世界を救うパンの缶詰

著者 :
  • ほるぷ出版
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本棚登録 : 86
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784593535231

作品紹介・あらすじ

阪神大震災の被災者の声から生まれた「パンの缶詰」。これを作ったパン屋の秋元さんは、賞味期限が切れる前にこの缶詰を回収し、海外の飢餓地域へ届ける仕組みも作り上げます。あきらめない心が生み出した、奇跡の缶詰の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 防腐剤無添加で、3年間美味しさをそのまま保存出来て、小さな子から歯の悪いお年寄りまで食べられるパンの缶詰。
    群馬県那須塩原市にある「秋元パン店」という小さなお店が、実に100回以上もの実験と失敗を繰り返しながらそれを生み出すまでの話。
    それだけではない。
    この「パンの缶詰」には「社会性」というふりかけもかけられて、世界中の被災者や飢餓に苦しむ人々に届けられているという。諦めない心が生んだ、奇跡のパンのお話だ。

    私も一度だけ、職場でこのパンを食したことがある。
    そろそろ賞味期限も切れそうだから、みんなで一緒に食べてみようということになった。
    手に持つと信じられないほどの軽量。
    プルトップを引き上げて、薄い紙ごと持ち上げて出し、端からちぎって口に入れると・・まぁこれがすごい美味。まるでケーキのようだった記憶がある。
    柔らかでしっとりしていて、焼きたてのようなふわふわの食感。失礼ながら、研究室も実験室もない小さなパン屋さんからこれが生まれたとは信じられないほど。
    秋元さんの、文字どおり努力の結晶のような缶詰だが、完成までの過程は感動ものだ。

    賞味期限が切れる一年前に購入者に声をかけて缶詰を回収し、新しいものを少し値引いて購入してもらう。そして賞味期限の近いものは海外の飢餓地域に届けられる。
    「救缶鳥プロジェクト」と呼ばれるこの仕組みを作りあげたのも秋元さんのアイディア。
    賞味期限の近いものを送るなんてと、裕福な日本人なら嫌悪するような企画だが、飢餓に苦しむ人々にとってはまさに天の恵みのような食べ物だろう。
    食べ終えた缶のリサイクルまで考えられているというから、まことに行き届いている。
    支援活動とビジネスを結びつけたのも、秋元さんの情熱から生まれたものだ。
    資金が尽きれば終わりのボランティアと違い、儲けを出しながら継続できるのがポイント。
    今ではよく知られるソーシャルビジネスの先駆けだったということだ。

    ちょうど今日は防災の日。私も備蓄品を見直さねば。。
    缶詰工場の隣には、パン・アキモトが経営するパン屋さんもあるという。
    いやぁ、実話にまさるものはないなぁと、しみじみ。

    • アテナイエさん
      こんばんは♪
      パンの缶詰、このお話はとてもいいですね!防腐剤無添加で、長持ちして、かつ美味しいのであれば人気がでると思います。あとはお値段...
      こんばんは♪
      パンの缶詰、このお話はとてもいいですね!防腐剤無添加で、長持ちして、かつ美味しいのであれば人気がでると思います。あとはお値段が良心的だと嬉しいですね。
      とりわけ気に入ったのは、「救缶鳥プロジェクト」。ネーミングが可愛らしいですし、グローバルな救済策に頭が下がります。缶詰なので輸送中の腐食も気にならないし、それこそ今日、明日の食べ物がなくて死んでいく子どもたちがあまりにも多いですから、もっと広がるといいですね。ビジネスとプロボノ活動がうま~くミックスされて感激しました。

      ところで昨日のうちの防災の日。
      備蓄品をチェックしてみると、あれれ?防災パンやらビスケットがなくなっています。う~ん、結構美味しくてすっかりおやつになってしまったのを思い出しました。今度買い直ししたら、味見なるものはやめて封印します!
      2018/09/02
    • nejidonさん
      アテナイエさん、こんにちは(^^♪
      コメントありがとうございます!
      いつも拙いレビューにポチをくださって感謝でいっぱいです。
      これ、い...
      アテナイエさん、こんにちは(^^♪
      コメントありがとうございます!
      いつも拙いレビューにポチをくださって感謝でいっぱいです。
      これ、いいお話でしょう?
      小学生向けに書かれたものらしいのですが、じゅうぶん大人向けでした。
      最初は阪神・淡路大震災の被災地にパンを届けたところから始まります。
      わずか数日でパンが傷み始め、半分以上を廃棄したという話を聞き、その悔しさをバネに
      するのですよ。
      被災食というと乾パンくらいしかありませんでしたから、柔らかい缶詰のパンは画期的だったと思います。
      何度危機が訪れても、それを逆転の発想で乗り越える。
      そのパッションというか、発想と行動力に感心してしまいました。
      「救缶鳥プロジェクト」で海外に送る缶詰には、日本の小中学生たちからのメッセージも表に書かれているそうです。
      学校単位で購入すると、そういうことも可能なのですよね。
      自分のメッセージが世界の誰かに届くという経験はなかなか貴重です。

      アテナイエさんのおうちの備蓄品は、美味し過ぎたのですね・笑
      ついおやつにしてしまう・・何だかとても笑えません。被災食の進化を感じますね!
      2018/09/03
  • 小さな町のパン屋さんが作った防腐剤無添加で3年間おいしさをそのまま保存できる奇跡の「パンの缶詰」の物語。
    (カウンター担当/アメリ)

  • とにかくこのパンを食べてみたい。
    パンの缶詰のシステムが結果的にすごくよく出来たものになっていて感動する。

  • 2020年6冊目。

    「グローバル」で「社会貢献」ができるところで働きたいと考えるとき、思い浮かべるのは名だたる大企業だろうか。あるいは国際機関やNPOだろうか。もしそんな就活生がこの本で紹介される「パン・アキモト」を知れば、那須塩原にある「町のパン屋さん」が、NASA(NASUではない)に認められ宇宙へと旅立つパンを開発し、そのパンによって防災と世界の飢餓問題にアプローチしていることに驚くかもしれない。

    それを可能にしたのは、世界初の「パンの缶詰」。「乾パン」ではない。缶詰のなかに、正真正銘ふわふわのパンが入っていて、その状態で3年程度備蓄できるという優れもの。実際に食べたが、甘くて本当においしく、僕も備蓄に使っている。

    開発のきっかけは、阪神淡路大震災の被災地から「日持ちする美味しいパンが食べたい」というリクエストを受けてのことだったという。そこから本業の合間を縫っての開発が始まり、トライアル&エラーを繰り返しながらついに完成させた。

    この商品自体の素晴らしさに加えて、本を読んで驚かされるのは、パン・アキモトの対応力と応用力。

    残りの備蓄期間が少なくなると、自治体や企業はそのパンの缶詰を捨ててしまっているということを、ある日知る。そこで社長の秋元さんは、期限が短くなった缶詰を下取りし、新しい缶詰を少し安く提供するサービスを開始。下取りした缶詰は、連携機関を通じて発展途上国の飢餓地域に届けられる、という仕組みを開発した。名付けて「救缶鳥」プロジェクト。

    この例に限らず、パン・アキモトは常にお客さんの声とリアクションに耳を澄ませ、それに対する更なる「リ・リアクション」として、商品やサービスを進化させていく。その際に、決して自分たちだけでそれをやろうとせず、力のあるパートナーに声をかけ(名だたる大企業含む)、惚れ込ませてしまい、協業を成立させてしまう。その姿は、大企業のようなリソースには恵まれていなくとも、事業を進化させ、世界にチャレンジしていけるという希望だと感じる。

    缶詰事業だけでなく、ベトナムから受け入れる研修生に対しては貯蓄を支援し、彼らが帰国後に自分でパン屋さんを起業できるようなサポートも展開(本の後日談になるかと思うが、実際に卒業生がベトナムでパン屋を創業し、そこで雇用を生み出すまでになっていると聞いた)。

    この本自体は小学生くらいを対象にしているため、大人であれば小一時間で読めてしまうと思う。ただ、そこで知れるエッセンスは決して侮ってはいけない。仕事や世界と向き合う上で大切な姿勢を、たくさん教えてもらえると思う。

    著者の菅さんは『小さなパン屋が社会を変える 世界にはばたくパンの缶詰』(ウェッジ)という大人向けのビジネス本も書かれているが、両方読んだことで、読者対象に合わせた言葉選びの素晴らしさも感じた。僕は普段子ども向けの本を読まなかっただけに、繰り返したりかみ砕いたりする工夫に大きな刺激を受けた。

    パン・アキモトが、これからどんな新しい仕掛けを生み出していくのか、楽しみでならない。

  • パンの缶詰、初めて知った。
    大局的に物事を見ること、経験や人脈がいつか役に立つことがあること。そんなことも教えてくれる良書。

  • ・世界を救うっていう大げさに思うけどその缶詰で世界を救うってことはとてもすごいと思って興味があるから。
    ・このお話では、缶詰のパンができたきっかけなどが書いてある。最後には作者の感謝の言葉もあります。

  • 30年度 6-1 紹介

  • 中学生のとき、当時はまだ珍しかったパンの缶詰を友達にもらった。チョコレート味。パンの缶詰ができるまでにこんな苦労があったとは。あきらめなかったご主人に、あっぱれ。

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著者プロフィール

1965年生まれ。自由学園卒業。出版社勤務を経てフリー編集者、ライターとして活躍中。『世界を救うパンの缶詰』(ほるぷ出版)、『シゲコ!―─ヒロシマから海をわたって』(偕成社)、『子どもが幸せになる学校──横浜サイエンスフロンティア高校の挑戦』(ウェッジ)など、著書多数。

「2018年 『小さなパン屋が社会を変える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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