薔薇だって書けるよ: 売野機子作品集

著者 :
  • 白泉社
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感想 : 107
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592710226

感想・レビュー・書評

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  • カバー下の透かしの美しい装丁と、最近多めのな少し野暮っための絵柄と、タイトルに引かれて購入。

    薔薇だって書けるよ
    オリジン・オブ・マイラブ
    日曜日に自殺
    遠い日のBOY
    晴田の犯行

    が収録されています。
    ある人の素敵さってなんだろうか、誰にも言わないけど確かにあるもの、ある時大切だったことがいつか染み渡るように自分の中にとけ込んでしまう事が繰り返されている事への気付き、埋没しているように見える幸せが確かにそこに在る事、お姫様をやめる瞬間。
    言葉にできない気持ちを持った花たちが、そこに確かに咲いている。
    売野さんの作品はそういう秘密の花園への窓だなあと思う。
    でもまだ窓の外から見つめてる感じ。

    一昔前の少女漫画よろしく、モノローグが多用された作品で、少女漫画を読みなれない人には読みにくいかなと思いますが、その中の一行が急に斬りつけてくるような鋭さを持っている。
    いつか誰かの特別になりたいという気持ちと、立ち尽くすだけの花じゃないのだ、という行動と。
    結構”待ち”な人生を送っている各登場人物が最後動き出して終わるところも好きです。

    一番好きなのは「遠い日のBOY」
    不意にじくりと細い針のような苦しみが溜まっていって、のどの奥に溜まって行く様な気持ちを、どこかの誰かに知って欲しい。
    自分の生き方がつまらない物なんかじゃないと約束して欲しい。
    どうしようもない不安さを、夜何処からとも無く現れ消える幽霊的な、でも明らかに美しい人物に認めてもらう「いつか王子様がやってくる」的に描かれていて、一見ああ少女漫画やなあという展開、絵もまだ一辺倒ではあるけれども、台詞や飴湯のエピソードなど、光る物があるなと思う。
    「がんじょうな幸せ」という台詞には本当にがつんとげんこつ喰らいました。
    ”頑丈”が平仮名なところがまた、子ども心に描いた不動の尊いもの、と言う感じで気管がしぼられるような胸苦しい切なさがある。
    雰囲気で描写して終わらせずに、絶対的に台詞にしようとしているところがいいなあと思う。

    現時点では本来星三つ、しかしこの人は続けて行くといい具合にエグく化けそうな感じがして可能性を感じさせるので、あえて星四つつけてます。

  • 古キョン大手として有名だったかたの作品集。
    すごくおしゃれで、それでいて誠実ではあるが、ヴィレッジヴァンガードとブックオフに山になっているあたりになにかを伺えなくもない…

  • 『ロンリープラネット』が私的にイマイチだったので、ちょっとびくびく読んだのだけど、これはよかった。胸に伝わってくるものがあったし、面白い。漫画もタイトルもお洒落だなあ。「遠い日のBOY」が好き。
    でも、やはりキャラにあんまり感情は湧かないかな。キャラ漫画じゃないし、ストーリー重視だろうし、物語のために人物がいるかんじです。

  • 読了:2011/12/31

    猫カフェにて。
    カバー装丁のセンスがよくて手に取った。
    中身もそれなりに面白かった。というか不快ではないので読み進められた、という感じ。
    作者の言いたいことは正直、分からないままだった。

    絵と、コマ割と、セリフを楽しんだだけ…。あれっでも漫画にそれ以外の要素ってあったっけ?ないとしたら、この漫画と「忘れられない」と思うほど好きになった漫画との違いってなんだったんだろうなぁ…などと考えたりした。単純に、ストーリーか。まっすぐな1本道だもんね。

    1週間ぐらいたってから、あの夫婦が大島弓子の「ダリアの帯」の夫婦に重なった。
    でもこちらは、大島弓子を読む際の拒否反応が出なかったし、奥さんのほうにイラッとすることもなかった。それだけ毒が薄められてマイルドってことなのかも知れないな。

    その他の作品もそれなりに。「ビデオテープ標準で録ったよ」というセリフが良い。

  • 本屋さんではじめに目についたのは、どこかぼけた色味の表紙。
    その次に、そこにたたずむ女の子とばらの花。
    装丁も好みで、絵も好みだったのでジャケ買いしました。

    装丁・絵柄だけでなく、台詞回しまでドツボでした。
    少しおかしな日常たちが、どれもきらきらと、時にはどろどろとしています。
    わたしは『遠い日のBOY』がお気に入りです。

  • 同人から大好きなんですがやっぱり晴田の犯行
    ああ叶わない恋は呪いだよなぁって、生涯この人以上に誰かを好きになることは無いんじゃないかって、そういうやり切れない恋と無自覚な男。みたいな
    たまらないです

  • "「でも君の気を引こうとして…そいで あんな事言ったんだ…
    離婚 するかい?」
    「しないわ
    でも八朔さん もひとつ嘘あるわね」
    「……………」
    「覚えてる?
    ヤギのエサみたいなラブレター
    "僕らふたり一緒になっても
    毎朝君に夢のようなプロポーズを捧ぐだろうーー"」
    「わーーっ や やめてくれ」"[薔薇だって書けるよ]

    「薔薇だって書けるよ」
    「オリジン・オブ・マイ・ラブ '98」
    「日曜日に自殺」
    「オリジン・オブ・マイ・ラヴ '09」
    「遠い日のBOY」
    「オリジン・オブ・マイ・ラヴ」
    「晴田の犯行」

    「薔薇だって書けるよ」が一番好き。

  • 「愛しい感じの漫画です。」
    感想にあれこれ言葉を並べようと試行錯誤しましたが、このひとことで良いなあ。

  • 絶妙な湿度と透明感のあるキャラクター。

    「薔薇だって書けるよ」
    素直さと可笑しさの奥にある孤独に気づかなければならなかった。
    点子の着てるものがいちいち可愛い。

    「オリジン・オブ・マイ・ラヴ」
    これ私たちがすごく好きなやつだ……

    「晴田の犯行」
    雨沢は晴田の心に雨を降らせるから雨沢なのか。
    負けるための装いとか、犯行とか、センスだなあ。

  • 作者さんのTwitterがオシャレで日々の癒しだったのにやめられてしまって寂しい…。
    マンガもとてもオシャレで、眺めているだけで癒されます。セリフやカットがマンガというより映画っぽいなーと思うのですが、絵や名前なんかはマンガらしく描こうと意識されているんじゃないかなーと、不思議な感じです。
    話も薄いわけではないですが、なにより雰囲気が素敵でした。

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著者プロフィール

売野機子(うりの・きこ)漫画家。東京都出身。
2009年「楽園 Le Paradis」(白泉社)にて、『薔薇だって書けるよ』『日曜日に自殺』の2作品で同時掲載デビュー。
『薔薇だって書けるよ―売野機子作品集』(白泉社)、『ロンリープラネット』(講談社)、『MAMA』全6巻(新潮社)、『かんぺきな街』(新書館)、『売野機子のハート・ビート』(祥伝社)、『ルポルタージュ』(幻冬舎)ほか、著書多数。

「2019年 『ルポルタージュ‐追悼記事‐(3)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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