([て]3-3)月のぶどう (ポプラ文庫)

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 115
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591160527

作品紹介・あらすじ

泣けなくなったら、訪ねてきてください。

人は、どんなに光を浴びていても、
何度も〝ぶどうのなみだ〟を流しながらつぶやく。
「こんなはずじゃなかった」。
でもそんな時、きっと『月のぶどう』で作られたワインが、
ちょっぴり人生の甘みを教えてくれると思います。
――『しあわせのパン』の三島有紀子(映画監督)

大阪で曽祖父の代から続くワイナリーを営み、発展させてきた母が亡くなった。美しく優秀な母を目標にしてきた姉の光実と、逃げてばかりの人生を送ってき た弟の歩は、家業を継ぐ決意をする。うつくしい四季の巡りの中、ワインづくりを通し、自らの生き方を見つめ直していく双子の物語。

感想・レビュー・書評

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  • ワイン農園で働く双子の姉弟。母の意思を守ろうとする姉と特にワインに興味があるわけでもない弟。この2人の違いがいい。自然を相手にし、うまくいくこと。いかないこと。どうしようもできない出来事。そういうことを繰り返しながらワインを作り、自分の立ち位置を見つめる2人。1人で背負いこむ姉と1人ではまだまだな弟。でも近くに誰かがいるという救い。苦しくなる時、逃げ出したくなる時にそういう存在がいることの心強さ。たくさんの工程を経て熟成して作られるワインのように、たくさんの人と出逢い、感情を知ってその人の味が作られ年々深くなっていく。新しいことを始めるワクワクと恐怖。でもその先にあると信じるもの。さまざまな想いが溢れ作られるワインはとても魅力的に思える一冊。2人のおじいちゃんが仕掛けるしょうもないイタズラとそのときのおじいちゃんの嬉しそうな顔が好き。

  • 自分の弱さを知る者は強い、他人何十人何百人もの痛みでも解ってあげられる人だから。そして守るべきものがある、それをわかっている人は、その為に無条件で強くなれるのだと思います。
    それでも、誰もの悲しみを共有出来るものではありません。家族には余計言えぬこともあるでしょう。人は、共感と理解を望む。その気持ちを汲み取り、そっと見守ってくれる存在、そして欲しい時に欲しい言葉をくれる人が居ることが、大きな支えとなる気がします。
    葡萄の花言葉は『思いやり』です。満ち足りた優しさと、人と人が力を合わせ再生へ向けて立ち上がるこの物語に、これほど相応しい言葉はないのではないでしょうか。
    二匹の蝶が飛んでいる。助け合いながら、どちらかの羽がちぎれようとも、担いで生きていく。上へ、上へ。
    月のぶどうで作られるワインは、きっと甘くまろやかで優しい味。大切な人と特別な日に味わいたいです。

  • 大きな波のない静かなお話。

    誰かと比べられたり、他人のことを羨んだり。
    そういう感情に苦しんでいるのは自分だけかと思いきや、相手も同じように感じてたりするんだよなあ。

    いろんなことの行方が気になる終わり方だったけど、これからも2人で力を合わせて頑張ってほしいな。

  • ★3.5
    大阪にある河内ワインとカタシモワイナリーの見学会に行ったことがあり、その時に見た葡萄畑やアットホームな試飲会を思い出しながら読了。“出来のいいほう”の姉・光実と、“出来の悪いほう”の弟・歩。そこまであからさまに揶揄されると、普通の姉弟は勿論、双子な二人は尚更思うところがあったはず。が、不満を抱きながらも互いが大切で、慰めたり幸せを願ったりする姿が微笑ましい限り。中でも、光実の結婚式での歩のスピーチに思わず泣きそうになった。コスパの良いチリワインばかり呑んでいたので、また大阪のワインも呑まねば!

  • ぶどう作りにかける双子の姉弟の物語。
    ぶどう作りの大変さやワイン作りの事も分かる。

  • 初めての著者。葡萄作りを通して、双子の姉弟が、自分の生き方見つめ直す話。
    姉に父が語る言葉に、「大切やない、必要のない仕事はない。必要でなかったらその仕事は存在していません。」とある。仕事だけでなく、生き方もそうなのかもしれない。目標や夢を持って生きるということは、素晴らしいことだけど、多くの人が必ずしもそうかというと、そうではないし、生き方に良いとか悪いとかない、本人が思う事でしかない。
    この作品のもう一つのテーマには、血のつながりみたいなものがあると思う。繋がりも良い面もあれば、悪い面もある。血のつながりがない方が幸せな事もある。光実と歩は、双子だけど全く違う性格、出来の良い光実と、悪い歩と周囲も本人もそう思っていたけれど、本の中で、二人はお互いが補完し合う、無くてはならない存在であることに気づく。
    読後、異性の双子は惹かれ合ったりしないのかなぁと思った。

  • 寺地はるなさん、好きだなー。
    ビオレタのときから好き。

    光実と歩のゆっくりと成長して互いを補填して生きていくところが丁寧に(時にじれったいなと思いながら)描かれていて、なんだか安堵してしまう。
    欲をいえば、和葉さんの葛藤も詳しく知りたかったなぁ。

    月のぶどうで作ったワインはいったいどんな味なんだろう。
    二人が作り上げたものを、飲んでみたいなぁと思わせるラストでした。

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著者プロフィール

寺地 はるな(てらち はるな)
1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第四回ポプラ社小説新人賞を受賞。
著書に『ミナトホテルの裏庭には』『月のぶどう』『今日のハチミツ、あしたの私』『みちづれはいても、ひとり』『架空の犬と嘘をつく猫』『大人は泣かないと思っていた』『正しい愛と理想の息子』がある。

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