世界を救うmRNAワクチンの開発者 カタリン・カリコ (ポプラ新書 215)
- ポプラ社 (2021年10月6日発売)
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- Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591171448
作品紹介・あらすじ
祝ノーベル賞(生理学・医学)受賞!
mRNAワクチンを開発した研究者カタリン・カリコ氏に迫る力作。カリコ氏と親交のある、山中伸弥教授のインタビューも掲載!
なぜ、驚異的なスピードで新型コロナワクチンは生み出されたのか――。
東西冷戦下のハンガリーで、娘のぬいぐるみに紙幣を隠し渡米。当時、遺伝子研究が活況な中で、日の目を見なかったRNA研究に心血を注いだ。数々の挫折を経験しながらも、自らの信念を曲げなかった――。
カリコ氏へのインタビュー、研究者となるきっかけとなったハンガリー時代の恩師への取材を通し、氏の生い立ち、ワクチン開発の裏側、さらにはRNA研究の未来について描いたノンフィクション。
◎著者プロフィール:増田ユリヤ
神奈川県?まれ。27年にわたり、?校で世界史・?本史・現代社会を教えながら、NHKラジオ・テレビのリポーターを務めた。現在、コメンテーターとしてテレビ朝?系列「?下容?ワイド!スクランブル」などで活躍。?本と世界のさまざまな問題の現場を幅広く取材・執筆している。著書に『揺れる移??国フランス』(ポプラ新書)などがある。また「池上彰と増田ユリヤのYouTube学園」でもニュースや歴史をわかりやすく解説しており、カリコ氏のインタビュー動画も公開している。https://www.youtube.com/watch?v=wMdVDiKOHuc&t=6s
◎カタリン・カリコ氏について
1955年、社会主義体制のハンガリーで生まれる。73年にセゲド大学理学部に進学。78年にハンガリー科学アカデミーでRNA の研究を始める。85年、研究費の打ち切りを受け一家で渡米。テンプル大学のポスドクを経て、ペンシルべニア大学の研究助教に。大学でのポジションの降格など、数々の挫折を経験しながら、40年以上にわたり研究を続ける。2013年にドイツのバイオベンチャー企業のビオンテックに移籍、上級副社長に就任。2021年よりペンシルベニア大学客員教授。不可能と思われていたmRNAの技術を使った製品化を目指す。2020年の世界的な新型コロナウイルスの流行に際し、mRNAワクチンを開発し、ファイザーやモデルナが、ワクチンの治験、製造を行い、各国で使用の承認を得る。2023年、ノーベル生理学・医学賞を受賞。
感想・レビュー・書評
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mRNAワクチンの知識を深めるために読んでみた。
インフルエンザのワクチンは打ったことがないのに、コロナワクチンは3回も打ってしまった。
幸いにもコロナには感染していないが、自分にとっての有効性や安全性は不明だ。
mRNAは、本来その細胞が作るはずのない、新しいタンパク質を作らせることができる。
これを医療に使おうと研究されてきた。
大きな欠点は、体内に注入すると異物と認識し拒絶するので激しい炎症反応を引き起こすことだった。
カリコ氏はビオンテック社にスカウトされ研究を続けていた。
2005年にようやく拒絶反応を抑える手法を見つけ出している。
2008年、2012年と改良を進め、その成果を新型コロナワクチン開発に用いた。
ビオンテックはファイザーと契約し、2020年4月には臨床試験を始めている。
そして11月8日に感染を95%防ぐ効果があるとの治験結果を得た。
これで承認を経て実用化する準備が整ったわけだ。
日本では、2021年2月14日にファイザー製の新型コロナワクチンが製造販売承認され、
2月17日から医療従事者等を対象に予防接種法に基づく臨時接種が始まった。
4月12日からは高齢者等への接種も開始され、私は7月23日(東京五輪の開会式の日)に1回目の接種をした。
この時はコロナ禍が始まってから1年半も経っていて、コロナ自体も初期の武漢株からどんどん変異していた。
2021年7月のアメリカCDCのデータでは、ファイザー製ワクチンは、
アルファ株で90%、デルタ株で64%の感染予防効果。
アルファ株で99%、デルタ株で93%の重症化予防効果。
と報告された。
ちなみに、ファイザー製のアメリカCDCでの正式承認は2021年8月23日。
アメリカでは2020年12月に緊急使用の認可を出しワクチン接種が開始されている。
コロナで死ぬか、ワクチンの副作用で苦しむかという恐怖心を天秤にかけた選択だったように思う。
遺伝子情報を使ったワクチンだから危ないのでは?と不安を感じる人は多い。
開発者側の答えは以下のようになる。
mRNAは短い時間だけ体に作用し、自分の体でタンパク質を作る。
DNAと違ってmRNAは1週間程度で体の中から消える。
だから、安全。
ウイルス感染に近い免疫反応が起きるので、注射した場所の痛みや発熱が起きる。
これはワクチン接種による予期された反応なだから副反応という。
予想外の反応は副作用といって区別する。
ワクチン接種する側は、この副作用が不明なので安全性に不安を持つのだ。
人への接種は緊急承認という、人体実験の要素も含まれていたからなおさらだ。
次々に変異するコロナに対して、実際にワクチン接種の効果はどうだったのか。
ワクチン接種した結果、人体にどのような悪影響が起こり得るのか。
「ワクチンの効果は抜群で、悪影響はない。」ことが確認できればいいのだが、
「ワクチンの効果はなく、将来の健康を害する。」と不安を煽る人もいる。
この4年間の記録を振り返って、コロナウイルスとワクチンの理解をもう少し深めようと思っている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『世界を救うmRNAワクチンの開発者カタリン・カリコ』新型コロナワクチン開発秘話! - HONZ
https://honz.jp/articles/-/46146
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https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8201215.html -
志すものが同じであれば、必然的に出会い、そして力を合わせることで、大きなことを成し遂げるということを実感する。
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一途な研究者がいたからこそコロナワクチンが早く作られたということがわかった。彼女の凄さに礼を言いたい。
日本は何をしたんでしょうね。研究も病院も保健所も先を見据えず削れるだけ削って、コロナ対策も行き当たりばったり。おまけに税金の無駄遣い頻出。人がたくさん死んでも世間をごまかしながら金金カネ。まだまだコロナを終息させたわけでもないのに安全安心の垂れ流し。
政府、厚労省は責任取れよ! 死んだ人に謝れ! -
期待したよりも内容が薄く残念に感じられたのは、構成と書き方の問題なのか?特に最後の山中教授へのインタビューは、本題との関わりが弱く、意味が分からなかった。せっかくなら、本人のインタビューを軸にすれば良いのに。
ハンガリー出身、自国でも苦労して、やむを得ず渡ったアメリカでも苦労ばかり、それでも40年間、地道に続けた努力がついに報われた事実は素晴らしい。
ハンガリーの恩師・トート先生の導きは大きく、高校の生物学研究サークルの文通に応じてくれた本物の科学者たちにも影響され、今でもカリコ氏は恩師を大切にし、今でもサークルの生徒からの手紙にきちんと返事を書くらしい。
mRNAを人工的に作って細胞の中に入れれば、タンパク質を作ることができ、それが薬などを作る際に利用できることは1980年代から知られていた。しかし、mRNAが体内で引き起こす炎症反応が問題だった。その炎症反応を別の科学者とともに乗り越えたのがカリコ氏。最近ではmRNAを用いたインフルエンザなどの製薬開発が研究されていて、そこに新型コロナが現れ、研究が応用されたため、予想よりも速いスピードでワクチンの開発が成功した。
mRNAについては、もう少し別の本を読んでみたい。どうも説明がよく理解できず。 -
まえがきに、
「この本は、ワクチンの効果を解説する本ではありません。」とあって、読むのを辞めようかとも思ったが、読み進めるうちに引き込まれた。
とはいえ、カリコ氏の生き様は我が身(というか普通の人間)と比べると図抜けてご立派としか言いようがない。参考に(真似)しようという気にもなれなかったというか、この歳ではね。 -
現在世界中で接種されている新型コロナワクチンである「mRNAワクチン」の開発者であるカタリン・カリコさんの研究者としての半生と生きざまを紹介した一冊(リモートワーク対談形式)。社会主義体制下のハンガリーに生まれ、東西冷戦の中で不景気だった母国を去り、娘のテディベアに全財産を忍ばせてアメリカへ渡るなどかなりの壮絶人生。新型コロナワクチンは1年程度で作成・承認されたが、RNAの研究自体は数十年前から行われていたようで、読めばmRNAワクチンに対してのイメージが変わるかもです。
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mRNAワクチンを発見した功績の大きいですが、ハンガリーからアメリカに渡り、不遇とも言える研究生活の中でやり通した精神力が素晴らしい。
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mRNAワクチンの開発者、カタリンカリコ氏の本。
インタビューをベースに、彼女の生き様やmRNAワクチンの仕組みを解説している。難しい内容を、本人の人柄にまつわるエピソードや図解を交えることで、わかりやすく説明してくれた。
著者プロフィール
増田ユリヤの作品
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