ロストハウス (白泉社文庫 お 1-16)

著者 :
  • 白泉社 (2001年6月1日発売)
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592887096

感想・レビュー・書評

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  • 大島弓子作品は、打ちのめされるのがわかっているのでなかなか手を出せない。
    今回も表題作と「8月に生まれる子供」で頭撃ち抜かれた気持ち。
    とても酷で、それでいて温かい。
    痛みの余韻をいつまでも味わっていたい。

  • まわりに流されない大島弓子ワールド変わらず。
    最近の猫漫画では本来の大島弓子はたのしめない。
    あれはあれでいいけれど、このロストハウスを見て、自分は自分でいいと思える瞬間を感ぜられて、それが私が大島弓子を愛する訳の一つなのだ。
    バナナブレッドのプディングの衣良ちゃんから続く、この世にあいにくい子たち。
    生物としてほんとに愛おしい。

  • 大島弓子は何を読んでも素晴らしい。
    素晴らしいのだが、それを百も承知で言うとすれば、今回初めて読んだこの短編集は最高傑作(のひとつ)だと思う。
    平成になってからの作品ばかりだが、とにかくどれもこれも恐ろしいほどクオリティが高い。そして、彼女らしい幻想と哲学が全開だ。
    そこで描かれるのは、世界の終りと向き合う田舎の女子高生、都会から田舎へ移住した若いカップル、若年性痴呆症にかかった女子大生などなど、なにかしら欠落を抱えた、あるいは欠落に向き合おうとする人々だ。
    残酷な現実とそれを乗り越えるための幻想。
    そして、跳躍はいつも意図せずふいにやってくる。
    欠落はなにも変わらない。
    だが世界の全てが突然輝きだす瞬間。

    それらの作品のあまりの説得力に、本を閉じ、そんな奇跡にひょっとしたら自分も出会えるのかもしれない、と思う。
    例えば、表題作の主人公の女の子が思うように。

    「わたしは/わたしの前で/世界のドアが/とつぜん/開け放たれて/いくのを/感じていた/この世界の/どこでも/どろまみれになっても/思い切りこの世界で/あそんでもいいのだ」

    そう、思い切りこの世界であそんでもいいのだった。
    それをたった今思い出した。

  • 大島弓子の良さがやっとわかったかも。(大島弓子3冊目)
     
    『8月に生まれる子供』良かったなぁ。
    最近amazonプライムで『愛を読むひと』という映画を観て感動したけど、私も30代後半になったし女の人が歳をとっていって(あんまり希望のない人でも)優しくされる話を見たいのかなぁ…。

  • 「鬱の本」つながりで。表題作は、ルー大柴みたくいうと、ハウスをロストしたけど、ワールドをゲットしたということなのかな。子供の頃、隣家の新聞記者の忙しくていつも片付かない、けれど扉の開いた部屋であそぶことに心からのやすらぎを覚えていた主人公が、長じて、片付かない部屋でしかやすらげなくなってしまい、行方のわからなくなった彼を探すうちにホームレスになったと知り。「ああ彼はついに全世界を部屋にしてそしてそのドアを開け放ったのだ」と。他に、世界がもうすぐ終わると知らされた高校生グラフィティ、唐突な田舎暮らしを始めた夫婦の顛末、18歳にして急速に老人化していく女子高校生、文通相手が家出して転がり込んできてはじまるドタバタ、などなど。

  • 初大島弓子

    大人になることの挫折や、生きづらさを
    少女という無垢であり反抗的な視線から描いているなと感じた。そういう意味では絵本風でもある。

    洒脱なタッチの作風であり、
    気を張らなくて読むことができるが、
    時折ハッとするコマや流し読みでは気が付きにくいテーマがあるので、読み応えが充分ある。
    現実世界をベースにしているものや、
    少しファンタジックな作品まであり、良いスパイスで飽きる事がなかった。

    個人的には表題作よりも、
    頭と末の短編が好きだった。

  • 名作は色褪せない

  • 不思議な「キュン」でした!

  • 最初の話が夢オチだったので、読む気がなくなった。

  • まんが

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著者プロフィール

栃木県生まれ。短大在学中に『ポーラの涙』でデビュー。昭和53年より「月刊ララ」に掲載された『綿の国星』は、独特の豊かな感性で描かれ、大きな反響を呼ぶ。『ミモザ館でつかまえて』『夏のおわりのト短調』『パスカルの群』など著書多数。

「2011年 『グーグーだって猫である6』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大島弓子の作品

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