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- 本 ・本
- / ISBN・EAN: 9784594006785
感想・レビュー・書評
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作家やイラストレーター、エッセイストなど23人のそれぞれの旅にまつわるエッセイを、1988年10月からJ-WAVEの番組で放送したものの書籍化。
当時は幼い子どもたちの子育て真っ最中で、こういう番組があることさえ知らなかった。
23人の中には、佐野洋子、辻邦夫、金井美恵子、増田れい子など好きな作家人もいれば、ここで初めて目にする作家の名前もあったが、1編が30分という放送枠の中で紹介されたものであり、あらかじめ決められた紙数の中での旅のエッセイということで興味深かった。
もちろんここに登場する23人はプロの書き手であり、それぞれのエッセイに旅の情景が浮かび上がってくる。
ましてやラジオ番組の中で情景にマッチしたBGMとともに流れてくれば、そこを訪れたことがなくても、その風景を目にしたことがあるような気にもなったことだろう。
中でも増田れい子のエッセイ5編は、一編一編を読み終えたときに、いつまでも余韻が残り、自分が今、その旅から帰ってきてような気さえしてきた。
そのまま次のエッセイに進むのがもっていなくて、ページを閉じてしばらくはその余韻に浸る。
旅というものは旅先がどこであろうとも、またいつであろうとも、その旅が終わろうとするとき、終えたときこそが「旅」なのではないかと思う。
ちょっと切なくて、今しがた過ぎ去った風景が遠い日の出来事のように思える瞬間…
今、旅の途上にあって、海の向こうの日本に思いを馳せるのもそのせいなのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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