大きな枝が折れる時 (扶桑社ミステリー ケ 1-3)

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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (557ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594004798

感想・レビュー・書評

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  • 小児専門精神医アレックス・デラウェアシリーズ第1弾。「ロス・マクドナルドの伝統を受け継ぐ」という売り文句もあるが、清廉な主人公の立ち位置はともかく、ハードボイルド小説に不可欠な冷徹さや、罪を犯す人間の掘り下げ方などが浅く、処女作の段階ではまだ方向性が定まっていない印象。
    1985年発表で、翻訳された当時は随分話題となった。一人称の語り口は明るいタッチで、ややシニカル。若くして引退同然の身でありつつも生活は安定し、恋人や友人との仲も良い。これは、題材とする幼児虐待の重さを少しでも軽減する狙いもあるのだろう。自身が臨床心理医であるケラーマンの体験が随所に生かされ、主人公を通した子どもたちに対する眼差しも優しさに満ちている。

    プロットは、小児性愛者である金満家らが共謀して児童虐待を繰り返す犯罪の捜査をメインとするが、構成や人物造型に強引な部分も目立つ。非道の実態をリアルに描写することは避けており、異常者らの謀みを暴くミステリとしての体裁を崩すことはない。アレックスとコンビを組む刑事は性的マイノリティの設定だが、奇をてらっているようで、余分だと感じた。主人公を骨のある男として描いていることには好感が持てる。第2作以降の成長に期待といったところだ。

  • 当時は結構有名な作品でした。
    嫁さんがフェイ・ケラーマン(だったかな)
    で夫婦で作家業営んでおります。多分・・・
    精神科医と刑事がコンビだったよね確か

  • 面白いんだ。非常に面白いのですが。

    人物構成の配分がどうなのかしら~って。
    私は、このトンデモセレブな野郎どものほうに興味津々だったので、もっとこちらの描写があってもいいのではないのかなあ、と。

    だって最後に明かされる、あのヒトやあの子の出自……!!
    これって、いわゆる虐げられた貧者が、強権的なセレブにとんでもない仕返しをしたわけではないですか!!
    幼児虐待などとともに、非常に興味深いモチーフだと思うのですが。

    少女の父親の存在、あまりちゃんと書かれていない気がしたんですけど。
    だから後半「ハ?」となった。

    あー。
    しかし酷いことをする奴らがうようよいる……@@
    作者は本業のお医者さんでもあるようなので、書かれていることはリアルなんだろうなあ、と思わざるを得ない。

  • 元小児専門の精神医である主人公が、友人の刑事と共に事件の謎を追うお話。
    ……という紹介の割に主人公の前職があまり生かされてない印象が。その分、普通のミステリーとして真っ当に捜査されるのですが。
    主人公が結構、日本趣味だったり意外な肉体派だったりと探偵モノとしての素質も充分なのでそちら方面に期待するならどうぞ。

  • 結構読むのに時間がかかったのだけど,海外小説としては面白かった。
    海外小説って登場人物がファーストネームで呼ばれたりニックネームで呼ばれたり,はてはファミリーネームで呼ばれたりするので,カタカナだし誰が誰だかわからんことになることが多いのである。
    今回も例に漏れずいちいち登場人物紹介の欄を繰り繰りしながら読んでいた訳であるが,内容的にはちょいえぐい描写もあるけども,サスペンスとしてはけっこう巧妙なストーリーと思います。
    あと,筆者も臨床心理士(小説では臨床心理医となっているけど,多分,日本で言う臨床心理士のことと思う)で主人公も臨床心理士っていうのが面白い。専門用語も結構出てきて楽しめる。
    なによりも,翻訳が素晴らしい。ほんとに自然な翻訳でとても文章が滑らかで読みやすい。
    どうも,臨床心理士アレックスが出てくるのはシリーズ化されているらしいから,ぜひとも続編を読んでみようと思う。

  • ジョナサン・ケラーマン第一作。
    関係ないと思っていたことがひとつの結末に収束していく様は、よく練られているなあ。。。と関心。登場人物が多いので、時々戻りながら読みました。

  • 小児臨床心理医アレックスシリーズ。
    アレックスとマイロ刑事との出会いも描かれてます。
    子供の心を癒していく優しさと、好奇心冒険心、そして危険を顧みない行動
    そんなアレックスはカッコいい人です。

  • 元心理学を学んでいた執筆者ならではの描写が描かれているジョナサン・ケラーマンの小説。Dr.デラウェアシリーズだけは結構読みました。子供専門の臨床心理医アレックス・デラウェアとLAPD(ロサンジェルス警察)殺人課刑事マイロ・スタージスのコンビによるシリーズ第1作目に当たる本、分厚いです^^;この執筆者のシリーズは「児童虐待」などをテーマにしていますが、あくまでフィクションなので良い意味で言えばFBの心配も余り無く読めますが、小説としてはやや物足りない所があるかもしれません。

  • 本作にて86年度アメリカ探偵小説クラブ最優秀処女長編賞受賞で衝撃的デビューを飾った、ということはハードボイルドになるの? 意外な真相には度肝をぬかれるし、ヘドがでる(汚い表現でごめんなさいです)。こういう事がなくなるように、もっともっとケラーマンに書いてもらいたい。著者自身が臨床心理士だったので内容にも現実味たっぷりです。忽ち大ファンになりました!

  • Dr.デラウェアシリーズの中ではこれがいちばん好き。

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