そしてぼくらは仲間になった

  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591160374

作品紹介・あらすじ

★「ズッコケ三人組」シリーズ40周年記念企画★

男の子、女の子、ロボット……こんな三人組、あり!?
子ども時代に「ズッコケ三人組」の洗礼を受けた作家たちが、「三人」をキーワードに現代ならではの友情を描く、読み切り競作集。

夏祭りの夜、ひょんなことから苦手だったクラスメイトと迷子の面倒を見たり、犯罪者を捕まえることになる「夏のはぐれもの」(小嶋陽太郎)、泥だらけで学校にきたり、教室で居眠りをするクラスメイトの少女を、男子二人で放課後尾行し、彼女といっしょにサルビアの種を植えることになる「ブリリアントなサルビアを」(高森美由紀)、ネットでつながった見ず知らずのゲーム友だちが、偶然にも現実世界で協力して事件を解決する「ドラゴン退治はスニーカーで!」(福島直浩)、クラスの空気を読むことにつかれた少女が、空気の読めない、というより最初から読もうとしていない二人組と心を通わせる「生きもの仲間」(虹山つるみ)、VR(ヴァーチャル・リアリティ)ゲームの中にしか存在しないロボットを修理するために冒険する「子どもでも大人でも、男でも女でもない」(向井湘吾)、以上5編を収録。


【著者プロフィール】

小嶋陽太郎(こじま・ようたろう) 
1991年長野県生まれ。『気障でけっこうです』でボイルドエッグズ新人賞と北陸文庫大賞を受賞。著書に『おとめの流儀。』『ぼくのとなりにきみ』『放課後ひとり同盟』など。

高森美由紀(たかもり・みゆき) 
1980年青森県生まれ。『いっしょにアんべ!』でちゅうでん児童文学賞と児童文芸家協会新人賞を、『ジャパン・ディグニティ』で暮らしの小説大賞を、『花木荘のひとびと』でノベル大賞を受賞。

虹山つるみ(にじやま・つるみ) 
山口県生まれ。『セパ!』でポプラズッコケ文学新人賞を受賞。

福島直浩(ふくしま・なおひろ)
1977年東京都生まれ。著書に『サンタ・カンパニー プレゼント大作戦』、「怪盗ジョーカー」ノベライズシリーズなど。

向井湘吾(むかい・しょうご)
1989年神奈川県生まれ。『お任せ! 数学屋さん』でポプラ社小説新人賞を受賞。著書に「トリプル・ゼロの算数事件簿」シリーズなど。

感想・レビュー・書評

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  • 「ズッコケ三人組」シリーズ40周年記念企画。
    男の子、女の子、ロボット…いろんな形の三人組の友情を描いたアンソロジー。

    「夏のはぐれもの」小嶋陽太郎

    夏祭りで他の二人とはぐれてしまった「ふとまき」こと牧太(まきふとし)は、同じく他の女子とはぐれた同じクラスの葛城むすびと出会う。そこに、クラスの嫌われ者の住吉くんも合流し、へんてこな三人組で迎える夏祭りの一夜の騒動。
    迷子の男の子を見つけたり、スリに遭ったり…夏祭りの雰囲気と相まって、わくわくするお話です。

    一貫して住吉くんが嫌われてるのが笑う。自分勝手で無神経で意地悪。こういう男の子いたよな~と思ってしまう。ふとまきくんのおっとりマイペースなところも面白かった。
    スリ師に気づいたところはゾクッとしました。
    好きなお話です。

    「ブリリアントなサルビアを」髙森美由紀

    保健委員の秀明の隣の席は、遅刻寸前に登校する、爪の汚い女の子・国沢レイ。レイに脅され、衛生チェックを◯に書き換えさせられる秀明だったが、親友の壮介と二人でレイの後をつけたことから、レイの秘密を知ってしまい…。

    普通の小学生・秀明と、塾通いの優等生・壮介の二人の関係がよかったなぁ。レイの言うように性格合わなそうなのに仲がいいのがほっこりしました。レイの秘密を知ってから、協力しようとする一本気な秀明の性格も良かったです。

    「ドラゴン退治はスニーカーで!」福島直浩

    浅木翔太は【ミストドラゴン】というオンラインゲームにハマっていて、ゲーム上では【しょう】と名乗り、【星斗】と【パーシモ】と一緒に冒険をしている。
    ある日翔太は、クラスメイトの保夫が中学生にカツアゲされているのを見てしまい、星斗とパーシモに相談するが…。

    面白かったです!
    オンラインゲームとリアルがつながる感じが、今って感じでいいですね。今の子って、家にいながら友だちとつながれるし、そこが楽しかったり難しかったりするのかなって思います。
    ネットの友だちを味方につけて、中学生に立ち向かう姿、ドキドキしました。結果は読んでみてくださいね。
    リアルとオンラインが繋がるのって、嬉しいような怖いような。結局、リアルでもオンラインでも、人間関係という意味ではマナーもエチケットも変わりないですものね。

    「生きもの仲間」虹山つるみ

    ふわふわ天パの野乃と、いつもパーカーを頭からすっぽり被っている佐帆はクラスでも変わり者で有名。そんな二人は生きものが大好きで、ひょんなことから結歌はその二人から声をかけられることになる。
    結歌は仲良しの千夏と一緒に音楽クラブに入るが、楽器を決めるオーディションで、結歌だけがやりたかったマリンバをすることになってしまい、それから千夏の態度がなんとなくおかしくて…?

    めっちゃ面白かったです!
    『教室の祭り』もそうでしたが、怖い女子の話が好きなのだろうか。笑
    こういう女子の揉めごと、あるあるあるある!と思いながら読んでいましたが、今自分が当事者だったらめっちゃ怖いし嫌ですね。佐帆と野乃の夢がある感じがすごくよくて、そして結歌と千夏の件は、リアリティあふれる女子事情だなぁと思いました。佐帆のフード事情も気になりますね。耳が敏感すぎるのは脳の影響かなぁ。
    結歌の言葉を水に流す二人は寛大だし、最後の結歌の決意もよかったです。とても続きが読みたいと思った作品でした。

    「子どもでも大人でも、男でも女でもない」向井湘吾

    一真はVR(ヴァーチャル・リアリティ)ゲーム『夢のあとかた』のパートナー・ロビンが記憶(データ)を失わずに修理してもらえるよう、レアアイテム「最高級修理キット」を取りに行きたい。ケイに協力してもらい、二人は冒険に出かけるが…。

    ロビンへの思い入れにそこまで共感できなかったのは私がおばさんだからかなぁ。VRってどれくらい現実化してるのでしょうか?VRだと今までのゲームよりもさらにキャラに思い入れが深くなるっていうのはなんとなくわかるけど。記憶って、データなのかな。これからバーチャルの世界って、どれくらいリアルと肉薄してくるのかな。そのうち、その区別に意味はなくなるのかな。


    解説に本家の那須正幹さん。
    実は私、ズッコケ三人組を読んだことがないのです。
    今の学校図書館にも入っていたりするのを見るのですが…私の時に流行ってた覚えがなく…。
    今回このアンソロジーを読んで、本家も読んでみたいなと思いました。
    そしてアンソロジーを読んで一番思ったのは、話の内容もそうですが、イラストがすべて今風で素敵だなということ。このイラストだと、今の子も読んでて楽しいだろうなと思いました。そんなイラストも20年後に見ると、古っ!ってなるのでしょうね。

  • いろんな三人組が登場する短編アンソロジー。
    現実を舞台にしたものも、
    バーチャルな世界を舞台にしたものも、
    それらのミックスもあり。
    今時の設定だなあ。

    でも、どの三人組もなんだかんだで
    楽しそう。
    1人じゃできないことも
    仲間がいると何とかなるもんね。

  • 全体として、文章がこなれていない。
    設定が無理くりのところがみられる。
    バーチャルの世界を取り入れて、子ども達には受け入れやすい話かもしれない。

  •  5人の作者の3人組物語。仲間になった話。それぞれに楽しい。今、自分が一人だったとしても大丈夫だとちょっと思える。自分ができる事、したい事は何かな? いつかどこかに素敵な出会いがありますように。
    (カウンター担当/bee)令和元年12月の特集「ぐっとくる短編」

  • 『それいけズッコケ三人組』(1978年)にはじまるシリーズ全50巻、子どもたちに絶大な人気を誇った「ズッコケ三人組」で育った若い作家たちが“つぎの三人組”を描いたアンソロジー

    《「ズッコケ三人組」シリーズ40周年記念企画》

    いずれの作品もユニークな三人組が登場しますが、いちばんうれしかったのは、どの三人組にもリーダーがいないことです。彼らや彼女たちは、結構わがままなのに、いざというときには協力して事件を解決したり、目的を達成します。実はこれこそがわたしの描いてきた「三人組」の核心といっても過言ではありません。──解説「新たな三人組にカンパイ」那須正幹より

    正統派三人組、見ず知らずのゲーム友だち三人組、ロボットをまじえた三人組……いずれ劣らぬユニークな三人組の中から“つぎの三人組”が生まれるか

  • 大人になるって事は、こんな関係を新しく作る事が難しくなるって事ですかね。

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著者プロフィール

1991年長野県生まれ。信州大学人文学部中退。2014年『気障でけっこうです』で第16回ボイルドエッグズ新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『今夜、きみは火星にもどる』『おとめの流儀。』『こちら文学少女になります』『ぼくのとなりにきみ』『ぼくらはその日まで』『悲しい話は終わりにしよう』『放課後ひとり同盟』『友情だねって感動してよ』がある。

「2019年 『行きたくない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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