- Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
- / ISBN・EAN: 9784592886310
感想・レビュー・書評
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単行本も全巻持ってるけど何度も読み返しすぎてぼろぼろなので描き下ろしも多少あるとの事で買って、大分積んでたのを読んだというか読み返しというか。やっぱり大好きだ。何度読んでも好きです。1話目でこれだけ2人の関係性の土台をきっちり作ってるのは凄いなと思いました。20年前の漫画とは思えない。
それでも、この巻に収録されてるのはこの後長くシリーズとして続いて行く迷宮シリーズとしては、異色な話が多いです。長く続くと思ってなかったからパラレルとして読んでくださいと言ってる数年後の話も入ってるし。まだ京が人らしくなってない段階で描かれた話なので、「他人は他人、関係ない」と見て見ぬ振りをする話も入っています。今だと考えられない。新姫の話は人物関係がややこしくて昔、何度も読み返したな。このラストも今後の話の中では珍しいというか唯一の終わり方な気がします。
全てを知ってから読むと、感慨深い場面がちらほら。この時まだ京ですら知らない事実があるんだよなとか。
京はまさしく孤高の人。天才で口が悪くてにこりともしなくて人間不信で、他人に合わせるなんて馬鹿馬鹿しい、ひとりで生きていく、という。生い立ち、環境のせいでかぶりつづけたイイコの仮面を柵がなくなったことで捨ててしまった京。そんな京が山田一平という男によって少しずつ、少しずつ、癒されていく姿は幸せになったりたまに号泣させられたり。
一平はとにかく前向き元気な正義漢なお母さん。だけど能天気なわけじゃなくて一平は一平で、京から知らなかった人というものを知って成長していきます。今後読めば読むほど、一平がこういう男だからこんなにも早く京が警戒心を解いたんだなと思います。
迷宮、というからには話は推理物に分類されるも、トリックではなく「なぜ」に重きが置かれている点で、推理物らしさはあまりありません。なぜ、何のために、事件を起こしたのか。人の気持ち、こころ、そして事件を通じて変わっていく2人の関係性。時折見せる京の、ほうけたようなあどけない顔が、なんだか哀しいです。利己的なDNAでの表情が。
話が完全に少女漫画でファンタジーファンタジーしてなくて、ファンタジーだけど地に足ついてる感じがずっとしてたのですが、あとがき見て働き続けてたからかなと思いました。