天使と悪魔のシネマ

著者 :
  • ポプラ社
3.44
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本棚登録 : 1217
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591169025

作品紹介・あらすじ

結婚を控えた地下鉄の運転士、酔って駅のホームに立つDV男、仕事を辞め恋人も失った無職の若者……狙いをつけた人間の行動に絶妙なタイミングで介入し、運命の調整をはかる天使と悪魔。関りがないように見えていた登場人物たちを背後で接近させ、より合わせ、人間たちが気づいていないもうひとつのドラマを浮かび上がらせていく――。怖いのにちょっと笑ってしまう運命の舞台裏、天使と悪魔がつむぐ「ふつうの人たち」の物語。

「うまいことを言ってるが、君は悪魔なんだろう?」
望まぬ未来を告げられた人間は驚き、ささやかな抵抗を試みるが、運命からは逃れられない。彼は数秒後に死ぬ。だが、ちょっとした余地がないわけではない。結果には幅があり、その余地をついて仕事をするのが天使と悪魔だ。誰かが左に踏み出そうとする足を右へちょっとずらす、それくらいのことをする。狙いをさだめ、タイミングさえ間違えなければ、それなりに効果がある。かといって天使も悪魔もさほど華々しくはない。天使はフリーターと区別がつかないこともあるし、悪魔だって時々しくじる。
この物語にはいろんな人物が登場する。みんな明日があると思って生きているが、天使や悪魔から見ればそうではない。運命の岐路に立っているとも知らず、彼らが次の一歩を歩みだすとき、天使と悪魔は現場に急行するのだ。
独立した読み心地をそなえる10話からなるこの小説は、進むにつれ、遠くにいた人間が近づき、裏が表になって、物語は新たな相貌をあらわす。なぜなら、これは天使と悪魔がつむぐ物語だから。日常なのに異界、温かいのに容赦ない。2019年本屋大賞2位のベストセラー『ひと』とはまた違った味わい、小野寺史宜の新たな傑作エンタテインメント小説。


目次

レイトショーのケイト・ショウ
天使と一宮定男
悪魔と園田深
今宵守宮くんと
カフェ霜鳥
ほよん
LOOKER
おれ、降臨
宇宙人来訪
中津巧の余生

感想・レビュー・書評

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  • 天使と悪魔が人の生死にかかわる10編の短編。10編全部が無関係ではなく繋がっているところもある。

    辛い話もあり、驚く話もあり、すらすら読めた。

    出だしの「レイトショーのケイト・ショー」は、辛い話だった。また、「ほよん」に出てくる元カノの気持ちを考えると辛い。これは死にきれないよな。まあ、自業自得の面はあるけど。

  • 『ひと』や『まち』とは毛色の違う作品でした。私はこっちも好きです。
    色々な人の“死“を扱っているのですが、小野寺史宜さんらしい優しい雰囲気が漂っていて読むのが辛くなるようなことはありませんでした。
    大切な人を残して亡くなってしまった人の目線のお話では、こんな風に思ってくれているのかなぁ、だったら嬉しいなぁ、と思わせてもらえました。
    基本的には天使と悪魔の攻防のお話‥‥小野寺史宜さんらしく、ここは天使の勝利だったのかな?

  • 天使と悪魔と霊と人間と宇宙人が登場する、人の「死」をめぐる短編10編。
    ハートウォームな「ひと」とは趣きが全く違う。
    星新一さんのショートショートを彷彿させて面白いけど、深さがあるわけではない。
    むしろ「死」が軽くてドライに扱われ、ちょっとしたショックを受けた。

    10編の中では「天使と一宮定男」がイヤミス的に後味が悪くていちばん好き。

  • 末の娘が熱を出したので病院に連れて行きました

    発熱外来?病院の駐車場で待っていてドライブスルー検査と言うんでしょうか車に乗った状態で検査です
    最初に抗原検査をして陰性でしたが念の為PCR検査もしてもらってこちらも陰性
    「良かったですねー」

    え?あれ?
    いや多分風邪だろうけど
    寝てれば治るだろうけど
    風邪の方の診察は?

    『検査はあくまでコロナ』でしよ?

    さて『天使と悪魔のシネマ』です

    うーん、うーん、うーん

    悪くはなかった
    悪くはなかったんだけど…
    自分はこんな小野寺史宜さんを必要としていない

    新しい一面との評価もあるのでしょうが
    難しいねなかなか

    文章の感じはやっぱり良かったです

    • ひまわりめろんさん
      NORAxxさん
      こんにちは

      会社でずーっとこんなこと考えてるダメ社員ですw

      リズム感が残念すぎるのでラップは無理だYO
      おやじギャグが...
      NORAxxさん
      こんにちは

      会社でずーっとこんなこと考えてるダメ社員ですw

      リズム感が残念すぎるのでラップは無理だYO
      おやじギャグが精一杯ですw
      2022/04/01
    • NORAxxさん
      おやじギャグとラップは表裏一体と..φ(・ω・ )カキカキ

      その後の診断は大丈夫でしたか??この時期は風邪だけでも油断ならないですね......
      おやじギャグとラップは表裏一体と..φ(・ω・ )カキカキ

      その後の診断は大丈夫でしたか??この時期は風邪だけでも油断ならないですね...。「コロナじゃないから大丈夫診断」が横行しているなんて...笑
      娘さん共々お身体に気をつけて、また楽しいレビュー心待ちにしております( ˊᵕˋ*)
      2022/04/01
    • ひまわりめろんさん
      NORAxxさん
      こんにちは

      娘は次の日にはケロッとしてました
      春休み中なので意地でも治ったことにしたかったのでは?w
      心配頂きありがとう...
      NORAxxさん
      こんにちは

      娘は次の日にはケロッとしてました
      春休み中なので意地でも治ったことにしたかったのでは?w
      心配頂きありがとうございました!
      2022/04/02
  • 思いを馳せたくなる一冊。

    非日常を絡ませた日常は淡いゆらめきあうような時間。

    死、死の瞬間という突然の一瞬の哀しみを切り取り見せられながらも、ふわふわと優しく撫でられていくような気分を味わえた。

    これがやっぱり小野寺さんの持ち味、得意技。

    読みながら今この瞬間にもどこかで…と思わず思いを馳せたくなる天使と悪魔のせめぎあい。

    たとえ悪魔に魅入られて突然連れ去られてしまったとしても、いつか天使が訪ねてきて微笑みをくれたらアフターケアをしてくれたら…うん、それだけで報われる、きっと救われる。

  • 天使と悪魔の・・・・題名に惹かれ図書館で
    借りた本だ。
    見当違いというのか、超短編集だった。
    そんなに厚い本でもないのに10編も
    入っている。

    天使が出てきて、―今飛び降りるより、明日幼稚園児のお散歩に車が突っ込むから、人助けをしてから死ぬ方が有効的
    だ―などと、天使なのか悪魔なのか
    わからないことを言ったりする。

    10編の中の1編を紹介すると・・・・
    カフェ霜鳥。・・・・父親の後を継ぎ、細々と営んでいる。年に1度、自分達の命日に来る4人の客、必ず閉店後に。
    大学時代の演奏仲間。ピアノ、ベース、ドラムス、トランペット。そして自分はサックス。クァルテットだった。行く
    はずだった演奏合宿。直前に彼女が骨折し、自分一人行かれなかった・・・・
    玉突き事故、トラックとトラックに挟まれた。・・・・いつの間にか来て、いつの間にか消えて帰る・・・・飲んでくれないが
    コーヒーを淹れる。一応客として・・・・
    だが、今日は命日ではない・・・何故、
    やって来たのだろう?

    彼は店を閉め、帰り道コンビニに寄った。・・・・そこで今日4人が来た理由が
    分かった!本を立ち読みしていた彼に、車が突進して来た。・・・・
    あ~そうだったのか!・・・
    お別れを言いに、だったのか。
    彼の意識が遠退いていく・・・・
    向こうで皆と演奏できるかな~・・・・

    この話は、気に入った。
    でも、悪魔がひとりの人を殺そうとし、3回失敗してしまい、その罰が下る。
    罰とは、1日に3人、殺さなくては
    ならない、という話は後味の良いものではなかった。

    最後の編では、今までちりばめられていた伏線に気づく。
    あの時、鉄骨の下敷きになった人。
    霊を信じていなかったが、今霊となり
    自宅、実家・・・と彷徨いやっと天界へ
    旅立つ人・・・・命は大事だと思い直した
    話でした。


    2021. 4. 6 読了

    • 旅する本好きさん
      フォロー&コメントありがとうございます♪

      自分が読んでいる本は、フォローしている方の感想をきっかけに、ということが多いので、そこもブクログ...
      フォロー&コメントありがとうございます♪

      自分が読んでいる本は、フォローしている方の感想をきっかけに、ということが多いので、そこもブクログの良いところかと思います。

      どうぞ、よろしくお願いします。
      2021/04/11
  • 死に纏わるシュールな話。
    1.事故映像で死を自覚。恋人の死を知らせないのが不服2.人命救助する男を阻止する天使が天使とは思えない。3.3回も仕事に失敗する悪魔が不憫。6.ほよん:ほっこり

  • そうか、10篇もあったのか。
    ひとつひとつの話がかなり短い。どんどん新しい名前がフルネームで出てくるので把握しきれず、せっかくの繋がりも全部は気付けていないかも。
    どの話もそれぞれ面白かったので、もっと登場人物たちのことを詳しく教えてほしかった。感情移入する間もなく読み終えてしまった。

  • 今日読み始めたのに、1話目で「悲し過ぎるよ〜!」と思ってから、ちょこちょこと家事を挟む以外ずっと読むことをやめられなかった。
    夢中になり、1日、これに使ってしまった。

    天使や悪魔が出てくることに慣れていた5話目では本当に「えっ?!」と思わず声が出てしまった。
    今度はそれが出てきたか、って感じ。
    そうとくれば、この5話目の途中の会話から、オチも想像できたけれど、とにかく全編面白かった。

    いや、「面白かった」と言うには語弊があるようなテーマなんだが。

    私はここに「医療・死生観」というカテゴリーを作ってあるので、1話目と3話目を読んだ時にはそのカテゴリーに入れた方がいいかなとも思ったりしたが、「小野寺史宜」さんのカテゴリーがあるのでそっちへ入れる。

    全編引き込まれて読書を楽しめたが、読後、ちょっと考えてしまった。
    家族や大事な人をこのような形で失くしてしまった人にはきつすぎて読めないなと。
    以前他の、やはり小野寺さんのように私が好きな作家さんの作品の中にも突然、そのように思うシーンが出てきたことがある。
    テーマを知らず、予期せぬ形で「小説」の中に地雷が埋まっているとしたらきつい。
    そもそもそれ以前に「読書」なんて趣味を楽しむことなど全くできなくなってしまうだろうけれど。

    どうか悪魔は「悪魔になれる器」のヤツだけを単体で引き取ってください!!
    天使、頼む、マイナスをプラスにして〜!!


    章ごとのイラスト(映画の観客)に意味を見つけようとしたが、どう考えても、登場人物やストーリーとの関連は無さそうである。

  • 伊坂さんの作品に似ていますね。

    前後の短編が どのように関連するか。

    考えながら読むと

    意外と 大変でした。

    もう一度 読んで見ると

    良いのでしょうが。

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著者プロフィール

一九六八年千葉県生まれ。二〇〇八年『ROCKER』で第三回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し同作で単行本デビュー。著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひと』『ミニシアターの六人』『レジデンス』『タクジョ!』『銀座に住むのはまだ早い』『君に光射す』などがある。

「2023年 『片見里荒川コネクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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