愛を知らない

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 491
レビュー : 50
  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591163238

作品紹介・あらすじ

響きわたる歌声、胸を裂く痛み。心の奥底に寄り添う、言いえぬ希望がここに。

私たちの本音って「嫌われたくない」じゃなくて「愛されたい」だったんだ。
―Superfly(越智志帆)絶賛!

絶望と希望の混じった強烈な吸引力
それぞれの「これから」を見たい
―宮下奈都(作家)

『1ミリの後悔もない、はずがない。』で話題を呼んだ一木けい、待望の第二作。若く力強い魂を描き出した、胸がひりひりするような青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • 高校生の橙子。人に馴染めずクラスで浮く存在である。しかし、合唱コンクールでクラスメートのヤマオよりソロの推薦を受ける。橙子は歌うのか。そして、橙子にはどんな過去があったのか。
    橙子の生い立ちを読むと苦しい。そして、橙子の母・芳子も辛い。この母にも暖かい手が差し伸べられるべき。愛の枯渇。自分だったら上手く接することができるだろうか、大切なことを読み進めながら心に留める。高校生のストレートな感情、上手く描き世界を完成させていました、ですのでこれからも期待です。

  • 後半ページをめくる手が加速。
    ツラい、重い思い。

  • 愛を知らない=愛してほしい。
    うまくやりたいのに、うまくできない。周りと比べてしまう。良い母親になりたいのに。
    追い詰めてしまうのは、愛の裏返し。
    子育てをしたことはまだ無いけど、ひりひりと胸に迫ってきた。

  • 『1ミリの後悔もない、はずがない』を読んだとき、「あぁ、このヒトの描く世界、好きだ」と思った。
    最初のイメージ(ちょっとラノベとか若い子向けの物?)があっというまに崩れ去り、というか、崩れ去る前にその世界にどっぷりと浸りきっていて。このヒトが描く世界、もっと読みたい。もっと浸りたいと焦りに似た気持ちが湧き上がってきたのを思い出しました。
    そして今回、ちょっと不安でもありました。『1ミリ』があまりにもよすぎてあの世界を超えられるのか、あるいはあの世界にもう一度連れて行ってくれるのだろうか、と。
    杞憂でした。一木さん、すごいです。高校の合唱コンクール、というよくある青春モノの舞台を、さわやかさとか友情とか熱血とか、そういうものをばっさりと切り捨てて、ヒトの心のど真ん中にある「芯」のようなものにまっすぐ目を向けて。
    「善なるもの」が必ずしも正しいとは限らない。というよりも、「善」であるために切り捨ててしまうもの、「善」であろうとして見失ってしまうもの、それを高校生が自分たちの手の届く範囲で正そうとするその姿に激しく心を揺さぶられた。
    結果オーライなラストはいらない。ご都合主義な笑顔もいらない。一木さんのまっすぐな視線をただただ受け止めて本を閉じた。

  • 初めて読む作家さん。
    たまに読む一般の方のブログで紹介されてて、気になったから読んでみた。

    主人公は、ピアノが上手な男子高校生。
    同じクラスで親戚の橙子が、合唱コンクールのソロに選ばれて、指揮者、男子ソロの4人で練習をしていく。
    最初やる気のなかった橙子は、徐々にクラスメイトとも打ち解けていった。
    そんなとき、主人公とその仲間は、橙子の出生の秘密を知る。

    橙子が、自分が里子であることは知られたくないって言ったことが印象的だった。
    同情されたくないからか?と主人公は想像を巡らす。でも、そういうことではないと思う。
    読み進めていき、おそらく、橙子自身が、育ての親から橙子の生みの親について悪情報ばかり聞かされおり、自分のアイデンティティや生まれを恥ずかしいもの、人に知られたくないことだと思い込まされていたんだと思う。
    橙子が魅力的で、誰かに大切にされるに値する人間であること、誰かを救っていること、ヤマオに説得されたのだろうけど、橙子が肯定的な意見を全て素直に受け入れられたのかどうか…。

    育てにくい子は、たしかに存在します。
    愛着障害の試し行動というのも、現実にあるのでしょう。
    でも、信頼関係を築けなかったこと、子どものせいにしないであげて欲しかった。
    最後には、育ての母も、橙子との日々に幸せがあったことに気づけるけど、遅すぎた。
    橙子は、きっと、自ら選んだ道とは言え、しばらくの間は「育ててくれた恩を裏切った自分」に苦しみながら生きていくことになる。つらすぎる。
    ピアノの冬子先生が「恩にも時効がある」と主人公に言ったけど、大人である冬子先生自身も、そのことに気付けるまでに相当の年月を要したはずだ。

    里子里親というか、養子縁組なのではないか?と些末な法律論にひっかかる暇もないほど(読み終えてから違和感に気付いた)この少女の行先が明るいものであるよう願いながら、先へ先へと読み進めました。

  • 前作とはちょっとテイストが変わった?
    どこかで読んだことがあるような雰囲気だけど、それが誰なのかは思い出せない。
    最終的な結論から言うと非常に難しい。
    このオチは皆様読者にお任せします感がかなりあって、結果どうだったかは本当に読んだそれぞれの読者によって変わってしまうと思う。

  • 合唱祭で「二人の擲弾兵」というドイツ楽曲の伴奏を担当することになった涼。自分に存在価値などないと考えるような引っ込み思案の彼には、遠い親戚の同級生、橙子がいる。
    マイペースで身勝手でクラス中から浮いている橙子が合唱のソロパートを歌うことになり、なんとなく避けていた橙子と交流を持つことになった涼は、自分勝手で口の悪い彼女に反発を覚えながらも、次第に距離を詰めていく。

    人と人の関係、親子、あるいは家族の関係の脆さと危うさを考えさせられる。
    愛を知らないわけではない。けれどうまく愛すことができない。そうやって、もどかしく生きている人は、案外多いんじゃないだろうか。
    うまく愛せなかった人を擁護するわけではないけれど、簡単に誰かを責めるわけではない、そんな物語なのだと思った。

  • なんて酷いんだ。
    グイグイ引き込まれて、読みやすい本だった。
    最後、涙出た。
    ひどい。
    ヤマオが素敵。

  • もしかしてそうなんじゃないの?と思いながら読んだら
    ほんとにそうで、もっと強烈でとても苦しかった。
    出てくる人みんな、大人も子どもも愛を知っているし
    愛されることも愛することもわかっているように思った。
    ただ、ただ、求めすぎたのかもしれない。
    教会での結婚式で説かれることの多い
    聖書の一節「コリント人への第一の手紙 13章」を思い出した。

     愛は寛容であり、愛は情深い。また、ねたむことをしない。
     愛は高ぶらない、誇らない、
     不作法をしない。自分の利益を求めない、
     いらだたない、恨みをいだかない。
     不義を喜ばないで真理を喜ぶ。
     そして、すべてを忍び、すべてを信じ、
     すべてを望み、すべてを耐える。
     愛はいつまでも絶えることがない。

    芳子はちょっと受け入れられないけれど
    だけど、お前はどうなんだ!愛せたか?きちんと愛せたか?と
    胸ぐらをつかまれたようだった。

  • 冬香先生のお姉さん的魅力。機動戦士ガンダムのマチルダさんを思わせる魅力。自分は男として見られていないんだなという哀しみと、よからぬ妄想をしてしまう自分を攻めてしまうような気持ちとを兼ね備えた言葉にできない関係。

    後半、教室に登場した芳子の口上を、読まずに飛ばしてしまった。飛ばしてしまった人と、僕は共鳴できると思う。

    愛を知らないなんて、環境が私をそうさせたなんて、言い訳にしちゃいけないよ。あんたが弱いだけだよ。でも、完全な人間なんていないんだよな。

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