すきまのおともだちたち

著者 :
  • 白泉社
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感想 : 101
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  • Amazon.co.jp ・本 (145ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592750109

感想・レビュー・書評

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  • ものごとを、あるがままに受け取ることの大切さを教えてくれる。
    この先、人生に迷って、どうしたらいいかわからなくなったとき、またこの本を読みたい。そうしたらきっと女の子が教えてくれる。
    「そんなの、生まれたばかりのへびの赤ちゃんにだってわかることよ」と。

  • 『ホテルカクタス』のようなメルヘン。劇的なエピソードはなく、淡々と進むけれど、全体としてとても優しい。

  • 私は当たり前に過去の思い出がある今に生きている。だからこそ、目の前の事象をより複雑に、困難に捉えてしまう。お皿が言った「私たちを本当にしばるのは、苦痛や災難や戸棚ではないのよ。幸福な思い出なの」という言葉によって、そんな自分をはっきりと自覚した。

    「そんなの、生まれたばかりのへびのあかちゃんにだってわかることよ」
    自分の中で複雑化する問いに頭を抱えてはこの本を読み返し、おんなのこの言葉に反省しては過去の思い出の上を生きていく。

  • 挿絵と文章がひとつになって、柔らかくて優しくてきらきらとしていてとても素敵な世界だな。

  • 初めての江國香織さん。
    絵本のような、童話のような。
    優しく、不思議なお話。
    何かの拍子に落ちてしまうかもしれない「すきま」
    こんなに優しい「すきま」ならどんなにいいだろう。
    変化のない、緩やかな優しい世界。
    女の子は女の子のまま。
    過去の思い出とは、淋しくもあり絶望的でもある。

  • どこに進めばよいかわからず迷っている時、人はふと、すきまに落ちて行くのかもしれません。そこで、女の子のような勇敢な友達と出会い、交流を深めて行く中で、探していた答えが見つかるんじゃないかな。

  • 『MOE』に連載されていたという童話風の小説。新聞記者の主人公が出張中に突然ここではない世界(=すきま)に迷い込んでしまいます。『不思議の国のアリス』のように。
    すきまの世界でお皿がしゃべり出すところで、帽子ときゅうりと数字の2が同居する『ホテルカクタス』を思い出しました。この不思議な世界が好きな人ならこちらもきっと好きなはず。。『ホテルカクタス』と違うのは、主人公がこちらの世界の女性だから戸惑いや受け容れる過程を共感しやすいところかな。

    主人公はすきまの世界で小さなおんなのこと出会い、友情を育みます。てきぱきと働くしっかり者のおんなのこは、『ぼくの小鳥ちゃん』の小鳥ちゃん風で愛らしいです。
    「あるがままを受け入れられないかわいそうな人」とか「わたしたちを縛るのは過去」とか、格言めいたことをお皿が言っちゃったりなんかして超絶シュール(笑)。自分がすきまに迷い込んだら、笑ってしまいそうだと思いました。
    読み進めて思ったのは、すきまの世界はずっとそのまんまの「物語」の世界。おんなのこは永遠におんなのこのまんま。世界も閉じられている。

    引用
    ギンモクセイの茂み、レモンの木の生えた庭、なんでも一人でてきぱきこなす、「ちいさなおんなのこ」。すきまから落ちたときにだけ会える、彼女は私の勇ましい友人です。

    この最後の一文で、なんだか涙がこぼれてしまいました。凄く愛情が感じられて。大すきな文です。
    こみねゆらさんの挿絵もかわいいです。


    江國さんの作品、小説はだいぶ読破。次は『間宮兄弟』読もうかな。

  • 2014/8/27読了

  • 成人したりっぱな?おとなの女性新聞記者が旅行中に出会った少女とお皿の不思議なおとなのためのファンタジー童話。ちょっと現実から離れたいなと思った時、賢いこんな少女に会えたら癒されます。

    こみねゆらの絵がお話にぴったりマッチし可愛い絵本のよう。

  • 児童書

著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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