- Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591160732
作品紹介・あらすじ
「あの子を助けたい」
そう思いながら、本当に救われたかったのは、私自身だったのかもしれない。
深い夜の闇を抜けて、新しく“生きること”を選び直した、彼女たちの物語。
音羽(とわ)と亜沙見(あさみ)は、いつも一緒の親友同士だった。ところが亜沙見の姉が亡くなってから、日に日に彼女の様子がおかしくなり、突然家出をしてしまう。理由は出生の秘密。
生きる希望を見いだせない亜沙見と、彼女を全身で支えようとする音羽。そんな音羽自身にも、忘れられない過去の傷があった。息苦しい現実の中で、誰にでも起こりうる、足元が揺らぐきっかけ(トリガー)――。思春期の少女たちの危うく切実な心理を描く。
感想・レビュー・書評
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音羽のお母さんがよかった。
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普通ってなに??
普通じゃないことでも、時間がたったらあたりまえになって、自分のなかでいつのまにかそれが普通になる。普通にしようとしている。
そうやって少しずつあたしたちは環境に慣れていく。どんなに受け入れがたいことでも、異質なことも、自分にとっての普通に変えながら生きていく。P161 -
「悩んでいることがないか、という質問は愚問でしかない。
きくとしたらこうだ。
―自殺したくなるほど悩んでいることはない?」
途中まではよかったけど、後半は強引にまとめられたような印象でちょっと残念。 -
中学生の音羽は、一緒に帰宅したはずの亜沙美が家に帰っていないと知らされる。そういえば、帰りに踏切で「遮断機の中にいれば死んでいるね」と言っていた事を思い出し、不安になる。家出なのか事件なのか…
複雑な出生の秘密にちょっと驚くけれど、中学生の揺れ動く気持ちがよく描かれていると思った。初代金八先生を思い出す人も多いのでは。 -
音羽と亜沙見、中2女子二人が、亜沙見の家出、その原因である亜沙見の悩みを通じて考え、行動し、昔を振り返り、歩き出す。音羽の視点から語られているので、視点がぶれず、共感して考えやすい。あなたの考えていること分かってるという大人は信用ならないというフレーズには同意。音羽の母親はシングルマザーですごく忙しいし土日も家にいないけど、子どもに、音羽のこと私はわかってないと思うって言っちゃうところとか、ちゃんとご飯作ったり夜遅くなっても仕事行くところとかを音羽が見ているから、音羽が芯のある対応できるのだと思う。
中学生で妊娠のエピソードあるので、小学校には学校により検討本。平易に読める量で考えさせられる良本でした。 -
心情の変化が丁寧に分かりやすく描写されていて二人の些細な仕草やちょっとした空気感が臨場感がでていて更に物語を深めていて面白かった。
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いとうみくは児童書の作家にしては難しい問題にも怯まず誤魔化さず挑んでいると思う。この作品も友情の危うさ、家族の問題を思春期のヒリヒリした実感とともに描いていて、その年ごろの子どもの心に響くだろう。
ただ、シングルマザーとその一人の子どもとのやり取りは「ガイド」(小川洋子)、血のつながりのある会ったことのない家族に親友と会いに行くところは『あこがれ』(川上未映子)を思い出してしまい、どうしても既視感は否めない。
こういう作品を初めて読む子どもにはいいのだけど、いろいろ読んじゃった大人はつい他の作品と比べてしまう。 -
最後の最後までほぼ暗い系の話だけど、
最後は感動…。泣
親友だから一緒に生きていける。
「生きているから、生きていくんだよ。」
のセリフや場面が個人的に好き。また、娘をずっと信じてくれていた母親にも感動。 -
いとうみくさん、久しぶりに読んだのですが(ブクログ始めるもっと前!)、やっぱり好きだなぁ。
児童書とかそういうの関係なしに、全人類にこの考え方を共有してほしい…!
ということなので、是非呼んでくださいな!オナシャス( ̄^ ̄)ゞ笑笑