その本は

  • ポプラ社 (2022年7月26日発売)
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本 ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784591174326

作品紹介・あらすじ

本の好きな王様がいました。王様はもう年寄りで、目がほとんど見えません。王様は二人の男を城に呼び、言いました。
「わしは本が好きだ。今までたくさんの本を読んだ。たいていの本は読んだつもりだ。しかし、目が悪くなり、もう本を読むことができない。でもわしは、本が好きだ。だから、本の話を聞きたいのだ。
お前たち、世界中をまわって『めずらしい本』について知っている者を探し出し、その者から、その本についての話を聞いてきてくれ。
そしてその本の話をわしに教えてほしいのだ」

旅に出たふたりの男は、たくさんの本の話を持ち帰り、王様のために夜ごと語り出した―。

お笑い芸人で芥川賞作家の又吉直樹と、大人気の絵本作家ヨシタケシンスケによる、抱腹絶倒・感涙必至の本の旅!

感想・レビュー・書評

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  •  言わずと知れたベストセラーですね。
    ある国の王様に命じられて、ふたりの男が世界を旅して、「めずらしい本」の話を集めて来て、王様に聞かせるというお話でした。
     ブクログでレビューを書きたくて、せっせといろいろな本を探して読んで、レビューにまとめているわたしに似ていますw

     で、どんな本の話しがあったけ?、と思って、この「その本は」を時々引っ張り出して、あれこれと読み返すのが、楽しいのです。

     今回、気になった「その本」の話は、16ページの話でした。
      その本は、1歳の息子にクチャクチャにされてしまった。
     「この世の真実が書かれた名著だ」と恩師に勧められて購入し、いつか読もうと置いてあったものだ。
     一番大事そうな部分が もう読めない状態なのだが、この本の今の状態こそが、この世の真実の姿のような気がして、捨てられずにとってある。

      1歳の息子くん、グッジョブ! パパに世の真実を教えたね!

     この「その本は」のラストは、衝撃的です。なんと、ふたりの男は、世界を旅せず、家の中ですべてのお話をでっち上げた、というのです。

     はい。そこで、わたしも、ひとつ「その本」の話を書いてみますね。
     その本は、あるものに頼んで、思ったように書いてもらった本だ。
     そのあるものは、話しかけると、自分の好みに合わせて、何度でも書き直してくれるらしい。
     そのあるものは、無数の話を知っていて、そこから組み合わせて、好みの本を書いてくれるという。
     今回、そのあるものの名前が分かった。 それは、生成AIというそうだ。

     さて、みなさまなら、どんな本を「その本」にするでしょうか。

  • 図書館で借りました。
    さすが図書館の所蔵本らしくうすぎたない…(関係者の方々、失礼…)と思ったら、そういう装丁・デザインのようだ。

    話題になっている本、というだけで全く前知識なく本を開いてみて…なんとも不思議な本だこと。
    つかみどころもなく。

    心を空白にして読み進めていくと、第7夜でガツンとやられる。
    そのまま、ざわつきが静まることもなく。

    そして、最後のオチ…

    うまく言葉にできないけれど、「本」の可能性をとても感じました。(もちろん、それは必ずしも「紙の本」である必要はない。)

    たまには、こういう訳のわからない本(絵本でもある)を感じるままに読むのもいいですね♪

    ♪永遠のブルー/羊文学(2023)

  • 先日読み終えた「あるかしら書店」が面白かったので手にしてみました♪

    思わず吹き出しそうになるストーリーもありましたが、全体としては☆3.3ってとこかな。


    本の概要

    本の好きな王様がいました。王様はもう年寄りで、目がほとんど見えません。王様は二人の男を城に呼び、言いました。 「わしは本が好きだ。今までたくさんの本を読んだ。たいていの本は読んだつもりだ。しかし、目が悪くなり、もう本を読むことができない。でもわしは、本が好きだ。だから、本の話を聞きたいのだ。 お前たち、世界中をまわって『めずらしい本』について知っている者を探し出し、その者から、その本についての話を聞いてきてくれ。 そしてその本の話をわしに教えてほしいのだ」 旅に出たふたりの男は、たくさんの本の話を持ち帰り、王様のために夜ごと語り出した―。 お笑い芸人で芥川賞作家の又吉直樹と、大人気の絵本作家ヨシタケシンスケによる、抱腹絶倒・感涙必至の本の旅!

  • がっちりとした表紙と裏表紙のある豪華な本です。
    高級感があります。

    ヨシタケシンスケさんのいいところと、又吉直樹さんのいいところが中和されたような感じで、いい感じだと思います。

    1回読んだだけでは意味不明なところもあり、何度も繰り返し読むうちに味がしみてくるスルメのような本かと思いました。

    第5夜の3話目と第12話がよいと思いました。

    最後のオチは面白かったです。



    第6話より引用します。ヨシタケさんのパートです。


    (前略)
    父が作ろうとし、私が完成させ、世に出したその本は、
    父自身を救うことはできなかったけれど、
    父の努力と、父が集めたたくさんのストーリーと
    父の人生は、たくさんの人を救った。

    どんな人も、自分自身を救うことはできない。
    できるのは、自分以外の誰かを救うこと
    だけなのだ。

    だからこそ、誰かを救う
    努力をしなければいけないのだ。
    他の誰かに、自分を救って
    もらうために。

    この本にメッセージがあるとすれば、
    そういうことなのかもしれない。

    • ☆ベルガモット☆さん
      まことさん、おはようございます☆

      ヨシタケさんも又吉さんも大好きなので、どちらのいいところも中和された、スルメのような本とはとても気になり...
      まことさん、おはようございます☆

      ヨシタケさんも又吉さんも大好きなので、どちらのいいところも中和された、スルメのような本とはとても気になります!
      最後のオチも読んでみたくなりました。

      ヨシタケさんの、『誰かを救う努力をしなければいけない』という言葉にドキッとしました。
      読みたい本リストに加えたいと思います♪
      2022/08/14
    • まことさん
      ベルガモットさん。おはようございます♪

      この本は作りが凄く豪華です。
      紙の質にまでこだわっています。
      内容はレビューした通りです。...
      ベルガモットさん。おはようございます♪

      この本は作りが凄く豪華です。
      紙の質にまでこだわっています。
      内容はレビューした通りです。

      ヨシタケさんも又吉さんも大好きならば、読まない手はないですね。
      レビューに載せなかった、文章にもよいと思う話が何話かありました。
      楽しまれてください♡
      2022/08/14
  • 本が好きな王様に、二人の男が呼び出される。
    「珍しい本について知っている者を探し出し、その本について教えてくれ」と。
    お金を渡された二人は旅立ち、一年後に戻る。
    二人は一夜ずつかわりばんこに王様に語る。
    「その者が言うには、その本は…」と。

    夜な夜な王様に語るところが、千夜一夜物語みたい。うまい構成だ。
    笑いあり涙あり、ホラ話・ワケ分からない話あり。オチも良い。
    又吉さんはいい話を書く。そしてヨシタケシンスケさんは、言うまでもなく絵も話もとても良い。
    妄想好きにオススメ。またヨシタケシンスケ著「あるかしら書店」が好きな方は、あの感じをまた楽しめるのではないかな。
    作者二人が楽しんで手掛けたのが伝わってくる。本を書くのも読むのも語るのも手にするのも好きなんだろうな。本への愛情が感じられる。

    特に良かった話
    【第7夜】(又吉直樹)
    クラスメイトとの交換日記。そこに綴られていく物語。
    【第9夜・6話】(又吉直樹)
    まっしろな本には、私の人生が書かれている。しかしこれは同時に父の人生でもある、という話。
    わずか4ページなのに、涙を誘う。
    【第10夜】(ヨシタケシンスケ)
    自分と本が入れ替わる話。
    【第12夜】(ヨシタケシンスケ)
    本は誰かへの想いを載せている。しかしその想いは奇跡的に届いたり届かなかったりするだろう、という話。

    • aoi-soraさん
      おはようございます
      この本ずっと読みたくて、本屋さん行く度にパラパラみてるの(笑)
      妄想好きにオススメなのね^⁠_⁠^

      「あるかしら書店」...
      おはようございます
      この本ずっと読みたくて、本屋さん行く度にパラパラみてるの(笑)
      妄想好きにオススメなのね^⁠_⁠^

      「あるかしら書店」大好き!
      2023/03/07
    • なおなおさん
      あおいさん、コメントをありがとうございます。
      私もずっと読みたく思っていたところ、市の図書館では未だに約500人待ち。…のところ、子どもの学...
      あおいさん、コメントをありがとうございます。
      私もずっと読みたく思っていたところ、市の図書館では未だに約500人待ち。…のところ、子どもの学校の図書室にポンっと普通に置いてあったのです。親も利用可なので、お持ち帰りしちゃいました(^^)v
      あおいさんも「あるかしら書店」がお好きなんですね。私もあの世界観が好きすぎて購入したくらいです。
      あおいさんも本書は楽しめると思います(^^)
      表紙カバーをとってみると……ってところまで凝っているらしいです(借りた本はコーティングされでいるので未確認(;_;))。
      ぜひ!!(っ ॑꒳ ॑c)ゎ‹ゎ‹
      2023/03/07
    • aoi-soraさん
      いいなー
      親も借りられて。
      私は子供にお願いして借りてもらった事はあるけど、面倒な顔されるからさぁ…(^_^;)
      あるかしら書店は、私も購入...
      いいなー
      親も借りられて。
      私は子供にお願いして借りてもらった事はあるけど、面倒な顔されるからさぁ…(^_^;)
      あるかしら書店は、私も購入ですよ(⁠◠⁠‿⁠◕⁠)
      この本も是非読んでみたいです!
      ありがとう♡
      2023/03/07
  • 又吉さんとヨシタケシンスケさんのコラボ作。
    絵本と短編小説の間くらいの本。
    第7夜交換日記のストーリーとエピローグのオチが良かった。

    ヨシタケシンスケさんのやさしい絵と又吉さんのあたたかいストーリーに心が癒されます。

    短編ストーリーの繋がりはあまり感じられなかったです。

  • しばらく前に話題になってた本でしたが
    レビュー書く気になれずにスルーしてました。

    1日交替で本好きの王様に話をする二人の人気作家
    連作っぽい流れだとよかったかもしれないけど
    なんだか企画にながされた感じの内容で
    響いてきませんでした。

    目が見えなくなった王様に
    ヨシタケさんのイラスト見えたんだろうか?

    うーん、心が荒んでいるのかなぁ?

    • つくねさん
      mihiroさんがすぐに解いちゃったから
      無理くり絞りだして即興で作ったんですよww

      答え知ってて作るわけだから
      解答者ほうのが広...
      mihiroさんがすぐに解いちゃったから
      無理くり絞りだして即興で作ったんですよww

      答え知ってて作るわけだから
      解答者ほうのが広範囲に柔軟に思考巡らせないと
      解けないと思いますからスペック凄いと
      思いますよ!
      じつは徐々に分かるようにヒント考えるほうが
      むずかった!
      2024/05/02
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      しじみさん

      私は歯医者も警察も資格と同じになるからといろいろ考え直してしまって深読みしすぎ
      でしたかね〜(笑)
      警察のほうは、暗殺などをす...
      しじみさん

      私は歯医者も警察も資格と同じになるからといろいろ考え直してしまって深読みしすぎ
      でしたかね〜(笑)
      警察のほうは、暗殺などをする者(刺客なども捕まえる組織ってことで)
      刺客と思っちゃった…(笑)
      はい、わかりました〜 m(_ _)m
      2024/05/02
    • つくねさん
      チーニャさん、ほんとお疲れさまでした

      真剣に考えてくれて恐縮してしまいますm(__)m
      でもすごいです、私は刺客は思いつきませんでしたので...
      チーニャさん、ほんとお疲れさまでした

      真剣に考えてくれて恐縮してしまいますm(__)m
      でもすごいです、私は刺客は思いつきませんでしたので本当に刺客にやられた感じでした(//∇//)
      2024/05/02
  • 今月も10冊目標、目標まであと1冊!さて、又吉さん、ヨシタケさんの発想絵本かな?と思ったら中の作品にはウルウルする内容も。今回の設定は、目の悪い王様から「珍しい本」を探すように又吉さん、ヨシタケさんが指令を受ける。まずは発想力豊かな2人がその才能を発揮し、珍しい本を披露する。例えば、「とんでもない速さで走る本、誰も読めない。。。」1つ印象的だったのは、小学校5年生の転校生の女子と交換日記を行う。途中でその女の子が転校してきた理由が分かる。さらに急にお別れとなってしまうが、彼は彼女との誓いを守ったのだ。⑤

    • ポプラ並木さん
      【ネタバレ注意!!!!】皆さんの感想を読んでいたら、「竹内春死亡説」「竹内春逃亡説」の2つあるとのこと。自分は新たに「竹内春一時保護説」かな...
      【ネタバレ注意!!!!】皆さんの感想を読んでいたら、「竹内春死亡説」「竹内春逃亡説」の2つあるとのこと。自分は新たに「竹内春一時保護説」かな?って思ってまいました。さらに一時保護後には別の場所に移動したかな?って思います。読み友さんに聞いてみよう!
      2024/12/22
  • 本好きの王様に珍しい本の話を語るのは、芸人で作家の又吉さんと絵本作家のヨシタケシンスケさん。

    又吉さんは、お笑いセンスがあるし、ヨシタケさんもなるほど〜と唸るセンスがあるのでとても楽しめた。
    交互に物語を進めていくのだが、どこから読んでもいいし、何度も飽きずに読める。

    又吉さんのは、第7夜のその本は、だれも死なない。
    がとても印象に残った。
    絵本作家になるのが夢である小5の交換日記だが、動物の絵に吹き出しがあり、それに何か言わせてがセンス抜群である。
    最後にはひとりだけの日記になるのだが…。

    ヨシタケさんのは第12夜のその本は、評判が悪かったが印象的だ。
    誰に向けての本なのか、
    作者はどんな思いで書いたのか、
    とかいろんなことがあっての
    誰かへの想いを載せたまま「届かなかった」本たちが、世界には星の数ほどある。ということ

    そうなんだろうな。

    誰も読まれていない本もあるのだろうか、とか思ったりした。
    ブクログで知ったり、本屋だったり、図書館だったりで読みたい本を読むけれどまだまだ埋もれている本ってたくさんあるのだろうな。


  • 本をこよなく愛した王様…今まで様々な本を読んできたが、年を重ね視力も低下し本を読むことはできなくなっていた…そこで2人の男に、世界中を回って「めずらしい本」についての話を調べた上で聞かせてほしいと命じる。2人の男は、世界中を放浪し1年後寝たきりになった王様の枕もとで、『その本は…』と語りだす…。

    この作品の装丁にまずは心を奪われました!!すごく凝っていて読んでいて楽しい気持ちになりました。様々な「その本は…」が紹介されています。しおりを食べる本、やさしい本、ボロボロな本、夢がかなわなかった本、悪魔が封印されている本、評判の悪い本…など、本に対するエピソードが沢山描かれています。エンディングのオチも面白いものでした。王様はもちろんだけれど、2人の男も本好きなんでしょうね!そして、この本を読んでいる私もすでに読まれた方も、これから読もうと思っている方もみんな本好きと言えるのはないでしょうか?読めば作者のメッセージを誰でも感じることができる…本に対しての深い愛情を感じ、ますます本好きになりました(^^)

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      かなさん、こんばんは(^^)
      面白かったです~この本。
      読んだら私もますます本好きになりました~(*´▽`*)
      かなさん、こんばんは(^^)
      面白かったです~この本。
      読んだら私もますます本好きになりました~(*´▽`*)
      2023/03/25
    • かなさん
      チーニャさん、こんにちは♪
      面白かったですよねぇ~この本!!
      本って楽しいっ!
      本に対しての愛着が増すような、そんな作品で(^^)/
      ...
      チーニャさん、こんにちは♪
      面白かったですよねぇ~この本!!
      本って楽しいっ!
      本に対しての愛着が増すような、そんな作品で(^^)/
      ますます本読むことにハマりそうです。

      チーニャさん、コメントありがとうございます(^^)
      2023/03/26
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著者プロフィール

又吉直樹(またよし・なおき)
1980年、大阪府寝屋川市生まれ。2003年より、お笑いコンビ「ピース」として活躍。2015年『火花』で第153回芥川賞受賞。代表作に『東京百景』『劇場』『人間』など。

「2021年 『林静一コレクション 又吉直樹と読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

又吉直樹の作品

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