四月怪談 (白泉社文庫)

著者 :
  • 白泉社 (1999年3月1日発売)
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592883562

感想・レビュー・書評

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  • 「四月怪談」に限らず、大島弓子について。

    大島弓子を知る以前・以後、と人生をわけることができるぐらい大きな出会い。
    高校生のころ、初めて手に取ったのは「毎日が夏休み」。
    このなんともうらやましいタイトル。
    自信がもてない自分に、それでも大丈夫と言ってくれた気がした。

    話ももとより、印象的なフレーズ、エピソードも心に残る。

    太陽の下で文字を読んだ後、他に目を向けたときの、あのチカチカとする感覚。
    屋内で冷たいデザートをたらふく食べた後、
    太陽の下にでたときの、あのさらに体が満たされる感覚。

    そういったものをマンガにしてくれる。
    そんな感覚は自分だけじゃないんだ、と安心させてくれる。

    日々の笑いや愚痴など、よしなしごとをしゃべる友達ではないけど、
    いざというときにどっしりと励ましてくれる友達。
    それが私にとっての大島弓子だと今は思っている。

    『前途は洋々としてブルー』なんて、今ピッタリ。
    (「庭はみどり川はブルー」でのフレーズ)

    もちろん「四月怪談」のステキな話。
    霊に「一緒に生きよう!」って、言える主人公に拍手。

  • 人身事故の影響により当駅にて臨時停車致します、というアナウンスがされ、進むことも戻ることもできない宙ぶらりんの時間に読み終えた。
    とうに花の盛りは過ぎたので、まばたきするたびに目のまえに広がる風景がこまかな色紙の吹雪となって舞い散る。ある種の現実はおびただしい音を立てて死ぬこともあるのだ。長い夢から覚めたあとに、魂の半分を失くしてしまったように悲しくなるのは、死者と生者の関係なら会えるが、死者と死者の関係になると会えなくなるから。生きるとは、世界を名づけるように口づけること。唇の痕跡が風の線路を流れていく。

  • 何のために生きていくのだろう、生き返ってなんになるんだろう。
    1度死んだ主人公は生き返らなくてもいい、命をあげると気軽に言ったりします。
    ストーリーとは関係ない木の上に座ってる女の子の描かれたラストシーンが後を引きます。

  • 昔のレトロなマンガが読みたいと思って、何気なく購入した本。
    他作品も購入して読んだけれど、
    これは時代を感じさせられた。
    さすが70~80年代物。
    昔のレトロな雰囲気が好きなので。

    大島弓子特有の雰囲気と世界観がほどよい感じに残った。
    初期作品ゆえ、ロマンチックさが他作品よりも高かった気もする。

    小説を読んでいるような感覚はどの作品を読んでも感じる。

    ※「ページワン」みたいな描き方は新鮮。
    ああいう描き方の作品はまた読みたいな。

  • とりえってなんですか?
    とりえってすなわち、あなた自身ではありませんか
    とべないことも、不可能のことも、冴えないことも、みんなとりえなんじゃありませんか

  • 優しい「怪談」。<br><br>
    大島弓子が好きだという女子にはちょっと注意している。だって好きな人間に限って、ダークすぎる面を持っていることが往々にしてあるから。(そして、彼女らは少女的であることを嫌悪しながら喜ぶのだ!本質的なロリィタタイプ、あるいは自意識肥大少女!)<br>
    でもなあ。この作品読んでしまうとそんな穿った見方をしてしまう自分がせつなくなってしまう。だって、ここにはビターだけど確実な「幸福」があるのだから。夢見るように死の淵でくるくる踊る少女のせいいっぱいの行動に、ちょっとすっとぼけた調子の「幽霊」たちの存在に、そして最後に納められた「金髪の草原」の美しすぎる終幕に、ため息をついて、私は思うのだ。<br><br>
    「すばらしかったね」<br><Div Align="right">(04.10.25 読了)</Div>

  • カバーデザイン/三枝泰之+Drawing Sense ゙LUNACY゙

  • 久々に、大島弓子。
    なんだろう、この人の漫画を読み終わったときは、いつも、漫画というよりエッセイや小説を手にしていたような気分になる。

  • 川上未映子著『愛の夢とか』に収録されている『十三月怪談』が『四月怪談』のオマージュだと知り、もとの作品を知りたくて手に取った。
    レトロな少女漫画という一言で片づけてしまうには非常にメッセージ性が強く、文学じみた漫画ばかりで圧倒された。読むためにパワーが必要な漫画。

  • 死をテーマにした作品ばかりなのだが、重すぎず軽すぎずとキャラの動かし方と台詞まわしが秀逸でした。
    難点は絵が古くさく読者を選ぶことと、ヒロインが野暮ったいのが気になります。可愛いとかこれぞ、ヒロイン! という人は皆無です。
    でも絵で魅せるのではなく、ストーリーで魅せられます。私はどの作品も好きですが、最後の金髪の時間が一番残りました。自分年表で、心臓止まらずというのを見たとき何の生きているのか。漫画演出なのに真剣に考えてしまった。
    夢を見るために生きるのか、死ぬために生きるのか。
    結局あの老人はなんのために生きてきたのだろう。夢を見て、夢の中で死んでいったあの人がその瞬間、幸せだったのか若輩な私には分からない。

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著者プロフィール

栃木県生まれ。短大在学中に『ポーラの涙』でデビュー。昭和53年より「月刊ララ」に掲載された『綿の国星』は、独特の豊かな感性で描かれ、大きな反響を呼ぶ。『ミモザ館でつかまえて』『夏のおわりのト短調』『パスカルの群』など著書多数。

「2011年 『グーグーだって猫である6』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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