極道と愛を乞う犬 (白泉社花丸文庫 こ 7-2)

著者 :
  • 白泉社
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本棚登録 : 54
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592876908

作品紹介・あらすじ

気ままなヒモとして暮らしていた犬崎隼人は、六和会直系八祥組組長の情人に手を出してしまう。若き組長・鷲頭譲介は、逆に隼人を監禁して調教し、さらに八祥組準構成員にする。家族の暴力のせいですさんでいた隼人は最初こそ反発していたが、冷酷でいながら組員から絶大な信頼を集める鷲頭にいつしか惹かれていった。だが鷲頭には複数の愛人がおり、隼人自身も六和会の跡目争いに巻き込まれて…。

感想・レビュー・書評

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  • 女や男の家に転がり込んでヒモ同然の生活を繰り返してきた隼人が、893の組長のイロに手を出したことで鷲頭に拉致監禁され、「女」として調教されてしまう…という、893モノとしてはまぁ常套ですが、かなりハードなストーリーです。
    痛いシーンが数多くあるので読者を選びそうです。893設定でシリアスなら、この程度は許容範囲。

    この手の話は何度も焼き直されているので食傷気味かな、とあまり期待せずに読み始めたんですが、隼人の心情がとてもうまく描き出されていて、思いがけず物語にどっぷり入り込んでしまいました。心理描写がとても上手い作家さんだと思います。

    なんと言っても、鷲頭が自分の大事な相手と関係のあった(その時隼人は攻でした)男を、拉致監禁してしつけて自分のイロに仕立てるというのに、心を鷲づかみされました。攻を受に調教です。萌えました。そして、隼人が従順になったところで、自分の組で働かせるんですよね。なんて器のデカイ組長さん。隼人にお給料もちゃんと支払ってます。
    隼人も生まれて初めて自分の居場所を見つけたことで、前向きに頑張ろうとします。
    自分以外にも多数の愛人を抱える鷲頭のために、運転手として愛人宅への送り迎えをするのも仕事のうちになるんですが、そこでの隼人の複雑な心境に切なくさせられました。
    男としての矜持を踏みにじられた相手を、自覚がないまま好きになってしまって、訳がわからないまま他の愛人への嫉妬心に苦しんで、不憫です。
    鷲頭は、隼人のことをHができる飼い犬程度にしか扱っていないのに、隼人は一緒に暮らして側にいられることによって、他の愛人よりも優遇されていると思い込んでしまいます。
    そして、それが勘違いだと分かった後、再び隼人に試練が訪れることに。
    かなり痛かったです。隼人の気持ちを推し量ると切なくて不憫で、泣けました。

    一方の鷲頭。いつから、彼は隼人を好きになったのか?というのは、やはり考えさせられましたね。
    私的見解では、最初に拉致して側に置き調教しようとした時点で、すでに隼人のことを気に入っていたんじゃないかなと思うんです。でも、ほんの軽い気持ちで。そして、想定外に惚れ込んでしまうのですが、過去に起こった出来事や苦い経験から、誰とも深入りしたくないと思うあまり、隼人の気持ちを拒んだのかなと。

    組の舎弟の面々も細かく描き分けられていて、どの人物も印象的。周囲が人情味にあふれていて、奥行きがある893ものになっています。
    イラストは華やかで明るい雰囲気のタカツキノボルセンセだったのですが、もう少し薄暗い?絵師さんでもよかったんじゃないかと思いました。

    エロ的にはハードだったり、切なかったりで、甘さは低めでしたが、かなり好みでした。

  • 冒頭ドロドロした語り口とその先のページ数にうんざりして、一度は読むのを断念しようとしたくらいだったけど、進んでみればそこはさすが小中先生!キャラの背景の深さも、物語の組み立ての緻密さも、冒頭で語られた前提を理解し読み進めると、そこはとても大きなお話でした、展開もハプニングも落ちもとても良かった。
    一棒一穴主義の私としては、途中しんどい場面も多くありましたが、それを補い必然と思わせる表現はさすがです!
    とても良いお話でした!

  • 隼人が鷲頭への気持ちを自覚してからが切なかった。自分の気持ちを否定したり、押し殺そうとしたり...。そんな中で起こった事件。どれだけ可哀想なことに。と言いたくなってしまう。多くの経験を積んで成長していく隼人と、その隼人に向ける気持ちが変わっていく鷲頭を見ているのは楽しかった。

  • 電子書籍。ヤクザ組長・鷲頭×元ヒモ・隼人。最初は隼人がこうなっちゃたのも自業自得かなって思ったけど、鷲頭への想いを自覚したあたりから切なくなってきてずっと涙目、得に隼人が拉致られあの電話のシーンからは泣いたわ… 鷲頭が助けに来た時も隼人のセリフが胸にきた。どうしようもないと思っていた奴が思いのほか健気で…ってたまりませんよね。拉致られた場面からまた再読しちゃったわよ私。イラストが合っていなかったのが残念なのと、想いを通わせた所からもっとガッツリ読みたかったです。

  • 最後の最後に受けが救われたから★2にしたけど、最後の最後まで受けが酷い目にあいすぎで愛がまったく感じられなかったので途中何度も挫折しかけた。最後まで読んでちらっと愛が感じられたので報われた。二度と読みたくない

  • 893モノ。
    ちょい苦手ジャンルなんですがデビュー作が好きだったので
    挑戦です。攻に愛人が何人もいるので切なかった。
    受が悲惨な目にあうので覚悟が必要ですね。
    なんだかんだ、色々読んできて耐性がついてきたのか
    萌えはしないですが平気だったw

  • 挿し絵がイメージと違いすぎて、なかなか読めない…なんだかなー

  • 結構面白くて、楽しめました。 だけれど、前作よりは突っ込みどころも減ったな~って思うんだけど、絶対泣けるよな!って場面が散りばめてあるのに、何故か?あと一押し足りない感じがしましたね。 ここ、泣けるはずなのに~!!って何度思ったか?そして鷲頭の心の変化がイマイチ分からなかったのが残念でしたね。 居なくなって気づくっていう事なんだけれど、あの時あんなにきっぱり振ったんだから、ここはもうちょっと丁寧に変化を表現して欲しかったな~って思いました!

  • 待ちに待った小中さんの2作目!
    鷲頭(893)×隼人(元ひもで攻め)でシリアスで意外。
    隼人の目線で話は進みます。気持は丁寧に書かれていて良くわかり、途中ちょっと切なくなる場面もあるのですが最後がやや速足で鷲頭と一緒にいられるようになるところあたりが納得するには物足りなかった。

    イラストの雰囲気が合っていなかったのがつらくて残念。
    ★は厳し目になりましたが、次回作に期待です。

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著者プロフィール

小中大豆(こなかだいず)・作家・白泉社「指先がすれ違う」にてデビュー・現在、BL各レーベルで執筆中

「2022年 『王さまのがっこう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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