吾輩は猫である (声にだすことばえほん)

著者 :
制作 : 齋藤 孝 
  • ほるぷ出版
3.72
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本棚登録 : 450
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784593560516

作品紹介・あらすじ

「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」猫の目を通して人間社会をユーモアたっぷりに描いた名作が、愉快な絵本になりました。夏目漱石の文体はそのままに、猫の日常を中心に物語を抜粋。日本語の名文を声にだして楽しんで下さい。

感想・レビュー・書評

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  • 「声に出すことば絵本」のシリーズから、純文学の名作を。
    2.22のにゃん・にゃん・にゃんの日に合わせて紹介してみる。

    「吾輩は猫である。名前はまだない。」
    全文を読まなくとも、この出だしは殆どのひとが知っていそう。
    オーディブルでは結構な時間がかかるが、この絵本版は朗読で約12分。
    元の文章を生かした、抜粋版だ。
    絵は「となりのせきのますだくん」を描いた武田美穂さん。
    あたたかくてユーモラスな、とても良い味わいを出している。
    少々難しい言葉も登場するが、低学年から十分に楽しめるからぜひおうちでどうぞ。

    書生、飯櫃、縁側(本文では縁の字が木篇)、小春、美貌家、あながち、前後不覚、歩を伸ばす、物憂げ・・日頃は使わない言葉でも、文章の流れと挿絵の力で何となく分かってくるかも。
    何しろひと昔まえは小学生が読んでいたのだ。

    きりっとした文章を調子よく読むと気分も良い。
    さすがの漱石先生で、今私たちが使っている日本語の基礎をつくったひと。
    それまで使われていた「○○で候(そうろう)」という表現は一度も出てこない。
    その代わり、軽快で生き生きとした日本語がここにある。

    見返しからいっっっぱいの猫。同じ子がひとりもいない。
    最後の「猫だって笑わないとは限らない」のページには19にゃんずもいるの!
    チェシャ猫ばりに笑ってて、こちらもついニヤニヤする。
    三毛子さんは艶っぽいし、「吾輩」もお茶目で可愛い。
    武田さん、良いお仕事だわ。

    名前さえまだない「吾輩」が、人間の世界をじっと観察するというおかしさ。
    「世の中をそんなにまだ知らない」という存在に、子どもたちは自分を重ね合わせてわくわくするだろう。

    「漱石」の名前はたくさんのペンネームを持つ「正岡子規」から譲り受けたという。
    1905年(明治38年)に発表した本作品。
    実に100年以上経つのにこの面白さは、まさに名作だ。
    挿絵の親しみやすさもあり、猫だって笑うかもしれない。

    • goya626さん
      「読書家の彼」いいっすねえ。
      「読書家の彼」いいっすねえ。
      2021/02/24
    • トミーさん
      goya626さん
      ありがとうございます。
      小学一年生の孫ちゃんです。ふふ
      青天の霹靂ってなあに?とママに聞いてました。読書家でしょ。ばあば...
      goya626さん
      ありがとうございます。
      小学一年生の孫ちゃんです。ふふ
      青天の霹靂ってなあに?とママに聞いてました。読書家でしょ。ばあばなんです。わて。
      2021/02/24
    • goya626さん
      いいなあ、裏山です。
      いいなあ、裏山です。
      2021/02/25
  • 武田美穂の絵が懐かしい。なかなかユーモアのある絵でいいよ。斎藤孝の解説もなるほどと思わせる。

  • わぁ~っ!この絵本ヤバい!
    怒る猫、寝てる猫、喧嘩する猫、毛繕いする猫、お股をおっぴろげた猫(笑)、広げた本を布団にして寝る猫、お化けハンドの猫など表紙裏の様々な猫の絵を眺めてるだけで、
    目尻は下がり、口は半開き、読む者すべてを脱力させ、
    笑顔の花を咲かせること間違いナシ(笑)
    (厳格な教師である主人が縁側で伸びをする『吾輩』を横目で見て、なんやかんや言って気にかけている様が分かる表紙の絵もいい味わい)

    本書は夏目漱石の文体はそのままに、小説『吾輩は猫である』から
    猫の世界の面白さがよくでてるところを抜粋し、武田美穂さんの絵が彩ったお話し絵本です。
    (日本語の素晴らしさを堪能して欲しいとのことで、声を出して読む本として企画されています)

    ストーリーは小説同様に、
    『吾輩は猫である、名前はまだ無い』で始まり、
    人間に拾われて教師である主人の家に住むことになった猫の話で、猫視点から物語が語られていきます。

    猫の視点から見た人間の世界のバカバカしさや嘘臭さをユーモラスに描いていくのですが、
    「猫」というナニモノにも媚びない
    ある意味特殊な生き物が語り手なだけに、
    いまさらながら、猫に「吾輩」と語らせた漱石のセンスがほんと素晴らしいですね。

    これが「僕」や「私」や「おいら」や「わし」では、
    猫という生き物の高貴で凛とした性質を表すリアリティにいまいち欠けると思うし(笑)

    まぁ、そのへんのストーリーは誰もが知ってるところだろうけど、
    この絵本の何が良いって、
    なんと言っても武田美穂さんがペンとクレヨンで描いた
    ダイナミックかつカラフルでキュートな絵柄なのです。

    初めて人間を見て怯えるシーンや
    厳格な教師で通っている主人が勉強中だと家族に言い一人籠もった書斎で、実はヨダレを垂らして昼寝しているのを見つけ、こっそり眺めてるシーン(笑)、
    主人が昼寝をすると必ず背中に登って、その上でまったりするシーン、
    (「これはあながち主人が好きだからではなく、別に構い手がなかったからやむを得ないのである」と一人言い訳する「吾輩」が可愛い)

    三人の子供たちの寝床へ潜り込んでこっそり一緒に寝てるシーン、
    吾輩を「先生」と呼ぶ美しい三毛子にデレデレになってるシーンなどなど、
    どれも印象的で物語を知らない子供でも、絵を見てるだけで
    まあるい気持ちになれます。

    しかし、猫って
    素知らぬフリをしながらも
    実は人間をよく観察してますよね~(笑)

    僕は掃除道具のクイックルワイパー持つと
    マイクスタンドやギターに見立てて必ず踊ってしまうし、
    (ダックウォークしてます笑)

    「クイックルワイパーダンス大会」なるものがあれば
    絶対優勝する自信あるんやけど(笑)、

    お気に入りのノリノリロックかけて
    クイックルをギターに見立てて
    腰をフリフリワンマンショーしてると、
    今は亡き黒にゃんこのヤミクロは
    必ず冷たぁぁ~い視線で
    『なぁ~にアホなことやってんやろ(-_-;)』
    って
    アクビしながら見てたもんな~(汗)
    変なヤツ~って
    絶対思ってたんやろなぁ~(^^;)

    まぁ、そんな俺様気質の猫だけど、
    猫はいつだってこの世を明るくしてくれるし、
    世の中の争いごとすら鎮める力を有してます。
    (たぶん笑)

    日本語の美しさに触れ原文を読みたくなるし、
    猫好きなら
    悶絶必至の絵本ですよ~(笑)


    ★なんとYouTubeにこんなんありました(笑)↓
    https://www.youtube.com/watch?v=OJWjF20jV8E&feature=youtube_gdata_player

    • oboistさん
      >わぁ~っ!この絵本ヤバい!
      すみません。この書き出しでレビューを読む気がなくなりました。
      「ヤバい」ではなく、もっと適切な言葉を使われ...
      >わぁ~っ!この絵本ヤバい!
      すみません。この書き出しでレビューを読む気がなくなりました。
      「ヤバい」ではなく、もっと適切な言葉を使われた方が、その喜びが読み手に届きやすくなると思います。
      2015/06/17
  • 部屋の片隅に置いていると、低学年娘がページをめくって眺めていた様子…「自分でページを開いたのなら!」と読み聞かせしてみる。最後まで絵を楽しみながら聞いていた。声に出して読んだ私も楽しかった。やっぱり漱石は偉大だなと改めて思う。

  • 難しい活字のイメージの本でしたが
    絵本だとわかりやすいです

  • うーん。まだちょっと早いかな…

  • 『声にだすことばえほん』
    絵にすると、非常にわかりやすくなる。
    新鮮で面白かった。

  • 4分。明治時代に書かれて国民的大ベストセラーとなった小説。しかし、今の人はなかなか全部読むことが少なくなっている。これを小学生が読んでいたというから驚きだ。
    今回、絵本にするにあたり、猫の世界のおもしろさがよく出ているところを選んでいる。猫の視点をおおいに楽しめる。

  • 読了

  • 6-1
    7分
    名作なので興味を持ってもらえるといいなぁ。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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