パレス・メイヂ 1 (花とゆめCOMICS)

著者 :
  • 白泉社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (179ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592194040

作品紹介・あらすじ

貧乏貴族の実家を救うため、帝の暮らす宮殿「パレス・メイヂ」に仕えることになった14歳の御園公頼(みその きみより)。ある時、帝の画帖が破られる事件が起き、御園に嫌疑が…!? 2013年6月刊。

感想・レビュー・書評

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    ここのところブログの立ち上げにいっぱいいっぱいで、本を読めていない。せめて読了したコミックスくらいはUPしておきたいので、今日はこちらを。

    ほんっとに面白かった!私がこの作品を知った時って

    「久しぶりにマンガも読みたいんだけど、自分の知らない作品も読みたいな…。」

    とか思って、Amazonから人気ランキング見たりして、作品を探していた時だった。ベッドシーンのバリバリあるマンガは正直好きじゃないし、ストーリーが面白くないと嫌だったから、話題になっているだけで読む気にはならずにいた。

    その中で、この『パレス‥メイヂ』と『コレットは死ぬことにした』は、口コミを見ても、本当に面白いらしいと思ったので、わくわくしながら読み始めた。

    まず、『パレス・メイヂ』は、架空の宮中が舞台。日本だけど正史にのっとってはいない。少女である帝が治天の君として即位している。御代は明慈。まだ江戸の気風をにじませつつも、世の中は大正時代の爛熟へと進んでいる。ローマン溢れる時代のことである。

    明晰な美貌の少女、彰子帝のもとへ、御薗公頼という少年が出仕してくる。まだ大人になる前、青年期のとば口の少年だけが、帝に側近くお仕え出来るのだ。

    帝を尊敬しつつも、一人の人間として大切にしようとする御薗。窮屈な宮廷の中で、帝は、御薗から清新な気風を感じ、こころをゆるしてゆく。身分の差を知りながらひかれあうふたり。しかしそう簡単に結ばれる恋ではなく…とまあそんなお話。

    とにかく絵がすごく綺麗。背景や衣装なども、よく考証されて描かれている。少女漫画の中では、甘く可愛い画風ではなく、端正でうつくしい描写が持ち味だと思う。

    彰子も、かよわい夢見る少女ではない。精神的にはすごく大人で、英明の天子。りりしい印象もつきまとう。こころがおとなだというのは、御薗も同様で、『ここだけは越えてはならぬ』という線は、つよく弁えている。

    そんな二人の恋は、裸身の一度も描かれない。キスさえも。ただ、これ一度に命を捧げるような告白と、ハグがあるだけだ。そんなので面白いのかと聞かれそうだけれど、うん。本気で面白い。

    おさえて、おさえて、秘めているけど、一途でブレない恋が尊い。当然のことながら、ライバルもいて、結婚の勅許を賜った宮様も、強引にみえつつも帝を深く愛している。男二人の静かな激闘も、卑怯な感じはなくて、一歩も退かない御薗と、大人な宮様の間に、言うに言えない絆まで感じてしまうのだ。

    男性にも、このあたりは読んでいただきたいところ。
    どんな感想を持たれるだろうか。

    さきほど考証という言葉を使ったけれど、宮中の文化や時代・生活に関して、おそらく作者様は大変な勉強をなさって、これを描いていらしたことだろう。『少女の帝と少年の出仕の恋』という設定以外は、非常に緻密、かつフィクションを感じさせない。舞台の切り回しが絶妙だった。そういうところも、この作品が支持された、見えない理由ではないかしら。

    こんなにも『花とゆめ』らしいマンガ、本当に嬉しい。
    いろっぽい話もいいけれど、そういう要素がなくても、燃えるような恋は描けるのだ。これだからマンガも読むのやめられないんだよなあ。ほんと、最高。

    びしっと収まるべきところに収まるラストまで、絶品だった。

  • 「大奥」も読んで欲しい。

  • 男装の今上帝と宮殿に仕える子爵家次男の身分差恋物語。
    分を弁えた穏やかな御園にまさか最後にこうも侠気を見せられるとは思いませんでした。

  • 面白かった。立派な人物でありながらどこか可愛らしいところのある彰子陛下と、真面目なんだけど結構度胸のある御園の組み合わせはなかなか素敵。

  • 古きよき花とゆめ式少女漫画の匂いがします。

  • 主従物語。性別は少女マンガ風味とはいえ、この「仕」側の気持ちは(この作品に限らず)理解を超えるのですごい。隷属ではないが依存ではある。けど盲目じゃダメ。2巻もたのしみ。

  • 明治宮殿をモデルに架空の時代、架空の国にある
    パレス・メイジ。和洋ミックスなレトロで壮麗な世界にうっとり!

    パレスに侍従職出仕として、軍服を着た若く美しく聡明な
    彰子陛下の元で働くことになった公家の坊ちゃん御園。

    梅の花が香り初むる、八重桜が舞う宵。
    描かれた景色と言葉から想像を広げる景色。
    番子さんが用意してくれたうっとりする世界と
    甘い恋で、読み終わるのがほんとに寂しいっ!
    もう少しと言わず、長く長くこの世界の続きが見たいなぁ♡

    不自由はあっても、2人にとって心の結びつきが穏やかで幸せな
    籠の中の生活になるといいなぁ。

  • 彰子様のキャラクターはとても素敵だが
    主人公の兄姉が腹立たしい性格で正直いらいらする。

    互いを控えめに思いやる2人の姿が微笑ましい。

  • 時間の流れが早くて驚いた。

  • 密やかに、ジェンダーに関しての鋭い眼差しを感じる。
    抗い続ける覚悟を見せながら、人々の昔から変わらない心の機微を丁寧に描いた作品。

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著者プロフィール

愛知県出身。
2000年、「月刊ウィングス」(新書館)の『NO GIRL,NO LIFE!』でデビュー。書店でのアルバイト経験をもとにしたエッセイ漫画『暴れん坊本屋さん』(新書館)で注目を集める。代表作に、近代日本文学を題材にした『よちよち文藝部』(文藝春秋)。ストーリー漫画では、若き女帝と侍従の少年の恋を描いた『パレス・メイヂ』(白泉社)がある。

「2022年 『ひらばのひと(3)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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