死にたがりの君に贈る物語

著者 :
  • ポプラ社
3.81
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本棚登録 : 3213
感想 : 172
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  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591170083

作品紹介・あらすじ

あなたがいるから、私は小説を書こうと思います。
――著者が、自身に、読者に問い掛ける衝撃の問題作!


全国に熱狂的なファンを持つ、謎に包まれた小説家・ミマサカリオリ。だが、人気シリーズ完結を目前に訃報が告げられた。奇しくもミマサカの作品は厳しい批判にさらされ、さらにはミマサカに心酔していた16歳の少女・純恋が後追い自殺をしてしまう。純恋の自殺は未遂に終わるものの、彼女は「完結編が読めないなら生きていても意味がない」と語った。
やがて、とある山中の廃校に純恋を含む七人の男女が集まった。いずれもミマサカのファンで小説をなぞり廃校で生活することで、未完となった作品の結末を探ろうとしたのだ。だが、そこで絶対に起こるはずのない事件が起きて――。
著者自身の根源的な問いを内包する、痛切な青春ミステリ!

■著者プロフィール
綾崎 隼(あやさき・しゅん)
1981年新潟県生まれ。2009年、第16回電撃小説大賞<選考委員奨励賞>を受賞し、『蒼空時雨』(メディアワークス文庫)でデビュー。受賞作を含む「花鳥風月」シリーズ、「君と時計」シリーズ(講談社)、『盤上に君はもういない』(KADOKAWA)など著作多数。本作は著者にとって40冊目の刊行となる。

感想・レビュー・書評

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  • 感情移入していたら精神崩壊してました。多分……。

    本作『死にたがりの君に贈る物語』は、大人気の覆面作家のSNSでの訃報から始まる物語。その訃報の翌日、妄信的なファンである一人の少女が自殺未遂を図ったことで、事態は出版社や覆面作家の担当編集者の"皆"を巻き込み、より一層深刻になっていく。

    と、あらすじはここまでにさせて下さい。これ以上は是非味わって欲しいです。

    綾崎隼さんは最近発刊された『それを世界と言うんだね: 空を落ちて、君と出会う』で初読みした作家さんですが、本作も綾崎隼さんであったことは単行本を購入してから知りました(笑)

    しかし、どちらの作品も実に心地良い読後感です。本作は特に人間の闇と光の対比がリアルで、どちらの立場になっても共感を誘います。そして冒頭に書いた通り、「感情移入していたら精神崩壊してました。多分……。」

    作中に出てくる作品を是非読んでみたいなと思いましたね♪

  • 第5回未来屋小説大賞ノミネート作品。

    著者の突然の訃報を知り、未完の大作「Swallowtail Waltz」の結末を知るため、山奥の廃校で7人のファンが共同生活をする。

    読みやすい。途中で澱むことなく最後まで一気に読める。
    「Swallowtail Waltz」が読んでみたい!と思いました。
    「Swallowtail Waltz」みたいに、この本があったから今生きている。ブクログやっている人には皆そんな本があると思う。

    本編は10代向け。
    細かいことは気にしないで、ツッコミどころはすっ飛ばして楽しみましょう。

  • 熱狂的な読者が多数いる「Swallowtail Waltz」は、完結を目前にして作中の主要キャラクターの死で世間の批判を浴びたことにより続編は発表されないまま経過していた…。そこに、「Swallowtail Waltz」の作者であるミマサカリオリの訃報が届きファンの1人である16歳の純恋(すみれ)が、「Swallowtail Waltz」の続編が読めないのなら生きていても仕方がないと自殺を図ったがとりやめる…。その後、ミマサカリオリのファンサイトの中で、「Swallowtail Waltz」の結末をファンで探るための共同生活を送るという誘いに、純恋を含め7人の若者が廃村となった地域の小学校に集まった…。

    この作品を読んでいてやっぱり思うのは、「Swallowtail Waltz」を読んでみたいということかな…(辻村美月さんの「スロウハイツの神様」を思い出しました!「スロウハイツの神様」では、作中の著書「VTR」が実際に読めます)。ただ、「Swallowtail Waltz」と本作がごちゃごちゃになってしまっている感がしてしまって、わかりにくい印象も持ちました。

    でも、ラストが本当によかったです!みんなの、純恋ちゃんの想いは通じた!そう思って、感動しちゃいました。若い世代の読む作品と感じる読者さんも多いようですが、私はそんなに若くはないけど共感できました(^-^;)ブクログを続けることで、自分の人生観が変わってくるようなそんな作品に出逢えるといいな…そう思いました。

  • 綾崎先生のサイン会にて購入したものの、読むのが勿体なくてなかなか手を出せず。しかし、積読もかなり溜まってきたため、意を決して手に取った。

    全国に熱狂的なファンを持つ、謎に包まれた小説家・ミマサカリオリ。だが、人気シリーズである『Swallowtail Waltz』完結を目前にして、ミマサカの訃報が告げられる。
    奇しくもミマサカの作品は厳しい批判にさらされ、さらにはミマサカに心酔していた16歳の少女・中里純恋は後追い自殺を決行。純恋の自殺は未遂に終わったものの、彼女は「完結編が読めないなら生きていても意味がない」と語る。
    やがて、とある山中の廃校に純恋を含むミマサカのファン7人の男女が集まり、未完となった作品の結末を探ろうとする。しかし、そこでは絶対に起きるはずのない事件が起きてしまい……?

    綾崎先生の作品を読むたび、この人の描く文章は本当に奇麗だなとため息が出る。
    今回も読み始めてからあれよあれよと時間が経ち、気が付けばこんなもう時間か! と思うことが何度かあった。
    作中のほとんどの場面では、主人公の大学二年生・広瀬優也の視点で話が進む。
    廃校に集められた純恋と優也を含む7人は人物像もくっきりとしていて読みやすいのだが、少々展開がわかりやすいと読み終えて感じた。
    だが、ある程度話を予想できていても心を揺さぶられたことに変わりはなく、人一倍感受性の高い作者と狂信者と言われるほど熱狂的なファンたちの想いには心打たれた。『あとがき』も素晴らしかった。

    読書が大好きな人は勿論、執筆だけでなく、創作活動をしているすべての人にぜひ読んでほしい。そんな作品だった。

  • 冒頭から「なんか変だな、こういう流れなんじゃないかな」「この人はこうなんじゃないかな」と思っていたら、その通りの話になってしまった。
    タイトルもなんでこのタイトルなんだろうと思っていたけど、そのまんまのタイトルだった。

    小説家に限らず、音楽など他の分野でもいえる。
    非凡な才能を持っている人は、ものすごく臆病で、繊細なんじゃないか。
    そして非凡な作品には、熱狂的なファンと、厄介なファンが付き物である。

    私の心が清らかでないからか、あまりにも優しくてできすぎた世界に感じてしまった。

    電撃文庫っぽい文体だなあと思っていたら電撃文庫出身の作家さんでした。
    ティーン向けの作品。

  • 覆面作家の死後,廃校で生活する七人。主人公広瀬ゆうやが退場した時は驚いた。残された二人で話がどう続くのか。推しへの愛が推しを救う。後書きは必読。苦悩する人に生きる勇気くれる話。

    • マメムさん
      初コメです。
      タイトルの「君」が冒頭と結末で変わって聞こえるのが魅力ですね^_^
      初コメです。
      タイトルの「君」が冒頭と結末で変わって聞こえるのが魅力ですね^_^
      2023/09/20
    • あるさん
      コメント有難うございます。本当にその通り。秀逸なタイトル。タイトルの意味が最後に明かされ,心にしみる物語だと思います。
      コメント有難うございます。本当にその通り。秀逸なタイトル。タイトルの意味が最後に明かされ,心にしみる物語だと思います。
      2023/09/20
  • ❇︎
    初めて手に取った、綾崎隼さんの小説。

    事前に何の情報もなく読みはじめたので、
    出だしを読み、その後をどう続けていくのか
    想像しながらするすると読み進めました。

    何かをきっかけにして考え方が変わったり、
    立ち止まっていた場所から踏み出そうと思えたり、
    そのタイミングは誰にもわからないし、
    何がきっかけになるかもわからない。

    今が暗ければ暗いほど、辛ければ辛いほど、
    分からないことは怖くもあるし不安でもある。
    でも、どんなに頑なで深い拒絶や絶望でも、
    解ける瞬間があるのかもしれない。
    そんな希望をほんの少し感じさせてくれる物語。


    プロローグ
    第一話 あなたが死んでしまったその後で
    第二話 友達なんかじゃない
    第三話 ユダとジナ
    第四話 さよならも言えない
    第五話 あなたが見た夢
    幕間  ある小説家の死
    最終話 愛がすべてなのだとしても  
    エピローグ
    あとがき

    登場人物は、自分には生きて存在している
    価値がないと塞ぎ込んでいたり、
    何も誰も信じられないと感じていたり、
    将来や生きることに希望が持てず立ち止まり、
    それぞれに生きづらさを感じてる中で一つの
    小説に出会います。

    ある人は物語を生きる支えとし、
    またある人は物語の結末を読むことだけを
    生き続けるための拠り所として、何とか
    今を生き続ける。

    ところが、作家の訃報が報じられてしまい、
    結末が永遠に読めなくなってしまったことに
    絶望して命を絶とうとする少女が現れてしまう。

  • 自暴自棄になっていた自分を救ってくれた人たち。
    その救ってくれた人も自分を諦めていて...
    今度は自分がその人を救いたい!的なお話。

    終わり方凄く良かったです。^ - ^

  • 人気小説家ミマサカリオリの突然の訃報。その翌朝1人の少女が投身自殺を図るところから物語はスタート。作者死亡による未刊となってしまった最終巻に迫るべく、山奥の廃校で小説をなぞらえた共同生活が始まる。

    廃校に集められた7人の男女が共同生活を送る中で少しずつ謎が紐解かれていく。おっとこれ以上はネタバレ。ミステリーにしては軽めという感想もあるけど、この物語の本質はそこではないと思うので、展開はよかったと思う。何件かレビューにあったけど、人を傷つける言葉は自分に向いてなくてもきつい。

    どんな作品にもアンチはつきものだけど、作者の人格を傷つけていいってことにはならない。批判と誹謗中傷の境目は何かなって考えたとき、想像力や愛があるかないかなのかなと思いました。もう一つ感じたのは、誰もが何かに縋りたくてもがいたり苦しんだりしてるけどたった1つがあれば、少なくとも今日を生きる理由や希望になるんだなと思いました。

    あとは、自分の気づかないところで、自分が誰かの生きる理由や希望になってるってことも。ラストは月並みかもしれませんが、私は好きです。

  • 「99人が褒めてくれてもたった1人の言葉に傷つき、心を病んでしまう」
    そんな繊細な心を持ち、自分も他人も信じることができなかったミマサカリオリは、最後は自身の小説を心の底から愛するたった1人の少女に救われた。

    最終巻はたった1人の少女に向けたものだった。
    「死にたがりの君に贈る物語」

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著者プロフィール

2009年に第16回電撃小説大賞選考委員奨励賞を受賞し『蒼空時雨』(メディアワークス文庫)でデビュー。「花鳥風月」シリーズ、「ノーブルチルドレン」シリーズなど、メディアワークス文庫にて人気シリーズを多数刊行するほか「命の後で咲いた花」などの単行本も刊行。講談社タイガでも「君と時計と」シリーズ(全4巻)を刊行。恋愛青春小説の書き手として10代20代女性読者から多くの支持を集めている。

「2021年 『セレストブルーの誓約 市条高校サッカー部』 で使われていた紹介文から引用しています。」

綾崎隼の作品

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