花扇

著者 :
  • 白泉社
4.45
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本棚登録 : 198
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592862765

作品紹介・あらすじ

何の未練もなく男を使い捨てた師匠・山九亭初助。落語の道一筋に孤独な生涯を送ったかに見えたその裏には、真を貫いた驚きの愛情物語が。

感想・レビュー・書評

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  • 「座布団」が図書館に無かったので、落語家シリーズ続編のこちらのみ。
    おそらく、「座布団」で主人公であった、三九亭感謝。彼の師匠初助の隠されていた生涯。
    華やか芸人だった母親は刺し殺され、父親は定かでない。落語家の叔父に引き取られ、その美貌と話術で早々と真打も手中。噺家に生きる金の為なら、多少、耐え難い事もやりましょう。
    弟子から見た初助は、男を使い捨てる独り身を自由に生きる芸の人。
    独り身を続けていたのは、一人の男への想い。
    長い刑期を終えた男との最期の時期を知りながらのふたりの佇まい。
    もう、表現の自由。
    時折、入る洒落や小話も雰囲気がある。
    この作品も良いんだけど、雲田はるこ「昭和元禄落語心中」をすごく読みたくなった。

    • みんみんさん
      昭和元禄読んだよ〜
      でもね!あれは絶対BLにすべきだった(꒦ິ⌑︎꒦ີ)
      昭和元禄読んだよ〜
      でもね!あれは絶対BLにすべきだった(꒦ິ⌑︎꒦ີ)
      2023/10/29
    • おびのりさん
      私も読んだんだけど、レンタルで。
      持ってないのよ。
      あれは、ギリだから、いろんな賞とったんじゃない?
      でもBのLが良かったよね。
      私も読んだんだけど、レンタルで。
      持ってないのよ。
      あれは、ギリだから、いろんな賞とったんじゃない?
      でもBのLが良かったよね。
      2023/10/29
    • みんみんさん
      惚れ抜いた男の子供だから育てました。
      で終わって欲しかった(๑•́ ₃ •̀๑)
      でもそれだと賞もらえないね笑
      惚れ抜いた男の子供だから育てました。
      で終わって欲しかった(๑•́ ₃ •̀๑)
      でもそれだと賞もらえないね笑
      2023/10/29
  • なんて良い話なんだ。゚(゚´ω`゚)゚。
    魔性の初助師匠がたった一人愛した男。
    その出会いから別れ、初助が柄にもなく刑務所の慰問を何年も続けていた理由…最期までの二人の時間がもう泣けます!!
    初助師匠最高です‹‹\(´ω` )/››



    初助が弟子の感謝に言った魔性の言葉です笑
    「男なんて刺身の舟盛りと一緒だよ。大勢でつまむか、一人がつまんで食い残すか。あたしとお前は、同じ舟盛りをつまんだが、その後残った刺身を、誰がどう食べようと勝手じゃないか」

    師匠カッコい〜(。>ω<)ノ




    • みんみんさん
      あると思う!面白いよ!
      あると思う!面白いよ!
      2023/10/16
    • おびのりさん
      こちらは、ありました。
      次回予約します。
      こちらは、ありました。
      次回予約します。
      2023/10/16
    • 1Q84O1さん
      魔性の言葉…(゜o゜;
      魔性の言葉…(゜o゜;
      2023/10/16
  • 言葉では言い尽くせないほど素晴らしいお話でした。

    巻通して初助師匠のお話で、特に「花扇」と「夫婦茶碗」の章は何度も泣きそうになりました。

    初助と寺田のエピソードが大好きです。
    艶があって魔性の初助が、寺田を前にすると一途で健気になるのが本当にたまらない。

    何度も読み返したい、大好きな一冊になりました。

  • 「昭和元禄落語心中」はこういう展開になるべき。銀さんの顔が山田ユギさんの絵で描かれてない? 
    それはさておき、いい話。ジーンとしました。しみる…ね(「演歌の花道」のナレーション風に)。
    「座布団」と並び今年の個人的上半期ベスト3は「三匹のおっさん」とこの本です。

  • これは、確かに同性愛がでてはくるんだけど「BL」って括りにおさまらないお話なんじゃないかなぁ。人間の愛憎、芸で身を立てていくために生きていくために、身をはって命を懸けて行く様……なんかもう、ただ圧倒された。
    時代もツボ。戦中生まれで戦後の混乱や高度成長期に、落語自体が栄え、そして衰退しつついこうとする時代まで。
    初助師匠の激動の生涯と、愛した相手がいたこと、穏やかに過ごせる時があったことが本当に救い。
    実在する人のように感じてしまう……。
    あと、あの時代の人の(例えばサザエさんの時代にも感じるんだけど)「粋」にすごい憧れる。
    さくら餅から柏餅へ店先の売り物変わったのを「馬から鶏か」なんて、言えないもの!はぁ、粋……。

  • 故人となった初助師匠
    評伝を書こうと取材するライターの要への接触から
    初助の私生活が描かれていて
    落語のお話も絡めてぐいぐいと世界に引き込まれ…

    「夫婦茶碗」じわじわ
    喜びも悲しみも愛しさもじわーっと
    二人の時間がぴったり重なったまま、離れていかなければ良いのにと思いました

    それにしても作者
    かなりの落語好きなんだろうなぁ、と
    お話

  • 座布団に続き、満を持しての初助編、花扇です。
    前作と続けて読んで分かったのですが、これは要を通して
    語られる初助師匠の一代記だったんですね。
    初助の評伝を作りたい、と記者一色が要に接触したことから、
    過去と現在を行き来しながら初助師匠の生きた軌跡を辿ります。

    謎に多く包まれた初助の人生の中で、男を食い散らかしてきた
    だけかと思いきや、とんでもない真の恋がそこにあったわけです。
    寒也と要が陽だとすれば、銀さんと初助は陰。
    正反対の番ではありますが、初助が決して長くはなかった生涯で
    唯一、真の恋を貫いた相手が本当に【粋】な人でした。

    物語は淡々と進み、ジェットコースターのように起伏が
    あるわけでもなく、ドラマチックな展開が繰り広げられる
    わけでもなく、ただ一人の人間の日常を、あたりまえのように
    積み重ねていくお話でした。
    18年という長い年月の中に、初助が愛しい人とふれあった
    時間は、つかず離れずの5年間と、晩年のたった半年の間です。
    その間の中に、確かな愛というものがあって、初助の生い立ち
    からくる寂しさや悲しさ、そして確かに幸せがそこにあったの
    だと感じられるものが詰まっていました。

    膝の上にある頭の重みが忘れられない、というところで
    涙腺がついに崩壊。
    そこに至るまでに、何度も鼻を啜りながら読んでいましたが、
    この瞬間ばかりはもう、哀しくて、せつなくて、寂しくて……。

    今のBL業界では、絶対にタブーなネタではありますが、
    一昔前のBLはこういった話でも書かせてもらえたてたんだなぁ、
    と感慨深いものがあります。
    そしてタブーなネタでありながらも、こんなに読後に
    あたたかいものが胸に満ちるというのは、作品が間違いなく
    名著である証だと思いました。
    私の拙い表現では、とてもこの作品のすばらしさを
    伝えることがでないので、とりあえず何でも良いから
    読んでみて、と勧めたいです。
    ドナドナなんてとんでもない、永久保存版決定。

  • 芸のためなら男だろうが何だろうがどんどん踏み台にして、どれほどの愛憎にまみれようと芸の道を貫く初助師匠の生き様の揺るぎなさ、凄まじさにもうため息しかでない。そんな初助師匠が生涯誠を尽くしたただひとりの男寺田。寺田の最期の時をままごとの夫婦みたいに寄り添って暮らしたささやかな時間。
    一生の相方を得て仲むつまじく暮らしている愛弟子要とは対照的で、初助の孤独がより一層浮き立ってたまらない気持ちになる。それを不幸だとかつらいとか断じるのはおこがましい気がした。
    自分はさみしくて不幸だなどと無粋なことを初助はただの一度も考えたことはないのだろう。芸の道に信を貫くその姿に、読後はらはらと涙が止まらなかった。名作です。

  • 好きすぎて、素敵すぎて この本を語る言葉が見つからない。

  • うーむ。三九亭感謝(要)を通して見た師匠・初助の物語であったのか。かといって要の方も疎かになっていない、かえって奥行きが出ている巧妙さ。笑いの芸の底に敷いてある痛いほどの切なさ。参りました。ハイヤー運転手の太田さんも何気にいい味出してました。

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著者プロフィール

6月9日生まれ、双子座。雑誌「小説イマージュ」(白夜書房)1996年5月号に「一枚の遺書」を発表して、新人賞と第12回月間イマージュクラブ賞に選出され作家デビュー。以後、女性向け小説を中心に様々なジャンルで活躍中。主な著作は『スワンドール奇譚』シリーズ(エンターブレイン)など。

「2015年 『恋愛事件捜査係 担当官は恋愛オンチ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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