スティンガー 下 (扶桑社ミステリー マ 10-2)

  • 扶桑社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594006976

感想・レビュー・書評

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  • マキャモンのSFアクションホラー下巻。
    クライマックスに向かって収斂していく人間ドラマが物語の最高潮に達する瞬間の快感は、何度読んでも素晴らしいです。非常に読後感の良い作品です。
    これの映像化作品をドラマシリーズで視てみたいものです。

  • テキサスの砂漠の町インフェルノ。かつては鉱山で栄えた町も今は寂れ、川を挟んで白人の町とヒスパニック系の町が睨み合い、子供達もそれぞれ不良グループが対立し抗争を繰り返す。人々は皆一様に絶望とやり場のない苛立ちに取り憑かれていた。
    そんなある日、町の郊外に奇妙な物体が落下する。獣医ジェシーの車に落ちたのは小さな黒い球体だった。ジェシーの6歳の娘スティーヴィーは球体に興味を持つ。一方、落下した物体を追って軍の人間が町に乗り込んでくる。物体隕石でなく、外宇宙から来た宇宙船だと言うのだ。やがてスティーヴィーに球体の中の存在が乗り移る。存在は“ダウフィン”と名乗り、自分が逃亡者であることを明かす。間もなく、郊外に巨大なピラミッドが落下、町を紫色の光で外部から遮断してしまう。彼らは“スティンガー”。“ダウフィン”を追って現れたエイリアンだった。“スティンガー”は“ダウフィン”の引渡しを迫り、レプリカントを操って町の人間の殺戮を開始した……。

    「この本には、古いSF映画のタイトルが三、四十は隠されているんだよ」(解説より)とは著者の弁。その言葉どおり、読後感はハリウッドのエンターテインメント大作を見終わった時の思いに似ている。前半の街中や学校での日常風景、親子や友人達との人間ドラマ、“スティンガー”の繰り出す凶悪なレプリカントに街の人間が襲われるシーンやクライマックスでの人間対“スティンガー”の対決、そして大団円……。不良グループのリーダー、コディとアル中の父親カートとの和解のシーンには思わず目頭が熱くなったし、元々はお堅い軍人のローズ大佐が、開放された街にのこのこ乗り込んできた同僚に「クソ喰らえ」と毒づくシーンなどは、ベタなシーンなのに読んでいてもスカッとする。映画でも「お約束」の場面だろう。

    過疎化の進む町の閉塞的な状況の中で自己憐憫と挫折感に支配されかけていた人々が、途方もない敵と立ち向かうことによって生きる力、「希望」を取り戻していく。そんなことは単なる理想主義、ご都合主義だとも言える。
    しかし読んでいるとそれが何とも心地いい。
    カッコ良い。
    泣かせる。
    読まないうちから「安っぽい」の一言で片付けるのはもったいない。

    常々、安直なハッピ-エンドには白々しさを感じてしまう自分だが、ここまで清々しい読後感を残してくれた作品にお目にかかるのは久しぶりのこと。
    自分はこの1作でマキャモンの大ファンになった。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    地球に不時着した逃亡者“ダウフィン”の引き渡しを迫る“スティンガー”は町の人間を一人ずつ殺しはじめる。日ごろ抗争をつづける白人系とメキシコ系、二つの不良少年グループは“スティンガー”に敢然と立ち向かうが―。異星生物の弱点とはなにか?人間たちと“ダウフィン”に勝ち目はあるのか?まるでハリウッド映画の面白さをすべて詰め込んだような、究極のホラー&サスペンス。「怖くて面白くてハラハラドキドキさせて、カッコよく泣かせる」モダンホラーの最新傑作がやってきた。

  • ナスティなんたらっていうヤンキー娘とのラブロマンスとか、しっかり書き込まれていて楽しめるエンターテイメント。オススメです。

  • 発表時、キングやクーンツを継ぐ「第三の男」と呼ばれたマキャモンによるSF+モダンホラー。異星人の乗った宇宙船がアメリカの片田舎に相次いで飛来する。一体は、逃亡を図った囚人。もう一方は、賞金稼ぎのハンター。この二体のエイリアンの出現によって、破壊と殺戮が繰り広げられるのだが、それまで反目し合っていた住人らが結束して反撃に出るという物語は、映画などでもよくある設定であり、新鮮味は無い。敢えて「どこかで読んだ、観たことがある」要素を存分に取り込み、スピード感のある展開で読ませる。さらに、既に崩壊しつつあった街の歴史や荒んだ住民らの情景をじっくり描き込んでストーリーに厚みをもたらせている。筆力は確かでエンターテイメント性が高い。

  • 大筋はSFホラーなんやろけど、それだけで語れない人間ドラマがありました。マキャモンらしい語り口と章立て、ラストの涙を誘うシーン&清々しさ、最高です。

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