さようなら女達 (白泉社文庫)

著者 :
  • 白泉社
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592883531

感想・レビュー・書評

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  • 『さようなら女達』長め
    『おりしもそのときチャイコフスキーが』
    『七月七日に』
    『いたい棘いたくない棘』
    『シンジラレネーション』

    40になんなんとするおじさんが書くのもなんだけれど、大島弓子の作品を読むと「あのころのじぶん」にワープのようにもどってしまうのだ。
    モノローグの多い漫画は苦手なのだけれど、大島弓子のモノローグだけはとくべつなのだ。
    大島弓子について書こうとすると、ひらがながしゃしゃりでてきて、じぶんの文体が侵食されてしまうのだ。

    1章のサブタイトルに「フン、あんたはまだ めざめていないわ」。ここ。

  • 痛い、あまりに痛い。何度読んでも涙がこらえられず、海に向かって叫ぶ場面で号泣してしまう。なぜなら、私もそうなっていたはずの少女時代だったから。
    周りが見えず、自分のこと(大好きなこと)だけに一直線になって、気がついたら取り返しのつかないことがすべて自分のせいでおこっている。その恐怖、そんなふうにして大人になりたくなかった、なぜ一度やり直させてくれないの。
    周りを傷つけ、だけど助けられ、うんとうんと愛されている主人公は前に進んでいけたけど、もしかしたら大島弓子は救いなんか描きたくなかったかもしれない。だって、救いがないのが現実だから。でも、これは少女マンガなのだ。私の大好きな、ハッピーエンドになるはずの。
    「七月七日に」もたまらなく好きな作品。愛する木原敏江の影響(たぶん原案も限りなく木原敏江なんだろう。わきキャラも描いてるしセリフまわしがもろ木原敏江)を受けまくり、それでもきっちり大島弓子のマンガになっている美しすぎる作品。
    異論はもろちんあるだろうが、この「さようなら女達」と「七月七日に」、「バナナブレッドのプディング」以上を好きになれなければ、大島弓子をいくら読んでもだめだと思う。故・米沢の「少女マンガで泣かせることができるのは、大島弓子と木原敏江だけ」とは本当に的確な評論でした。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「大島弓子をいくら読んでもだめだと思う。」
      恐れ入りました、、、
      「大島弓子をいくら読んでもだめだと思う。」
      恐れ入りました、、、
      2014/03/24
  • まんがを描くことがすきでたまらない毬をとおして、大島弓子に漫画の描き方のかけらや心のもちかたというようなものを教えられたような気がしました。もちろん、少女がただ漫画家をめざすサクセスストーリーというものではけしてない。いろんな苦難や不幸をのりこえて、毬は、めざめてゆく。<br>
    海にむかって、毬と父がさけぶシーンが印象的でした。もういない人への対話が、すぐそばにいる人に伝えたいことへとリンクする。波の音にまじって。

  • カバーデザイン/羽良多平吉&エディックス

  • 神だ。『七月七日に』大好き。しかし、いくら神といえど『シンジラレネーション』のオチはちょっとどうかと思います。

  • 『七月七日に』がすきかな…。

    「あるいはもっとあやしいえたいのしれないもののようにてらしだしていたの。あたしはようよう声を出すことができて『母さま』と呼ぶと」
    「こわいようなたのしいようなうそのようなふしぎな気持ちであたしはいいつけを守ったけど」
    「後妻というのも特殊なのです。というのはわたしは人間でなくてあなたのお父様をそりゃ愛していても結ばれることは許されなかったのです。それでわたくしはお父様がなくなった時人間にバケてあなたを育ててきたのです。」
    「…………そういうおとぎ話はつづみにはもうつうじなくなりました。」
    目かくししているあいだ子供は泣き止んでそれこそオニごっこも忘れて木漏れ日の見事さにうたれていたことがあったあの時の思いがします。
    「まにあった。わたしがほんとの阿修羅と化すまでに。」
    切りはなされて乱鴉のごとく流れ狂う川面いっぱいの黒髪であった。

    「はっきりめざめているかではよくきけ。てめーの健康管理の不始末が心臓の弱い母さんにどんなショックを与えるか考えよ!!」
    「おまえはそういったものを書くのが好きか」
    「好き」
    「わたしも母さんが『好き』おたがい好きなものをうばいあう前にひとつルールを決めて決戦しようではないか」
    「ぼくはきみならばどんなに太っても魅力的だと思うよ」
    「まああなたったら毬ちゃん食休み食休み」
    「少しはわたしと話しをしてくれたっていいじゃないか」
    「ほいまち!」
    「時間がかさめばかさむほど荷が重くなるっていっただろう!」
    「世の中いろんなひとがいるなあ」
    「世界にでかけるまえにせめて気に入ったものをかいてからと思うでしょう。でかけるってことはそれにかけなきゃならない。ペンはもうもてないと覚悟しなきゃならないもの。」
    「念力をほどこせって」

    「差別なんてしてないわどっちも同じよどっちも愛してない」

    「とうとつですまない。そのさよならをいわねばならなくなった」
    「はいよろこんでさようなら。」
    「くやしいーっ。なんだあのわかれのことばは!!アホらしいがゆえはらがたつ!!」
    「わたしはわたしがきらいなの」
    「きみの全部がきらい」

    「あなたは一度死の道をたちきったのだからこの世で生きたいと思えるようなおもしろいことをわたしに教えるのは当然でしょ。わたしつまらなかったらあなたの目の前ですぐ死ぬわよ。」

  • 少女が大人になる過程っていうのはどうしてこんなにかわいらしいんだろう。
    色々な恥ずかしい思いとか痛い思いとかを抱えながら新しい世界を知っていく。
    簡単な成功なんてめったになくて、うまくいかないことだらけ。
    だからその渦中は全然おもしろくないんだけど、傍から見ていると本当にかわいらしい。
    他の短編では『いたい棘いたくない棘』が好き。

  • ときどき読んで、主人公に重ねて、励ます・・・

    1年後には、どう感じるのか、楽しみ。

  • 七月七日に
    この作品はどうしてこうも切ないかな~

  • また号泣してしまいました…。

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著者プロフィール

栃木県生まれ。短大在学中に『ポーラの涙』でデビュー。昭和53年より「月刊ララ」に掲載された『綿の国星』は、独特の豊かな感性で描かれ、大きな反響を呼ぶ。『ミモザ館でつかまえて』『夏のおわりのト短調』『パスカルの群』など著書多数。

「2011年 『グーグーだって猫である6』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大島弓子の作品

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