神様のパッチワーク (ポプラ物語館 81)

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 195
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (135ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591167540

作品紹介・あらすじ

おれには、お母さんがふたりいる。ひとりは今のお母ちゃん。赤ちゃんのときから育ててくれているお母さんだ。もうひとりは、生んでくれたお母さん。おれは、生まれてすぐ、特別養子縁組っていうので、うちの子になった──。
主人公は、小学4年生の結。姉と父、母とともにみかん農家の家で毎日を楽しくくらしている。姉の香も母がふたり。ふたりとも特別養子縁組でいまの家族の一員になった子どもなのだ。このことは地域の人たちも知っていて、かくすことなく暮らしている。
ある日、結の担任の先生が「二分の一成人式で読む手紙を書きましょう」と。家族への感謝と将来の夢を書くのだという。同じクラスの友だちに「結はみかん農家をつぐための養子だろ」といわれ、転校生のあかねに「結くんは〈フコウナオイタチ〉でかわいそうだけどがんばってるね」といわれ……。「おれは、そういう理由でこの家にきたのか? 〈フコウナオイタチ〉なのか?」
そして、姉の香がクラスの男子をなぐったという事件がおこる。そして香は、母親の趣味であるパッチワークに「うちはこのパッチワークみたいに、バラバラなものをくっつけただけじゃん!」と。走って家を飛びだす香。追いかける結。結は思う。
「おれはお姉ちゃんの気持ちもわかった。血がつながってなくても家族は家族。全然平気だし、ふつうだし、しあわせだ。わかってるけど『かわいそう』とか『すてられる』とかいわれると、不安になる。足もとがぐらぐらしてくる。どんな親でも血がつながっていれば、幸せなのか。血がつながってなくても大切に育ててくれる親といた方が幸せなのか。どっちの方が幸せなのかはわからない。わかってることは、おれはお父ちゃんとお母ちゃんが、世界でいちばん好きで、おれのことを世界でいちばんすきなのもお父ちゃんとお母ちゃんだってことだ。お姉ちゃんのことをいちばんすきなのも、お父ちゃんとお母ちゃんだと思う。お姉ちゃんだって、きっとそうだ。だから、うちは、すきなものどうしの幸せな家族なんだ」

本作のいちばんの魅力は、結とその家族の人間味あるあたたかさ。みかん畑で誇りを持ってはたらく父、おいしいみかんのおやつを作ってくれる母、そしてくったくのない明るさを持つ結。
家族にはさまざまなかたちがある。でも、どんなかたちでも家族は家族。みんなすてきな毎日を生きている……そんなことをしみじみと感じる物語です。

感想・レビュー・書評

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  • かぞくがパッチワークみたいっていうはっそうすごい!
    わたしには本物の家族がいてよかったとおもいました・・・

  • 図書館本。特別養子縁組で家族になった。そのことを「パッチワーク」と揶揄されて心がぐらつく姉を受け止めます。

  • 私にとって家族は宝物でかけがえのないもの。
    主人公もきっとそう。

  • 家族の物語。それぞれの立場の価値観の描写、もどかしさがよかった。そして主人公のご両親がすてき!こどもに読ませたい1冊。
    著者の他の作品も読みたい。

  • 図書館のよんでみましょうコーナーから拝借。

    挿絵の雰囲気とストーリーの暖かさがマッチしている。
    特別養子縁組で結ばれたみかん農家を営む両親と姉、弟の4人家族の物語。

    自然に授かれる人もいれば、医療の力を借りても授かれない人もいる世の中で、それでも子供を育てたいという人のための家族の形があって、、

    題名の神様のパッチワークに今回の家族の形が込められている。

    結が農家を継ぐために養子に来たのではないか?とお風呂で問いかけたあとのお父ちゃんのセリフにグッとくるものがあった。

    朝早起きしたから軽い気持ちで読み始めたら面白くて一気に読んでしまった。

    【読書時間 37分】

  • 世間ではいろいろ議論ありますが、
    大切なのは、家族になろうという気持ち!
    なるほど!

  • 本の最後の方まで来た時、題名がなるほどなと思った。特別養子縁組という難しいテーマでも、重すぎない捉え方が読み手としてはすんなりきた。

  • 主人公とその姉、そして両親は血がつながっていない。ふたりとも特別養子縁組で両親に迎えられた。家族のことをパッチワークと表現するのは素敵。全く違う柄がつながってきれいなパッチワークになる。

  • 特別養子縁組がテーマ。

    「血がつながってなくても家族は家族。ぜんぜん平気だし、ふつうだし、しあわせだ。わかってるけど、「かわいそう」とか「すてられる」とかいわれると、不安になる。足もとがぐらぐらしてくる。」

    特別な目で見るのは他人の方なんだろうな。
    血がつながっていてもいなくても、「神様におねがいしてさずかった」という気持ちって大切だなって思いました。

  • 特別養子縁組をテーマに家族のさまざまなかたちをあたたかく描く物語。
    (一般担当/ちくわ)

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著者プロフィール

山本悦子(やまもとえつこ)愛知県生まれ。『神隠しの教室』(童心社)で第55回野間児童文芸賞を受賞。主な作品に『先生、しゅくだいわすれました』『先生、感想文、書けません!』『がっこうかっぱのおひっこし』(共に童心社)『夜間中学へようこそ』(岩崎書店)『はっぴょう会への道』(PHP研究所)『神様のパッチワーク』(ポプラ社)など多数ある。日本児童文学者協会会員。

「2023年 『がっこうかっぱの生まれた日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山本悦子の作品

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