わたしの美しい庭

著者 :
  • ポプラ社
4.24
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本棚登録 : 2870
レビュー : 187
  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591164853

作品紹介・あらすじ

マンションの屋上庭園の奥にある「縁切り神社」。
そこを訪れる<生きづらさ>を抱えた人たちと、「わたし」の物語。
『流浪の月』の凪良ゆうが贈る、救いに満ちた感動作!

<内容紹介>
小学生の百音と統理はふたり暮らし。朝になると同じマンションに住む路有が遊びにきて、三人でご飯を食べる。
百音と統理は血がつながっていない。その生活を“変わっている”という人もいるけれど、日々楽しく過ごしている。
三人が住むマンションの屋上。そこには小さな神社があり、統理が管理をしている。
地元の人からは『屋上神社』とか『縁切りさん』と気安く呼ばれていて、断ち物の神さまが祀られている。
悪癖、気鬱となる悪いご縁、すべてを断ち切ってくれるといい、“いろんなもの”が心に絡んでしまった人がやってくるが――

<プロフィール>
凪良ゆう(なぎら・ゆう)
2006年に『恋するエゴイスト』でデビュー。著作に『神様のビオトープ』『すみれ荘ファミリア』『流浪の月』など。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で半年待ちでした。
    フォロワーさんの方々の素晴しいレビューの数々のあとで気がひけるのですが、記録としてレビューします。

    五階建てのマンションの屋上に庭園があり、緑があふれる小道の奥に祠があります。
    屋上神社で縁切りさんと呼ばれる御建神社(みたら神社)。
    そこの庭を手入れしているのは、副業で翻訳家をしながら家に代々つたわる神職を継いでいる統理(とうり)。
    統理には血のつながらない親子である、小学五年生の娘の百音(ももね)がいます。
    マンションの隣の部屋には、ジェンダーがゲイで、バーのマスターの路有(ろう)。
    そして他に、昔マンションに住んでいた桃子、40歳、独身。桃子は高校のとき恋人の坂口創(はじめ)が事故で亡くなったのが忘れられず、誰も好きになれずにいます。
    そして、創の弟の基(もとい)は33歳でうつ病を発症し、東京の職場を辞し、自宅療養中ですが、偶然このメンバーと知り合います。

    まず、すごくよくわかったのは桃子の坂口くんへの想い。そんな恋をしたら次に好きな人なんてできないだろうと思いました。
    そして、幸せに決まった形なんてないということがよくわかりました。

    統理は言います。
    「ぼくたちは同じだから仲良くしよう」より「ぼくたちは違うけど認め合おう」のほうを勧めたい。
    「それでも認められないときは黙って通りすぎよう」
    「無駄に殴り合って傷つけ合うよりは、他人同士でいた方がまだ平和」
    「手を取り合ってはいけない人なんていないし、誰とでも助け合えばいい。それは世界を豊かにするひとつの手段だと少なくともぼくは思っています」

    私もいらないものをよく考えて、心の縁切り箱に入れておけばいいのだと思いました。

  • 「流浪の月」で本屋大賞を受賞された凪良ゆうさん。
    受賞作は、ちょっと重い内容なのかな…と思い、装丁の絵が明るい印象のこちらを図書館で予約した。

    なんというか、新しい時代を感じた。
    社会の主流ではない場所で生きる人たちが、互いに踏み込みすぎず、でも互いを必要とするときにはしっかりと結びついて生きている。
    誰もがこんな風な距離感で支えあって生きられたらいいのにな…。

    読んだことがあるようでない、そんな小説だった。
    さぞかしお若い方なんだろうなぁ…と思ったら、自分とそう変わらない方だとが分かり驚いた。
    すぐ年齢で考えようとする自分を反省。2020.10.23

    • naonaonao16gさん
      ロニコさん、おはようございます!

      凪良ゆうさんの価値観や距離感、素敵ですよね。
      「流浪の月」しか読んだことないですが…(笑)

      わたしもす...
      ロニコさん、おはようございます!

      凪良ゆうさんの価値観や距離感、素敵ですよね。
      「流浪の月」しか読んだことないですが…(笑)

      わたしもすぐ年齢で決めつけたりすることあるのでわかります!!
      と思って思わずコメントです。

      素敵な一日を!
      2020/11/06
    • ロニコさん
      naonaonao16gさん、こんにちは^_^

      コメントをありがとうございます!

      ブクログを始めて、色々な方のレビューと共に読みたい本が...
      naonaonao16gさん、こんにちは^_^

      コメントをありがとうございます!

      ブクログを始めて、色々な方のレビューと共に読みたい本が増えるばかりで、絶望感すら漂ってます…。
      凪良さんも、私にとっては新しい風を運んで下さった作家さんです。

      naonaonao16gさんは、柚木さんのButterを読まれたのですよね。あれはかなりヘビーですが。
      「本屋さんのダイアナ」や「さらさら流れる」も読み応えありますよ、Butterほど重くないですし。

      しかし、本当に年齢というか、分かりやすいモノに巻かれてはいけませんね…。
      2020/11/07
  • 「根本的な解決にはなっていないけれど、生きていく中でなにかが根っこから解決するなんてこと滅多にない。しんどい。つらい。それでも明日も仕事に行かなくてはいけない。だからとりあえず明日がんばるための小さな愉しみを拾い集めていくことが優先される」本文より。

    「流浪の月」に続き、凪良さん2作目。
    心を射抜かれた。

    巷には情報が溢れ、ハウツーや専門家による単純化された答えが用意され、随分と困難がなく生きられるはず。
    でもちっとも解決なんかしない。

    私が悪いの? どうすればいいの?
    どうしてこんな目に?

    いつも自分を責め続け、追い詰める癖がある私は、登場人物たちに自分を重ね、何か重い荷を少し解くことができた気がする。

    「考えすぎず、突き詰め過ぎず、沈まない程度の浮き輪につかまって、どこともしれない場所へと流されていく」

    そうだ、物事を根っから解決してすっきりなんて、絵空事だ。日々心の奥底に閉じ込めた寂しさ、やるせなさ、諦め、怒り等々、何かの拍子にぐっと飛び出しそうになるのを抑えながら、私もこの年まで日常を続けてきた。

    鍵をかけているつもりで、いい人やいい母親を装って生きてきたけれど、心にはどろどろとしたマグマが燻り、本当は実家の母や妹への怒りでいっぱい。
    夫にも振り回され続けた。

    私には幼い頃から、私を守ってくれる居場所なんてなかったんだ。
    そう、「なにがあってもここに逃げ込めば守ってもらえるんだ、ここはわたしの場所なんだと思えた(本文より)」そんな場所が心の底から欲しかったんだ。

    周囲の期待に応えようとし続け、社会の評価や規範に頼る日々は辛かったんだな。

    誰かの役に立たなくても、期待に応えなくても、生産的でなくても、そこに居ていいんだよという安心感を得る環境が全くなかった自分。

    そんな状態の自分を無価値と責めてしまうのは、たまたま不十分で不適切な環境だったからで、生い立ちでの大事にされた、愛された記憶の存在は大事なのだなと感じた。

    でも大丈夫。そんな記憶や経験がなくても、私は可哀想な人でもいい。
    「誰かに証す(あかす)必要なんてなく、わたしはわたしを生きていけばいい。」(本文より)

    そんな自分を受け入れて、私は私の人生の選択をしていくのだ。

    辛くなったら、また夜頁を開き、マンションの住人達と一緒の空気を吸うことで、明日を少し元気に迎えられそうな1冊。いつも手元に。

  • 心が軽く清々しくなる一冊。

    今作も良かった。ちょっと生きづらさを抱えた人たちで紡がれる連作短編集は心を揺さぶってかき回された。時に苦しく時に涙…なのに読後は心がスッと軽くなる。
    たぶん、普通とか定義とか…そんなの必要ないじゃないっていうものを全部引っこ抜いて持っていかれたから。
    しかも無理矢理じゃない、ごく自然に。

    そして一気に風通しが良くなる感覚に清々しささえも感じられた。

    誰もが自分に必要なものだけ残して自分の誇れる庭を心に造り上げる…それが大切。

    そして一人でも綺麗な庭だねって言ってくれる人がいたら幸せだ。

  • 「余計なお世話」
    焼かれるのもイヤだし、知らず知らずに焼いてしまっていること、たくさんあると思います。それも善意のつもりで。

    「ぼくたちは同じだから仲良くしよう、より、ぼくたちは違うけど認め合おう、それでも認められないときは黙って通りすぎよう」
    ‥‥これ、なかなかできないことなんだと思います。SNSの世界でもリアルの世界でも、これができないから拗れてしまうんだろうなぁと。

    「自分の感情は自分だけのもの」
    みんなみたいに、こう思えない自分はおかしいのか?薄情なのか?なんて思わなくていい、私の心は私のもの、毎日手入れをしている「わたしの美しい庭」なんだ、そんな風に思えました。

    私はもっぱら図書館派だけど、この本は手元に置いておきたい!何度も読み返したい、私のバイブル的な一冊になりました。

  • 本作も凄く楽しめた。この作者の描く登場人物は、社会的にマイノリティーの立場だったり、訳ありの家族であったり、憐憫や同情、差別、蔑みの対象になりやすい人物を取り上げている。いかに我々が上っ面だけの情報で人を見ているか思い知らされるし、本当に幸せの形は色々あっていいのだと前向きな気持ちになれる。親や周りから期待された、あるいは自分の思い描いた理想像のレールから外れた時、人は戸惑い悩み苦しむ。しかし幸せの形は色々なのだと思える。色々な形があっていいんだ。そんな気持ちいいそよ風が美しい庭の花を優しく揺らしている。

  •  凪良ゆうさん素晴らしいです!

     短編集だけど、こちらはマンションの屋上にある縁切り神社に関する人たちの物語。そんなわけで、章ごとにメイン人物は違いますが、同じメンバーが出てくるので、それぞれの側面を見られるという意味では、より美味しい作品になってるかも。

     私が特に好きなのは『あの稲妻』。地味で大人しめの桃子さんと坂口くんの高校時代のエピソードがたまらない。

    『桃の浴衣、すげえ楽しみ。』

     そう言いながら叶わなかった理由を私なりに想像していたが、まさかそんなことがあったとは・・・。

     それじゃ桃子さん、いつまでも引きずってしまいますよね。

     親の神社を継ぎながら、血の繋がらない百音を育てる統理。
     両親を事故で亡くし、母親の元夫である統理と暮らす百音。
     ゲイで移動バーを経営する路有。
     高校の時に恋人を亡くし、今も忘れられず独身でいる桃子。
     東京でバリバリ働いていたが、うつになって戻ってきた基くん。

     みんな個性豊かで魅力に溢れている登場人物たち。まだまだ彼らがいる世界に浸っていたかったな。

    • ひとしさん
      まことさんこんにちは♫

      ホント、凪良ゆうさん素晴らしいですよね!ステキな作家さんに出会えたことに感謝です。
      やっぱり死に別れっていう...
      まことさんこんにちは♫

      ホント、凪良ゆうさん素晴らしいですよね!ステキな作家さんに出会えたことに感謝です。
      やっぱり死に別れっていうのは辛いですよね。
      実は私の兄も、私が高校生の時に事故で亡くなったんですね。その時の兄の彼女のことも少し考えたりしてしまいました。幸せな結婚をしていればいいなと。
      これからも素晴らしい物語を描いていってほしいですね!
      2020/09/26
    • まことさん
      ひとしさん。

      そうだったのですか。
      お兄さん残念でしたね。
      それは、この作品を読まれるとき、思い出されたでしょうね。
      私も、お兄...
      ひとしさん。

      そうだったのですか。
      お兄さん残念でしたね。
      それは、この作品を読まれるとき、思い出されたでしょうね。
      私も、お兄さんのご冥福と、彼女だった方のお幸せをお祈りいたします(__)
      2020/09/26
    • ひとしさん
      まことさん!
      ありがとうございます(><)
      きっと幸せにいてくれてると思うんですけど、最近まで墓参りしてくれていたみたいなんですよね。
      ...
      まことさん!
      ありがとうございます(><)
      きっと幸せにいてくれてると思うんですけど、最近まで墓参りしてくれていたみたいなんですよね。
      もう30年くらい経つのに。

      本当にありがとうございます!
      2020/09/26
  • 今までさんざん、親切という名のお節介や好奇心によって傷つけられてきたであろう若者たちの自己解放宣言ともいうべき話だった

    私も経験しているが、世の中には親切や社交辞令や常識という名のナイフを持った言葉が充満している
    身体を傷つけたら血も出るが、心を傷つけても心が血を流すということを知らなければならない
    そして、身体の傷よりももっともっと治りにくいということも

    そして、自分はそんな言葉を人に吐いていないかも、日々見直したいと思う

    しかし、ここに出てくる若者たちは、見事にそんな悪縁を断ち切り、自分らしく生きようと前を向いている
    その姿がとても自然で心から応援したくなった

    自分の心を吐露し、語り合う言葉の一つ一つがうなづける

    小学校5年の百音ちゃんが道徳の『思いやり』の授業で感じた「心のもやもや」友だちの思いやりという名の「大きなお世話」を形代に書いて縁切り神社に奉納する姿もかっこよくどんな大人に成長していくのだろうと楽しみになった

    表現が美しいことにも惹かれた

    凪良さんは、前作に続き今回も世の中のマイノリティの部分の人を題材に取り上げられていることにも注目している
    これからが楽しみな作家さんだ

  • 複雑な家庭環境、性的マイノリティ、恋人との死別、うつ病…
    どれも重いテーマなのだが、この作者が書くと全く悲壮感がなく、とても読みやすい。
    これは、前作の「流浪の月」でも同じく感じていて
    この作品もすごく期待感いっぱいでよみはじめたが、まさに期待を裏切る事のない素晴らしい作品でした。

    その中でも、一番好きな話が「あの稲妻」
    このしょうの全てを表している詩集の一部
    (茨木のり子)
    けれど歳月だけではないでしょう
    たった1日きりの
    稲妻のような真実を
    抱きしめて生き抜いている人もいますもの

    そして、桃子が
    こんなに長い時間が過ぎたのに
    わたしはやっぱりあなたが忘れられない
    だから、もう、そう生きていってもいいかな?

    そう!それでいいと思う!!
    恋人がいない、結婚してない、子供がいない
    世間体という目が、かわいそう、不幸だみたいな視線を向けてくる…
    本当に余計なお世話だ!
    そんなもの以外にも充分に幸せに楽しく生きていく道はいくらでもあるのだ
    忘れられない恋を引きずって、たまに思い出して
    幸せな気分に浸ったて全然いいのだ…

    ヘンテコな人間関係の中で、すくすく育っていく百音ちゃん。
    きっと素晴らしい感性を持った素敵な女性になっていくんだろう…

    いつか続編で、百音ちゃんがもう少し大人になって
    素敵な出会いや恋愛をしている姿を描いて欲しいと思っているのは、俺だけではないはずです…

  • 縁切り神社があるマンションに住む人達の物語。

    いわゆるマイノリティと呼ばれる人達に対して外野があれこれ口出しをすることによって少数派である人達は端に追いやられてしまうことで結果として社会への生き辛さ、葛藤を抱いてしまうようにも感じましたね。

    私自身、これまでの人生で重なる部分も多々あり、なんだか見透かされているような文章にも出会ってドキッとすることもありました。

    世間の一般的な見方は偏りがち(多数派が正しいとは限らない)のような気がするけれども、真実を知っているのは当の本人達であればそれでいいでしょう?

    分かち合えているからこそ、他の人に対して思いやることができたり、優しく接することが出来たりすることもあると思います。

    タイトルにもある、「わたしの美しい庭」とは縁切り神社を通じた「その人が自分らしく正直に生きられる人生観」と個人的には解釈しました。

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著者プロフィール

凪良ゆう(なぎら ゆう)
小説「花丸」冬の号『恋するエゴイスト』(白泉社)でデビュー。『雨降りvega』(イラスト:麻々原 絵里依)、『365+1』(イラスト:湖水 きよ)などの作品を手がける。主にボーイズラブ系で活動。
作品多数。主な作品に、『積木の恋』『未完成』『美しい彼』『ショートケーキの苺にはさわらないで』『おやすみなさい、また明日』『2119 9 29』『雨降りvega』など。
『悩ましい彼 美しい彼3』がBLアワード2020 BEST小説部門第1位を獲得。『流浪の月』が2020年本屋大賞の大賞を受賞。

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