写真記録:アウシュヴィッツ―ホロコーストの真実

著者 :
  • ほるぷ出版
3.00
  • (0)
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 3
感想 : 1
  • Amazon.co.jp ・本
  • / ISBN・EAN: 9784593094745

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 中には絵がうまいということで、生き延びた人もいた。肖像画の上手な人のもとには、同じ収容所で暮らす仲間ばかりでなく、労働を監督するカポや、時にはドイツ兵までが、自分の顔を描いてくれと頼みにきた。大切に持っていた家族の写真すら奪われてしまった人にとっては、自分の最後の姿をせめて家族に残しておきたいという切なる願いだったろう。そしてこのような環境の中で、初めて権力を握った人にとっては、得意満面の顔で絵を描いてもらうことが、自分の力を確認できるうれしい瞬間だったに違いない。ドイツ兵は新しい画用紙と絵具を持ち込んでくれ、カポは自分がくすねたパンやソーセージを分け与えてくれた。そして何よりありがたいのは、暴力を振るわれず、比較的軽い労働に回されることで、生き延びることに繋がった 。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

野村路子 (のむら・みちこ) 1937年、東京都生まれ。都立白鷗高校を経て早稲田大学文学部仏文科卒業。コピーライター、タウン誌編集長を経て、ルポルタージュ、エッセーなどを執筆。89年、テレジンの子どもたちの絵と出会い、その存在を日本で紹介したいとチェコの国立ユダヤ博物館と交渉し、貸し出しを受けて、91年から「テレジン収容所の幼い画家たち展」を主催。生き残った〈テレジンの子どもたち〉へのインタビューを重ね、執筆・講演活動を続けている。「テレジンを語りつぐ会」代表。『テレジンの小さな画家たち』で産経児童出版文化賞大賞受賞。「フリードルとテレジンの小さな画家たち」が2010年から学校図書「みんなと学ぶ国語」(小学校6年教科書)に掲載されている。日本文藝家協会会員。埼玉文芸家集団役員。

「2020年 『生還者(サバイバー)たちの声を聴いて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

野村路子の作品

最近本棚に登録した人

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×