ミリー: グリム童話 天使にであった女の子のお話

  • ほるぷ出版
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本棚登録 : 210
感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (38ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784593502196

作品紹介・あらすじ

むかし、のどかな村のはずれに、小さな女の子と母親がひっそりとくらしていました。ある日、村におそろしいいくさがやってきたため、母親は森のおくふかく、女の子を逃がすことにしたのです。「3日たったら、もどっておいで…」女の子は森の中で不思議なことにであいます-。1816年、ヴィルヘルム・グリムが、ミリーという少女にあてた手紙のあとに、このお話が書かれていました。まさに150年ぶりに発見されたグリム童話に、くずれた絵本作家、モーリス・センダックが5年がかりで絵をつけたのが、この本です。

感想・レビュー・書評

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  • 朝晩のお祈りや戦もピンときてないのに
    守護天使や聖ヨセフなどは
    子どもにはちんぷんかんぷん…
    絵は見ごたえたっぷり!

  • モーリスセンダックが5年かけて絵をつけただけあって、その美しさに魅了されました。絵本を読んでいるというより、何か美術館で絵画をみているような不思議な感覚でした。

    グリムが、母をなくしたミリーという少女にあてた手紙に、この物語はそえられていたため、150年という長い間、世に知られることがなかったのだそうです。



    ミリーさん
    から始まるお手紙の内容が素敵でした。



    心は、なにものにもへだてられることなく、ほかの人の心にまでとどきます。ですから、わたしの心も、あなたの心にとどきます。

    わたしはまだ、あなたに会ってはいませんけれど、わたしの心はあなたのそばにいて、わたしの愛をつたえてくれるのです。

    「お話しきかせて」といわれれば、
    心は、すぐにこたえます。


    「では、きいて、ミリー」

  • 大切な娘を戦地から遠ざけたいというお母さんの愛情。
    生き別れて30年後も娘を思い続ける愛情の物語。

    モーリス・センダックさんの細かい描写が
    美術館の絵を見ているような気分にさせてくれる一冊。

  • 子どもの頃に母からもらった絵本。
    その時はかなしいお話だと思ったけれど、
    おとなになってから読み直すと、
    娘を大切に護ろうと想う母親の強い気持ちを感じて、
    こころがじんわりあたたかくなる物語でした。

  • 美しい絵に心を奪われました。「かいじゅうたちがすむところ」の著者だったのですね。読もう。

    物語は、人が最後死んでしまうから哀しい。それが誰かの慰めであっても。でも最初の手紙はとても素敵だなと思った。だから難しい気持ちになった。哀しい気持ちもあたたかい気持ちがないまぜになって。

    木が怖かった。松みたいな木があって日本を感じました。

  • 何かしらの読書案内で「ラストに愕然」的なお薦めを見て手に取った絵本。

    美しい絵も相まってフェアリーな宗教色濃いめの奇跡アンビリバボー物語だわと思いながら読んでいたが、ラストで「うわー」ってなった。

    平和な世の中でぬくぬく暮らす人間にとっては、悲しい物語に感じられるだろう。しかし、過酷な世界で生きる人、特に理不尽な状況で家族を喪失した人にとっては、このような寓話はものすごく慰めになるのではないかと思うと、ぐっと胸に迫るものがあった。

  • 戦火から守るため、母親は少女を森の奥へと逃がす。常に傍らに感じる「神さま」の存在。成長する守護天使は少女の分身。今にも落ちんばかりの果実と沈みゆく太陽が母子の行く末を暗示する。
    哀しくも美しい愛の物語。
    絵を寄せたユダヤ系移民であるモーリス・センダックが『これはわたしのものと思う。』と語るように、絵には第二次世界大戦への想いが色濃く反映されている。監視され、追われる民。木陰に佇む墓碑に刻まれたダビデの星。響き渡る鎮魂歌。
    怖ろしく神秘的な森に潜むもうひとつの物語を読み取ろうとした。
    《2014.05.24》

  • 読み終わった後に涙をこらえた絵本はこれが初めて。基本的には浦島太郎と同じ構造の物語だけど、戦争に翻弄される親子という背景が様々な意味を付け加える。『スローターハウス5』や『パイの物語』同様、辛い現実のために要請された美しい物語。

  • (No.12-51) 絵本です。

    図書館で何気なくグリムの棚を見ていて、「あれ~、こんなのあったの?」と手に取りました。
    本自体は相当な使用感がありかなり読み込まれた感じでしたが、私には新鮮だったので。

    訳者あとがきからこの本の事情を抜粋しますと・・・。
    この物語は、1816年に母を亡くしたミリーという少女にあてたヴィルヘルム・グリム(グリム弟)の手紙に添えられていたのだそうです。少女の一家が所有していた物語が1974年に売却され、1983年に出版社の手にわたり5年がかりでモーリス・センダックが絵を付け、1988年に出版。
    翻訳されたこの本は、同じ年に日本で出版されています。神宮さん仕事が速いです。

    ストーリーは題名どおりの内容。
    読み終わって、なんと言っていいかすごく複雑な気持ちになりました。これはハッピーエンドなんだろうか。
    もし作者を知らずにこれを読み、この本はアンデルセン?それともグリム?と聞かれたら、私はアンデルセンだと答えたでしょう。アンデルセンにも神様が出てくる話が多くて、いつも読み終わって違和感を感じ、今回も同じような感じを抱いたので。

    でもこのザワザワした気持ちも悪くない。
    そしてモーリス・センダックが5年かけて描いた絵は素晴らしいです。一枚一枚が芸術作品です。

    たまに、本に呼ばれたような気がして手に取ることがあります。
    図書館の棚をうろついていて、そういう出会いがあると幸せです。
    思いがけず良い出会いをしました。

  • この絵本が発売された頃だったろうか、ずいぶん昔の「MOE」で絶賛されていたのを覚えている。
    そのままずっと読む機会がなかったが、今回友人から譲っていただき、ようやく読んだ。私が知ってるセンダック作品はコミカルなものばかりだったので、美しく重厚な絵にひきこまれた。
    すごく素敵な話なのだが、同時にすごく哀しくもある。それは多分自分が母親にすごく共感してしまったからだろう。母親がどんな思いで愛娘のミリーを手放し、そしてどんな思いで彼女の帰還を待っていたのか…考えただけで胸が潰れそうだ。もっと早く出会っていたら、自分はどんな解釈をしただろうか。

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