- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591167304
作品紹介・あらすじ
<著者プロフィール>
「背徳のレクイエム」で第2回ファンタジーロマン大賞で佳作入選しデビュー。『銀河帝国の弘法も筆の誤り』で第33回星雲賞受賞。「渋い夢」で第62回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。 2016年に「怪獣ルクスビグラの足型を取った男」で第47回星雲賞を受賞。著作多数。
<内容紹介>
北町奉行所に勤める同心・逆勢華彦は、剣の腕はたつが、生来の臆病。
その臆病がわざわいして捕り物でしくじり、尾田仏馬の組――通称「オダブツ組」に組替えとなってしまった。
尾田仏馬の組は、北町奉行遠山金四郎景元が独自に設けたもので、ほかの組とはほとんど接触がなく、ここに配属されると町廻りにも出られず、一生飼い殺しに等しい扱いとなる。出世の見込みもなく、「与力・同心の吹き溜まり」と称される。
意気消沈して出仕した華彦を待ち受けていたのは、オダブツ組の意外な仕事――江戸の町に現れる魑魅魍魎を見つけ出し、吟味し、退治すること――だった。
伊賀のくノ一、落語家、力士、人の心が読める子供……一筋縄ではいかないオダブツ組の仲間とともに、華彦は江戸の怪異に立ち向かう。
感想・レビュー・書評
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北町奉行所同心・逆勢華彦(さかせはなひこ)は、剣の腕は立つがあまりの臆病さ故に仕事で失敗を繰り返し『オダブツ組』こと小田仏馬(おだふつま)の組に異動させられる。
そこは『江戸の町に現れる魑魅魍魎を見つけ出し退治する』という、華彦には到底出来そうもない仕事をする部署だった。
遠山奉行肝煎りで出来た『オダブツ組』は個性豊かなメンバーばかり。石川五右衛門のような風体で大男の小田仏馬、逆に痩せて素浪人のような風体の無辺左門(ぶべさもん)、元関取の旭日獄(あさひだけ)宗右衛門、人の心が読める少年・塵太郎(じんたろう)、元九ノ一の夜見(やみ)、さらには黒猫の魂(たま)まで。
まともな同心姿は華彦だけで、他は全く同心には見えず、勤務時間もバラバラ。集まれば酒盛りが始まる始末。
こんなことで大丈夫なのかと不安になる華彦だが、実は華彦こそ『オダブツ組』に必要な人物だった。
河童騒ぎに化けネズミ騒ぎ。
どちらも妖怪話の裏側に人間の歪んだ欲望が絡んだ事件があった。しかもその歪んだ欲望もまた魑魅魍魎によるものという設定が面白い。魑魅魍魎につけ入れられるだけの心の隙や欲求不満があるからなのかも知れないが。
同心として体面を保とうと偉そうにするものの、あまりの臆病さに結局はギャアギャア大騒ぎして周囲に叱られたり呆れられたりするのが毎回のお約束。
確かに物音一つ立てずに見張らなければならない場面でギャアギャア騒がれては堪らない。だが気絶しながらも敵に立ち向かったり、敵と正面で対峙するときは剣の腕を発揮出来たり頑張っている。
家で一番強い姉に追い立てられたり、化け物退治指南役のおババに遊ばれたりとお気の毒なところもあるが、こずるいことを考えたり好きな娘の前では見栄を張ったり馬鹿馬鹿しいところもあるので悲壮感はなし。
遠山の金さんが意外な形で登場したり、遠山奉行のライバル、鳥居耀蔵がこれまた意外な設定になっていたり、幕末の老中首座・安部正弘が寺社奉行として出てきたり、実在の人物が絡んでくるのも楽しい。
シリーズとして続編がありそうな終わり方だが、その時は少しは華彦の臆病はおさまっているだろうか。それはそれで『オダブツ組』にとっては困るのかも知れないが。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
もののけを取り締まる部署が臆病同心をスカウトした理由に笑ってしまった。華彦がんばれー。
面子がみんな個性的だし。
遊び人の金さんがそう絡んでくるのか。この設定も面白い。
もののけの仕業と思われる事件も、実は人間の方が怖かったりする。
もののけを怖がるあまりになんでももののけの仕業に思えてびびる華彦だけど、武術の達人なのは頼もしい。真面目でいい奴だし、好きだ。
しかし、化ケネズミの正体は予想もしなかったな。
こういうふうにおおってなる展開は楽しい。
シリーズ続編が楽しみ。 -
ちょっと主人公がふにゃふにゃすぎるが…
続編来るかな。 -
華彦の臆病さ、最高❗️楽しい作品です。続きが読みたいです。
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<内容紹介>
北町奉行所に勤める同心・逆勢華彦は、剣の腕はたつが、生来の臆病。
その臆病がわざわいして捕り物でしくじり、尾田仏馬の組――通称「オダブツ組」に組替えとなってしまった。
尾田仏馬の組は、北町奉行遠山金四郎景元が独自に設けたもので、ほかの組とはほとんど接触がなく、ここに配属されると町廻りにも出られず、一生飼い殺しに等しい扱いとなる。出世の見込みもなく、「与力・同心の吹き溜まり」と称される。
意気消沈して出仕した華彦を待ち受けていたのは、オダブツ組の意外な仕事――江戸の町に現れる魑魅魍魎を見つけ出し、吟味し、退治すること――だった。
伊賀のくノ一、落語家、力士、人の心が読める子供……一筋縄ではいかないオダブツ組の仲間とともに、華彦は江戸の怪異に立ち向かう。