- Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
- / ISBN・EAN: 9784592883012
感想・レビュー・書評
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星系の消滅と共に絶滅した、特殊な能力を持つ種族「銀の三角」。3万年後に再び現れた銀の三角人を巡る、壮大なSF叙事詩。
数十年前、学生時代に一読したきりだったので、今読めば理解できるだろうかと購入。一読目、細切れ読書ではなかなか頭がついていけず。可能なら時間のあるときに、一気読みした方が、その世界観にどっぷり浸れる。
スケールの大きいタイムリープ、クローン、中性的人物、排除される異形種…これまで読んできた萩尾SFを彷彿とさせる。難解ではあるものの、繰り返し繰り返し読むことで、ストーリーが頭に入ってくる。緻密な構成の素晴らしさは勿論だけど、キャラクターも魅力的。敵か味方かわからない、歌うたいの黒髪の少女、ラグドーリン。きりっとした彼女の瞳とつかみどころのない存在にとても惹かれる。
萩尾作品全般に言えることだが、大判で読みたいな!懐と場所を考えると文庫版はありがたいのだが、美しい絵とダイナミックなストーリーを楽しむなら、断然大判がいいなと思うのだ。
何度も読み返すほどに新しい発見がありそうな、とても噛みごたえのある作品。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「萩尾望都SF原画展」に行ってきた。年明けからずっと楽しみにしていて、ワクワクしながら出かけたのだけど、期待通り、いやそれ以上に充実した内容で、深く深く満足した。帰宅してすぐ、取るものも取りあえず、「スターレッド」と「銀の三角」を読む。そうそう、このシーンのナマ原稿があったんだよねえ、一筆一筆手で書かれたのだということが何だか信じがたいような、すごい線だった、はあ~、とため息をつきまくりながら感動を反芻したのだった。
四十年以上読んできた萩尾作品は、「ポーの一族」を筆頭にどれも大好きだけれど、とりわけSFには思い入れがある。SF的センスと叙情性が溶け合っていて、どれもすばらしいと思う。ブラッドベリ作品など、わたしのなかではあの絵柄と渾然一体となっている。(「みずうみ」の原画があって嬉しかった!)
その中で特に好きなのが、「スターレッド」と「銀の三角」。SF度が高いのは後者だろうが、どちらも時空のスケールが大きくて、読後感の切なさたるや、言い表しようがない。萩尾作品ではいつもそうだけど、マイノリティに寄りそう深い思いを感じて、そこが心に響いてやまない。
原画展の会場の一角、テーブルの上に数冊のスケッチブックが置かれていた。来場者が萩尾先生宛に感想を書くためのもので、会期が終了したら先生に届けられるのだそうだ。のぞいてみると、(わたしと同じように)長く読んできた方の思いのこもった感想が多く目につく。また、「母の持っていたコミックスを読んでファンになりました」という若い人の感想も見かけ、あらためて半世紀近い画業の素晴らしさを痛感した。ファンレターなどついぞ書いたことがないけれど、今回ばかりは是非先生への感謝を伝えたいと思いペンを取ったが、すごく迷った挙げ句全然たいしたことが書けなかった。トホホ。-
たまもひさん、こんにちは♪
萩尾さんのファンでいらしたのですね!
(私はくらもちふさこさんが好き・笑)
この作品は確かSFマガジンに連...たまもひさん、こんにちは♪
萩尾さんのファンでいらしたのですね!
(私はくらもちふさこさんが好き・笑)
この作品は確かSFマガジンに連載されていたような・・
プロットの組み立てが非常に上手くて、ラストに向けてどんどん全容が見えてくるのが
たまらなく面白かったです。
ラグドーリンが何者なのかが、最後まで分からないのも、二重丸。
久々に懐かしい作品のレビューが読めて、とても嬉しかったです!
そして最後の行も笑わせていただきました!
そんなものかもしれませんね。とても他人事とは思えません。2017/11/08 -
nejidonさん、コメントありがとうございます!
萩尾先生は、SFと少女漫画という、わたしの偏愛する二大ジャンルの重なりに燦然と君臨する...nejidonさん、コメントありがとうございます!
萩尾先生は、SFと少女漫画という、わたしの偏愛する二大ジャンルの重なりに燦然と君臨する女神様です。いやほんと。
そしてそして、く、くらもちふさこ先生とな!くらもち先生は、気持ちのふかーい所でずっと大事にしてきた、これまた別格の存在なのですよ。いやあ、同じファンと知って嬉しいです~。
「くらもちふさこ デビュー45周年記念 ときめきの最前線」のレビューで、ほとばしるくらもちふさこ愛を書きなぐっていますので、もし良かったらご覧ください。
「銀の三角」、何度読んでもクラクラするような読後感は変わりません。しかし、あのつたない感想を先生がご覧になるかもと思うと、頭をかきむしりたくなります…。2017/11/08 -
nejidonnさん、追加です。
今見たら、くらもち先生のムックにはとうに「いいね!」をいただいてました。見逃していてごめんなさい。これに...nejidonnさん、追加です。
今見たら、くらもち先生のムックにはとうに「いいね!」をいただいてました。見逃していてごめんなさい。これに懲りず、また読んでやってくださいね。2017/11/08
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ラグトーリンって何者? エキュロスって?
いや、そもそも主人公のマーリー自体いったい…。
夢?予知?それとも…。
これは勢いで読むものではなかった。もっとていねいに読もうとして何度目か。
それでも、話も人もモザイクのように入り込んでいて、迷子になりそうになる。
それでいて「難解」という堅い言葉は似つかわくない、流れるようななめらかさ、そして繊細さ。
え、え?とさらに知りたくなる。
途中、もっと長編で読みたいような気もしたけれど、今は、それよりイメージを広げて読むのがいいかも、という思いに変わった。
同じストーリーであっても望都さん以外が描くと、ずいぶん違った印象になるんだろうな。
私にはまだまだ謎があって、また読み返してみたいしそれが楽しみでもある。 -
ひさびさに読み返した大好きな作品。
世界の運命を握るひとつの結び目。それを解き、世界を美しく留めるために時間と空間に干渉する謎の美女ラグトーリン。
これって、時空の将棋、もしくは壮大な「もしもボックス」の話なんだ。
小説じゃないから、スッと世界に入っていけるのだろうな。こういう話を小説で描くと、きっと、すごく難解で、読むのもタイヘンなのかも。
それから、時空の話に音楽が登場するのが面白い。ストーリーの展開に直接係わってはこないのだけれど、音楽は時間の芸術だから。象徴なのかな?
こういう話、他の萩尾作品にもあったなあと思い、探してみた。
そしたら、小学館文庫の「半神」に入っていた。生まれ変わってもいつも同じ運命を辿る男女の話「酔夢」。「金曜の夜の集会」も繰り返す時間を扱っている。 -
萩尾望都により、1980〜82年に「SFマガジン」誌上で連載された長編SF作品です。
時は未来。
舞台は宇宙に散らばる色々な星系に暮らす人間達の世界。
主人公「マーリー」は、政府機関で社会安定の為、データの収集と分析を行うセクションに勤務していた。
彼は予知能力があり、社会変事を察知しそれを防ぐのだ。
或る日彼は「エロキュス・ルルゴーモア」という歌姫の歌を聞き、その中に社会変動を感じて調査におもむく。
エロキュスの死。
謎を追ううちにトラブルに巻き込まれて、マーリーも死ぬ。
スペアのために用意してあったクローンマーリー2の起動。
辺境の惑星の王の元に忌むべき子供が生まれる。
夜毎殺され、生き返る赤ん坊。。。
すべての原因は、「銀の三角」といわれる星に住んでいたすでに滅びた種族に起因した。
彼等は音楽に対して特殊な能力があり、予知能力を持ち、非常に長命であったが、その予知能力のために、他の種族に狩られて滅んだという。
謎の吟遊詩人、黒髪のラグトーリンは何者か?
すべての謎はからみあう。
幻覚、現実、幻想、実相、夢想、夢幻、消失と再生。
ネムラセテ ソシテ
ワタシヲ 岸辺ヘ カエシテ…
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トム・クルーズ主演の『オール・ユーーニード・イズ・キル』を観て、「『銀の三角』の複雑な枝葉をとっぱらって単純化したみたいな話だな」と思い、本棚から発掘して再読。奥付は94年9月で、なんと20年も前の本か!(初出の雑誌連載は80年~82年)
初めて読んだ時は、何が何やらさっぱりわからなかった。3~4回読み返してようやく物語の大枠が見えてきて、10回くらい読んでなんとかストーリーは理解できたかな。でも、人に説明する自信はない。そのように超難解で哲学的なSFだが、再読に堪えるというか、再読せずにはおられない不思議な魅力のある作品だ。こんな話を考える萩尾望都の頭の中はいったいどうなっているのだろう?
家じゅうの本棚をあさったら、びっくりするほどたくさんの萩尾作品が出てきた。いずれも骨のある物語ばかり。しばらく耽溺してしまいそう。