- Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
- / ISBN・EAN: 9784593533770
作品紹介・あらすじ
イギリス、バークシャーの緑なす丘陵地帯には、地肌の白い土を露出させて描いた、巨大な白馬の地上絵がある。古代ケルト人の手になるその地上絵は、力強く美しく、悠久の時を超えて命の輝きを放っている。なぜ、どのようにして、この「アフィントンの白馬」は描かれたのか。カーネギー賞受賞作家サトクリフが、今はもう忘れられた豊かな物語を紡ぐ。
感想・レビュー・書評
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胸がいっぱいになる物語というのは、こういう作品のことを言うんだなと思いました。本当に良い本と出逢えて嬉しい。ケルトの白馬の丘の景色が、今も胸に浮かんできます。読み終えたあともずっと、心に何かを残してくれる作品は、宝物になりますね。
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ケルトの白馬がなぜできたのかの物語 主人公の一生がぎゅっとつまっててすぐ読んでしまうおもしろさ
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ローマン・ブリテン四部作を読み終え、もっとサトクリフの世界に浸りたくて図書館から借りて来た。
「アフィントンの白馬」から、これだけスケールの大きい素敵な話を作り出すことができるなんてすごい。
作品紹介に、「今はもう忘れられた豊かな物語を紡ぐ」と書かれていたが、「紡ぐ」という表現がしっくりくる。遥か彼方の出来事に想いを馳せる豊かな時間を与えてもらった。
登場人物の心の内を描くのが上手だ。主人公の孤独感が物語の陰影となっている。 -
古代のイギリス丘陵地帯。ケルト族の少年の物語。
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第一章「夢の白馬」で、ルブリンが夏の終わりの悪天候時に白馬の群れを見る描写が美しい。第二章で音楽を絵にしたいと思うところも。今まで叙事詩的な作品って苦手だったけどこれからサトクリフの作品(神話を題材にしたもの)をもっと読んでみたいと思った。詩的なところと植物や儀式のディテールをしっかり描くところのバランスが良い。また読み返したいと思う。
(一般書の翻訳と比べて、児童文学の翻訳ってわくわく感と描写の美しさが両方あって翻訳特有の読みにくさがない作品が多い気がする。全然ジャンルが違うけれど、『弟の戦争』とか『モモ』とか『バンビ』とか……。ただ訳すだけではなくて子どもに面白い外国文学を届けたいという熱意があるんだろうか。訳と原書の関係は大学院では勉強しなかったなあ。今更気になってきた) -
イギリスに於いての馬のありかたに、感動した。
白い馬の地上絵、見てみたかったわ… -
白亜の丘に築かれた砦に住むイケニ族の族長・ティナガンの息子として生まれながら、先住民の“暗い血”を伝える褐色の肌を持つルブリン・デュ。
彼にはつばめの飛行や竪琴の歌、麦畑を渡る風や、疾駆する馬の群れなど、迷宮のように入り組む曲線と渦巻きに象られた文様で動く物を描く才能があった。
しかし、一族の女王たるルブリンの妹テルリと親友ダラの婚礼の夜、砦は『赤いたてがみ』の支配を嫌い、別天地を求めてガリアからブリテン島へと移住してきたアトレバーテス族の侵攻を受けて壊滅してしまう。
テルリとダラ、そしてわずかに生き残り、アトレバーテス族の虜囚となった一族の命を守り、彼等をまだ見ぬ北の草原へと旅立たせる為、ルブリンはイケニ族と侵略者の神、その象徴である巨大な馬の絵を丘に描く。
太陽の馬であり月の馬でもあるもの。ルブリンの命を捧げ、生命を呼び込み、世界の終わりまでそこに在り続ける白い馬を。
イギリス、バークシャーの丘陵地帯に現存する巨大な地上絵「アフィントンの白馬」。
この絵の描かれた時代を、奔放な想像力を駆使して描く珠玉の作品。 -
イギリスに実在する白馬の地上絵。
いったい何のために、誰がこれを作ったのか― 古代ケルトの物語。
最初は読みにくかったですが、次第に物語に引き込まれていきました。
クラドックの最後の一言がすべてを物語っているように感じました。
《注意 ここからBL的感想》
ルブリンとダラの関係に「ん?」と思っていたら、読了後にとあるサイトで、この作品における少年愛について言及しているのを見つけました。
そういう視点から見ると、しっくりくる面もあるような…
三角関係…?とか、ブルーベルの意味とか、いろいろ妄想してしまいました(>_<) -
アフィントンのケルトの白馬は、たぶんキリスト生誕百年くらい前の古代遺跡。本当に走っている白馬だなぁ。
イケニ族のお話。長はやはり孤独である。孤高かな。
ローズマリー・サトクリフの他の話も読んでみたい。