ヘヴン (白泉社文庫 え 1-14)

著者 :
  • 白泉社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592887980

感想・レビュー・書評

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  • オオカミ…の次に読んだ。
    オオカミ…と比べて
    ずっしり重めの内容で
    面食らったけど
    良かったです。

  • 昨日の「記憶鮮明」から、映画のような漫画の繋がりで、この作品をチョイス。
    遠藤先生はデビューの頃からコミック買ってます。しっかり笑って、しっかり泣かせてくれるお話が大好きです♪
    が、このお話しは笑いはかなり少なめ。ほぼないとこも。雑誌掲載当時はビックリしつつ、その読み応えのあるドラマに衝撃を受けました。
    舞台は近未来。殺人用ヒューマノイド:ルークがメインがメインの話と、ルークの誕生までのお話しの大きく2つの話からなります。1話目も物騒な情勢の中の話ですが、個人的には2話目のがハードかつシリアスで、なおかつ泣けました。。・゜・(ノД`)・゜・。
    この作品も映画を意識した感があり、実写版映画にできると思います。でもなったら、これは観に行けないかも…絶対泣く…(>_<)
    【効能】遠藤先生、SF、泣ける映画やドラマ好きに効きます。ただし絵柄のレベルをどうこういう方にはオススメしません。
    【副作用】もっと遠藤先生の骨太ドラマな話を読みたくもなります。でも、やっぱり笑いの要素の多い作品も好きだし…とジレンマになります。ヤマアラシ式に解決できるといいのですが。

  • 何だか救われるような気持ちになれる。

    色々と胸にくる言葉があった。

  • 「君の相手は後ろから追いかけてくるテロリストじゃない。戦うのは運命とだよ。転んでもあきらめるな。あきらめるな。」
    「人間は人間を殺さない何千年もかかって俺達が学んだ事だろう。」

    もう無茶な事しないで
    って言ったベッキーの顔を思い浮かべて死ぬデイビーがもう言葉にできない。ベッキーとデイビーの自然に相手を思いやる関係がすごく良かった。というよりベッキーもデイビーも人生を受け入れながらしっかり生きてるという感じがとても良かった。デイビーの誰にも聞こえないような他人の叫びを聞いて自然に目の前に行って相手が話すの聞いて言葉かけるってとこがもうすごいなとひれ伏したいかんじ。一面だけで判断できないのがこの漫画のときめくところだなあ、と思いました。

  • 夏の課題図書に漫画が入らないのは、『文章を読み取る能力』の向上にすべてを一目であらわしてしまう漫画が適しないからという理由なら、遠藤作品は確かに適しない。
    少々デッサンがアレだったりするのに、一目でその世界の空気や風、空の色を見せてくれる力のある話と絵をかくからだ。

    欧州にある架空の小国の柔らかい緑色の山すそや、広大なアメリカのとうもろこし畑、日本の田舎のペンションなど、下手だ下手と言われているが読者に理解させているということはそれだけ説得力のある画力を持っていることに他ならない。
    登場人物のやわらかいほほえみや、凍りついた目は読者にしっかりと何が起こっているかを伝えてくれる。

    特にこのヘヴンは素晴らしい。

    同じ顔をした登場人物なのに、ひとりは「天使」、もう一人は「人形」。表情で別人にかき分けている。
    荒廃した世界の空気、それでも美しい空を白黒の画面で作者はきちんと表現している。
    まるで壮大な映画を見ているようだ。

    そういうわけで、読み取る力の訓練というならば、このヘヴンは失格だ。
    けれど、この読み取った内容について考えるために感想文を書くという勉強ならこのヘヴンは少年少女に読まれるべき物語である。

    暴力のあふれる近未来、難病の姉を抱え、理不尽なセクハラのせいで軍をクビになったマットがアンドロイドと出会うことから物語が始まる。
    遠藤主人公女子キャラは騒動を起こし、それを苦労人の相方男性キャラがフォローするというのが様式美なのだが、マットはむしろ男性キャラポジションで、基本冷静。
    そのせいもあって、シリアス度は高い。
    シリアルキラー、マインドコントロール、ホムンクルス、裏切り、戦闘、どうしようもないこの世界、未来と設定しながら今の現代の世相と同じ問題を扱っている。
    登場人物の一人が、この空を見られて充分だって気持ちをどうして忘れてしまうんだろう、という言葉はそのまま現代人につきつけられている。

    その世界の業をすべて負わされたようなサクリファイスのアイコンである、マットの姉ホリーの「それでも世界はすばらしいわ」に救われる。
    この第一部を踏まえて、単行本では二巻に収録されていた『彼』が何故生まれたのか?という物語。
    旧世界(アメリカだったと思う)のとある大学に在籍している孤独な青年が、天使のような少年と友情を育み、そして起こる事件。

    1巻も映画のようだったが、2巻は圧巻だった。
    貧困層に生まれ、その頭脳だけでそこから抜け出そうとあがきながら、逃げ切れないと苦悩していた青年ジョナサンが、友情を手に入れて夢と希望に向かって進む明るい青春譚が、『そして悲劇が始まった』というモノローグから一気に惨劇に突き進んでいくストーリー展開。
    少年デイビーが1巻のロボットのモデルであることは、登場したときにわかるのだが、他にも1巻で出てきた名前がちらほら出てきてリンクされていく。
    読み終わると、1巻でルークがマットに自分を作った博士の遺言を果たすシーンは、これだけの想いが込められていたのかと涙が止まらなくなる。
    ラストシーンでデイビーが愛した彼女の血縁者であるマットと、デイビーと同じ顔をしたルークが巡り合い、ジョナサンの遺志を継いだルークが彼女を主として登録する。
    悲劇の最後に希望のシーン。
    物語の輪がきれいに閉じる。
    STARWARSのEP3を思い出す。
    主人公アナキンが暗黒面に落ち、未来に彼を救う希望の双子の一人が始まりの場所に降り立つあのシーン。

    絵が好みではないと敬遠している方、ぜひ、読んでみてください。
    逆に言えば一般受けのしない絵で、いまだに生き残り、一部の編集者が会社を超えて「エンコミフェア」というキャンペーンをやっちゃうくらい支持を受けている人の傑作です。

  • フィクション中の救いとはどういうものなのか。それは、どれ程どうにもできない手の届かない歯噛みするしかない出来事を描いていても、現実には見えないものを見せてくれるところなのではないか。現実にはない、ではなく、見えないものを。見えないだけでほんとうは、あるかもしれないものを。
    遠藤淑子さんの物語はそんなものをたくさん見せてくれる。

  • はじめは、ホモの上官にクビにされた主人公が、「ルーク」という、古い人型ロボットを手にするところから始まり、二人で事件を解決する、という、こう書くとシンプルな内容。
    でも、登場人物のセリフ一つ一つが映画のようで、とても詩的だ。読み返すたびにじんわりする。何気ないシーンでも心に突き刺さる。
    空を眺めるだけで満たされたことを、忘れてしまう・・・実感として思い当たる人は、この世に何人いるだろう。
    その人は、どんなつらい目にあったんだろう。

    そして後半は、「ルーク」が作られることになった経緯について触れている。
    これがまた。
    これを読んだ後でまた前半に戻ると、あまりの深さに胸がいっぱいになる。
    とにかく私のツボです。ストライクです。

    最後のページを読んだ後、最初のページに戻ると「あっこいつ、あいつの××じゃん!!」と、素敵なことになったりするので、2度、3度と面白いです。

  • 切なくて 何度も読み返してしまう

  • もう十年も前の作品になるのかな。
    遠藤淑子さんらしい作品で、本当に好きです。文庫で見かけて買ってしまった。

    ロボットとか暗殺とか生々しいけど、ハートウォーミングでとっても優しいお話です。好きだなーこういうの。

  • 最後まで読んでもう一度読んだとき鳥肌が立った!
    おもしろい漫画っていいなあー

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