きんいろのとき: ゆたかな秋のものがたり

  • ほるぷ出版
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本棚登録 : 167
感想 : 13
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  • / ISBN・EAN: 9784593503957

感想・レビュー・書評

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  • 美しい本である。
    凝った見返しも眺めて楽しく、秋に実る野菜・果物や小さな生き物たちのイラストが満載。
    ページを開くと、左にテキスト、右に絵。
    そのテキストの周りを囲む絵もそれぞれ素敵なのだ。
    晩夏から感謝祭までの季節の移ろいを、丁寧に描いた本。
    江國香織さんの翻訳によるテキストが詩のように美しくリズム感があり、アメリカの秋など知らなくても雰囲気がたっぷり味わえる。

    11月の終わりにやってくる感謝祭というものの大切さを聞きかじったことがあるが、収穫の後だから祝う気持ちも大きいのだろうと想像できる。
    日本でいうところの秋祭りと同じ。
    その感謝祭までの日々が、眼で見る秋と耳で聞く秋、体感する秋と盛りだくさん。
    キリギリスの声。刈り取り機の音。雨のように落ちるドングリ。
    赤いりんごや金色の梨の収穫。南に渡る雁の群れ。
    澄み切った夜空に輝くオリオン。朝もや。夜の霜。裸の木々の向うにのぞく大きな満月。
    とりわけ私が好きなのは、学校の帰り道に子どもたちが歩く森の道。
    落ち葉や枯れ枝を踏みしめる足音さえ聞こえそうだ。
    ああ、子供の頃はこうして季節を身体全体で味わっていたなぁと懐かしさもしきり。

    この作品をじっくり味わえるのは、子どもよりむしろ大人の方かも。
    何しろ主役は「きんいろのとき」なのだ。
    原題の『AUTUMN HARVEST』を、「きんいろのとき」とした江國さんのセンスに脱帽。
    海の向うの秋の風景を描いた本なのに、日本の秋の美しさもまた思い出されてくる。

    • あいさん
      こんばんは(^-^)/

      秋にいい絵本ですね〜♪
      nejidonさんの感想で美しい景色が浮かんできました。
      秋はまたいい季節ですね...
      こんばんは(^-^)/

      秋にいい絵本ですね〜♪
      nejidonさんの感想で美しい景色が浮かんできました。
      秋はまたいい季節ですね。
      季節にあった絵本を読んでいきたいので10月頃読んでみたいですが忘れそうです。
      夏には海の絵本が読みたかったのですが、今は貸し出し中でした。
      それとnejidonさんが紹介してくれた絵本も借りられませんでした…
      どちらも夏休みが来る前に借りたいなぁ。
      2017/07/15
    • nejidonさん
      けいたんさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます!
      はい、実りの秋にふさわしい良い本かと思います。
      もちろん季節に合ったお話を...
      けいたんさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます!
      はい、実りの秋にふさわしい良い本かと思います。
      もちろん季節に合ったお話を紹介していきたいのは山々なんですが、
      それは皆さん同じなので、図書館でなかなか借りられません(笑)
      それで、こうやって先取りすることになります。
      夏の絵本ですか?
      ええと、定番ですが長谷川摂子さんの「めっきらもっきらどおんどん」
      絵がダイナミックな木葉井悦子さんの「みずまき」
      私が大好きな「おひさまみたいに」はスーザン・マリー・スワンソンの絵本。
      あと大人向けでしたらロバート・マックロスキーの「すばらしいとき」
      などがあります。
      すでに読まれたかもしれませんが、何しろ季節に合ったものほど借りられなくて。。
      けいたんさんのお好みのものがあると良いですね!
      2017/07/16
  • 今年の秋の訪れを知らせてくれた絵本。
    秋はめぐみの季節、収穫の季節。収穫に感謝したくなる絵本。今年もたくさんの美味しいものをありがとう♪特に栗が好き。

    畑では穀物を刈り取り、森の中では動物たちが木の実を集め、子供たちが落ち葉の中を歩く、果樹園では大人も子どもも果実とり、大きなお月さまを見る、子どもたちの楽しみのハロウィンがあり、そして、収穫を祝う感謝祭が賑やかに行われる。

    これらの夏の終わりから感謝祭までの季節の移り変わりを丁寧に描いてくれた絵本です。絵と色が豪快で楽しい。
    そして、江國香織さんが訳ということで少し大人になれた気がする(*≧艸≦)

  • 秋は金色の時。収穫のとき。

    畑では刈りいれが始まり、森ではリスたちがヒッコリーの実を隠すのに忙しい。

    そして、ハロウィンの時期にすべての収穫が終わると、感謝祭がやってくるのだ。

    豊かな秋の時間を味わえる。

  • 夏から収穫の秋への移り変わり。ハロウィンて何だよ?と思っている子ども、これを読むと分かるかも。お菓子をくれなきゃいたずらするぞ!…で羊羹が出てくる国だもの。わっかんねーよなぁ^^

  • アルビン・トレッセルト:文
    ロジャー・デュボアザン:絵
    えくにかおり:訳
    ゜゜ ゜゜ ゜゜ ゜゜ ゜゜ ゜゜ ゜゜ ゜゜

    絵本です。

    きりぎりすがなきはじめると 「霜がおりるまで あと 6週間」
    という ふるい いいつたえ から はじまるおはなし。

    江國さんの訳 というところに惹かれて手にしてみました。

    秋は実りの季節だからなのでしょうか 黄色があちこちに生きています。
    でも その中で 私が好きなのは 無彩色の林の向こうに まぁるいおおきなお月さまのいるページ。
    お月さまのまんなかだけが ほんのほんのり黄味がかっていて
    今日一日を終え ほっとしている農夫の満足を思わせてくれているようなのです。

    大人とも絵本は ともだちになってくれます。

  • 「きりぎりすの声が秋の訪れを知らせる頃になると、黄金色の小麦が頭をたれて、「ちゃぐ ちゃぐ ちゃぐ、かた かた かた」。刈り取り機の音があちこちから響きます。野ねずみたちは、脱穀機が残した麦粒を探しにやって来ます。森では、つややかな栗がいがからこぼれ、まるまるふとったどんぐりも落ちてきます。
    りすたちがそれを集めては、秘密の穴に隠します。
    果樹園では、たわわに実をつけたたくさんの木にはしごがかけられて、子どもたちも大人と一緒に果実取りに精を出します。見てください。荷車には赤いりんご、金色のなしがいっぱい!秋の実りは美しい。」

  • 「Autumn Harvest」これが #江國香織 さんが訳すと「きんいろのとき」となります。なんと素敵な題名でしょう!
    副題は「ゆたかな秋のものがたり」です。
    秋の訪れを知らせてくれる私の大好きな本、今日ふと稲刈りの様子を目にし、帰宅後思わず手に取ってしまいました。
    .
    しだいに深まる秋を素朴なデュボアザンの絵で黄色やオレンジ色を使い表現されています。
    日本の秋とはちょっと違うけれど、森も街も農場も……夏から秋へと移り変わり、
    虫たちのなき声
    収穫の光景
    木々の色のうつろい……
    すべての秋色が目からも耳からも届いてくるようです。
    とても心が落ち着きますよ〜。
    .
    あらためて秋の収穫の喜びに感謝し、ほんのつかの間の秋を満喫したい〜と思います!
    .
    #絵本K

    #きんいろのとき
    #アルビントレッセルト 文
    #ロジャーデュボアサン 絵
    #えくにかおり 訳

  • 秋は、収穫の時だね~

  • ハロウィンの絵本を探していて、借りてみた。

    夏の終わりから感謝祭までのおはなし。

    なんだか、わかりづらい。
    文章が頭に入ってこないと思ったら、「子どもたちに言葉の感性が育つようにとの願いから詩的な文章で表現されている。」のだという。(カバーそでより)
    絵はいいと思うのだけれど、絵本である必要があるんだろうか。

  • 副題<ゆたかな秋のものがたり>

    おそい夏にきりぎりすが鳴きはじめてから、ハロウィーン、感謝祭までの秋の風景を自然描写たっぷりに描いている美しい絵本。
    色数は多くないのに、いずれのページもしっかりとアメリカの秋の風景を色で表しているし、絵が描きこまれすぎていないので、空間感覚を体験できる。(天高く青い空、広い農場、夜空の月、大勢の長テーブルと奥のキッチンなど)
    また、言葉はさまざまな音の表現で風景をきっちり伝えている。



    表紙のうらのイラストから、物語を表しているので、きっちり見せたい。
    洋なし~ラフランスが定着してきので、そう呼ばなくなってきたかも。
    タイトルのページ、直売で編み物をする女性と黒猫。
    きりぎりす、むぎの軽ろやかな線。
    農場の建物から感じる遠い国の文化
    ヒッコリーの実~みどりの実、ピーカンナッツ
    http://www.geocities.jp/kinomemocho/sanpo_hickory.html
    本)ミス・ヒッコリーと森のなかまたち
    本)ヒッコリーのきのみ

    金色(黄色)の落ち葉、にれ~アメリカ  落ち葉を踏む音が聞こえてきそう
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%AC
    赤い落ち葉 かえで    もみじ~日本

    果実の収穫~みんなで働く姿

    霜の降りる前の準備~深まる秋の夜、オリオン

    インディアンテントのような刈り穂、木の上のふくろう

    ハロウィーンのかぼちゃの飾りとマスク

    鳥のえさ台

    感謝祭の準備、長テーブル

    いずれも、描きすぎていない絵、想像する余地のある絵
    絵本の絵は、描いていない分を想像させる、想像を刺激する絵でないといけない。空間を感じさせる。
    自然の中にいる人を描いていること、人は自然から、自然と学んでいる。
    自然と触れることで、育つ人の感覚。

    主人公がいない絵本なので、読み慣れていないと楽しむのが難しい。
    もしくは、きりぎりす、落ち葉、虫の声などの経験をたよりに楽しめるかも。
    気づく余裕がないと気づけないし、意識していないと気づけない。

    アルビン・トレッセルト、詩人なので、言葉が詩的。
    詩的な言葉を楽しむことは小さいうちから楽しみなれていないと難しい。

    アルビン・トレッセルトの作品一覧

    ◦しろいゆき あかるいゆき
    ◦てぶくろ―ウクライナ民話
    ◦大きな木のおくりもの
    ◦海がやってきた
    ◦せかいのはてってどこですか? (1979年)
    ◦せかいのはてってどこですか?

    きりきり きりかり きりきり きりかり
    ちゃぐ ちゃぐ ちゃぐ かた かた

    ふるくからのいいつたえです。
    「霜がおりるまで あと6週間」

    じきに南へむけて ながいたびにでるのです。

    こがねいろの小麦は ゆたかにみのり
    あたたかなお日さまのもと、こうべをたれます

    だっこく機の のこしていった麦つぶを さがします。
    さいしょの霜が そっとおりると かえでは赤く
    にれは金色に そまります。

    とげとげの くりのいが
    かたいカラに入った ヒッコリーの実
    かしの木からは、きっちりと ぼうしをかぶった 
    まるまるふとったどんぐり

    アキノキリンソウ
    むらさきいろのアスター
    まるまるふとったトウワタ

    にぐるまは ぴかぴかの 赤いりんごや
    金色のなしたち

    南にわたってゆく ガチョウたちの おわかれのなき声が ひびきます。

    たっぷりの霜が あたりを白く
    おおいつくし、きりぎりすは なきやみます

    すみわたった夜空を みあげると
    そこには オリオンの 星ぼしが


    霜のおりた 草のあいだから
    そうぞうしいこおろぎが ちいちいなきたたえるのがきこえます

    葉っぱから たちのぼる 気持ちよく ぴりっとした
    においが 大気をみたし 子どもたちは
    たき火のまわりで はしゃぎます

    はだかの木々のむこうから 大きな うつくしい まんげつがのぞきます

    こどもたちは おかしな  いしょうをつけて こわそうに
    うれしそうに 走っていきます

    かわいらしい 灰色のゆキヒメドリや
    ちびで元気な ゴジュウカラたちが

    しちめんちょうのローストや ミンスパイのこうばしく ゆたかなにおいが
    ただよってきます

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アルビン・トレッセルトの作品

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