、そんなコンセプトのホスピスだ。

    そして、ゲストは自分がもう一度食べたい思い出のおやつをリクエストできる。抽選されれば毎週日曜日の「おやつの時間」に振舞われる。

    僕だったら、何をリクエストするだろう?
    最後に食べたいおやつ…
    考えてみて、真っ先に思い浮かんだのが「湖池屋ののり塩ポテトチップス」だったことには、我ながら苦笑い。

    人生なるようにしかならない。
    だからこそ、一日一日を大切に生きたい。
    そして、生きることは、誰かの光になること。

    生きていれば誰にでも訪れることだが、なかなか向き合うことのできない「自分の死」について、今までとは違うアプローチから考えさせられた。

    この小説でQOD(クオリティ・オブ・デス=終末期のケアの質)なる言葉を初めて知ったけど、どう旅立ちたいか、は真剣に考えたいな、と思った。


    それにしても、施設の代表マドンナの「死って、最大級のオーガズムみたいなもの」じゃないかという仮説、いいですね。

  • ★4.5

    男手ひとつで育ててくれた父のもとを離れ、
    ひとりで暮らしていた雫は病と闘っていたが、
    ある日医師から余命を告げられる。
    最後の日々を過ごす場所として、瀬戸内の島にあるホスピスを選んだ雫は、
    穏やかな島の景色の中で本当にしたかったことを考える。
    人生の最後に食べたいおやつは何ですか――
    ホスピスでは、毎週日曜日、入居者が生きている間にもう一度食べたい思い出のおやつを
    リクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫は選べずにいた。
    ――食べて、生きて、この世から旅立つ。
    すべての人にいつか訪れることをあたたかく描き出す、今が愛おしくなる物語。


    ホスピスに入る…死を受け入れていたはずが、本当はもっともっと
    生きたいと切実に願っていた事に気付く。
    そうだうなぁ…。そんなに簡単に死を受け入れないと思う。
    死ぬのが怖いって思う気持ちも凄く良くわかる。
    経験した事ないもん怖いよね。
    そして、端から端までクリームのぎっしり詰まった思い出の
    チョココロネみたいに、ちゃんと最後まで生きる事
    それが雫の目標となった。

    この世でこの体があることで、毎日毎日笑ったり、怒ったり、悔しかったり…。
    決して楽しい事ばかりの日々じゃないんだけど、
    生きてる。生かされてるって事がとても幸せな事なんだと思った。
    私もしーちゃんの様に、朗らかに元気よく、笑顔で旅立てるように
    日々をきちんと生きたいと思いました。
    死を迎えることは決して恐ろしい事ではないと
    優しく伝えてくれました。
    亡くなった皆に会いたいなぁ。猫達にも会いたいなぁ。

    正直私は読むタイミングが悪かった。
    先日、叔父を突然に亡くしました。
    叔父の亡くなった顏…叔父との思い出。
    最初はそればかりが頭の中でグルグル回っていた。
    途中から物語に入り込み、叔父の顏も浮かばなくなっていましたが、
    一人一人のおやつの思い出や義父との再会等…もう何に泣いているのか
    わからない位泣き続けて読んだ。
    こんなに涙して感動しているのに…終盤息が苦しくなっていた。
    どうして…?自分でもわからない…?

    家族を癌で亡くされた人やホスピスに入ってた人。
    最近身近な人を亡くされた方、読むのが苦しいかも…。

  • 瀬戸内海に浮かぶ小島。四方を美しく穏やかな海に囲まれ、レモン畑や葡萄畑が沢山ある。空気はどこまでも澄んでおり、太陽の陽が優しい。ライオンの家と言う名のホスピス。主人公の若い女性は末期癌。全て後始末してやって来た、小川糸さんの繊細で優しい文章。まるでこの穏やかな瀬戸内海の小島にいるかのようで心地よい。後半は迂闊にもカフェでボロボロ泣いてしまった。しかし読後の胸に去来するのは切なさや悲しみと言うよりむしろ「受け止めた」と言う穏やかな気持ち。誰にでも等しく訪れる死。願わくば自分も静かに受け止めて旅立って行きたい。

  • すっぽり包まれた。

    決して明るい物語ではない。決して明るい展開にならない。現実は甘くない、それをわかりながらも小川さんが紡ぎ出す物語に心がすっぽり包まれた。

    ライオンの家、おやつの時間、葡萄畑の時間、そして誰もの言葉が含む温もりに何度も包まれ涙のしずくがこぼれ落ちた。

    こういう最期、身も心もすっぽり包まれる場所、甘えられる時間、いいな。

    身体と心の悲しみや苦しみはもちろん周りにいてくれた人の心もすっぽり最期に包み返す幸せ、いいな。

    この作品が多くの人の心を包みこんで欲しい、光へと繋がって欲しい、そう思い願いながら読了。

    • くるたんさん
      けいたん♪こんにちは♪

      そうそう、私もそれで読まずにいたんだ。
      たしかにつらいよね。

      涙いっぱい、家でしか読めない作品だった。
      でも読後...
      けいたん♪こんにちは♪

      そうそう、私もそれで読まずにいたんだ。
      たしかにつらいよね。

      涙いっぱい、家でしか読めない作品だった。
      でも読後感はとても良かったよ♪
      2020/02/04
    • やまさん
      各位

      昨年ブクロクに登録した本の中からベスト7を選びました。
      なお、平成31(2019)年3月27日に読み終わった本からブクロクで管...
      各位

      昨年ブクロクに登録した本の中からベスト7を選びました。
      なお、平成31(2019)年3月27日に読み終わった本からブクロクで管理するようにしています。
      ① なんとなく・青空 / 工藤直子 / 詩 / 本 /読了日: 2019-12-11
      ② 螢草 / 葉室麟 / 本 / 読了日: 2019-12-16
      ③ あなたのためなら 藍千堂菓子噺 / 田牧大和 / 本 /読了日: 2019-04-10
      ④ 甘いもんでもおひとつ 藍千堂菓子噺 / 田牧大和 / 本 / 読了日: 2019-05-04
      ⑤ あきない世傳 金と銀(七) 碧流篇 / 田郁 / 本 /読了日: 2019-09-14
      ⑥ てらこや青義堂 師匠、走る / 今村翔吾 / 本 / 読了日: 2019-08-27
      ⑦ ひかる風: 日本橋牡丹堂 菓子ばなし(四)  / 中島久枝 / 本 / 読了日: 2019-07-23
      ※もしよろしければ、皆様の昨年感想を書かれたものの中からベストの順位を教えて頂けたら嬉しいです。

      やま
      2020/02/07
    • くるたんさん
      やまさん♪こんにちは♪

      「化物蝋燭 」木内昇
      「日南X 」松本薫
      「いつかの岸辺に跳ねていく」加納朋子
      あたりをあげたいと思います。
      やまさん♪こんにちは♪

      「化物蝋燭 」木内昇
      「日南X 」松本薫
      「いつかの岸辺に跳ねていく」加納朋子
      あたりをあげたいと思います。
      2020/02/08
  • 一人暮らしの雫、病に冒される。雫が最後に暮らすために選んだ場所は瀬戸内の島のホスピス。そのホスピスでは日曜日ごとに食べたいおやつをリクエストできる。それぞれの入居さんが選んだお菓子と思い出が紹介され、雫は自分のお菓子を考える。
    死が怖いと誰もが考えるだろう。この本を読んでいると解きほぐされる感がある。自分が死を感じる時は、深く絶望を抱えると思うけれど、最後は雫さんのように穏やかな気持ちでいたいと思った。いや、自分は穏やかな気持ちになれるだろうか。柑橘、葡萄の木、素敵な風景、魅力的な周りの人たち、病で苦しむことは辛いけれど、死を考える物語であり、暖かい命の物語でした。
    ただ、登場人物のネーミングは私は好きでない、小川さんの思考とは合わないようだ。

  • 小川さんの本って優しいよね。
    いつも心洗われる感じ。

    命って生かされてるんだなって。生きてるんじゃなく生かされてる。
    そりゃ自分も頑張って生きてる事には違いはないけど、
    いろんな事柄が組み合わさって生かされてるんだ。

    死ぬ事も怖い。本文を読んでると本当に自分自身も怖く悲しくなった。

    でもどうにもできない、受け入れないと。
    雫さんは素晴らしい最後をむかえられた。

  • 若くして余命宣告された、海野雫。
    最期を過ごすのに選んだのは、瀬戸内海のホスピス〈ライオンの家〉だった。

    何度も泣けた。

    レモン島で過ごす一瞬一瞬。
    空気、手触り、匂い。
    そういった感覚的なものが、いきいきと伝わってくる。

    死が間近だからこそ、生の喜びがひときわ輝く。

    おやつも3度の食事も、とても魅力的。
    しっぽを振る六花も愛くるしい。
    あたたかくて、心地よくて、前半は、とても魅力的。

    後半はスピリチュアル要素が強くなってしまい、ちょっと現実感が薄かった。
    あえて取り込んだんだのだろうけれど、下ネタ要素も合わなかった。

  • 最近大切な人を失った。
    離れて住む私は、コロナ禍の中で、最期を送ることもできなかった。

    そんな中読み出したこの本。
    中盤の故人との回想シーンからは、作中出てくる一つ一つのワードが、私の実際の記憶を細かく呼び起こして、小説を読んで泣いているのか、会いたい人を思い出して泣いているのかも分からなかった。

    優しい優しい物語。
    死ぬ瞬間がどんな感じかって死について考えることって生きている私たちは誰しも未経験でわからないから、怖い、辛い。でも避けて通った人はいない。けれど、息を引き取る瞬間が本当にオーガズムだったら、いいなぁと思う。

    2020.5.9

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著者プロフィール

1973年生まれ。 2008年に発表した小説『食堂かたつむり』が映画化され、ベストセラーに。 同書はイタリアのバンカレッラ賞と、フランスのウジェニー・ブラジエ小説賞を受賞した。その他の主な著書に、『まどれーぬちゃんとまほうのおかし』、『ファミリーツリー』、『リボン』、『にじいろガーデン』、『つるかめ助産院』、『サーカスの夜に』などがある。

「2015年 『かようびのドレス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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