- Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591173992
作品紹介・あらすじ
西加奈子氏、長濱ねる氏、推薦!
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の著者が14歳の少女の「世界」を描く、心揺さぶる長編小説。
この物語は、かき消されてきた小さな声に力を与えている。
その声に私たちが耳を澄ますことから、全ては始まるのだ。
――西加奈子氏
私たちはもう呪いから解放されていいんだ。
2人の少女を抱きしめながら、私も一緒に泣きたくなった。
――長濱ねる氏
◎ブレイディみかこ氏からのメッセージ
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』には出てこないティーンたちがいました。ノンフィクションの形では書けなかったからです。あの子たちを見えない存在にしていいのかというしこりがいつまでも心に残りました。こうしてある少女の物語が生まれたのです。
◎STORY
私たちの世界は、ここから始まる。
寒い冬の朝、14歳のミアは、短くなった制服のスカートを穿き、図書館の前に立っていた。そこで出合ったのは、カネコフミコの自伝。フミコは「別の世界」を見ることができる稀有な人だったという。本を夢中で読み進めるうち、ミアは同級生の誰よりもフミコが近くに感じられた。一方、学校では自分の重い現実を誰にも話してはいけないと思っていた。けれど、同級生のウィルにラップのリリックを書いてほしいと頼まれたことで、彼女の「世界」は少しずつ変わり始める――。
◎プロフィール
1965年、福岡県生まれ。1996年から英国ブライトン在住。2017年、『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』で新潮ドキュメント賞を受賞。2019年、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で毎日出版文化賞特別賞、Yahoo!ニュース | 本屋大賞 ノンフィクション本大賞受賞などを受賞。ほか著書に『女たちのテロル』『ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち』『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』など多数ある。
感想・レビュー・書評
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私はこの風景を知って
いると思いました。
どこかで見聞きしたの
ではありません。
自分の体験としてです。
子どもだった私はその
手に握らされた切符で、
決められた路線の列車
から列車に乗継ぐこと
しか知らず、
そこで色々な目に遭い
すっかり臆病に。
今まさに苦しんでいる
子どもたちに伝えたい。
その列車を今すぐには
降りられないけれど、
次の駅では広い世界に
無数にある別の路線に
乗り換えればいいと。
誰かに与えられた人生
から自分自身の人生に
踏み出してほしい。
本書がさまざまな言語
に翻訳されて世界中に
広まることを望みます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の著者・ブレイディみかこさんの小説。
「ぼくはイエローで…」では書けなかった子たちを見えない存在にしないために書かれた物語、とのこと。
こどもであることが許されず、おとなになるしかなかったヤングケアラーの少女。
たまたま、クリス・ウィタカーの「われら闇より天を見る」と同時並行で読んでいたのだけど、ちょっと前に読んだ一穂ミチさんの「光のとこにいてね」もそうだったのだけど、最近こういう女の子が描かれる小説によく出会う…
「YES」を感じられること。
世界が「ここにある」と実感できること。
それこそが人生だ。
しかし、ひとり親の生活保護家庭に育つこの小説の主人公の14歳の少女ミアのように、それを容易に手に入れることができない環境に育つ人もいる。
周囲の大人には何ができるのか?
どうやって声なき声を聞き出すのか?
考えさせられた。 -
殴られたような衝撃を受けた!
この小説は凄い!
貧困や犯罪、ドラッグにアルコールで埋め尽くされた環境の中で生きるミア
そして、子どもであるという牢獄の中で生きるミア
薬物中毒の母親の下にいるため、ソーシャル・ワーカーに連れて行かれないように、いつもビクビクしながら暮らさなければならない
もし保護されてしまったら、どこの施設や里親に預けられるかわからない
兄弟姉妹間だって引き離される
この環境を私は選んでいない
この母を私は選んでいない
子どもには何も選べない
悲しいとは思わない…
ただ悔しかった…
こんなどん底の中でも弟のチャーリーを育てながら力強く生きるミアに心を打たれる
この作品は小説だ!
フィクションだ!
ただ、このような状況の中で生きている子どもたちがいるということを著者は伝えたかったのではないだろうか… -
今にも少女の声なき叫びを聞いているようで苦しい。
貧困とヤングケアラーにどこまで気づいて、手を差し伸べられるのだろうか…。
誰かに何かに縋りたい、頼りたいのにできない。
14歳のミアが、夢中になって読むのが「カネコフミコ」の自伝だとは…。
読み終わった後に改めて装画の少女たちを見て、力強さを感じたのは私だけではないと思う。
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全くもう!『両手にトカレフ』なんて見た目が派手なだけで実用的でないにも甚だしい
それじゃあ当たるものも当たらんよ
だいたい拳銃を撃ったときの反動を甘く考えすぎてるね
拳銃というのはこう両手でしっかりと構えてだね
バカタレ!
そういうことじゃないわ!
はい、フレディみかこさんです
もちろん『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』が気になっていたんですが、ドキュメンタリー、ノンフィクション、エッセイは読まないという戒律があるために諦めていました
本当は『フェルマーの最終定理』や『戦争は女の顔をしていない』とか『阿佐ヶ谷姉妹ののほほん二人暮し』も読みたいんですが戒律があるので読めないのです
そんなわたくしのために書いてくれた小説『両手にトカレフ』、「貧困」という戒律にあえぐ子どもたちのお話し
ちょっと自分の子ども時代のことを思い出しました
まぁそこそこ貧乏だったと思うけど、考えてみたら食べるのに困ったこともないし、ファミコンもスーパーファミコンもプレイステーションもちゃんと家にあったなぁ〜と
ソフトの数はまわりの友だちに比べて確かに少なかったけどちゃんとあったなぁ〜と
「貧困」ではなかったなぁ〜と
でも子どもの頃はそんな風には思ってなかった気もする
「貧困」という枠にはめられてしまった子どもたちを救う第一歩って子どもならではの思い込みみたいなんを取っ払ってあげることなんじゃないかなぁなんてことを思ったりしました
あなたの周りには「Yes」がたくさんあるってこと
だって自分の周りに「No」しかないと思ったら手を伸ばして何かを掴もうとは思わないんじゃないかな
手を伸ばして掴みたいと思うような「Yes」のうちのひとつでありたいな〜
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2022/11/11
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2022/11/11
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2022/11/11
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読みやすく、すぐ読了。
この作者さんの作品を読むと
自分がいかに恵まれているか、
どれだけ世の中を知らないかを痛感します
困った時に必要な助けを
さっと差し出すのは難しい
人を救うって難しい
最後は救いがあったけど
考えさせられる作品でした -
コルベットさんや他の方の本棚から図書館予約
タイトルだけでは???だったけれど、うん、納得
ブレディみかこさんの著書は現実をしっかり見せてくれる
イギリス社会の底辺に置かれた少女
百年前の日本の少女と本を通してリンクする
今問題視されている「ヤングケアラー」
絶望的な家庭
言葉と音楽
そこに希望がある
一すじの光を求めて列車に乗る
でも、やはり……
見えないものにされていいはずがない
ラストに灯りが見えてよかった
≪ かまえ立つ 両手にトカレフ 黒い血を ≫ -
『僕はイエロー〜』の著者ブレイディみかこさんの作品。ずっと気になっていて、図書館で『僕はイエロー〜』がなかったので、代わりにこちらの作品を。
◆あらすじ
イギリスに住む14歳の少女ミア(現在)と、彼女が読む自伝本の中の少女カネコフミコ(過去)の二軸で物語が進む。イギリスと日本、今と100年前、国も時代も違うけれど、貧困問題や薬物依存、ヤングケアラー、虐待など、子どもを取り巻く社会問題は変わらない。今を生きるミアが、本を通して、同じような境遇を生きた過去のフミコと心を通わせ、生きる勇気を貰う。
◆感想
ストーリーは重いが、ミアとフミコの二つの物語が交互に進むこと、彼女たちの置かれている状況よりも心の動きに視点が置かれているからか、サクサクと読み進めることができ、一気読み。
いまも現実として起きているさまざまな社会問題を、手軽に(表現としては相応しくないかもしれないが)知ることができるという意味で、子供から大人までたくさんの人におすすめできる本だと思った。 -
タイトルにいい意味で騙された!
なんとシビアで深い話ではありませんか。
「僕はイエロー...」の2作がとても良かったので同じ路線の、ユーモラスも混じえつつイギリスの格差社会を綴った作品かなあ?と思ったらたしかに同じく下層階級の話ではありますが直球勝負な作品ではありませんか!
しかもまるで噛み合いそうにない日本の辛い境遇だった実在の少女の自伝小説に我が身を重ね合わせて感情移入するイギリス少女 と言う設定が意表を突いた作品として秀逸です。
しばらくぶりの一気読みです! -
何でしょう、この心がグッと握りつぶされるような切ない感覚は…
主人公が考え、行動するたびにこちらも苦しい思いになりながら、それでもストーリーの展開が気になり読み進めた作品でした。
主人公は中学生のミナ。母子家庭で育っているミナには弟がおり、その面倒を見ながら学校へと通う、いわゆるヤングケアラー。そんなミナが図書館でたまたま1冊の本と出会い、その主人公に自分の境遇をオーバーラップさせていくというストーリー。
この作品は救いの手を振り払ってしまう、そんな人たちを題材にした作品で、とにかく心が苦しくなります。人生や周りの人に対してどこか諦めてしまったような感覚の彼らを助けてあげるにはどうしたら良いのか、そんな問いかけがなされているようでとても心に響きます。
自分もコロナ禍で社会人になって、田舎で働き始め環境に慣れず苦労していた時、救いの手を掴むよりも、孤独や自殺を選びたくなるような経験をしたので、すごくミナに共感出来るとともに多くの人に、この作品を読んでもらいたいと思いました。