おじいちゃんの口笛

  • ほるぷ出版
4.18
  • (28)
  • (23)
  • (14)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 279
感想 : 31
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (47ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784593503247

作品紹介・あらすじ

ぼくらは、老人ホームでおじいちゃんをみつけたんだ。それから、きゅうにいそがしくなった。やさしさとユーモアと、ヨーロッパで幅広い共感をよんだ物語。1994年ドイツ児童図書賞受賞。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【原書を初めて読んだとき、涙が止まらなくて困りました。「ああ、この本、死んでも訳したい!」と、心から惚れこんだ作品です。】
    ・・・これは、訳者である菱木晃子さんの言葉。
    涙といっても悲しい涙だけじゃない。
    「死」を扱っているのにじわぁっと温かい涙が出るのだ。
    主人公の少年たちが、とにかくいじらしいほど真っ直ぐ。
    こういう気持ち、なくしてはいけないなぁ。。。
    文章のあちこちにそこはかとないユーモアもちりばめられていて、決してお涙頂戴ものだけで終わらない。
    これは、日本では決して生まれないお話かもしれない。
    5,6歳からとあるが、47ページもあり文章も多いので、おうちの方の肉声で読み聞かせてみてね。もちろん、その前に大人もどうぞ。

    語り手は、ふたりの少年のうちの「ぼく(ウルフ」で、淡々と語っていく。
    どちらかというと主人公は、もうひとりの少年の「べッラ」。
    「ウルフ」におじいちゃんがいることを羨ましがる「ベッラ」に、「おじいちゃんを手に入れられるところなら知ってる」と、「ウルフ」が連れて行ったのは老人ホーム。
    そこで見つけたひとりのおじいちゃん。
    お小遣い欲しさに俄か孫になった「ベッラ」だが、そこからの交流がなんだかとても楽しくて、ちょっととぼけてて、目が離せない。
    いつしか擬似家族の域を超えて(いや、ベッラは初めから本気だったけどね)どうすればおじいちゃんに喜んでもらえるか、真剣に考えるふたりの少年が、もう愛おしくてたまらない。
    おじいちゃんとふたりの少年には、一切の妥協がないのだ。
    残念ながら「死」によって別れが来るのだが、最後の「ベッラ」の言葉には胸をつかれる。
    【とにかく、おれたち、たのしかったよな】
    なんて素敵な言葉だろう。
    生きているうちに、伝えるべき言葉を伝え、渡したい気持ちを渡しきったから言える言葉だ。

    もうひとつ私の好きな箇所は、おじいちゃんに会いに行くとき「ベッラ」は必ず髪を(水で!)きれいに撫で付けて綺麗な服を着ていくというところ。
    いいなぁ、これが。一番いい自分を見てもらいたいんだね。「好き」ってこういうことだもの。

    「凧」と「口笛」がキーワード。
    涙のあと、胸がすうっと爽やかになる、そんなお話。

  • 〝「今日は、お爺ちゃんの誕生日だから、お小遣いをもらえるんだ」「おれもお爺ちゃんが欲しいな」 「お爺ちゃんを手に入れられる処なら知ってるぞ」「どこ、どこ?」...ぼくらは、老人ホームでお爺ちゃんをみつけた...凧を作ったり、口笛を教えてくれたりして、ほんとうの孫のように仲よく遊んでくれたお爺ちゃん。お小遣いも貰った!...そんな素敵なお爺ちゃんが、誕生パーティのあとで亡くなってしまった…〟児童文学作家<ウルフ・スタルク>が、老人とふれあった子ども時代の思い出を爽やかに語ったドイツ児童図書賞受賞作品。♿

  • おじいちゃんがほしいベッラと、老人ホームに暮らすニルスさんの交流が、ベッラのともだちのぼく(ウルフ)目線で描かれています。

    にわかじたての孫とおじいちゃんの関係ですが、ニルスさんはベッラたちのために大切であろう亡き妻のスカーフでたこを作ってあげたり、スリルのあることをしたり。
    ベッラたちもニルスさんのために子どもなりに手を尽くしてプレゼントをします。

    あとがきにあるように、死をテーマにしていながらもセンチメンタルになりません。
    絵にも独特の味があって素敵です。
    本が小さめなので、大人数への読み聞かせには向かないですが、読んであげたい本です。

  • ベッラのおじいちゃんがおそらへいっちゃってかなしかった。
    ※図書館で借りた本

  • 絵本はより文化の違いが顕著にでる。
    最後は予想できるが、そこまでの展開はなかなか日本の作風とは違って面白い。

  • おじいちゃん欲しさに老人ホームにいる知らない老人に孫だと伝える男の子。そしてそのホラにのっかる老人。本気なのか嘘に付き合ったのか。そこから友達も巻き込んだおじいちゃんと孫ごっこが始まる。3人でコーヒーを飲んでシナモンロールを食べたり、凧を作って凧揚げをしたり、誕生日パーティーをしたり、木登りをしたり。やっぱりごっこだとお互いわかってやっているらしい。でもなんちゃって祖父孫だけどちゃんと繋がっている。想いあっている。亡くなる前にきっとおじいちゃんは彼のことを想ったはず。誰かに出会って繋がることはこんなにも人生を豊かにしてくれる。血も歳も関係ない。最後の口笛はきっと届いたね。ユーモラスで楽しくてでも切なくて。とてもいい物語だった。

  • こんな出会いであっても、うその孫とわかっていても、おじいちゃんと触れ合う時間、楽しんだ時間は本物。

    人間はいろんな可能性のかたまりだな。

  • 1994年ドイツ児童図書賞

  • 私も祖父母を知らずに育ったのでおじいちゃんがほしい気持ちはわかるので心が温まった。

全31件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

スウェーデン、ストックホルム生まれ。現代スウェーデン児童文学を代表する作家。リンドグレーン賞などさまざまな賞を受賞していて、日本でも多数の作品が翻訳されている。著書に『おじいちゃんの口笛』(ほるぷ出版)、『シロクマたちのダンス』『夜行バスにのって』(偕成社)、『ちいさくなったパパ』(小峰書店)、『パパが宇宙を見せてくれた』(BL出版)などがある。

「2024年 『難民を理解する絵本(全2巻)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ウルフ・スタルクの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×